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戦国異伝

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第二百四十五話 夜においてその六

「それで戦いましたが」
「しかしですな」
「今は違います」
「拙者が甲斐だけとなり」
「そしてです」
「天下も定まった今は」
「義はです」
 それのある場所はというと。
「今は天下に確かにありますので」
「その義を守る」
「そう考えています」
「だからもう拙者とはですな」
「戦うことはありませぬ、それに」
「それにとは」
「実はです」
 ここでだ、こうも言った謙信だった。
「わたくしは貴殿が以前よりです」
「川中島の頃から」
「嫌いではありませんでした」
「ほう、それはです」
「貴殿もですか」
「あの時からです」
 まさにというのだ。
「嫌いではありませんでした」
「お互いにでしたか」
「ですからこうして共に酒が飲める」
「そのことがですな」
「悪くありませぬ」
 こう言ってだ、信玄も笑顔で飲むのだった。
「実のところ」
「そうですか」
「はい、ですから」
 それで、というのだ。
「泰平になっても」
「こうして会えば」
「共に飲みましょうぞ」
「ですな、永遠に」
 こう二人で話しながらだった、信玄と謙信は飲んでいた。塩を肴にして夜空を見上げながらだ。その夜空は。
 氏康も見ているがだ、その彼に共に飲む元就が言った。
「面白いですな」
「と、いいますと」
「はい、妖星の力が弱まっております」
「妖星のですか」
「十一あり特に真ん中の一つが大きいですが」
「その妖星達がですか」
「相当に弱まっており」
 そして、というのだ。
「間も無くです」
「落ちる」
「そうなりますな」
「ですか、つまりは」
「はい、魔界衆はです」
「滅びますな」
「そうなります」
 間違いなく、というのだ。
「星がそう教えています」
「左様ですか」
「そして将星はです」
 それはというと。
「無数にありますが」
「その星達は」
「力がどんどん強まっております」
「ほう、そしてその中央の」
「とりわけ強い将星はです」
 それはというと。
「輝きが非常に強くなっていて」
「だからですな」
「妖星も圧しております」
「では」
「はい、間違いなくです」
 どうなるかとも言うのだった。 
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