ロックマンゼロ~救世主達~
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第65話 クラフト
前書き
全ミッション終了…そして
全ミッションを終えたことにシエルは安堵しながらも、ゼロ達の帰りを待ち、アリアが端末を操作しながら口を開いた。
「転送完了まで…2…1…転送!!お疲れ様。エックス君、頑張ったね。おかげで危険なサイバーエルフ達が開放されることもなくなった。これであのエルフ達も…戦う道具にされずに静かに眠れると思うの…。」
アリアは席から立ち上がると、エックスに労いの言葉をかける。
「ええ、そうだといいですね…」
本音を言えばあのサイバーエルフも救ってあげたかったが、それをするには時間も技術も自分達には足りなかった。
「ゼロとルインのおかげでノイズの拡大を防ぐことが出来たわ、あのままノイズが広がっていたら、このトレーラーも危なかった…二人共…ありがとう」
シエルもゼロとルインに礼を言うと、アリアが席を立った瞬間を狙ったルージュが席に座り、端末を操作しながら口を開く。
「以上で全ミッション終了です、エリア・ゼロに異常はありません」
「…どうやら…間に合ったようだな」
「ええ…!私達、エリア・ゼロを守り切ったのね…!お疲れ様、三人共。今はゆっくり休んでね」
「うん、シエルも休んだ方がいいよ。多分、エリア・ゼロに来てからあまり休んでないんじゃない?」
「ええ、そうするわ」
ルインの気遣いに笑みを浮かべるシエル。
「ああ、なら…私達の拠点に来るかい?子供達もシエルちゃんに来て欲しいだろうしね。とっておきのお茶をご馳走するよ?」
「いいの?アリアさん?」
「うん、それにシエルちゃん。アルエットちゃんを向こうに置いたまんまでしょ?流石にこのまま放置は可哀想じゃないかなー?」
「あ…」
今まで集落でのことやクラフト、ネージュのことがあり、アルエットのことをすっかり忘れていたシエル。
「ふふ…アルエットちゃん、可哀想」
「研究の時もそうだった。一つのことに集中すると周りが見えなくなる。シエルの悪い癖だ」
「随分とシエルのことを理解しているね」
「当たり前だ。シエルは俺のパートナーだ。パートナーを理解出来ないままではまともな連携も出来ん」
「ほほう!?パートナー…人生のパートナーかい!?ふむふむ…シエルちゃん、やったじゃん。ゼロ君みたいなイケメン君に“人生”のパートナーだなんてさ…」
ニヤニヤと笑いながらシエルを肘で小突くアリア。
その言葉にシエルは赤面しながら慌てる。
「じ、人生のパートナー!?ち、違うわ!ゼロはきっとそんな意味で言ったんじゃ…」
「ゼロく~ん。君はシエルちゃんのことをどう思ってるの~?私達に教えてよ~」
「ちょ!?アリアさん、止めて!聞かないでっ!!むぐっ!?」
ルインもゼロのシエルに対する感情に興味があるのか、シエルの口を強引に塞いだ。
「確かに…僕も少しだけ興味があるかな…?ゼロは昔から他人に少し無関心なところがあったしね」
エックスの記憶でも人間とレプリロイド含めてゼロが関心を持った女性は彼女とシエル以外いなかった。
「そうか…?俺にとってシエルは隣を預けられるパートナーだ。そして俺の力でシエルと…シエルの信じる物を守る…それだけだ」
「ふむふむ、まあまあかな?ゼロ君にとってもシエルちゃんが特別なのは分かったよ。良かったね」
「あ…うぅ…」
赤面しているシエルにゼロが疑問符を浮かべた直後であった。
シエル達の本拠地であるレジスタンスベースから通信が来たのは。
「レジスタンスベースからの通信が入りました。回線を開きます」
ルージュが回線を開くと、レジスタンスベースに残ったジョーヌがモニターに映る。
『…シエルさん!ゼロさん!大変です!!レジスタンスベースのレーダーが、強力なエネルギー反応をキャッチしました!!エネルギーの発生元は衛星軌道上…宇宙空間からです!!!」
「宇宙ですって…!?」
『エネルギー反応更に増大中!!計測しきれません!!この位置は…リア・ゼロの…危険で…!!すぐ…避難…!!』
徐々に音声にノイズが混じり、モニターからジョーヌの声が聞こえなくなる。
「どうしたの!?応答して!?一体…何が起こっているの…!!?」
シエルが声を張り上げてもジョーヌからの応答はなかった。
「通信回線に強制割り込み!発信源は…ネオ・アルカディア跡地です!!」
「ネオ・アルカディア跡地から!?」
ルインが驚いた次の瞬間にモニターに映るのは、ネオ・アルカディア跡地の統治者のバイルであった。
『…クーックックックッ…クヒャーッハッハッハッ!!!』
「…やはりお前か、Dr.バイル…!!」
「今度は何をするつもりなんだ…!!」
『言ったはずだ…人形共…!貴様らにラグナロクは止められんとなぁ!宇宙に浮かぶ衛星砲台、ラグナロクによる地上への無差別攻撃…。これこそが…真のラグナロク作戦なのだよ!貴様らが倒した八つの部隊は、ラグナロクが完成するまでの時間稼ぎに過ぎん!!』
「なっ!?あれだけの規模の部隊と作戦がただの時間稼ぎ……!?」
相当な規模であった作戦と部隊が本命のための時間稼ぎに過ぎなかったことを聞いたルインは驚愕する。
「チッ…!オペレーター…!俺達をラグナロクに転送出来るか?」
「駄目です!ラグナロクの正確な座標が分かりません!せめて何か、ラグナロク内部に転送の目標となる物さえあれば…!!」
「く…っ、今からネオ・アルカディア跡地に行っても、間に合わない!!」
『クーックックックッ!クヒャーッハッハッハッ!!良いぞ!もっと狼狽えろ!!ちっぽけな自然に群がる蛆虫共よ!!泣け!!喚け!!叫べ!!そして…絶望にまみれて滅びるが良い…!!!』
対抗手段のないゼロ達をバイルは蔑み、嘲笑う。
流石に常に余裕を崩さないアリアも眉間に皺を寄せた。
「こりゃあ、やばいね…バイルの糞爺のマイナスパワーを甘く見てた」
「一体…どうすればいいの…!?」
誰もが絶望しそうになったその時である。
全てを覆す声が聞こえたのは。
『いや…滅びるのはお前だ、バイル…!!』
『な…何だと…!?その声…クラフトかっ!!?』
予想外の事態に流石のバイルも狼狽え始めた。
『ラグナロクの遠隔操作システムは破壊した。バイル…俺はもう…お前の言いなりにはならない…!ラグナロクのコントロールを乗っ取らせてもらった、攻撃目標はエリア・ゼロではない…。バイル…お前のいるネオ・アルカディア跡地だ!!』
ネージュの言葉を聞いたクラフトはラグナロクを使ってバイルを倒す決意をする。
だが、それはネオ・アルカディア跡地にいる大勢の人間やレプリロイドをも犠牲にする選択だった。
『貴様…あの女の言葉に唆されたか…!!ここにはわしに生かされている人間やレプリロイドがおるのだぞ!!!』
クラフトの言葉はバイルを驚愕させる。
自分に従っていると思っていたクラフトの反乱と、ネオ・アルカディア跡地ごと自分をラグナロクで撃つという発言にバイルは狼狽え、慌て始める。
ラグナロクでネオ・アルカディア跡地を攻撃するということは、バイルに支配されている人間やレプリロイド達も死ぬことになる。
それを承知の上でラグナロクを撃とうと言うのか?
『…お前のような人間に従うのがレプリロイドの正しい姿だと言うのか?何もせず…何も考えず…ただ支配されているだけの一握りの人間のために…必死に生きようとする自然を傷つけるのが正しい事だというのか!?違う…!俺は…俺は…!そんな人間のために…そんな奴らのために戦って来たんじゃない!!このままでは…世界は何も変わらない…!!』
バイルの言葉にも全く動じないクラフト。
ネージュの言葉は確かにクラフトの心を動かしたが、それは別の意味でクラフトを追い込むことになってしまったのだろう。
すぐさまクラフトはラグナロクの照準をネオ・アルカディア跡地に合わせる。
このラグナロクの一撃がかつてのコピーエックスの偽りの平和やバイルの支配によって腐敗しきってしまった今の世界を変えられると信じて。
自分やネージュのように、かつてのイレギュラー戦争が起きる前の、人間とレプリロイドが共存した世界が蘇ることを信じて。
「げええ!?ネオ・アルカディアへの直接攻撃ぃ!?」
「そんな…ネオ・アルカディアを攻撃しようというの…!?まだ施設に残っている人間やレプリロイドが大勢いるのに…!レジスタンスベース!!聞こえる!!?」
『……ル…ん!…通…回…!シエ…さん!通信回線、回復!!聞こえます!!シエルさん!!』
クラフトのことで通信回線に割り込めなくなったのか、モニターにジョーヌの姿が再び映る。
「レジスタンスの皆をネオ・アルカディア跡地に集めて!!人間やレプリロイドを、ネオ・アルカディアから避難させるの!無理矢理でも構わない!一人でも多く助けて…お願い…!もう…これ以上…私達の戦いで傷付かないで…」
モニターに映るジョーヌを通じてレジスタンス達にネオ・アルカディア跡地へ向かうように指示を出すシエル。
自分達の戦いで、これ以上関係のない人間やレプリロイドが巻き込まれて犠牲にならないために。
『…了解しました!すぐにメンバー全員にミッションを発令します!!』
ジョーヌも頷き、レジスタンスのメンバーに指示を出すために通信を切った。
次にモニターに映るのは、ラグナロクへの転送座標。
「皆さん、ラグナロクへの転送準備出来ました!!」
「本当かい?」
その言葉にエックスが振り返った。
「はい。ですが…クラフトの反応を元に、無理矢理割り出した転送座標です!クラフトのいるラグナロク制御室からは離れた場所になります!!」
「構わん…転送しろ…シエル、最後まで諦めるな」
「ゼロ…!!」
まだ諦めていないゼロの言葉にシエルの表情に希望が戻る。
それを見たルインは自分達とは違う意味でゼロとシエルは強く固い絆で繋がっているのだいうことが分かった。
「急ごう!クラフトを止めなければ!!」
「うん、ラグナロクは撃たせないんだから!!」
エックスとルインも決意を固めながらトランスサーバーに向かう。
「ルージュちゃん、早く転送を!!」
三人が転送室のトランスサーバーに乗り込み、ゼロ、エックス、ルインの三人が転送を待ち、アリアがルージュに転送を指示する。
「了解…転送準備完了…転送!!」
三人は転送の光に包まれ、クラフトのいるラグナロク内部へと転送されるのだった。
「三人共…帰って…来てね…」
「信じようシエルちゃん。彼らをさ」
シエルとアリアは静かに三人の帰りを待つ。
そしてラグナロク内部に転送されたゼロ達はクラフトのいるラグナロク制御室に向かって駆け出す。
妨害してくるバリアントやメカニロイドを迎撃しながらも、三人はラグナロクの発射を阻止すべく動くのだった。
「…………」
一方で、ラグナロク制御室でラグナロクのエネルギーチャージを待っていたクラフトは目を瞑り、過去を思い出していた。
自分がかつてイレギュラーに襲われていたネージュを助け出した時のことだ。
“大丈夫か?”
まだ駆け出しのジャーナリストの頃のネージュをイレギュラーから救い出し、手を差し伸べたのだが。
“触らないで、レプリロイドはいつイレギュラーになるか分かったものじゃないから”
その手を拒絶したネージュにクラフトは苦笑した。
レプリロイドのイレギュラー化を恐れる人間は数多くいるが、彼女も例に漏れなかったようだ。
しかし、クラフトはネージュの怪我をした足首を見遣り、屈み込む。
“何を…”
“せめて怪我の手当てをさせてくれ。見ていて痛々しい”
慣れた手つきでネージュの怪我を手当していくクラフトに警戒を少し緩めたネージュが口を開く。
“一応お礼を言っておくわ。ありがとう…レプリロイドに人間は礼も言えない奴だなんて思われたくないもの”
ネージュの勝ち気な表情で言われたその言葉にクラフトは再び苦笑を浮かべた。
どうやら自分が助けたネージュという人間は今では珍しいとても気が強いタイプのようだ。
“私はネージュ。ジャーナリストよ…と言ってもまだ駆け出しの新米だけど…あなたは?”
“俺の名はクラフト。ネオ・アルカディアの戦士だ”
この地上唯一の正義と言っても過言ではないネオ・アルカディアの戦士と聞いた瞬間、ネージュの目が見開かれた。
“ネオ・アルカディアの戦士…ごめんなさい。そうと知っていればあんなこと言わなかったわ”
“構わんさ、君達人間がレプリロイドのイレギュラー化への恐怖を捨てきれないことは分かっている。”
“ありがとう…”
この出会いをきっかけにレプリロイドのクラフトと人間のネージュの珍しい交流が始まったのだ。
そして何度か交流を重ね、ミッションを受けて遠征に向かうクラフトを取材し、それぞれの理想を語った。
ネージュは人々に真実を伝え続けるジャーナリストであり続けることを語った。
それを聞いたクラフトはネージュらしいと思った。
ネージュがクラフトの方はどうなのかと尋ねてきた。
“俺はこれからもネオ・アルカディアの戦士として人間を守り、世界を平和にしてみせる。”
過去の自分の言葉を最後に、ラグナロクのエネルギーチャージが終了したことに気付いたクラフトは閉じていた目を開いた。
「ネージュ…これで世界は変わる…今度こそ!ラグナロク…主砲発射!!」
クラフトなりの世界への想いを込めてスイッチを押し、ラグナロクの主砲を発射した。
一方で、ラグナロク制御室の前まで着ていたゼロ達もラグナロク内部の揺れにより、立っていることが出来ずに床に膝を着いた。
「この揺れは…」
「…発射されたようだなエックス……シエル…!応答しろ…!!」
ゼロが地上のトレーラーに通信を繋ぐが、帰ってくるのはノイズだけだ。
「通信が繋がらない…地上はどうなっているんだろう…?」
「今はこれ以上ラグナロクを撃たせないことが先決だ。急ごうゼロ!ルイン!!」
シャッターを潜り抜け、三人はラグナロク制御室に入るとクラフトを見据えた。
「ゼロ…ルインやエックス様まで何をしに来た?」
「これ以上ラグナロクは撃たせん…!!」
「お前達はバイルを倒すのが目的だったんだろう…?今、ラグナロクが二発目のチャージを開始した。これで世界は…人間達は変われるはずだ」
「…クラフト、こんなやり方をネージュさんが望んでいたと思っているの?ネージュさんがこんなやり方に賛成すると思っているの?」
誰の目から見ても明らかに焦り、暴走しているクラフトを止めようとするルイン。
「…分かっている…俺のやっている事はバイルと何ら変わらんとな。だが…俺はイレギュラーと呼ばれようと構わない…!誰かが道を誤った人間達を裁かねばならないんだ!!」
だがクラフトはルインの言葉に耳を貸さず、例え大勢の犠牲を出そうとも、ラグナロクの主砲によって強引にでも世界を変える道を選んだ。
それを聞いたルインは悲しげに顔を歪めながらZXバスターを抜いた。
「この馬鹿あっ!!」
バスターを向けてクラフトにチャージショットを放つ。
クラフトはそれを回避してマルチランチャーを構えた。
「止めるんだクラフト!僕達三人を同時に相手にして勝てるわけがないだろう!!」
クラフトの実力はルインと互角に渡り合える時点で相当の物だが、ゼロ達三人に勝てるわけがない。
「お前達三人を相手にして勝ち目がないのは分かっている!だが、ラグナロクのエネルギーチャージが終わるまで保てばそれでいい!!」
「君という人は!!」
ランチャーから放たれたレーザーをエックスは屈んでかわし、即座に腕をXバスターに変形させてダブルチャージショットを放つ。
「ぐっ!まだまだ!!」
攻撃直後の隙を突かれながらも、膝からボムを発射するクラフト。
ルインはHXアーマーに換装し、エアダッシュで距離を詰めながらダブルセイバーで斬り掛かる。
「たあああっ!!」
「甘い!!」
後ろにジャンプしてかわし、分裂する爆弾を投げるクラフト。
それをまともに喰らったルインは吹き飛ばされた。
「クラフト!お前の気持ちも分からなくはない……。だが、人間達を裁いていい理由にはならん!!」
Zセイバーを握り締めながら、クラフトに斬り掛かる。
エネルギーチャージを終えているため、セイバーから光が放たれていた。
「伝説の破壊神、ゼロ!お前にそれが出来ないのなら…俺がやってやる!!」
「例え道を誤ろうとも、どんなに時間がかかろうとも、人間はそれを正すことが出来るはずだ。その可能性すら摘み取るというのなら…クラフト、俺はお前を斬る!!」
「…そうやって全てを背負うのか…人間が百年間積み上げた過ちを清算し終えるまで、お前は戦い続けるというのか!?」
「それが友との…エックスとの約束だ。」
「信念…か…ならばもう何も言うまい!!さあ、始めるか…」
ジャンプして、マルチランチャーのレーザーを放出しながら前進するクラフトに対し、ゼロはダブルジャンプでクラフトと同じ位置にまで跳ぶとチャージセイバーを叩き込んだ。
「ぐっ!!」
「クラフトオオオオッ!!」
FXアーマーに換装したルインがナックルバスターによるチャージ攻撃、メガトンクラッシュのパンチを炸裂させた。
「ぐあっ!?」
全身を襲う凄まじい衝撃にクラフトは苦痛の叫びを上げた。
「僕達レプリロイドに“心”を与えてくれたのは他でもない人間だ!弱さも醜さも、その人間の一面でしかない。そして…例え人間が優しさを忘れ去っていたとしても、僕達レプリロイドが優しさを忘れない限り人間にそれを教えてあげる事だって出来るんだ!!」
エックスもメガアックスを抜き、吹き飛んだクラフトの胴体に深い裂傷を刻んだ。
「何故…そこまであなたは人間を信じられるんだ…百年も人間を今まで見てきたあなたなら分かるはずだろう!!」
「そうだね…でも、僕は…最後まで諦めたりはしない。僕はどんなに時間がかかっても、誰もが手を繋ぎ合わせられる世界を創りたいんだ!!」
「そのために…まずはあなたを止める!!」
エックスとルインが同時にバスターを構え、即座にクラフトに向けてクロスチャージショットが放たれた。
広範囲を攻撃するチャージショットを受けたクラフトの身体の至る所から火花が出る。
「それでも…俺は…この道を信じる…!綺麗事や理想だけでは何も…誰も救うことは出来ないんだ…!!」
中央に大きくジャンプして真下にレーザーを放った後、三連続でミサイルを撃つ。
放たれた無数のミサイルがゼロ達に降り注いでいく。
「今度こそ…終わりだ…!!」
レーザーの出力を限界以上まで引き上げるクラフト。
ランチャーがレーザーの出力によって悲鳴を上げるが、クラフトは構わなかった。
「これで終わりだ……」
手応えを感じたクラフトは勝利を確信したが…。
「まだだ!!」
爆煙の中からダブルジャンプで空中にいるクラフトに接近するゼロ。
「馬鹿な!?」
エックスとルインは直撃を受けたことによるダメージによって倒れている。
なのに何故、ゼロだけ動けるのだ?
「シャリテ、セイバーの出力を上げろ!!」
「分かったよゼロ!!」
ゼロの体から出て来たサイバーエルフ・シャリテがセイバーの出力を増大させた。
そしてゼロの傷を少しずつ癒していく。
シャリテはサイバーエルフの力でゼロの能力を強化することで、あの攻撃から守ったのだ。
「クラフト!!」
シャリテの力で強化されたチャージセイバーがクラフトに炸裂し、直撃を受けたクラフトは受け身も取れないまま、床に落下したのであった。
それを確認したエックスとルインは体に走る激痛に耐えながら端末を操作し、ラグナロクの主砲のエネルギーチャージを解除したのだった。
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