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サックス

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第二章

「買って損はないぜ、とはいってもな」
「お金だね」
「それだよね」
「ああ、お金は必要だぜ」
 その楽器を買うにはというのだ。
「高いものもあるけれどな」
「ううん、楽器なんだ」
「楽器だね」
「それを買うかどうかだね」
「そうさ、うちの店員もいいけれど」
 彼女と共にというのだ。
「楽器も見てくれよ」
「うん、じゃあ」
「ちょっとね」
 二人は頷いてだ、そしてだった。
 二人でその楽器を見た、すると。
 トムは店の中のサックスを見てだ、チャーリーにこう言った。
「このサックスよくない?」
「うん、そうだね」
 チャーリーもトムのその言葉に頷く。
「このサックスはね」
「そうだね、こっちのシンセサイザーもいいけれど」
「いいサックスだね」
「トムはそのサックスが気に入ったんだ」
「そうなんだ」
 実際にというのだった。
「このサックスいいよ」
「欲しい?」
「そうだね、ただ」
 ここでだ、トムは。
 そのサックスの下の札の値段を見てだ、残念な顔で言った。
「高いね」
「そうだね、ちょっとね」
「僕達とてもね」
「これだけのお金はないよ」
「ないならな」
 親父は笑ってだ、トムに言った。
「お小遣い貯めるんだな」
「そしてだね」
「また来な、けれど子供のお小遣いじゃな」
 親父はトムにこうも言った。
「ちょっと買える高さじゃないか」
「どうしようかな」
「一旦お家に帰ってお父さんとお母さんに相談したら?」
 チャーリーが横から言って来た。
「そうする?」
「そうしようか」
「また来な」
 親父は二人の話が整ったところで笑顔のまま声をかけた。
「お金を持ってな」
「そうするよ」
 トムは親父の言葉に頷いた、そしてだった。
 チャーリーと一緒に店を出てこの日は家に帰った。そして彼の母であるロザリーに真剣な顔でサックスのことを話した。
 ロザリーは息子の話を聞いてだ、こう言った。
「そうね、まずはね」
「お金?」
「いえ、二週間後でまた聞くわ」
 彼の言葉をというのだ。
「サックス欲しいのかどうか」
「欲しいよ」
「だから二週間後でね」
 その時にというのだ。
「もう一回聞くわ」
「二週間後なんだ」
「そうよ、聞くから」
 こう言うのだった。
「まずは二週間後よ」
「じゃあ」
 こうしてだった、トムは母にまずは二週間待てと言われた。それで次の日チャーリーにこのことを話した。
 するとだ、チャーリーは目を瞬かせてトムに尋ねた。
「二週間なんだ」
「そう言われたんだ」
「二週間待ってだね」
「その時まだ欲しいのかどうかってね」
「ふうん、けれどね」 
 それでもとだ、チャーリーはトムに言った。 
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