やはり俺の青春ラブコメは。
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一色いろはは祝ってもらいたい。②
時は過ぎて土曜日。生徒会室に入るとそこにはすでに一色がいた。
「せぇーんぱーい、おっそいですよ‼︎」
「待て、まだ30分前なんだが。」
こいつは一体いつからいたのだろうか。まあ遅れて来るよりはましか…。俺の中学時代の友達は平気で丸一日遅刻してきたものだ。
約束の時間に行ってもそこにいるのは俺一人。そして次の日になぜか楽しく遊んでらっしゃったんだよな、あいつら。
まあ彼らが遅刻して来たのはそれっきりだったが。なぜならそれ以降一度も誘われていないから。あれ、もしかして友達じゃなくね?てかそもそも俺友達いたのか…?
「先輩!まずは空調のフィルターから行きましょう‼︎ 私フィルター外すのでちょっとイス持っててください。」
一色に声をかけられ我に戻る。本当に掃除するんだな。一色は机の上にさらにイスを重ね、身軽に登って行った。その様子を見ながら俺はイスの足を掴み、鉛直下向きへとできる限りの力をかける。
おい、こいつ…。白く艶やかな二本の足は純白の布で覆われふっくらしたそれへと収束していた。短パン履いてないのかよ。
もちろん生徒会室には2人だけ。一色はフィルター外しに夢中だ。目線の全てをそれへと注いだところで誰にもバレやしないだろう。しかし紳士な俺は顔を背ける。そして5回/秒ほどのチラ見で頭に焼き付けた。ごちそうさまでした。天からの恵みに俺は感謝し、一色に声をかける。
「おい、パンツ見えてるぞ。」
「はっ⁉︎えっ⁉︎えっ‼︎‼︎」
一色はワニワニパニックかのようにシュッと身を屈め、顔を赤らめる。
「せんぱい…最低です。キモい、死んでください。もしくは腹切ってください。お願いします。」
その言葉は尻上がりに冷静さを取り戻そうとするが、顔はまだ真っ赤だ。
「フィルターは俺がやるからバケツに水でも組んで来てくれ。」
「…じゃあ私イス持ってますから。」
「いや、いいよ。」
「ダメです。落ちたらどうするんですか。先輩死にますよ。」
「死なないから。てか俺に死んで欲しいのか死んでほしくないのかどっちかにしてくれ。間違って死んだらどうすんだ。」
「…そのくらい自分で考えて下さい。ばかですか。とにかくイスは支えてますから。」
まあ俺の生存権は尊重されたのだろうと理解し、フィルターを外しにかかる。
三時間後、生徒会室はほぼ片付き、大掃除も終わりを迎えようとしていた。
「そろそろ終わりですかね〜?先輩この後予定とかあります?どうせ暇でしょうけど。」
「おい一色。俺は基本暇だが予定が無いわけじゃない。暇な時間も俺の予定なのであって」
「あ、そういうのめんどくさいんで大丈夫です。この後お茶するので早く帰る支度してください。」
確かに特に予定も無いので誘いに乗ってやるとしよう。外はまだ明るいようだ。俺たちは並んで生徒会室を後にした。
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