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ミンホタ

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第二章

「愛国者になったのか」
「そんなところか」
「また急だな」
「もっと我が国、そしてこのミーニョのことを知りたくてな」
「それで言い出してるんだな」
「言い方が悪いけれどそうなるな」
「わかった、それじゃあな」
 ジュゼッペの言葉をここまで聞いてだ、ロベルトはあらためて言った。
「学校の先生とか地域のお年寄りとか学者さんに聞いてな」
「自分で勉強しろ、か」
「そうしたらどうだ」
「そうだな、じゃあそうするか」
「そんなに知りたいんならな」
 それこそというのだ。
「自分で勉強して知ってか」
「誇ればいいさ」
「よし、そうするか」
「何か面白いことあれば教えてくれよ」
 ここでも素っ気ないロベルトだった。
「俺はワインと料理調べるな」
「そうするんだな」
「ああ、興味があるのはそっちだからな」
「駅前でイギリス人が喫茶店開いてるぜ」
「紅茶とティーセットはよかったな」
 ポルトガルの実に古い友好国から来た人の店はというのだ。
「しかし他の料理は食うなよ」
「まずかったんだな」
「魚揚げたのもローストビーフもな」
「パスタもあったよな」
「出た時点でのびてたさ」
「そんなの客に出すのか」
「イギリスじゃそうらしいな」 
 喫茶店のことにもあっさりと言うロベルトだたt。
「パスタは徹底的に茹でる」
「アルデンテないんだな」
「あと味付けもな」
 その概念もというのだ。
「ペッパーもガーリックも使わないからな」
「ある意味凄いな」
「あそこで美味いものは紅茶とティーセットだけだからな」
「それの専門店か」
「そうなってるな」
 そのイギリス糸の喫茶店の話はこうしたものだった、その話はこれで終わってだった。ジュゼッペはロベルトに言われた通り学校の先生や地域のお年寄りに祖国やミーニョ地方の話を聞いて回った。そしてだった。
 駅前、そのイギリス人の喫茶店の近くにあるハンドクラウトの店に博識のお婆さんがいると先生に教えてもらって来るとだ、そこでそのお婆さん八十を越えているが矍鑠たるその人に言われた。
「ポルトガルは海だけじゃないぞ」
「そう思うんですが、僕も」
「ハンドクラフトも盛んなのじゃ」
「そうなんですね」
「何じゃ、知らなかったのか」
「はい、特に」
「このミーニョは牧羊も盛んでな」
 お婆さんはジュゼッペにまた話した。
「そのことはあんたも知っておるじゃろ」
「授業で習いました」
「しかしじゃな」
「そうした産業だと」
 そう思ったというのだ。
「思っていて」
「それで終わったか」
「別に思いませんでした」
 そこから先を考えることはなかったというのだ。
「そうしたものだって」
「しかしな」
「そこからもなんですね」
「あってな」
 それで、とだ。お婆さんは店は雇っている店員に任せてジュゼッペを店の奥に案内させてそのうえでコーヒーを飲みつつ話した。 
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