転生とらぶる
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機動戦艦ナデシコ
1249話
さて、俺の目の前では必死にスーツケースに荷物を詰め込んでいる2人の男女に、車のトランクを必死で閉めようとしている男が1人。
それ自体は特に問題ではない。
いや、昼に見た時も思ったけど、この世界の車はエアカーとかじゃないらしいというのを改めて確認出来たのは収穫か。
図書館で調べた限りでは、あのバッタとかいう黄色い無人戦闘兵器とやり合える――一方的に押されているようだが――機体を用意してるんだから、エアカーくらいはあっても……と思うのは、俺がシャドウミラーに染まりすぎているか。
じゃなくて、問題は……これが機動戦艦ナデシコという作品の原作に関係あるかという事だ。
今までの経験上から考えれば、俺が転移した先はその原作で起きた騒動に巻き込まれるのが比較的多い。
ギアス世界ではコーネリアがサムライの血とかいうテロリストを壊滅しようとしているところだったし、SEED世界ではヘリオポリス襲撃だったし。
……ネギま世界、マクロス世界、マブラヴ世界に関しては原作が分からないからどうなのかは分からないが。
システムXNではない、門世界も原作があるのかどうか分からないか。
あ、でもFate世界は普通に俺がサーヴァントとして凛に召喚されたな。
まぁ、ともあれだ。俺が転移した先で原作の騒動に巻き込まれる確率というのは、決して少なくない。
そして今は夜という時間帯で、周囲には視線の先にいる3人以外は誰の姿もない。
だとすれば、これは機動戦艦ナデシコという原作に関係しているイベントなんじゃないか?
そう思ってもしょうがないだろう。
くそっ、原作知識があればこの辺何とでもなるものを。
どうするか迷っている間にも、男女2人組はスーツケースへと荷物を収納していっている。
その様子を見て、数秒。このまま黙っていても何も起きないだろうし、何より注目すべきは男の1人の物だろうリュック。
そのリュックにはお玉や鍋、コップといったような調理器具がぶら下がっているのが見える。
更にリュックの中からは各種香辛料の匂いがしてくるのを考えると、多分あの20歳前くらいの男はコックなんだろう。……まぁ、ホームレスって可能性も否定は出来ないが、子綺麗な格好をしているのを見れば多分間違いない。
そういう訳で、運がよければ何かを食わせて貰えるかもしれないという思いで声を掛ける。
「大丈夫か?」
「おわぁっ! えっと、これは、その!」
俺の声に驚いた男は、手に持っていた布きれ……俺もレモン達が履いているのは毎晩見ている、その下着を何かを誤魔化すように振り回す。
顔が真っ赤になっている様子から見ると、多分この男は女慣れしてないんだろう。
「えっと、貴方は?」
女の方が俺を見て尋ねてくる。
こうして見るとその顔立ちは整っていて、美人と表現してもいいような女だ。
ただ、何となく天然系の雰囲気を放っているが。
「ちょっとその辺を通っていたら、困ってるように見えたからな。特にやる事もなかったし、顔を出してみただけだ。迷惑だったか?」
「いえ。そんな事はないです」
地面に散らばっている熊のヌイグルミを拾いながら差し出すと、女は笑みを浮かべて頭を下げてくる。
仕草に育ちの良さが出ているところを見ると、恐らく良家の出って奴なんだろう。
「……あら?」
そうしてふと気が付けば、何故か女は男の方へとじっと視線を向けていた。
それこそ、穴の開くような視線というのはこういうのを言うのだろうってくらいに。
にしても、男の方はいつまで下着を握り締めてるんだろうな。
もしかして、そういう趣味か?
姿を現したタイミングから考えて、てっきり原作主人公かと思ってたんだけど、もしかして主人公は向こうの方か?
トランクを相手に四苦八苦している男の方へと視線を向けるが、幸薄そうなその顔は、とてもではないが主人公には見えない。
「不躾な質問で申し訳ありませんが、貴方、どこかでお会いしました?」
言葉通りに不躾な質問だったが、男の方には覚えはないらしくそれを否定する。
その後は荷物の整理も済んで、リュックを背負っている男以外の2人は車で去って行った。
「なぁ、良ければお前の名前を……」
聞かせてくれないか? と、主人公であるかどうかはともかく、恐らく原作キャラだろう男に名前を聞こうとした瞬間、何故か手に持っている写真立てをじっと見ていた男は、そのまま近くに倒れていた自転車へと乗って、俺の前から去って行く。
……そして、俺はこの場に取り残される事になる。
「どうなってるんだ? 完全に置いてきぼりなんだが」
溜息を吐きつつ自転車で走っていった男を見送るも、今からどうにか出来る訳もない。
いや、やろうと思えば出来るだろうけど。
自転車や車程度なら容易に追いつけるし、それこそ生身で走っても駄目なら移動用の機体でもあるサラマンダーがある。
ただ、そこまでする必要は……と思ったが、原作キャラの可能性が高い事を思い出す。
そうなんだよな、あの3人が原作キャラの場合、原作……つまり機動戦艦ナデシコって作品の世界がここな訳で、題名が機動戦艦とついているくらいだから間違いなく戦争ものなんだろう。
……まさか機動戦艦ナデシコなんてタイトルで、ラブコメだったりはしないだろうし。
そう考えると、あの3人の後を追っていけばその原作に到着するんじゃないのか?
決断すれば、早かった。
最初はサラマンダーを出して移動しようかと思ったが、この世界の技術はマクロス世界程は進んでおらず、SEED世界より若干劣るくらいだ。
そう考えると、当然レーダーの類も万全な訳であり……まぁ、ASRSを使えばいいんだろうけど。
ただ、こんな街中を移動したり空間倉庫に出したり入れたりするのも面倒だし、そう考えるとこのまま走って行った方がいいだろう。
影のゲートも考えたけど、あの3人の位置を確認する為に何度も地上に顔を出すのは面倒だし。
「じゃ、そういう訳で」
取りあえず自分がやるべき行動を決める。
どのみちこの世界の原作知識はないんだし、どう動いてもそう大差はないだろう。
そのままランニングをしている風を装い、人間よりも少しだけ早い速度で走り続ける。
こういう事は滅多になかったから、何気に面白い。
そうして半ば夜の景色を見ながらの観光といった感じで数時間程走り続け……夜中になってさすがに飽きてきた頃になると、道の先に大きな街が見えてくる。
海に面しているその街は、確かにかなりの大きさを持っていた。
それはいい。それはいいんだが……
視線の先の空中で、戦闘機が黄色の機体……バッタとか言ったか? それの放ったミサイルによって爆発、四散していた。
うん、間違いなく襲われている。
俺の予想通り、これが原作通りの展開なんだろう。
軍事基地が完全に戦場になっているんだが、これをどうしたもんだろうな。
ぶっちゃけ、機動戦艦ナデシコってタイトルなんだから、多分そのナデシコとやらが出てくると思うんだけど……その気配は一切ない。
それどころか連合軍の基地が一方的にやられており、このままだと佐世保……いや、サセボシティの方にまで被害が出かねない。
さて、俺が介入してもいいものかどうかと一瞬迷ったが、すぐにその考えを改める。
どのみち俺がこの世界にやって来た以上、原作には関わらざるを得ないだろう。
どんな原作なのかは分からないが、それでも関わらないという選択肢はない。
この世界の技術がどんな技術なのかは知らないが、原作に関わることによりその技術を得やすくなるというのは事実だ。
……事実なんだけど……
「この世界の連合軍は特にこれといった技術がないんだよな。戦闘機とか戦艦とかそのくらいで。寧ろ木星蜥蜴の無人兵器の方が、まだ興味を引かれる」
バッタはメギロートと似たような感じで、更に小型の機体だ。……まぁ、攻撃方法がミサイルしかないらしいけど。
それでもレモンなら結構興味深いと思う筈だ。
ま、理屈は色々あれど、あの戦闘に参加した方がいいと思うのは、俺の勘なんだよな。
念動力ではなく、純粋に俺の勘。
そうなると、次に問題になってくるのは何の機体で介入するかだ。
候補としてはニーズヘッグ、サラマンダー、ミロンガ改。
まずニーズヘッグは問答無用で却下。
俺の切り札であり、いざとなったら問答無用でホワイトスターに転移が可能な代物なのだから、今は迂闊に人目に晒す事は避けたい。
次のサラマンダーは……難しいところだけど、却下だろうな。
この世界にも一応人型機動兵器はあるが、それはあくまでも宇宙での使用を限定としているデルフィニウムとかいう機体だ。
大機圏内で使用出来る機体はまだない。
まぁ、実は秘密裏に作っているとか、そういう可能性は十分にあるが、少なくても今のところは公にそんな機体は存在していない。
そんな中で、バトロイド、ファイター、ガウォークと3段階に変形出来る機体を持ち出せば色々と悪目立ちし過ぎる。
そうなると、残っている選択肢はミロンガ改一択か。
「ま、戦闘が終わった後で色々と面倒臭い出来事になるような気はするけど、それこそ最悪の場合は逃げ場があるしな」
いざとなったらニーズヘッグのシステムXNでホワイトスターに帰ればいいだけだし、それ以前に機体はともかく、魔力や気の類がなければ俺をどうにか出来ないんだから。
「さて、行くか」
幸い周囲に人の姿はない。
あの基地では物凄い混乱が起こっているんだろうが、それがいい隠れ蓑になっていると言ってもいい。
それでも一応念の為に周囲を見回し、人の姿がないのを確認して空間倉庫のリストの中からミロンガ改を選択する。
すると次の瞬間には20mを超える大きさを持つ機体が、俺の真横に出現していた。
OGs世界で入手したミロンガに、技術班が改造を加えた機体だ。
その性能は、基になったノーマルのミロンガとは別物になっている。
そもそも、ノーマルのミロンガですら普通のパイロットであればGに耐えられない。
だというのに、このミロンガ改はノーマルのミロンガより更に機動性や運動性を増しているのだから、それこそ物理法則を無視出来る俺のような存在でなければ十分に操縦は出来ないだろう。
それこそ、ガンダムWでトールギスのテストパイロットを務めた男のように、Gで死ぬ可能性が高い。
……ああ、ガンダムWについてはきちんと原作知識があるな。
そんな事に安堵しながらも、空中に浮かび上がってコックピットへと向かう。
いつまでも機体を出したままにしておけば、連合軍の方でも気が付くだろうし。
そうなって、こっちを敵認定したりすれば、最悪この地が灰燼に化す事にすらなりかねない。
機体の動力炉でもあるブラックホールエンジンを起動させ、機体に火を入れていく。
動かすのが可能になるのに、約20秒程。
『おわぁっ!? な、何だこのロボット!?』
ミロンガ改が起動するのと同時に、外部スピーカーがそんな声を拾う。
モニタに映し出すと、そこでは車が止まっていた。
恐らく……いや、間違いなくサセボシティから逃げ出して来た車だろう。
このままだとちょっと不味いな。
改めてサセボシティへと続く道路へと視線を向けると、そこでは多くの車がやって来ている。
幸い先頭の車は事故らなかったが、このままでは事故を起こす可能性は高い。
それでもクラクションを鳴らしてこないのは、もしかしてミロンガ改も木星蜥蜴の機体だと思っているのか?
……ないか。そもそも、木星蜥蜴に人型の機体は確認されていない。
バッタ型とか、アリ型とか、そういうのが多い。
それで何で木星蜥蜴なのかはちょっと疑問だが。
この名称、誰が考えたんだろうな?
そんな風に考えつつ、機体の状態をチェックしていく。
ミロンガ改の武器は、ビームマシンガンにエナジーウィングから広範囲に射出する刃状エネルギー、肩に装備されたS-11ミサイルと、近接攻撃用にビームサーベル。
正直、機動力と運動性能以外は誇るべきところはない汎用機といった印象だ。
まぁ、エナジーウィングから放たれる刃状のエネルギーは今回みたいに小さくて数だけが多い敵を倒すってのには向いてるが。
あと、ミロンガ改の奥の手でもあるリミッター解除。
……こうして羅列していくと、何気に結構高性能な機体なのは間違いない。
ともあれ、唯一の実弾兵器でもあるS-11ミサイルは全弾装填完了済み。
ミロンガ改が空間倉庫に入っていた事もあって、予備のミサイルも空間倉庫にストック済みだ。
もっとも、補充するには一旦ミロンガから降りる必要があるだろうけど。
ブラックホールエンジンも通常稼働しており、ビーム兵器、エナジーウィングへのエネルギー供給も十分。
よし、機体のコンディションは全く問題ない。
「さて、じゃあ……この世界初の戦闘だ。俺という存在をこの世界の者達に焼き付けるために……行くか」
その言葉と共に、テスラ・ドライブを起動させてミロンガ改は空中へと浮かび上がるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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