緋弾のアリア 憧憬の銃士
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Episode 1 - Armament Detective
前書き
申し訳ありません。
少し変更を加えさせて頂きます。
北茅 俊一の編み出したTSCBという近接戦闘術ですが、SCBという名前に変更させていただきます。
正式名称はthe Special Close Battleと、変わりませんのでご安心下さい。
申し訳ございませんでした。
3年後、雪和は見事東京武偵高校に進学した。
あの日から、彼は日々鍛錬をし続け、戦いを学び、精神を強くし、性格を変え、己の腕を磨き続けてきた。
成績も優秀な上に高い戦闘力を有した彼は女性からの憧れの的だ。
しかし、そんな彼にも重大な問題があった。
「10cm.......だと......!?」
雪和は膝を着く。
「ん?どうした、雪和。目が死んでるぞ。」
「____坂上か.......」
雪和は顔を上げ、そうつぶやく。
坂上 智樹
東京武偵高校に入学し、コミュ力の低さにより授業初日から全く話せずにボッチだった雪和に初めに話しかけた人物だ。
雪和の唯一の友人である。
しかし、彼もコミュ障である。
「10cmなんだよ.......」
「股間の武器g___ブフォッ」
智樹が言いかけたところで雪和が智樹の脚を蹴り、転ばせる。
「いってえ、なにすんだ!」
「なにすんだじゃねえよ!なに下ネタ言ってんだこの屑!」
「ほぅ、この俺に喧嘩を売ろうというのかねおチビちゃ__」
シャキッ
気づくと、智樹の喉元にナイフが突きつけられていた。
「身長差があっても腕を伸ばせば喉に届くんだよ調子乗ってんじゃねえぞああ!?」
「す、すんません。」
「グッ......なんで......なんで10cmなんだよ......」
「いやだからさっきからなんなんだその数字は。10cmってなんのことだy__「小学6年生から高校一年生になるまでに伸びた俺の身長に決まってんだろ一々言わせんな!!!」
そういい、雪和は蹲ってしまった。
「そいつは悪かった......い、いまのお前の身長は......?」
「.....................140cmジャスト.........」
「ブッ」
それを聞いて智樹は吹き出す。
「ブハハハハハ、140、140って!!おかしい、おかしいだろ!ハハハハハ!!」
シャキッ
気付くと宏大は雪和にマウントを取られ、喉元にナイフを突きつけられていた。
「このまま喉を掻き切られたあと内臓をひきずりだされるのと、心臓を串刺しにされてから内臓をひきずりだされるの、どっちがいい?」
にっこり笑顔で雪和は問う。
「いや他の選択肢ないんですか!?」
そう、彼の問題。
それは身長。
身長140cm、体重44.8kg。
鍛え上げられた肉体と優秀な成績。
それと引き換えにかれは身長を犠牲にした。
女性受けがいいのも、『かっこいい』が理由では無く、『可愛い』がその正体である。
「ま、まあ落ち着け。な?も、もうチャイムが.....ってあれ?」
智樹は辺りを見回す。
「いない.....っていた!つか速ッ、速え!」
そこにはダッシュで教室に向かう雪和の姿があったという。
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「お〜い、生きてるかー?坂上」
「ぅ......ん......?雪和か......もう5限目?」
「ああ、しかも今日はランク付けの試験だ。とっとと行かねえと、Fランクにされるぞ。」
「まじか!早く行かねえと!!」
そう言い、坂上は勢いよく立ち上がる。
「じゃあ、いくか。」
「ああ!」
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「悪く思わないでくれよ?チビ助。」
現在、戦闘能力を確認する為にペイント弾を装填した銃による模擬戦闘を行っている。
雪和の相手は目の前に立つ身長約170cmの男だ。
体操服の名札に坂本と書いてある。
「だれがチビ助だ.......」
「ん?なんか言ったか?」
「内臓引きずり出すぞゴラ......」
「?」
雪和の声が聞こえないのか、坂本は首を傾げている。
「では、始め!」
椅子に座った教師がそう叫ぶと同時に一発の銃声が鳴り響く。
「えっ......?」
坂本は額に激痛と違和感を感じ、額に手を当てる。
額にベッタリとついた粘状の液体を掬い、その手を見ると、ピンク色の液体が付いていた。
雪和の方を見ると、H&K USPを構えている。
「そ.....そこまで!」
教師も戸惑いつつその声をあげる。
「ホルスター.....ドロー......?全く.....見えなかった.....」
「もういいか?」
雪和は教師に退室の許可を求める。
「あ、ああ.....」
その教師は力無く答えた。
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観戦していた周りの生徒がザワつき始める。
「まじか、雪和、あれなんだよ!」
智樹が興奮した様子で雪和を問い詰める。
「なにって.....ホルスタードロー。知ってるだろ?カウボーイとかがやる.....」
「そんなことを聞いてるんじゃない!なんだあの速さは!?何をした?!」
なにを興奮しているんだこいつは......俺が何をした?
雪和は背を向けて歩き出す。
「待てよ雪和!」
その声で雪和は足を止め、智樹に向き直る。
「なんだ?坂上。」
「紅楼寺 雪和。お前は一体何者なんだ?!」
「____北茅 俊一の息子だ。」
そう言い残し、雪和は再び歩き出した。
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数日後___
「よ、雪和。」
バス停へ向かう途中、雪和を見かけた智樹は、そのまま声をかける。
「ん?坂上か。」
「・・・」
智樹は雪和が肩から下げているアタッシュケースを見る。
「なあ、雪和。」
「なんだ?」
「なぜこいつをいつも肩から提げているんだ?」
そう言い、智樹がそのアタッシュケースに触れようとしたその時。
「触るな!」
そう叫び、智樹の手を弾く。
「雪和.....?」
「す、すまない。」
「いや、俺も悪かった.....それはなんなんだ?」
「____形見だよ。」
「北茅 俊一のか?」
「____詮索はしないでくれ。」
「.....悪かったな。」
「いや、大丈夫だ。____いこう。」
「そうだな......」
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「このように、数式は_____」
教師の話を聞き流しながら窓の外を眺めている。
俊一......彼を探すのなら、やはり強襲科ではなく探偵科《インケスタ》に入るべきだったな......
____いや、俺は俊一を探したいんじゃない。俊一の背中を追いたいんだ。
いつまでも......いつまでも......
「紅楼寺。」
教師に名を呼ばれ、雪和はそちらの方に顔を向ける。
「この問題の答えはなんだ?」
黒板をみると、(x+5)²と書かれている。
「x²+10x+25」
「正解だ。だが、ボーッとしてはいかんぞ。」
「・・・」
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「おい、坂上。起きろ、坂上。」
「ん......?雪和か......どうした......?」
「とっとと着替えろ。身体検査だろバカ。」
「ぇ......ん......・・・」
暫しの沈黙の後。
「だあああああ!!今日身体検査じゃねえか早く行かねえと!!」
「だからそうだつってんだろ。とっとと着替えろ。」
「おう!」
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雪和はストレッチをしながらすぐそこで何かの書類を眺めている2年の先輩をみる。
おそらく自分達の名簿だろう、と雪和は想定した。
「坂上。」
「ん?なんだ?」
「いくら見てもその壁は透けない。女子のブルマ姿を見るのは諦めろ。」
「なっ!?なぜバレた!?」
「さっきから仕切りの壁ガン見してんじゃねえか。しかも向こうは女子が身体検査を受けている。」
「・・・」
「整列しろ。」
2年の先輩が声をかけると雪和と智樹、そして他数名の男子が集まる。
「まずは身長測ってもらう。」
「雪和、いくつだ?」
「ん?122.7だな。」
「いや嘘つくんじゃねえよ!!」
「いやだって、俺の目にはそう映ってる。」
「自分の身長気にしてるからって他人の身長まで変更するのやめてもらえません?!」
「チッ」
「いやチッ、じゃないから!ね?!ね?!」
「177.8cm。死ねよ.....」
「いや最後のおかしいだろ!!」
「ケッ、とっとと測りやがれ蛆虫。」
「いや人間だよ!むしじゃないよ!」
「そこ、うるせえぞ。」
「は、はい.....」
「ほら、注意された。」
「いやあんたが悪いだろ今のは......」
雪和は身長計の台に乗る。
「140だろ?わかってんだよ。」
「ああ....ええっと、ん?」
「どうした?」
「141cmだぞ!よかったな!」
「マジで!」
「嘘。」
「内蔵引きずりますよ?」
「すんません.....」
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各自に身長に会った銃が配られる。
「まあ、なんだ。俺の身長が低いことはわかっている。だが......なんでG11なんだよ!」
「いやお前小せえし。それくらいしかもてねえだろ。」
「小さくて悪かったな!もっとあるだろカービンとか!」
「いやそれすら持てなさそうだからこうなってんだろ。黙って付いて来い。次は視力検査だ。」
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「右......?左......右斜め上.....いや、右だな......」
視力検査では銃のスコープを覗き、試験官がさした円の空いた部分を口に出して言うという形で行われる。
しかし、雪和はそこまで目が良くない。
「見えん......」
「紅楼寺 雪和、1.2、1.3と.......次。」
「右、下。上。右斜め上。左斜め下。下。上。」
「まじか......」
指された円を次々と言っていく智樹を見て雪和は感心する。
「坂上 智樹。2.5、2.8。目がいいな。」
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「グッ......これは.....キツい......」
「同感だ......」
雪和と智樹、他数名は全方位に回転する椅子に座っている。
既に2名が酔いによって瀕死になっており、雪和と智樹も中々マズイ状況に陥っていた。
「あと5分だ。」
「あ、ああ.....」
「了解した......」
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「ぐあ.....死ぬ.....これは酷い....」
「生きているか.....坂上?」
「あ、ああ......なんとかな......」
「てめえら大袈裟過ぎんだよ。あと少し休んだら、次は身体能力を見る。わかったな?」
「あ、ああ.......」
「大丈夫だ......問題.....ない......」
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「うーし、復活したみてえだな。全員、とっとと武器を持て。一人づつ俺のかかってこい。これは俺達のストレス発散も兼ねている。頑張れよ。」
「じゃあ、俺が行こう。」
智樹がそう言い、M92Fにマガジンを挿入して出てきた。
「じゃあ、開始!」
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「負けました。」
「ああ、数十秒で終わったな。」
「雪和.....俺はもうダメだ.....幸運を......祈る......」
「うっせとっとと起きろ。」
「グハッ」
雪和は倒れている智樹の腹に踵落としをかます。
「し.....死ぬ......本当に.....死ぬ。」
「じゃあ、次は俺だな。」
「無視ですかぁ!?」
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「かかってこい。」
そう言い、その男は拳銃を構える。
「わーったよ。」
「ッ!?」
雪和は速攻で距離を詰め、そのまま顔にストレートをかます。
「グッ......!」
「やるじゃねえか.....ならこいつはどうだ!?」
二発目の拳を受け流し、関節技に入ろうとするが、雪和は投げられる前に側転で抜け出し、ついでに顔を蹴る。
「チッ」
「どうした?俺はまだ銃すら抜いていないぞ。」
「なめてんじゃねえぞ!」
そいつは一気に距離を詰め、パンチを繰り出すが、それは受け流される。
そして視界外からハンドガンで発砲する。
しかし、雪和はそれすらも読んでおり、簡単に回避すると、相手に背を向ける形になった。
「こいつで終わりd___!?」
そのまま反撃に出ようとした男が止まる。
その男の顔には、銃口が向けられていた。
雪和は戦闘中に全ての行動を計算し、最終的にこの形まで持っていくことに成功した。
腰の後ろで構えられたH&K USPの銃口は眉間に直撃するコースで向けられている。
「・・・」
そのまま雪和はUSPをレッグホルスターにしまい、そいつに背を向けた。
「凄え.....」
「あいつ本当に一年か?」
「上級生をあんなあっさりと......」
「本当は教師だったりしてな。」
雪和の功績に、周りはざわめき始める。
____次からはわざと負けよう。
雪和は硬く誓った。
「俺に構わず、続けてくれ。」
「・・・」
そいつは立ち上がり、再び下級生の相手をし始める。
「あそこは負けとくのが筋ってもんだろ?」
「ああ、今は後悔してる。わざと負けてりゃ良かった。」
「ん?おいあれ。」
智樹が突然向こう側を指す。
「ん?」
そこを見ると、金髪の女子と巨漢の男子が試合をしようとしていた。
「女子vs男子だぜ。どう思う?」
「どうって.......人数が足りなかったんだろ。」
「ちげえよ、どちらが勝つか、ってことだ。」
「・・・」
雪和は暫く考えた後、女子の方をさした。
「ん?どうして女子なんだ?」
「____あの男子、MOB感がぱないから。」
「?」
「覚悟しろよ。うおりゃああああ!!」
その大男は腕を上げて接近を試みる。
馬鹿だな。ありゃ腹が丸出しだ。
相手がナイフを持っていると想定すると、速攻で死ぬぞあいつ。
「フッ!」
「ッ!?」
突然、その金髪の女子は床に両腕をつき、そのまま両脚で大男の腹を蹴って、後方へ蹴り上げる。
「まじか.....あいつ本当に女子かよ。」
「やるな。」
「てっめえ!」
その大男は胸ぐらを掴むと同時に脚を掛けた。
それにより女子の方も倒れる。
成る程、どさくさに紛れて脚を掛ける作戦か。
野蛮で分かりやすくはあるが、実戦では使えるかもな俺は絶対使わないが。
「ッ!」
次の瞬間、その女子は大男の腕を掴んで後方に一回転し、関節技をかけた。
「SCB......?」
「ん?なんだって?」
おっと、声に出てたか。
それにしても、あれは関節技への反応が遅れた際のSCBの抜け出し方だ。
俊一はあれを取り入れたのか。
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「・・・」
「雪和。」
智樹が声をかけるが、雪和は反応しない。
「おーい、雪和くーん?」
「ん、え?あ、ああ、坂上か。どうした?」
やっと雪和が反応した。
「さっきからどうした?考え事か?」
「ん?いや、そうだな......」
「____それに、お前試験の時、後半手抜いてたろ。」
「?」
「ほら、絶対あそこで撃てば勝てるって所も撃たなかったし、殆ど銃口を額や心臓に向けただけだったじゃないか。何故だ?お前ならSくらい普通だろ。」
「アホか。俺は別に格付けされたいわけじゃない。Sランクと称されたところでどうでもいい。ただ周りに群がってくる連中が面倒なだけだ。それに____」
雪和は言葉を途中で切った後に再び口を開く。
「いやなんでもない。」
「いや絶対何かあるだろ____ん?」
智樹が話していると、前方に黒い背広を来た老人が立っているのが見えた。
「あの人は.....」
「じゃあな。」
「え?お、おい!雪和!_あいつ珍しく一緒に下校してくれたと思ったら....ん?」
愚痴っていると、雪和があの老人の所へ言っているところに智樹は気付いた。
「知り合いだったか.....?」
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「すまないな、石澤さん。」
「いえ、私は俊一様に使えてる身。あのお方がぼっちゃまを預かると言うのであれば、ぼっちゃまの身の回りのお世話も、私がやるというのは当然の事です。」
「ぼっちゃまというのは止めてくれ。」
この人は石澤 光輝さん。
俊一に使えていた執事だ。
元々、俊一は格付けされるのが嫌いだった。
だから、ランクも最高位のRになる事を嫌っていたという。
『そんなもんで人の価値観決められんのはごめんだ。』と言っていた。
しかし、Sランクという物を蹴るという事は武偵という役職すらも破棄する事になる為、どうにでもできなかったらしい。
俺の前でそう愚痴ってた。
豪邸に住むのも嫌っていた為、普通の住居に暮らしていたが、ある人物がそれを良く思わず、せめて執事の一人くらいはつけろということで石澤さんが選ばれた。
彼は、俊一がいた頃から俺の身の回りの世話をしてくれている。
食事も作ってくれるし、必要な物も用意してくれる。
勉強でわからない点があれば教えてくれるそうだが、小学校の時点で俊一に高校の勉強までマスター出来るくらいには叩き込まれているため、それをしてもらったことは一度も無い。
そして彼をつけた『ある人』だが.....
それは俺にもわからない。
俊一は教えてくれなかった。
「ぼっちゃま、お乗りください。」
そう言い、石澤は車の扉を開ける。
リムジンとかではなく、黒色のワゴン車だ。
「ありがとう。」
そういい、雪和は車に乗り込んだ。
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数日後____
「おーい、坂上ー、おきろー。」
「ぅ......っく、ん?雪和....もう4限目終了か?」
「ああ、とっとと行くぞ。この前お前放ったらかしたら俺が怒られたんだから。」
「へへへ、そいつぁ、すまねえぜ。」
「誰だよ.......いこう。」
「ああ。」
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「今回もバンバン撃つだけだろ?あぁ.....面倒臭い。探偵科志望すればよかった.....」
そう愚痴りながら、智樹は大型自動拳銃、H&K Mk23にマガジンを挿入する。
「そう言うな。腐ってもAランクだろ。行くぞ。」
「Aランクだけどさぁ......モテなかったじゃん......」
そう言い、智樹はへこむ。
「それに比べて雪和はいいよなぁ、モテモテで。」
「カッコいいとかが理由ならよかったな。残念ながら可愛いだ。」
「まーたまたそんな事言っちゃって。Sランクのお前がモテない訳ないだろ?」
「Aだ馬鹿。」
「いやわかってるがよ.......なんで手抜いたんだ、やっぱり納得いかない。」
「お前は納得しなくていいだろ。」
雪和は、ショルダーホルスターにH&K USPを入れる。
「ある。」
その疑問に、智樹は自信満々に答えた。
「な、なんだよ。」
「お前と連んでいる俺におこぼれがこない。」
「お、おう。」
雪和は若干引きながら上着を着た。
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「ん?そっちは射的場じゃないだろ。どこ行く気だ?」
雪和が違う道を行っている事に疑問を感じ、智樹は雪和に問う。
「お前が射的は飽きたって言うから依頼でも受けようかなと。」
「あぁ、成る程。それなら俺も行こう。」
「まあ、一日中寝てるお前は嫌でも依頼こなさないと駄目だろうな。」
「まあな。」
智樹は誇らし気に答える。
「で、何行くんだ?」
「ん?これでいいだろ。」
雪和は内容も見ずに取ったためわかっていない。
紙を広げて依頼内容を見る。
「えーっとなになに......集団強盗犯の逮捕依頼.....?」
強盗犯という文字に雪和は過剰に反応する。
「なんかあったのか?」
「いいや、なにも。で、内容が......近年多発している連続集団強盗犯の逮捕を依頼します。」
その一言で二人は悟った。
「「面倒臭い。」」
「よし、雪和それ戻してこい。」
「え?戻せたっけ?」
「?戻せるだろ。」
「いや、なんか戻したら駄目的なルール無かったか?」
「いやないだろう......ってなんかあった気がするな....」
そう考えていると、近くを二人の女子が通る。
「そうだ、雪和、あの子達に聞こう。」
「コミュ障の俺らがどうやって?」
急に現実を突きつけられ智樹は自身の性格に絶望する。
「盲点だった......」
「つまりこれは.....」
「行かなきゃならないやつだな......」
「まじかよ.....」
「そうだ、別に全員逮捕しなくてもいい。首謀者だけやれば!」
智樹が提案する。しかし。
「武偵憲章第8条、任務はその裏の裏まで完遂すべし......」
「二次被害の予想......」
「そうだ......」
「詰んだな。」
「ああ、積んだよ。」
雪和達は歩き出した。
後書き
はい、8500字以上を目標にしているので投稿ペースは結構遅めです。
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