FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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NINE DORAGON
前書き
メルディの笑顔に顔を赤らめてたけど、リオンって惚れやすいのかな?
私はリオンとカグラが一番お似合いのような気がするんですよね、年齢とか見た目とか。
大魔闘演武とかアルバレスとの共闘で蛇姫の鱗と人魚の踵は結構一緒にいるし、いいんじゃないかなぁと思うんですけどね。
シリルside
「「「マスター!!」」」
アトラスフレイムの体当たりを受けたことで元の大きさに戻ってしまったマスター。彼を心配したマカオさんやロメオたちが急いで駆け寄る。
「大丈夫かよ!?」
「しっかり!!」
「心配ない。ちょっとやけどしただけじゃ」
そういって見せるマスターの手のひらは、真っ黒に焦げてしまっていた。それだけ敵の炎が凄まじい温度ってことか。
「下がってな、ジジィ」
膝をつき、やけどの痛みに耐えているマスターを押し退けるように現れたのはラクサスさん。なるほど、そう言うことなら・・・
「俺も手伝いますよ、ラクサスさん」
視線を交じわせ、意思の疎通を図る俺とラクサスさん。そして、ほぼ同時にドラゴンの方へと視線を移し、魔法を放つ。
「水竜の・・・翼撃!!」
「雷竜方天戟!!」
俺とラクサスさん、二人の滅竜魔導士がタイミングを合わせてアトラスフレイムに攻撃をぶつける。それを受けた炎に包まれたドラゴンは、確かにダメージを受けているようには見えるのだが・・・
「その程度の水で、我の炎を消せるとでも思っているのか!?」
そこまでの大ダメージとはなっていないようで、全然効いているようには見えない。
「くぅ~!!相性なら俺の方が有利なはずなのに!!」
「お前のは多少聞いてる。俺のが全く効いてねぇのが問題だ」
悔しがる俺の横に並んでいるラクサスさんがそう言う。ラクサスの属性は雷だし、炎との相性はあまりよくないのはなんとなくわかる。でも、彼の攻撃力でも通らないとなると、かなり厄介な相手だと言わざるを得ないな。
「だったら次は俺たちが行ってみるか。ジュビア!!」
「はい!!ジュビアたちの愛で結ばれた攻撃を、今一度繰り出しましょう!!」
水なら効果があると判断したグレイさんとジュビアさんが俺たちと並ぶように前に出る。その際ジュビアさんの言葉にグレイさんは突っ込みたい様子であったが、今はそれどころではないと頭をかきむしり、彼女の手を取る。
「氷欠泉!!」
「水流昇霞!!」
ジュビアさんの水を凍らせるようにグレイさんの氷が覆っていき、アトラスフレイムを直撃する。この技はなんでもリオンさんとシェリアを倒すときに用いた技らしい。つまり、妖精の尻尾を大魔闘演武優勝へと導いた魔法っていっていい。
「よし!!」
「やっぱりジュビアとグレイ様のペアが最強ですね!!」
「くっつくな!!」
ガッツポーズするグレイさんに飛び付くジュビアさん。俺とジュビアさんの連携の方が効果的には良さそうな気がするけど、やっぱり二人の愛の力の方が勢いはあるかな?息もピッタリだったし。
そう考えながらアトラスフレイムの方を見ると、口元と思われる位置にオレンジに光る何かに気付く。
「あれは・・・」
それが何なのかわかった俺はすぐに後ろを向いて声を張り上げる。
「皆さん!!ブレスが来ます!!」
「「「「「!!」」」」」
滅系魔導士系魔法を使うもののみが使える口からの攻撃。俺たちはそれを回避すべく四方に飛ぼうとした。しかし、
「「「「「うわあああああ!!」」」」」
気付くのが遅かったようで、避け切る前にブレスを発射されてしまった。
第三者side
「氷神・・・氷結!!」
体を一回転させながらドラゴンの足を撃ち抜くレオン。その威力はやはり絶大で、他のものの攻撃では全く傷をつけることができなかったその体にヒビを入れている。
「体がでかい分、動きはノロマだな」
自信と手に入れたレオンは自分の速度についてこれないドラゴンを挑発するようにそう言う。
「小僧が。あまり意気がるなよ!!」
彼のその態度に怒ったドラゴンは、口に魔力を一瞬のうちに溜め、それを放出する。
「ここはソフィアに任せて!!」
レオンに一直線に向かっていたブレス。それを弾き返すべく彼の前に割って入る小さな人影。
「はあああああ!!」
その少女は巨大な魔力の塊に自分の手をぶつけ、敵に跳ね返そうとしている。だが、
「やっぱムリ!!」
押し返すのはさすがに厳しかったようで、横に弾くようにして軌道を修正するソフィア。おかげで後ろにいた魔導士たちは全員怪我することなく済んだ。
「サンキューソフィア」
「いいよお礼なんて。弾いただけだし」
横に並んだソフィアに礼をいうレオン。しかし、彼女は何やら不機嫌そうな声で素っ気なく返していた。
「何あれ?」
「女心には色々あるの」
「??」
ラウルがなぜソフィアが怒っているのかわからず隣にいるシェリアに質問していたが、彼女がそんなことを言うので余計にわからなくなり、頭を抱えていた。
「ソフィアの魔法で跳ね返せればなんとかなると思ったが、弾くので精一杯とは」
二人のチビッ子の後ろからやってきて、彼らの前に出た刀を携えた女性がそう言う。
「だが、一つだけ収穫もあるぞ」
「収穫?」
そんな女性と並ぶように銀髪の青年がドラゴンの前へと姿を見せる。彼の言っていた収穫が何なのかわからない魔導士たちは、彼の方に視線を集中させていた。
「ああ。ソフィアはレオンのブレスは弾けなかった。つまり、奴のブレスはレオンよりも劣るということだ」
大魔闘演武でソフィアがレオンと戦った時、彼女は一瞬のうちにレオンの黒い冷気に飲み込まれてしまった。だが、今回は多少耐える時間も取れていたし、返すことはできなくても軌道をずらすことは出来ていた。それはつまり、ドラゴンのパワーよりもレオンのパワーの方が上。レオンの使い方次第では、勝利することも出来るかもしれないということなのである。
「なるほど。確かにその通りだな」
「そのためには、俺たちで奴の気を引かなくてはな」
そういって構えを取るカグラとリオン。二人はアイコンタクトを取ると、刀を持った剣士がドラゴンに向かって突っ込んでいく。
「アイスメイク・・・大鷲!!」
前方を走る女性の間を抜けるように放たれる氷の鷲たち。その鷲が向かっている先には、レオンが付けた傷があった。
「あの場所を中心に、まずは動きを封じる!!」
ヒビがついているならそこが一番ダメージを通しやすいのは誰しもがわかること。まずはリオンの造形でそこを集中攻撃し、カグラが一気に足を砕くという作戦のようだ。しかし、
「効かんわ!!」
「!!」
リオンの魔法が直撃したにも関わらず、ほとんどダメージを受けていないドラゴン。続けざまにカグラが不倶戴天を降り下ろすが、
「くっ!!」
鱗の硬さに力負けしてしまい、あっさりと弾き返されてしまう。
「カグラ!!ケガはないか!?」
「心配無用。これしき、何ともない」
リオンがすぐさまカグラに声をかけるが、彼女はいつも通りの冷静な佇まいでそうか返す。
「カグラさんがもうちょい回復してればなぁ・・・」
「それは俺たち全員に言えることだよ」
カグラ至上主義のソフィアがドラゴンに彼女が力負けしているのはケガの回復度合いが追い付いてないからと考えているようで、そんな言葉を漏らしている。それに対してレオンは全員の方に視線をチラリと向けてから答えていた。
「我が仲間のシェリアは回復魔法が使える!!負傷者は名乗り出よ!!」
ドラゴンの猛攻に押されっぱなしの魔導士たち。そんな彼らを気遣ってジュラがそう言うが、シェリアの魔力や体力にも限界がある。戦力の頭数が足りなくなるとはいえ、ほとんど役に立てそうもないメンバーたちはなかなかケガをしても名乗り出れずにいた。
「ねぇ、何かあいつらをやっつける方法ないの?」
「今調べてる」
古文書を駆使して目の前の脅威を取り除く方法を検索しているヒビキ。その横からミリアーナが覗き込んでいるが、全くドラゴンに対抗するべき手段がない。
「はぁっ!!」
「ぬん!!」
レオンとジュラの強力なパワーを保有している二人がドラゴンに同時に拳を叩き込む。しかし、レオンも傷をつけるのが精一杯で、ジュラに至っては全くかすり傷すらつけることが出来ていない。
「レオン!!ソフィアの時みたいにブレスで吹き飛ばしちゃいなよ!!」
「それはムリだよ」
最前線で戦っているソフィアとレオン。ソフィアは隣に立つ少年が自分を倒した魔法を使わないことに苛立っていたが、それには何か理由があるようだった。
「あんな力が分散する魔法で倒せるほど、こいつは甘くない」
ブレスは広範囲にいる敵を蹴散らすことができる魔法。しかし、それゆえに力が拡散しており、一部に力を集中させるべき今の状況では不向きと言える。もっとも、ブレスの範囲を絞って威力を上げるという手段もあるのだが、今の彼らはそこまで頭が回っていないようである。
「レオンくんのパワーでも、ヒビを入れるのが限界か・・・となると、ドラゴンを倒すにはやはりあれしかないのか・・・」
「あれ?」
現在ここにいる・・・いや、フィオーレ最強戦力であるレオンの攻撃力でもドラゴンの体を貫通させるのが一苦労なのを見てヒビキは何か、ある一つの答えにたどり着いていた。その隣にいるミリアーナは、何のことかさっぱりなようで、首を傾げているが。
シリルside
「く・・・おい!!みんな無事か!?」
痛む頭を押さえながら上体を起こしつつ、ラクサスさんが周りの仲間たちに声をかける。
「なんとか・・・」
「ヤバかったですけど・・・」
グレイさんと俺が地面に手を付き起き上がろうとしながらそう答える。周りにいる他の人たちもおおよそ大丈夫だったらしく、みんな時間はかかっているが起き上がろうとしていた。
ムニュッ
「ん?」
すると、ある違和感に襲われる。俺は地面に手をついているはずなのに、なぜか妙に柔らかい。何だろう・・・嫌な予感しかしない。
「まさか・・・」
一抹の不安の拭えない中、俺は自分の右手の部分に視線を落とす。そこには珍しく胸元が大きく開いたノースリーブ型の服を身に纏っているジュビアさんがいた。もちろん、俺が触っているのは彼女の一番柔らかいところでして・・・
「わぁ!!す・・・すみませんジュビアさん!!グレイさん!!」
「ちょっと待て!!なぜ俺にも謝った!?」
慌てて正座して額を地面に擦り付ける俺。なんでグレイさんにも謝ってるかって?そんなの簡単じゃないか。
「だってグレイさんのお嫁さんだし」
「よしシリル。この戦いが終わったらちょっと指導してやるから覚えてろよ」
額に見たことがないくらい血管が浮き出ているグレイさん。何あれ?もしかしてあとで殴られるのかな?ちゃんと謝ったのに。
「さすがシリル!!ジュビアたちの関係を理解してるんですね♪ダーリン!!」
「今はそれどころじゃねぇから引っ付くな!!」
俺のグレイさんの嫁発言に大喜びしているジュビアさん。彼女は戦いの最中とは思えないほどに体からラブラブオーラを発しつつ、グレイさんに飛び付いていたが、すぐに引き剥がされていた。
「そこのバカップル!!あんまりイチャイチャしてんな!!」
「イチャイチャしてねぇわ!!」
謎のミイラ・・・あ、ガジルさんか。ガジルさんがドラゴンに体を向けながらもジュビアさんとグレイさんにそう突っ込みを入れており、迷惑だと言わんばかりにグレイさんが食って掛かっている。その間もジュビアさんがグレイさんに抱きつこうとしてるのはきっと気のせいじゃないと思う。
「しっかし・・・あいつ全然攻撃が効いてる感じがしねぇな」
「そうですね」
いきなり真面目な顔してアトラスフレイムの方を見てそう言ったのはグレイさん。彼に引き剥がされたジュビアさんは諦めたようで、隣に並ぶように立ち、小さくうなずいていた。
「たまに効いてる攻撃もないことはないんだがな・・・」
ボソッと呟くようにラクサスさんが言う。ただ、あまりにも声が小さくて、何を言っているのかは聞き取れなかった。
「どうすれば、あんな化け物に勝てるというのだ」
「初代!!あんた天才軍師だろ!?なんか策はねぇのかよ!?」
後ろを振り向き、アスカちゃんの手を握っている初代にグレイさんが作戦がないかを聞く。初代は妖精軍師って言われてるぐらいだし、その頭脳は大魔闘演武ですでに実証済み。何か打開策があるとすれば、それは彼女の口から発せられるに違いない。
「あります」
すると、真剣な表情で初代はそう返す。
「ドラゴンは九頭。おそらく何人かは、同じことに気付いているはず」
「は?」
「その策とは?」
初代が一体何を言いたいのか、理解しきれていないグレイさんとエルザさん。そんなことを言っている俺も、何を言っているのかわかってないんだけどね。
「おめぇら!!ボケッとしてるなよ!!」
「来るぞ!!」
ガジルさんとフリードさんの声でそちらに意識を戻す俺たち。そちらではアトラスフレイムが足を大きく上げており、最初に街を襲った衝撃波をやろうとしているのだとすぐにわかった。
「シリル!!」
「はい!?」
それを見たグレイさんは何を思ったのか、俺の手を取る。その際ジュビアさんがこの世の終わりみたいな顔をしていたけど、それ以上に俺の方がテンパっている。だってなんで手を取られたのかわかってないんだもん!!
「グレイさん!?」
「あれを防ぐぞ!!手ぇ貸してくれ」
そう言われてようやく彼の狙いに気づいた俺。たぶんジュビアさんではなく、俺を選んだのは俺が滅竜魔導士だからなのかもしれない。
「行きますよ!!」
「おう!!」
先程のグレイさんとジュビアさんのようにしっかりと指を絡ませ、魔力を融合させていく俺とグレイさん。
「水竜の盾!!」
「アイスメイク・・・城壁!!」
ドラゴンの攻撃を防ぐためにまずは俺が水の壁を作り出し、それを凍らせるようにグレイさんが魔力を集中させていく。それによって、妖精の尻尾のメンバー全員を守れるほどの巨大な壁を作り出すことができた。
ドゴォン
その直後に響き渡る大きな音。その力により大地が砕け、生み出された衝撃波が俺たち目掛けて飛んでくる。しかし、それは氷の城壁によって防ぐことができ、思わず安堵の声が漏れる。
「一々やることが派手だな、向こうさんは」
「ですね」
苦笑いといった感じの笑みを浮かべるグレイさんと俺。ただ、後ろから猛烈な負のオーラを感じた俺はすぐに彼の手を振りほどく。チラッとそちらに目を向けると、そこでは俺と同じ水の魔導士が、まるで娘に旦那を取られたかのような、そんな表情をしていて、正直かなり怖い。
「あの・・・ジュビアさん?」
「なんでグレイ様はジュビアじゃなくてシリルの手を・・・」
どんよりしているジュビアさん。たぶん近くにいたのが俺だったからなんじゃないかな?そう信じた方がきっと楽ですよ。
ドゴォォォン
「「「「「!?」」」」」
ジュビアさんの扱いに困っていると、突然凄まじい爆音とドラゴンの叫び声が聞こえてくる。しかもそれは上空から聞こえてきており、驚いた俺たちはそちらに視線を向けた。
「聞こえるかぁ!?」
その方角から聞こえてくる男の人の声。それは、大切な仲間を救出にいった人のものだった。
「滅竜魔法ならドラゴンを倒せる!!」
「この声・・・ナツか!?」
「ナツさん!!」
なんでドラゴンの上に乗ってるのかはわからないけど、久々に聞いた彼の声に俺たちは安心し、ホッと一息つく。
「滅竜魔導士は九人いる!!ドラゴンも九人いる!!今日この日のために、俺たちの魔法があるんだ!!今戦うために、滅竜魔導士がいるんだ!!」
これを聞いてようやく、初代が何を言いたかったのか俺たちにも理解できた。そして、ナツさんがこのあとに言いたいことも。
「行くぞぉ!!ドラゴン狩りだぁ!!」
その声と共に、ドラゴンに打ち込まれる猛き炎。それを聞いた俺とガジルさんとラクサスさん・・・いや、この場にいない滅竜魔導士たちも、きっとやる気に満ち溢れていることだろう。
「九人?」
「滅竜魔導士は、八人しかいないはずじゃあ・・・」
ナツさんの言った言葉に少々違和感を感じている様子のグレイさんとジュビアさん。そんな彼らに対して、俺は少し口角を上げたまま、言葉を述べる。
「いえ、ちゃんといますよ。九人目の滅竜魔導士が。俺たちには聞こえてますよ」
一度だけ対戦したことがある、敵だった男。だけど、今はこの危機を乗り切る仲間になってくれると、俺は信じてる。
第三者side
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
両手を膝につき、顔中汗でびしょ濡れにしながら荒い息をしているドランバルト。彼の隣にいる長髪の男は、申し訳なさそうな顔で彼の方を見ている。
「長距離、すまなかった」
「あぁ。連れてきた」
ドランバルトの後ろに立ち、ドラゴンたちが暴れる街を見下ろしている青年。背を向けている彼の方へと、ラハールは向き直る。
「ドラゴンが街を襲っている」
「ああ。聞こえてる」
ほとんど事情を聞かされていないにも関わらず、男はまるですべてを知っているかのような、そんな表情をしている。
「不本意だが、力を借りたい」
乱れた呼吸のまま、男に頼むドランバルト。白いコートを羽織った隻眼のその男は、わずかに笑みを浮かべ、かつて戦った桜髪の男の声がする方へと視線を向ける。
「全部聞こえてるぜ、ナツ」
ナツとシリル、二人の滅竜魔導士と死闘を繰り広げた男、コブラ。毒の滅竜魔導士が、かつての敵と共にドラゴン狩りへと挑む。
後書き
いかがだったでしょうか。
次回はウェンディが多く登場する予定ですかね。
ちなみにシリルのラッキースケベは別に意味はありません。
ただの字数稼ぎのようなものです。
ただ、バレたらウェンディに殺されるかもですけどね。
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