インフィニット・ストラトス ー剣を継ぐものー
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プロローグ
前書き
このお話は、「あれ?ISとバハムートってなんか似てない?」という突発的な思いつきから生まれた物語です。
続くかどうかは未定です。
「お母様?お父様?」
藍色の髪の少女は、目の前で倒れている父と母の体を揺らす。幼いその身では、2人から流れ出ている紅い液体の意味をわかることが出来ていない。ただ寝ているだけなのだろうと考え、ひたすら体を揺らす。
「お母様?朝だよ。御飯の支度をしないと。お父様?お仕事はお休みなの?」
だんだんと揺らす力を強くしていくと、少女の目には涙が溜まっていく。
「お母様…お父様…お願いだよぉ…起きてよぉ……!」
悲痛な叫び声を上げている少女に、その頭よりも巨大な銃口が向けられた。それを向けたのは、巨大な機械の天使。無数に空を飛来しているうちの一体が、少女へと左手に備え付けてあるライフルの銃口をむけている。その中には人が入っているのかどうかは、定かではないが、その銃の引き金を引くことに、ためらいが無いことは確かだ。
「なんで…返事…してくれないの?」
泣きながら横たわる両親を揺らす少女が、その天使に気がつくことはない。
これが人間ならば、記憶に残ることもあったかもしれない。だが、今この瞬間に少女を撃ち殺そうとしているのは無機質な機械の天使だ。
「おかぁさまぁ……おとぉさまぁ……」
涙を流す少女に、天使がライフルの引き金を引こうとした。
死を覚悟し、少女は目を瞑る。せめて、両親と共に死にたかったと思ったところで、もう遅い。
ライフルの発射音がすると同時に息を止めた。
「え……………?」
だが、いつまで経っても体の焼き消される感覚はこない。恐る恐る目を開き、振り返ると、そこには紅蓮のツバサが舞い降りていた。
ライフルを撃とうとしていた天使の腕が宙を舞い、上半身と下半身が一瞬でバラバラになっていく。
よく目を凝らすと、そのツバサは天使達と同じ用に機械の鎧を身につけていた。
真紅の翼に、黒い籠手をつけた両腕。両脚にはジェット機の様なブースターがつけられている。
そして、天使の体を断ち切ったのはツバサの持っているレーザー刃を持った両刃の大剣。ツバサと同じ様に真紅の光を放っているその刃は、地面に少し触れただけでその付近が焼け焦げるほどの高熱を帯びている。
チラリと、ツバサの持ち主が少女の方へと振り向く。その顔はバイザーによって半分が隠されているが、おそらく少女と同年代の子供だろう。
「あなたは…誰なの?」
少年は何も言わずに、空にいる天使達の元へと飛び立った。
次々に天使から放たれるライフル弾を避け、叩き落とし、その剣で天使を余さず叩き落としていく。
紅い両翼から漏れ出る紅の残光は、軌跡を作り出し、その背後に残像を引き連れながら斬り伏せる。
無数にいる天使と同じように、そのツバサは機械的なものではあるが、美しく気高い力強さを感じさせる。
リーダー格と思われふ天使へと狙いを定めた少年は、一直線に加速していく。
天使も両方の羽からレーザーを放っていくが、虚しくもそれが直撃するのはツバサの背後にある残像にだ。
天使が逃げようとする努力の甲斐はなく、少年の大剣を背中のブースターにくらったことで大勢を崩した。
その隙を逃さず、大剣を振り抜いた大勢からすかさず斬りあげ、その両腕を切り飛ばした。
「散れ」
容赦の欠片もない少年の宣告が響くと同時に、両腕を失った天使が縦に斬り裂かれた。原型をほとんど止めなくなったそれは、バチバチとスパークを起こし、爆散する。どうやら、そういう風に初めから作られていたようだ。
少年は忌々しげに舌打ちをし、大剣を背中のウエポンラックに収納した。
目的を果たした少女には、もうここにいる理由もない。ゆえに、騒ぎを聞きつけた一般人に見つかる前に撤退したい。
ツバサを広げ、再び飛び立とうとしたその時だ。背後で小さな人影が動く気配がした。
「ま……待って……」
少年は掠れた少女の声を聞き立ち止まった。今にも倒れそうな少女を見て、駆け寄って支えてあげたいが、少年にはそんな権利はない。
「気をつけてね」
少年はそれだけを言って、空へと再び飛び立った。その背中はどうしようもなく儚げで、孤独だった。
*****************
「だれなの……君は……」
少女は泣き腫らした瞳で空へと飛び立ったツバサを見つめていた。それしか出来なかった。力も何も持たない少女には、それ以外のことをする力など無かった。
そんな少女に近づく、怪しげな人影が現れた。
「一足遅かったか…災難な目にあったな少女よ。命があって何よりだったな」
それは、フードで顔をすっぽりと覆った女性だった。なぜ女性だとわかったのかというと、その声は高いソプラノのものだったからだ。
「お父様も…お母様も…死んじゃった…」
「ああ。そうだな。どうやらこのガラクタ共は君のことも殺そうとしていたようだ」
女性がカチャリと懐から小型の銃を少女に突きつけた。その目には憐れみの感情が込められてはいるが、どこか何も出来なかった少女のことを蔑むかのような光が込められていた。
「さて、では少女よ。私も君を殺すことが仕事でね。選べ、私に殺されるか。自分で死ぬか」
冷たい声は少女の頭に入ってはいる。だが、正しく理解することができる知能が働いていない。
「…………」
「……やめだ」
女性は拳銃をホルスターにしまい、その代わりに少女に黄色の髪飾りを投げ渡した。
「そんな死人みたいな詰まらん顔をするな。殺してやる気がなくなる」
「これは…なに…?」
投げ渡された髪飾りを見て、惚けたような顔のまま少女は呟く。
「なに。単なる御守りのような物さ。君を殺す価値のあるものに変える、な」
そう言って、女性は去っていった。少女は、厄日だと呟きながら、渡された髪飾りを手に取る。少し遠くからは警察のものと思われるサイレンが聞こえてくるが、そんなものには興味が無い。
「これがあれば…また君に会えるのかな?」
それから5年後。2人は奇妙な再会を果たすのだが、それはまた別の話である。
きっとこの時から、もしかしたらもっと昔から運命と言うものは決まっていたのかもしれない。
けれど、それをあの少年に言ったとしたら、ほぼ間違いなくこう答えるだろう。
「ふざけんな」
後書き
意味不明な引き方で申し訳ありません。
次回から本編に入っていこうと思うので、よろしくお願いします。
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