がっこうぐらし!The world in confusion
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chapter38
圭の家にたどり着いてから一夜が明けた。
俺はテントで休む予定だったのだが他人とのシェアで休むのは少し気が引けたのもあり敷地内にある手頃な木の上で座った体勢で眠りについていた。
日ノ出が出てきて小鳥達の鳴き声が囀り俺は目をさました。
覚めた意識で辺りを見渡すとちらほらと起床して動き出している大人達が見えている。
「アーク今何時だ?」
[6時49分です]
「…そろそろ起きるか」
そういって木の上からおりて俺も何か作業を手伝おうと行動をする。
行動したのだが…大人に…「怪我人なんだからじっとしていてくれ」「子供に手伝ってもらうほど忙しくないだの」などの理由で断られ結局、木の下で療養に専念することにした。
「はぁ…体を休ませろってことなのかね」
まだ完全に動かせないから体を休ませてコンディションを完全にすることを第一にしよう。
「ん?」
目をつぶって体を休ませていると何故か視線を感じる。
ふと目を開けて視線を感じた方向をみると俺に興味深々で覗いてくる幼い子供達がいた。
俺が見ていることに気づいて子供達は頭を引っ込める。
「俺ってそんな興味…持たれるな」
自分を否定しようとしたがこの前のベヒモス戦のことがよぎりすぐに肯定した。
あれだけ暴れたのだ印象に残らないわけがない。
「…どうしよう…この状況…」
声をかける?いや、返って怯えさせて逆効果だし、このまま無視するのもな…
「ねえ、お兄ちゃん」
…まさかあちらから声をかけてきた。
「えっと…何かな?」
怯えさせないように優しい物腰で幼い女の子に話返した。
「お兄ちゃんって騎士様なの?」
…騎士と言えば…騎士だけど…今はどっちかっていうと傭兵だよな~
でもこんな女の子が目を輝かせながら見つめていると否定ができない。
「まあ、そういわれればそう…かな~」
曖昧な答えで返答すると隠れていた子供達さえも我先と俺の回りに集まってきた。
「ねえねえ!あのかっこいい剣見せてよ!」
「すごい動きだったよね!あれどうしたらあんなに動けるの!?」
「あの服かっこいい!また見せて!」
「え?あ、あの…」
子供の質問ラッシュで流石にたじたじになる俺を見て後ろから大人の女性がやって来た。
「はいはい、お兄さんも困ってるからみんな落ち着いてね」
『はーい』
女性の一言で子供達は言うことを聞いた。
「ごめんなさいね、子供達、あなたに興味津々みたいだし」
「えあ、いえ、別に…あれだけ大暴れしたら興味も持たれるのも」
そう言い苦笑いで俺はベヒモス戦のことを、思い出す。
「それと、ごめんな、剣とか衣装はいざっていざってときしか使わないから見せるのはちょっとね」
そういって近くにいる子供も頭を撫でる。
「え~」
「もう、えーじゃないわよ、ごめんなさいね本当に」
「いえいえ、この子達の世話をしているですか?なんか凄いですね」
「私にはこれぐらいしかできませんから、この子達の遊びに付き合っているんです」
「そうなんですか、それじゃあ俺も手伝いますよ、暇ですし、なんか体を動かさないとな」
そういって体を起こす。
「わーい!なにして遊ぶ?」
「かくれんぼ!」
「鬼ごっこ!」
子供達はなにして遊ぶか話し合いはじめて、取り合えず始めにかくれんぼで遊ぶことになった。
「はぁ~疲れた」
既に日がくれて夕方、今日一日子供達と一緒に遊びまくった。
本当に子供って疲れ知らずで…はしゃぎ回ってかなりくたくたである。
俺は木の下で体を休めていてふと祠堂家の館に目を向ける。
「圭の奴、何してるんだろうな…」
今日一日圭の姿は見ていない、ずっと、館の中にいるはずなのだが…
「少し様子でも見に行くか」
そう思い館の前にやって来て昨日と同じ入ろうとしたとき扉の前に立つガードマンに立ち塞がれた。
「あの通してほしいんですけど」
「駄目だ、此処から先は源司様の許可された方以外立ち入り禁止されている」
「昨日は圭さまと一緒だったために特別に通したに過ぎない、ならさっさと帰った帰った」
そういわれて門前払いされて館から少し離れたところから館を見る。
「正規方がダメなら忍び込むか」
そう思い館全体を見渡して2階の一ヶ所が窓が開いていることに気づき魔力で身体強化して壁の窪みなどでよじ登り開いている窓から中を覗き誰もいないのを見計らって中に侵入した。
「さてと、圭の奴はどこにいるかな」
他の人に見つかると厄介だと思い見つからないように祠堂家の館を探索していく。
やはりというか隠れ進んでいる間中にいる人は確実に外より少ない…しかもまだ確実に入れることも可能なくらいに
そんな疑問を思いながら広い廊下を歩いていると前は行き止まりで引き換えそうと思った矢先近くの部屋から人が出てくる気配を感じた。
「やば!」
見つかると不味いために行き止まりにある扉の先から気配がしないのを確認した後中に入ろうとしたが鍵がかかっているのか中には入れない。
「鍵かかってやがる!アーク!ツールを出せ!」
鍵がかかっていることを確認後俺はアークに指示して収納してあるツールを取り出してそこから細い棒状のものを2本取りだしそれを鍵穴に入れて弄くること数秒で鍵が開く。
そして咄嗟に扉を開けて部屋の中に入り、気づかれることを回避した。
「…ふぅ…本当に何でも覚えておくものだな」
危機一髪、教官に教えてもらったピッキングスキルが役に立つとは思ってもなかった。
「いいな圭、もう二度と外に出ようとするなよ」
ん?この声は…
そういって男性の足音は次第に遠くなっていき扉を開けて外の様子を見ると誰もいなくなったので先程男性が出てきた扉の前に立つ。
「さっきの人…源司さんだったよな…ってことはここって圭の部屋か…」
そう思い圭の部屋の前で扉をノックする。
「…誰ですか?」
部屋の中から圭の声が聞こえてきて俺は部屋の中に入った。
「あの勝手に入って…雄也先輩!?」
中にはこの前のボロボロな制服ではなく清楚な
「よ、よう、後余り大きな声は出さないでくれ…見つかったらいやだから」
外からはこちらにくる足音も気配もない…感ずかれなかったようだからよしとしよう。
「…もしかして…聞いてましたか…お父さんとの…会話」
「…いや、最後の会話だけ…それだけしか聞いていない」
…それだけでも圭が父親を嫌っていることはすぐにわかったけど…
「少し話を聞いたほしいんだけど…いいですか?」
「…ああ、それで少し圭が楽になれるんだったら」
「ありがとうございます、先輩、私のお父さん、IT企業の社長でね、昔はいつも優しいお父さんだったんだ…だけどね、少しずつ会社の利益が不利益になってきて、お父さん、お酒に溺れて私やお母さんに暴力振るうようになったんだ」
「…」
「今回のパンデミックでも、お父さんチャンスだっていってた…この家に避難してる人少ないの気がついてますか?」
「ああ、圭と一緒に入ったときからその事には気がついてた」
「あの人たちはね、全員資産家や大企業の関係者の人たちなの…理由は助けた借りで会社の繋がりを作ること…」
なるほどコネを作るってわけな
「どうして、こんな時なのに自分の私欲のための基盤を作ろうなんて…可笑しい話ですよね」
「確かにな」
あれがしたい、これがしたいとみんなが同じ方向を向いているわけではない、このときだってそうだ
みんなが1つに纏まるということはそれほど難しいことなのだと改めて実感する。
「ねえ、先輩?」
「なんだ?」
「この戦いが終わった後、私と駆け落ちしましょう」
「な、なにいってんの!?」
突然の爆弾発言、流石に予想外の言葉に戸惑いを隠せられない。
「あははは、冗談ですよ、先輩…そろそろ誰か来たら先輩見つかるかもしれませんし、こっそり抜け出した方がいいですよ」
全く本当だったらまじで冗談じゃないぞ。
「わかった、そこの窓から飛び降りて出るから問題ないし、それと此処は圭の家だけど何があるか検討もつかないから一応、護身用の物は持っていた方がいい」
「わかりました、一応ベレッタを持っておきますね」
「それじゃあな、また明日」
「はい、また明日」
そういって俺は圭の部屋の窓から外に飛び降りて正面の避難民がいるところに戻った。
「……」
親子関係…か
俺にはそういったことはあまりわからない…俺の両親は小学入学の少し前に消息不明だからそういった思いは一度もなかった。
もし父さんや母さん達が一緒にいたなら俺もそういった気持ちを持つことがあったのだろうか…
いやこれは所詮もしもの話だ…
今すべきことはこの戦いをいち早く終わらせて生き残っている人達をこの戦いから解放することだけだ。
そのためにも
「頑張らないとな」
改めてこの戦いへの決意をして避難所を歩いていると視界の隅に妙な人物が映る。
「ん?」
外装は黒いローブで覆われて顔をフードで見えない…
だが、そいつからは何か感じたこともないほどの威圧感を出していた。
気になる人物を見ていると…
「っ!?」
人物はこちらを見た、確実に視線と視線が合わさった
それだけで俺の体が危険だと警告し直ぐにでもアークを起動させようと構える。
「……」
目があった奴は俺を見た後人気のない敷地内の隅に移動してかなりの身のこなしで壁を飛び越していく。
「逃がすか」
俺も追うことを決めて走りだしバリアジャケットを装着しとアークを腰に付けて跳躍して壁を飛び越しコンクリートの車道の真ん中で着地し辺りを見渡すと、奴の後ろ姿を目視する。
「こっちか」
おれもその後ろ姿を追って同じ方向に走り出した。
このときの俺はまだ…あのとき言った言葉があのような悲劇を生むとは微塵も思いもしなかった。
「くそ、見失ったか」
あの謎の人物を追いかけては来たのだが途中で見失い周囲を見渡して探しているがどこにも見当たらなかった。
正直にあの人物のことは気になる。
あれだけの威圧感を出していたのだ、気にならないはずがない。
といっても見失ってしまったのならこれ以上追跡しても意味がないかもしれない。
「取りあえず帰るかもう辺り暗くなったし顔見かけないって心配されも困るしな」
追っているうちに日が落ちて月が上り始めていた。
ここからそれほど祠堂家は遠くないから20分もあれば帰れるだろう。
そういって引き返そうと足を運ぶ。
「…仕込みは完璧か?」
…運ぼうと思ったら何やらこの近くで男性の声が聞こえてきた。
「ああ、これで問題なくいけるさ」
いるのは二人組でなにやら悪さをする会話の内容だ。
気になり住宅の敷地の壁から道路を覗くと私服姿の男性二人が何かやっていた。
「にしても、ユウヤ・ツキミヤが生きていたなんてな」
「ああ、だがあの様子じゃ痛手を負っているみたいだし今がチャンスさ、これでユウヤ・ツキミヤが死んだとなれば…」
「俺達は二階級特進だな!」
なるほど…避難民に紛れ込んでいたって訳ね
「いやいや、そいつはいいことを聞いたな」
隠れる必要なんてない俺は堂々と道に出て彼らに向けて話す。
「なっ!?ユウヤ・ツキミヤ!?なぜここに!?」
「偶然ここら辺にな…それにしても色々となんか企んでるみたいだな…」
そういってアークを抜剣し剣先を彼らに向ける。
「くっ!だが、今の奴は傷をおっている!まとめてかかれば!」
「遅い!」
長々と付き合う気など微塵もなく一撃で二人を吹き飛ばして戦闘不能に陥れる。
「ぐぁ!?くそ!卑怯だぞ!」
「卑怯?戦いに卑怯もくそもあるか、なにしでかそうとしたのかは知らないが失せろ…」
二人に警告する、これで逃げるのならそれでよし…逃げないときは討つ。
「おいおい、殺さないって甘すぎないか?聖騎士ちゃんよ」
「っ!?誰だ!」
新たな声に反応して声がした方向に振り向くと住宅の屋根の上…そこには俺が追いかけていたあの黒いローブをきた人物…声から察するに男性がそこにいた。
「俺を見失ったと思ったらいいことしてんじゃんか」
「…もう一度言う何者だ」
この威圧感間違いなく俺が追っていた奴だ。
「い、今のうちだ、仕掛けは起動したから後はずらか…」
「おいおい、逃げるなんてよ~そんなことさせると思うか?地の底に眠る星の火よ、古の眠り覚し 裁きの手をかざせ! ファイガ!」
「っ!?」
「うぎゃあぁぁぁああァァ!!?!???」
男は詠唱を始め魔法を唱えたとき俺が前に放ったファイアより遥かな爆発力と共に局員の一人を爆炎が包み、断末魔を挙げて体が塵になった。
「あ、あああ…うわあぁぁぁぁぁぁっ!?」
「だから~逃がすかよ~」
「やめろぉぉぉっ!!!」
確実に殺そうとする男性を俺は必死に声を挙げたが男性は聞く耳を持たなかった。
「無念の響き、嘆きの風を凍らせて 忘却の真実を語れ… ブリザガ!」
次の魔法を放ちすると逃げていた局員の足元に巨大な氷が発生しその中に男性は氷付けにされる。
「砕けちまいな、天空を満たす光、一条に集いて 神の裁きとなれ! サンダガ!」
続けて詠唱されて上空から黒雲が発生しそこから雷が無数に振り落とされてそれは凍りついた局員に集中して落とされ氷が体諸とも粉々に砕けた。
「お前ぇぇぇぇ!」
俺は怒りに満ちたこの感情で男性を目掛けて切りつけるがひらりと避けられる。
「おいおい、俺はお前を助けてやったんだぞ」
「逃げる奴を殺すことなんてなかったはずだ!」
「甘いな~聖騎士ちゃんは戦場じゃあそれはアホがやることさ」
男性は見下す印象で俺に話しかけてくる、こいつは許せることはない。
「それよりさ、早くお仲間のところに帰ったらどうだ?」
「どういうことだ!?」
[マスター!!祠堂家に設置したサーチャーが反応!無数の奴等が押し寄せてきてます!!既に門が破壊されています!]
「っ!?お前!何をした!?」
「おいおい、それは俺じゃねえぜ、多分さっきの奴等じゃねえか?まあ、俺が殺したから真実は闇のなかだけどな」
どうする…早く戻らないといけないけど…こいつを野放しには…
「早くいかないとどんどんと死んじゃうぞ~」
「っ!くそ!!」
俺は悔やむ気持ちを抱えながら助ける方を第一にあいつに背中を見せて祠堂家へと走り出した。
Sideさくら
「人民を助けに言ったんだ…雄也くんらしいね」
先程の光景を僕は端から眺めており雄也くんが去っていくのを見て彼…ベクターの元に近づく。
「忙しいことでね~」
ベクターは軽い口調でそういう。
「あれでも『四剣』の担い手の一人だろ?」
「剣自体、本来の力を失っているから担い手と決めつけるのは駄目だよ」
「聖剣ルミナスアークは所持者がいるが力を失ってる、神剣ティネスティアも所持者が封印している、魔剣ネージュベルデはこっちにあるし、封剣ファフネルは行方がわからねえ…」
「四剣は揃わないそう言いたいのかな?」
まあ僕もそうは思うけどもし四剣が揃ったら僕らの計画の最大の壁になるのは間違いない。
「まあ、揃う前に終わらせればこっちの勝ちだ、それじゃあ、俺はドクターの引き抜きでもいくとするかな」
そういってベクターは何処かへ消えていった。
「…雄也くん…」
僕は助けを求めている人達の元へと急行していく雄也くんが走っていった方向を見続けた。
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