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学園黙示録ガンサバイバーウォーズ

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第八話

マンションから出発した俺達。橋のほうに到着すると、あれほど沢山いた警察や避難した民間人や<奴ら>はいなくなっていた。だが、道路の惨状を見ればどれだけ生々しい戦いが起きていた事を理解するに難しくなかった。

地面にある人間の血と思える血痕に、ブルドーザーにひき殺したと思われる血で染まったキャタピラの跡に、僅かに残っている肉片。これだけの証拠があれば、ここで生々しい戦いが繰り広げられていたのが分かるというものだ。

「橋は結局、突破されたと思うべきか」

「そうですね田中先輩。退却した警察と、逃げ延びた生存者を<奴ら>が追いかけたと思いますよ」

俺と平野は、そういう会話をしている。

特殊部隊ではない一般警官が所持している武器も警棒やリボルバーといった武器がせいぜいだ。例えブルドーザーで<奴ら>をひき殺しても、それでも警官の人数にも限りはあり、逃げ纏う生存者と、それを追いかける<奴ら>の波には勝てなかったとようだ。

現在の俺と平野は偵察をしている。橋のほうに<奴ら>が隠れていないか確認する為である。俺が先行して、その途中で<奴ら>が現れたら平野が狙撃するという陣形をとっている。銃声で<奴ら>を引き寄せる事にもなりかねないが、軍用車のエンジン音とタイヤのスキール音で嫌でも音は響くし、あんまり関係ないと判断して、近接も射撃もこなせる汎用型である俺と、狙撃に特化した平野が選ばれた。

無線機を使って、通っても大丈夫な事を小室達に伝えた。携帯で連絡する手段も考えたが、こんな非常時であるためホットラインがじゃんじゃかと鳴っているのだろう、電波は届いても使用は難しい為に、仕方なく隠し工場で持ってきた無線機を使用している。

無線機で伝えて一分もしないうちに、ハンビーとLMVは到着した。アメリカとイタリアで使用されている軍用車両が並んでいる姿は、何とも言えないものだ。車両の屋根には、対人戦では過激ともいえる火力を保有している12・7mmNATO弾を使用するM2重機関銃が設置されているからだ。

これだけで、この二台がどれ程の火力を保有しているのは少し軍事に詳しい人間なら直ぐに把握できるものだ。

俺はタカトさんが運転しているLMVに、平野は鞠川先生が運転しているハンビーに乗り込んで移動を再開した。なお、俺達は上流の川から渡る事になった。橋のほうは確かに警察も<奴ら>がいなかったが、道路の状況があまりにもひどい為に渡るのを断念した。投棄されているボロボロなセダンタイプの車やブルドーザーが道を塞いでしまっているからだ。

無理をすれば通れる事も通れるが、そこまで無理して通るより、川からいったほうが安全と判断した。何より軍用車はオフロード等の山や荒野といった人間が整備していない道にも態様しているので、水深が浅い川なら問題なく走れる。エンジンルームに水が浸水する心配もない。

そして俺達は渡河を開始する。車両の中から水が入ってくる気配はなかった。流石は軍用車とも言うべきかな。こういうところを走るように前提に設計してあるだけはある。

ーーー。

俺は、学校で仲間を得る事が出来た。前世の俺は、コミュニケーションが得意な方ではなかった為に、中学でも高校でも友達というべき知り合いがそんなにいなかった。クラスで一人か二人は、趣味があって休み時間に話し合う事はあったが、休日で遊ぼうというほどの関係を築けるほど器用でもなかった。基本的にめんどくさがりな俺は、クラスメイト達の輪に加わろとしなかった為に、クラスの連中から「空気が読めない」「協調性がない」「人の輪に加わろうとしない」など、色々と批判を受けた。そして、成績もこれで下の下なら担任から注意を受けて更にめんどくさい説教も食らっただろうが、俺のクラスの成績は五段階評価で全てが三という平凡な成績だった為に、特に興味を示す程の存在ではないため然程干渉もされなかった。

俺は、ある意味で社会不適合者なのだろうと自覚はしていた。人の輪に加わって取り入る事が苦手なのも自覚していた。そのため、学生時代では基本的に孤立しており、社会人になっても上司に上手く取り入る事が出来なかった為に、俺が所属する部署では俺より下で立場も低い後輩のやる追加の仕事はだいたいが俺に回ってきた。そうした損な役回りをさせられているのに直そうともしない。自分自身でも救いようがないのは理解しているが、俺自身がそのほうが心地いいと思っていたから余計に直そうとしなかった。

趣味も合わない、出世にも興味もない俺がどうして上司に作り笑いをしなくちゃいけないんだと強く思っているからだ。

そんな俺が、今じゃあ気兼ねなく心を許せる仲間が出来ている。平野はそうだな。趣味もあうし、戦う本質を理解しているから俺も話す際に話しがかみ合って面白い。小室は、気兼ねなく話せる人柄が気に入ったな。毒島は、戦力的にも精神的にも頼りになる所だ。歳ばかりとって自分を威張り散らす馬鹿と違って、誰よりも成熟している考えをもって俺は気に入っている。

宮本と高城は、そうだな……まあ、小室と平野とのやり取りが面白いと言う事で、そう思っておこう。

前世の経験で、めんどくさいが何とかクラスに最低限溶け込んだが、それでも心から楽しいと思える友人がいなかったが、こいつらといると、何か面白いんだよな。そんな彼らが死んだら、俺はどのように反応するんだろう。狂うのか?それとも悲しむのか?今の段階では分からない。でも……ここまで人に関心を持つのは初めての経験だと俺は思っている。



「どうしたんだい田中君。もうすぐ上陸するよ」

「あ、すいません。少し考え事をしていました」

少し心配そうな表情で俺を見ているタカトさんとありすちゃん。ありすちゃんには心配ないよと優しく頭をなでる。子供は基本的に大人の行動に対して敏感であり、感情も素直だ。俺は子供持った経験がないが、ここは素直に謝って安心させる事にした。


どうやら、いつの間にかハンビーに続いてLMVも上陸していたようだった。そしていったん外に出て警戒にあたる。上陸地点に<奴ら>は存在しない。それでも安心は出来ないため、周囲を警戒して見てみたが、本当にいなくて俺は警戒心を少し下げた。

「車上げるわよ!男子三人。安全確保!」

「イエスマム!」

高城の言葉に平野は、現役の軍人も感心するほどの綺麗な敬礼を出すのだった。それを俺と小室は少し苦笑い気味で見ていた。

俺達は、土手を一気に駆け上って警戒にあたる。三人とも違う方向に視線を合わせている。

「「クリア」」

「こっちも問題ない。上がってきていいぞ」

<奴ら>がいない事を確認して、小室が下で待機しているメンバーに合図を送る。その瞬間に、ハンビーが勢いよく駆け上がってきた。

「退避しろ!」

「うおおおお!!」

俺達がいる方向に突っ込んできたので、俺達は回避しようと動いた。そのスタントよろしくな動きに、タイヤのスキール音が響き、ぴたりと止まった。なお、タカトさんが運転しているLMVは、静かに駆け上がってきたのを記録しておく。

うん。やっぱり鞠川先生に、銃を持たせない選択は正しかったんだなと理解する。てか、あんな動かせかた普通にして一緒の車に乗って大丈夫なのかよと不安になる運転だった。


「この当たりで一番家が近い奴は?」

俺は一応、目的地を聞く。

「確か高城の家だと思います。高城の家は東坂の二番地だったと……」

「ええ、そうよ」

「なら、高城の家にいくか。」

俺達のグループの現在の方針としては、先ずは地元に家族が住んでいる家に向かい、全て回った後に警察や自衛隊などの避難所に向かう事になっている。

最初の目的地は、高城の家に向かう事になった。先ずはLMVの後席にありすちゃんを乗せてしっかりとシートベルトを締める。いざという時に備えるためだ。

「タカトさんも忘れないでください。」

「ああ、わかっているよ。普段から気を付けているからね」

俺が搭乗しているLMVは、ハンビーに続くように走る。

ーーー。

俺達は高城の家に向かう為に住宅地を進んでいるが現在のところ<奴ら>と遭遇していない。だが同時に、ある事にも気がついた。昨日はあれほど飛んでいた飛行機やヘリなどが全く見かけない事に……。

もう、床主市の空港から全ての飛行機が飛び去ったのか?それとも既に航空施設は<奴ら>によって使用不能になっているのか?それは現在のところ確認する事は出来ない。

目の前を見ると、ハンビーの屋根の上で小室と宮本が楽しそうに話している。警戒役として屋根の上に配備されたくせに、随分とのんびりしているなと思うが……しかし、桜が綺麗だな。この桜を見ると、俺はまた桜を見る事が出来るのかと考えてしまう。

そう考えていた時に、俺はある直感を感じ取る。その瞬間にハンビー右折したのを確認して核心に変わる。

「<奴ら>か……」

先ほどまでいないと思った矢先に、わんさかと嫌がる。俺達は先頭を走るハンビーについていく為に、同じ道を進む。だが、急スピードで走るLMVが突然とハンドルを切ると横Gがかかる。正直に言ってシートベルトをして正解だと思ったよ。

シートベルトをしてなかったら横Gで車体に何度も顔を叩き付けられる事になっていただろうな。

走っては次々とルートを変える。そのたびに<奴ら>と遭遇して数が増える一方だ。

「目的地が近づいてるのに、増える一方だ!」

「何か<奴ら>を引き寄せるものがあるってことでしょうね!」

そして俺達は広い道路に進む。目の前に<奴ら>が集中しているが、頑丈に作られている軍用車のハンビーには関係ない。<奴ら>を次々と吹き飛ばしている。ハンビーが開いた活路を俺達は進むだけだ。安全とはいかないが、だいぶ楽に走れる。

ハンビーが吹き飛ばした<奴ら>の肉片やら血などで足元がとられて不安定感はあるが、今は安全に走れるだけありがたい。


「横にむいた……!」


なんと突然とハンビーが横を向いている。あれは事故でスリップした様子もない。明らかに狙って行動した行為だ。いったいどうしたんだと思ったが、その理由もはっきりとした。ワイヤーが目の前に引かれていたいたのだ。

それで小室達が横に曲がったのも理解した。そしてタカトさんも、ワイヤーに衝突しないギリギリの巨距離で何とか止まった。急ブレーキが間に合ったようだ。

だが、安心も出来なかった。ハンビーの屋根にいた宮本が、ハンビーの急ブレーキが原因で、屋根から飛ばされて、コンクリートにたたきつけられたのだ。宮本も何とか起きやがろうとするが、コンクリートに叩き付けられた衝撃で、身動きが取れなかった。

これに小室が助けに入ろうとする。

「タカトさん!RWSの操作は教えましたよね!」

「ああ、理解している。」

「それで<奴ら>を薙ぎ払ってください!」

「お兄ちゃん!」

「大丈夫だありすちゃん。俺は強いし、頼りになるお父さんが味方になってくれるんだかな!」

ニッコリと笑って俺は、TAR21を握って安全装置を解除して外に出た。外に出てハンビーを確認すると、平野が既にM2を握って撃つ準備が完了した。


「平野!撃てるのか!?」

「機関銃は経験ありませんが、やります!」

「よし。小室、宮本。耳を塞げ!」

平野が操作するハンビーに設置されているM2と、タカトさんがRWSで操作するM2が一斉に火を噴いた。発射速度こそ、現用の機関銃と比べて遅いが、M2重機関銃の威力は凄まじいに尽きる。

12・7mmNATO弾は、対人戦に開発された弾薬ではない。本来は、軍用装甲車両を粉砕する目的で開発された弾薬なのだ。現在では装甲車のレベルもあがって貫通するのも難しいが、それでも民間のトラックや少し装甲化した車両などは、M2の12・7mmNATO弾にかかれば簡単にスクラップになる。


そんな化け物染みた弾丸が、人に当たれば簡単にミンチに出来る。<奴ら>の体が装甲化などされているはずもなく、一発や二発が胴体に当たれば引き裂かれ、腕や足などに一発でも当たれば吹き飛び、体の何処か一発でも当たれば吹き飛ばして、損傷が激しいのが理解できる。

「す、すげー……」

「<奴ら>が、どんどんいなくなる」

これに小室と宮本が放心した状態で見ていた。アクション映画などでは、M2が人に直撃しても、そこまで人体が派手に吹き飛ぶシーンは出てないが、実情は残酷だ。実際に、対装甲車用に開発されたM2の威力は、人体に当たれば酷い損傷が出るものだ。何発も体に着弾すれば人肉のミンチが出来上がる。

これは正直に言って、映画ならR指定になるほどの過激な映像だぜ。まだまだ幼いありすちゃんには見せたくない光景だと思ってしまう。

「よし、これなら」

「甘いぜ小室!」

TAR21でM2が撃ち漏らした<奴ら>を撃った。TAR21の5・56mmNATO弾は、見事に命中した。

「こっからが本番だ。今いる<奴ら>は、かなり倒した。でも、音に反応した<奴ら>が次々とくるぞ」

俺が言ったように、目の前にいた百体はいるんじゃないかと思うほどいた<奴ら>は、M2の12・7mm弾を食らってかなり減ったが、それでもまだまだ<奴ら>は、こっちに向かってくる。

覚悟を決めた小室もモスバーグM590を構えて戦闘態勢をとり、M2の弾薬を撃ち尽くした平野もFN FALを構えており、毒島も木刀を構えている。全員戦闘態勢を取った。


「スライドを引いて、胸のあたりを向けて……撃つ!」

小室がM590撃つ。そのショットガンの強烈な反動で少し後ろに後退した。第二ラウンドの先陣を切ったのは小室た。しかし、<奴ら>の頭に向けて撃ったようだが、パターンが上にずれて、さほど巻き込んで<奴ら>を倒していない。M590の真価を発揮できていない。

「なんだよ。頭を狙ったのに!」

「下手なんだよ!反動で銃口がはねて、パターンが上にずれてる!突き出すように構えて、胸のあたりを狙って!!」

平野が的確な指示を小室に飛ばす。そして小室は平野に言われた通りに撃つ。すると、今度は沢山の<奴ら>を倒すことに成功する。

「撃った後は、トリガーを絞ってスライドを引け!そして照準を少し修正しろ」

俺も一応は指示を出す。小室は次々とM590で<奴ら>を薙ぎ払っていく。派手に何体も吹き飛んでいく<奴ら>をみて、小室のテンションが高くなった。

「ひょおっ最高!」

「テンションが高くなってるとこ悪いが、そいつはもう弾切れだ。俺と平野でカバーするから後ろで再装填しろ!」

俺のTAR21の5・56mmNATO弾と平野のFN FALの7・62mmNATO弾が火を噴く。あまり無駄弾を撃ちたくないのでセミオートで撃っている。

次々と<奴ら>を倒していく。こんな危機的な状況なのに、俺はどこかで楽しんでいる。自分の命が危険だと理解しているのに、何で楽しんでいるんだ……。

ああ、わかったよ。俺はふんべつなく暴れてくたばったプレイヤーを馬鹿にしていたが、これは楽しいよな。プレイヤーの連中が暴れた理由も理解できるよ。楽しくて仕方なかっただろうよ。この快感が……。

デスバレットのステータスや武器やシステムを受け継いで、高い能力を受け取り、その力を試したくて仕方なかったんだろうな。平時なら邪魔でしかないこの能力も、戦場では遠慮なく使える歓喜に酔いしれて戦ったんだろうな。

ああ……認めてやるよ。俺も根っからの頭のネジが外れたバカだって。俺は世界が崩壊して生き残るためだけに行動しているじゃない。この絶望して崩壊した世界で、好きなだけ暴れても誰も拘束しない世界を楽しんでいるだと!


「と、弾切れか」

あまりに楽しくて夢中で撃っていたからな。弾数を数えるの忘れてたわ。

「毒島!」

「心得た!」

再装填の間に襲われてはたまらないので、毒島にカバーしてもらった。てか相変わらず近接戦闘は鬼の様にスゲ-よな。木刀で<奴ら>の頭を一撃で粉砕しているし。死角からも事前に察知して撲殺して、投げナイフも器用になげて<奴ら>の頭にピンポイントに命中させる。

と、こっちも見とれてないで再装填しなくちゃ。マガジンのセットが終了して俺は射撃を再開。そしてしばらくして俺達四人で<奴ら>の相手をしていたが、近場にいた<奴ら>は、ほぼ全滅した。

「そろそろ退却したほうがいいと思うぜリーダー」

「ど、どうやって逃げるんですか!?前はまだ<奴ら>がいますし、麗を見捨てるなんて僕にはできません!」

「確かにワイヤーが張られているが、逃げ出せそうな隙間くらいあるだろうが」

「そ、そういえば!?」

どうやら戦い集中して頭があんまり回ってなかったようだな。人を引き付ける魅力はあるが、リーダーとしての能力はまだまだ発展途上という事かな。

「俺と平野で殿する。早く宮本を連れてワイヤーの後ろにいけ」

「だ、大丈夫ですか?」

「問題ない。」

「なら私も同じように殿を務めよう」

毒島も参加してきた。

「一緒に後ろに避難してもいいんだぜ」

「再装填の時のカバーは必要なはずだ。再装填時は無防備になる」

「ありがとうよ」

これほどありがたいカバー役はいないわな。

そして俺達三人で殿を務める。

俺と平野が撃って撃って撃ちまくるのに対して、毒島はまるで飛んでいるかのように軽やかに動いて木刀や投げナイフを巧みに操って<奴ら>を倒していく。

M2で最初の一撃を加えただけでも百体は軽く超えるに倒したと思う。実際に<奴ら>が倒れている場所は数えるのが馬鹿らしいほどに倒れてはいるし、M2でミンチになっている<奴ら>もかなり見かける。

それでも近場の<奴ら>はいなくなったが、音を聞きつけた<奴ら>が集まってきて倒しては増える無限ループに捕まったような感覚になってくる。流石にこれ以上の殿は厳しいと判断せざる負えない。平野は基本的にハンビーの屋根から狙撃してるし、俺も少し移動しながら撃っているから然程体力は消耗していないが、問題は毒島だ。

俺と平野と違って、毒島は俺達のカバーに回って動き続けて<奴ら>を撲殺している。それだけでも体力は消耗するし、鋭い紙一重の回避も余計に体力を消耗していることになる。いくら毒島が超人的な戦闘力を持っていても無限に体力を保持しているわけではない。いずれは限界がくる。

その証拠に、毒島が肩を上下させて呼吸しているのを確認した。そろそろ限界が近い証拠だ。

「小室。まだみんな後ろに後退してないのか?」

「もう大丈夫です!先輩達も早く!」

どうやら宮本を無事に避難させる事に成功したようだ。俺達も引く準備を始めるか

「殿はおしまいだ。毒島、下がるぞ」

「了解だ」

幸いに、結構な数の<奴ら>が倒れているおかげで、移動している<奴ら>の移動を妨げて移動速度が減少している事が幸運であった。俺と毒島も無事にワイヤーの後ろに避難した。だけど、俺は最後のプレゼントを忘れない。

「馬鹿みたいに集まりやがって、こいつの餌食にでもなりやがれ」

俺は、手榴弾を取り出してピンを抜いて、ワイヤーの所に屯している<奴ら>にめがけて投げた。

「ハンビーの後ろに隠れろ」

皆はハンビーの後ろに隠れる。次の瞬間、激しい爆発音が響き渡る。そしておまけにもう一発投げて、更に爆発する。

「アホみたいに密集しているからだ。馬鹿」


その後。高城の家から救援に来たと思われる消防士の団体様がこっちに駆けつけてきた。結構な数を俺達が倒したから、そこまで大変な仕事をしたわけではなかった様子。<奴ら>の残党を掃討した後に、俺達が起こしたと言ったら唖然とされた。

まあ、普通に考えて日本の学生が重機関銃やアサルトライフルやらを馬鹿みたいにぶっ放して、挙句の果てに手榴弾を使う光景を、日本に住む大人たちが想像できますかってところだな。


 
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