Charlotte 奈緒あふたーっス!
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卒業式
卒業式
EX2
「そういえば高城…」
緊迫した僕の呼び掛けにただならぬ何かを感じ取ったのだろう。
真面目な顔付きをして高城が眼鏡の位置を整えてから、僅かに声を低くして耳を傾ける。
「なんでしょうか」
「まだ…」
「まだ…?」
「記憶が戻ってから牛タンカレー食ってねええええ!!」
「はぁ?」
僕の叫びにさすがの高城も一歩後ずさる。
そしてもう一度眼鏡を掌でこしあげてからその右の手を胸の位置に下ろし、天に向けて人差し指を突き立てた。
「いいですか乙坂さん。我々はもうあの学校の生徒ではないのですよ」
「分かる、お前の言いたいことはよぉーく分かってるんだ。だが、あのカレーには諦めきれない何かを感じるんだよ!」
それを聞いて僅かに頬が緩んだ高城は、右手を拳に変えて己の胸をドンと打つ。
「そこまで言うのなら任せて下さい!あの二人の青春カレーは勿論私にとっても特別な物ですから、どんなことをしてでも必ず入手してきましょう!」
「頼む!」
「それでは早速!」
「おう!」
高城は駆け出すポージングを取るが、僅かに間を置いて顔を歪ませた。
「あれ…」
「どうした…高城?」
「能力が消えていたのをすっかり忘れていました」
苦笑いをしてこちらに顔を向ける高城に対して僕はずっこける。
「お前、あれから一年以上経ってるんだぞ」
「いやぁ、あなたがいないと使う機会などなかったものですから。はーはっは」
胸を張って開き直る高城とは反対に溜め息をつくと「それで」と話を戻す。
「普通にOBとして交渉してみるのはどうだろう」
「なるほど、その手がありましたか」
顎に指先をあて思考に耽る哲学者のような様相からは想像できないような思考回路の浅さが測れる返答をよこす高城。
前々から思ってはいたが、やはりコイツは馬鹿なのだろうか。いや、そうに違いない。
それからなんやかんやの交渉を終えて僕達は星海学園の食堂にいる。
元々兄さんの経営する学校なのだから、僕達は出入り自由なのだということをすっかり忘れていた僕も、高城クラスの頭脳しか持たないのだと実感する。
「さて、久々の対面となりますがご感想はいかがでしょうか?」
「最高という言葉以上何か必用かな?ふふふふ」
「いいえ、むしろ必用十分といえるでしょう。へへへへ」
僕と高城は向かい合って奇妙な笑いをこぼしながら、牛タンカレーの盛られたトレーを一番窓際のテーブルへと運ぶ。
「では乙坂さん、お先にどうぞ」
「いや、一緒にいただきますだ」
「良いですね。いつの間にかチームワークの心が芽生えたようで、なんだか素敵ですね」
微笑する高城は右手で眼鏡を整えてから僕を
(執筆中)
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