とある地下の暗密組織(フォートレス)
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第1話
ep.003 『赤く染まる幼い少女編 1』
前書き
ちょっと、やりたくなったので、長編始めました。
気楽、気長に続きを待って頂きながら、読んでいってください。
ある日の午後。
メンバーの内の数人に召集がかかった。
召集のかかったメンバーは会議室の席に適当に腰掛ける。机の上には無造作に置かれた参考書類があった。
一人、彼らが来るよりも先に座っている。
「おい。何の集まりだぁ~、こらぁ。」
と、夢絶が。
「何言っているんですか、叶先輩。」
と返答に御臼。
あと二人、同様に何の集まりか疑問そうに一人を見る。
「あー、今回集まってもらったのはこの面子で壊してほしい施設があるからだ。」
事を言い始めるは、叶世 重実。その死んだ魚のような目からは想像できないほどに、へヴィーな話を始める。
手を組み膝の上に肘を置き。
「今回の任務は、学園都市上層部直属の指令だ。失敗は、ありえねぇ。」
と、今度は前かがみになり。
「失敗も都市伝説になる事さえも許されない。」
資料を開け、工場のような場所の写真を見せる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なるほど。」
と席を立つ一人。
「要するにそこを不慮の事故にすればいいんですね。」
立ち上がったのは『fortress』が一人。水無月 千尋。
「おい待てっ! 今回の任務は破壊だけではない。」
引き留めたのは、叶世。そして水無月に席に着くように指で指摘する。
「ついでになってしまうが、『この施設に幽閉されているある一人の少女を強奪してきてほしい。』だそうだ。」
叶世が席から機敏に立ち上がり、そして命令。
「では、命令する。 以上の施設を破壊、及び施設内にいると思われる少女の確保後に、安全を確保しつつ帰還せよ。」
夢絶が憐れむ目で一言。
「お前も大変だなぁ。」
会議室とは言え、二十から十五歳までの男女が共生しているのだ。監視がないという訳にもいかない。なので監視カメラが設置されているのだが、この命令の作法さえも怠れば、職務放棄とみなされ、即刻追放なのである。
『fortress』も、学園都市が直接管理している。立場的には公務員という扱いを受けるのが結構尺である。だが、当人たちは結構楽しげなのでその点は全く持って不満ではない。破壊してしまった建造物もある程度であれば修復してくれるし、衣食住全て学園都市持ちである。
ただ一つ、彼らが辞めてほしいのは・・・・・・・・。
この組織の全体人数は18人なのだが、トイレが二つしかないと言うものだ。
話戻り、現在。
「なんだ。 たったのそれだけか。」
席に座っていた最後の一人、ルレシオ・ジン・シェイリアスが一言。
そして席を立つと、部屋の出口に真直ぐと向かう。
「そんなめんどくさいことを、何でおれがやらなきゃ~いけねんだよ。」
扉の取っ手をひねり、もう一言。
「俺は7区のゲーセンに行かせてもらう。」
付け加えて、
「今日は『スペースファイター SOUL』の店内大会なんだよ。」
そして部屋を出た。
「じゃあ、馬鹿を抜いた3人で事にあたってくれ。」
「・・・・・・・・・・、了解しました。」
御臼が了解の言葉とともに立ち上がった。ほかの2人も同様である。
「行きますよ。 叶世先輩、位置情報をよろしくお願いしますね。」
さっそうと三人は部屋を出ていく。
「さて。」
と、叶世も何か用事があるのか、部屋を出る。
向かった先は、地上。第7学区。
(さて、あいつをその気にさせるには、まだ交渉材料が要るな。)
もちろん、夢絶の事である。
(と言っても、俺は夢絶に対する交渉できそうなものなど全く持っていないぞ。)
途端に一人、交渉に使えそうな人物を思い出す。
プルルルルッ、プルルルルッ、プルルッ、ブツッ
『ハァ~イ、なんの用かな。 叶世くん?』
コピー機か何か、向こうでは『ピー』という機械音と、何かをかいているらしく激しい筆音が聞こえる。
「そちら側で何が起きているかはあえて聞かないが・・・・・・・・、少し、頼みたい事がある。」
電話の向こう側の音は激しく、忙しいというのが音だけで分かるほどだが、此方も忙しいといえば忙しいのだ。
夢絶 叶が今回の件で働かないとなると、本格的に死者がでる可能性も無きにしも非ずという事になってくる。
『おぉう、叶世くんからのお願いとは珍しぃ~。 聞いてあげるよ、出来るだけ叶えてあげるぅ~。』
言葉の最後に『ハート』と言ってくる二十歳手前のお姉さんが、恐らくタイピングをしながら言う。
「ああ。 助かる。」
感謝を言い、
「実は、【毎度の如く】夢絶が働かないのだが・・・・・・・・・。 そこで、御臼の写し」
「いいよぉ~。』
最後まで言う前に返事が返ってくる。
『その写真は有名でねぇ~。 本人たち以外には結構な知名度で、知っている人は多い人で30枚ぐらいは懐にストックしてあるんだよぉ~。』
向こう側で、ダブルクリックの音。
『かく言う、私も画像フォルダに1,2GBぐらいのストックがあるんだよねぇ~。』
そんなにか、と心の中で言った後。
「そのうち数枚、いや十数枚頂けないか?」
『だから、別に良いってぇ~。』
という訳で、こうして夢絶を働かせるための画像の準備は出来上がった。
第七学区、ゲームセンター。
格闘ゲームのコーナーから相当の熱気が漏れ出してきている。
「いやぁ~。 盛り上がってるねぇ~。」
「おい。」
冷静沈着、と言うより全く熱を持たない声。覇気さえ無ければ、気力すら感じない。
「例のものは持って来ているんだろうな。」
島崎 向子が両手を自分の胸の手前に持って来て防衛。まあまあ、と慰めを同時に入れる。
ポケットに手を突っ込みながら、写真を二枚取り出す。
「そう慌てないでぇ~。 結構大事なようだったから、とっておきを持ってきたよぉ~。」
叶世に渡す。
「あぁ~。 この写真だけど、一度に渡しちゃダメだよ。」
写真を離さずに、結構本気に思える。さすがは、幾度も夢絶を使いッ走りにした最上級者だ。
「了解した。」
その一言だけを言う。
「じゃあ、私はこれで。帰らないと(仕事の進行が)危ないからぁ~。」
そう言うと、地面に転移門が現れ、落ちていった。
(やれやれ。とんでもない能力だぜ。 あの女の能力は。)
同時。
丁度SFSの決勝が始まろうとしていた。
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