戦国異伝
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第二百四十話 果心居士その九
「よくもやってくれた」
「だからな」
「今度こそだ」
「こちらも使う」
「妖術もな」
「それもこれまでの操るものではなく」
「大掛かりなものをだ」
そうした妖術をというのだ。
「使いだ」
「そしてだ」
「あの者達の軍勢を破り」
「天下を乱す」
「そうしようぞ」
「それにだ」
ここで声の中の一人が言って来た。
「我等もおる」
「おお、百地殿か」
「百地殿もおられたな」
「そしてだったな」
「わしの家の他にだ」
百地の声以外にだった、三人の声が言って来た。
「我が石川家、それにだ」
「楯岡家もある」
「音羽家も忘れるでない」
「そうであるな、忍の家もある」
「四つな」
「四つも忍者の家があるのだ」
「妖術だけではない」
彼等にあるのはというのだ。
「妖術は高田、天海、崇伝、杉谷、無明、津々木にじゃ」
「御前もおられる」
「そこに忍の四家」
「これだけおればな」
「万全じゃ」
「松永めがおらぬが」
一人がここで言った。
「まあよいか」
「うん、所詮は表にひかれていた者」
「家の者達もついていった」
「血の盟約には逆らえぬというのに」
「無理にあがき滅んだ」
「信貴山でな」
「あの者はよい」
松永はというのだ。
「所詮武は武」
「妖術には劣る」
これが彼等の考えだった、彼等の戦いはあくまで武ではなく妖でするものだ。そこが武士とは全く違うのだ。
「妖術のおそろしさ前にはな」
「所詮匹夫の技よ」
「妖術で幾十万もの大軍を一気に倒し」
「そして天下の決着をつけてやる」
「あの者達も間もなく来る」
その彼等はというと。
「明、そして南蛮からな」
「日の本だけでなく辺りにいる海賊も全て集めた」
「倭寇と称する連中もな」
「呂宋や南の島々まで行った」
「そして全て金で釣るか操って連れて来た」
「あの者達もおる」
「怪しげな伴天連の者達もな」
まさに彼等もというのだ。
「あの者達も使い」
「そして戦い倒そうぞ」
「織田信長ごとな」
「日の本の軍勢を消し去ってくれるわ」
闇の中で言うのだった、そして。
闇の真ん中にいる老人がだ、ここで言った。
「では南蛮、明等の者達が来ればな」
「その時にですな」
「次の戦ですな」
「それを仕掛けますな」
「場所はもう考えてある」
攻めるその場所もというのだ。
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