少年少女
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第二話
第二層 フィールド
キリトからあの話を聞いてから、数週間が立った。
俺は話の内容など、気にも留めずにいた。というより、忘れてしまっていたのだが。
クエストで使うレア素材がこの第二層のレアモンスターから取れるとの事で、息抜きを兼ねてサクサクと狩っている。ここは近場の村から若干距離がある丘のエリア。当時はレベル上げの為によく行っていた場所だ。
「よっ、はっ。」
当時はそこそこ苦戦し、回復やら村に補給に戻るやらして戦っていたが、今の俺には苦戦のくの字もないくらい楽勝で、ソードスキルなぞ使わず、一撃でモンスターを斬り伏せている。まぁ、階層が階層だけに、自慢にならないが。
二時間ほど狩ると、ようやく素材をドロップした。
出なさ過ぎだと思いながら、俺はクエストの報告に戻る為、転移結晶を取り出す。
ふと人の気配を感じ(たような気がした)、振り返ってみる。
すると、百メートルほど先でモンスターが数匹で一人のプレイヤーと思われる人物を襲っているのを発見する。襲われている方は走って逃げているが、、、
まずいな、そっちは崖っぷちだ。
そう思いながら、俺は走り出していた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「っ!行き止まり・・・!?」
私は崖っぷちまで来ると、立ち止まってそう口にする。
複数のモンスターに迫られ、このままでは殺られてしまう。
このゲームでの死は現実での死・・・
「これも報い、か。」
私は諦めの表情を浮かべ、そう呟いた。
実際、SAOに迷い混んだのは、つい数日前、レベルもソロだとモンスター複数を相手に出来るレベルじゃない。
モンスターが私に襲い掛かろうと、じりじりと近付いて来る。
せめて、苦しくないと良いんだけど。
お母さん、お祖父ちゃん、お祖母ちゃん、ごめんなさい。
私はぎゅっと目を瞑り、死を覚悟した。
「・・・」
ドサッ、、、パァン
ドサッ、、、パァン
「・・・?」
倒れる音が聞こえ、その後に四散する音が聞こえた。
私は不思議に思いながら、恐る恐る目を開ける。
「間に合って良かった。大丈夫か?」
そこには和服と甲冑が混同したような装備を纏った、20代くらいの男性プレイヤーが私を見ていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
遠くからでは分からなかったが、襲われていたのは女性プレイヤーだった。黒髪のショートヘアーで、前髪サイドを肩に掛からない程度に伸ばしており、白いリボンで前髪サイドを両方それぞれ束ねている。
女性だと分かるや、ちょっと緊張してしまう辺り、俺も思春期ってやつなのかな、とか思ってしまう。
「有り難う、ございます。」
「いえ、無事で良かったです。」
これが、俺と、相棒である、シノンの出会いであった。
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