なんだかんだ言ってるけど結局の所、大天使様も〇〇なんだよね
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最北端での出逢い
「申し上げまするっ!安東軍の福島城勢は現在、柴崎城に向け進軍中っ!その数およそ4000!」
早馬が走ってきて、敵の現在地を知らせた。
「して兵種は?」
李広が聞いた。
「はっ!歩兵約半数、騎馬700、鉄砲隊300程かと思われまする。」
「あいわかった。...雪乃殿...この様な事になってしまって申し訳ない。しかし、来るからにはわしも戦わなければなるまい。領民が殺されるのを黙って見るほどわしは落ちぶれておらんでの。...そなたには悪いが...ひとまず徳山館でおってくれ!」
そう言うと側近の人に言って馬車を持って来させた。
「それでは雪乃殿、さらばじゃ」
そして私は徳山館へと向かっていくのであった。
橋を渡ろうとした時、雪乃はふと空を見上げた。
(今、空に何か見えた様な...?)
空に人位の大きさの物が飛んでいたように見えたのだ。しばらくそのまま進んでいると...
「...ふふふっ...ふふふふっふん....♪」
まだ幼い子供の様な声が聞こえた。
(子供の声が...!)
そして雪乃は馬車の人に
「...すいません!少し止まってもらって良いですか!」
そう言って馬車から降りると森の中へ入って行った。
「...ゆ、雪乃様っ!一体何処へ参りまするかっ!」
馬車の者が慌てて追いかけてくる。
「...っ!」
雪乃には自分にだけ何かが話しかけて来ているかの様に、森の中を何の迷いもなく進んで行く。そして少し開けたところで
「あなた!あなたが私を呼んでいたの?」
従者の者は訳が分からず辺りをキョロキョロしている。
「...そう...か。お姉ちゃんには僕が見えるんだね...」
そう言うこの子は男の子だろうか?10歳程の可愛らしい子だ。どこにでも居そうな普通の子。でも、服が少し違う。
(...この子...さっき飛んでた子だ...!)
そして雪乃は
「君を私はさっきも見たわ。君は空が飛べるんだね?私には見えるってどうゆう事なの?」
すると子供は
「それは僕が天使だからだよ。」
(天使!?そんなものがいるわけ...)
従者が
「...あの...雪乃様、急ぎませんと殿に私めが怒られまする...」
「ちょっと君うるさいね、眠ってて貰えるかな?」
子供がフゥ〜っと息を吐くと従者は魂が抜けた様に倒れてしまった。
(...!この子一体何したのっ!)
雪乃は慌てて従者に駆け寄ろうとすると
「大丈夫だよ、お姉ちゃん。この子は寝てるだけだから」
そう言った子供の顔はとても可愛らしく笑っている。
「...あなたは本当に天使なの?」
雪乃は状況が理解出来ないらしく子供に聞いた。
「ふふふっ、信じられない?僕もだよ!見ず知らずの人間にいきなり見つけられるだなんてね。もしかしてお姉ちゃん、この世界の人間じゃないの?」
子供は無邪気に聞いた。
(...私は...確かにここの人間じゃない。でも、別の世界からなんて来たわけじゃない...!)
「へ〜、お姉ちゃん未来から来たんだ!面白いね!」
(...!)
雪乃は自分の考えた事を当てられてびっくりしている。
「僕は感性と生命を司る天使...ミハエル一族の家長なんだっ!よく若いって言われるけどこれでも今年で261歳なんだよっ!」
またまた雪乃はびっくり。
「...なら何で私をお姉ちゃんなんて呼ぶの?」
「うーん、何となくかな。それと男の子男の子って何度も呼ばないで!僕にとっては考えも言葉とあまり関係ないんだ。ガブリエルがいたら聞かなくて済むのに...僕は女だよ。リリヤ・R・ミハエル。13代目だよ!」
リリヤは何と女の子?だったのだ。(おばさんなんて言ったら殺されるだろうなと後に直也は思った)
「...とりあえず私と徳山の館に来ない?」
雪乃は子供を放っておけないと思ったのか声をかけた。
「...嬉しいけどお姉ちゃん。戻った方が僕は良いと思うよ...海の方からすごいたくさんの人の血の匂いがする...」
(...って事は李広さんが危ないのかもっ!)
リリヤは少し顔を暗くした。そしてすぐ顔を明るくしたのであった。
「...でも懐かしい匂いもする!」
リリヤは楽しそうにクルクル回った。
(...懐かしい匂い...?)
雪乃が考えているとリリヤは白い煙を、まとったかと思うと
「...ぷはぁっ!ひっさしぶりに[気衣替え]したぁっ!」
(...気衣替えってなんだろう...?)
雪乃が、そう思うと
「お姉ちゃん、これはみんなに僕が見えるようにしたんだよ!ほら、羽根はみえないでしょっ!」
クルクル回るリリヤを見ると確かに羽根はない。
「ほら!早く行こっ!僕馬なら乗れるからっ!」
そしてリリヤは指笛を吹いた。すると馬車の馬が走って来たではないか。
「...リリヤはすごいのね!馬まで呼べるなんて」
雪乃が素直に感想を言うと
「...へへへっ...褒められちゃった...」
と、ちょっぴり照れながらリリヤは馬にまたがり
「お姉ちゃん、勒はないけど乗れる?乗ったらちゃんと僕につかまってね!」
雪乃は言われた通り乗ってからはしっかりリリヤの背中に手を回してつかまった。
「...じゃあ行くよっ!」
そう言うとリリヤは勢いよく馬を走らせ始めた。
リリヤの馬はあっという間に先ほどの川を越え、山を越え、海までこの山を登るだけとなった。
「お姉ちゃん!もう着くよ!...!」
リリヤはいきなり馬を止めてしまった。
「お姉ちゃん...来ない方が良かったかも...」
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