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ブットネーラ

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第四章

「これがなの」
「母さんに言われた、御前に早いうちに良縁がある様にってな」
「そう、だからね」
 ここでジュリエッタも言って来た。
「いいブットチーネを買ってもらったの」
「これって確かギリシアかローマの」
「女神様のものらしいな」
「だから胸なのね」
「あんたが早く結婚してね」
 そしてというのだ。
「いい相手の人と幸せになれる様に」
「またそのこと?」
「何度も言うけれど」
「早く結婚しろっていうのね」
「そう、だからよ」
「全く、お母さんはそればかりね」
「少なくともいいブローチでしょ」
 そのブットネーラについてまた言った母だった。
「そうでしょ」
「まあね、デザイン自体は好きよ」
「その服でいいわね」
「これ着てお祭りに行くわ」
 実際にと答えたマリアだった。
「ちょっと髪型も変えてみたし」
「三つ編みにしたのね」
「これで行くから」
「そう、じゃあ相手見付けてきなさい」
「楽しんでくるわ」
 祭りに行く目的は平行線の母娘だった、だが。
 マリアは父が買ってくれた民族衣装特に胸のそのブットネーラに満足しつつ祭りに出た、他の娘達も見事な民族衣装だったが。
 皆マリアのそのブットネーラを見て口々に言った。
「これかなり高くない?」
「いいのじゃないの?」
「流石に純金じゃないにしても」
「かなり高いでしょ」
「そう言われたわ」
 実際にとだ、マリアも友人達に答えた。
「お母さんがお父さんに言ったのよ」
「何て?」
「何て言ったの?マリアのお母さん」
「私が早く結婚する様にって」
 言われたことをそのままだ、マリアは友人達に話した。
「だからなのよ」
「そのブットチーネなのね」
「それを付けてってことね」
「マリアに早く結婚しろ」
「それで子供もっていうのね」
「そうなのよ、私まだ高校生なのにね」
 その小柄な身体で腕を組んでだ。マリアは憮然とした顔になって言った。
「結婚とかね」
「そうよね、それはね」
「マリアのお母さん極端ね」
「高校生だとね」
「結婚なんてね」 
 それこそとだ、友人達もマリアの言葉に頷いて言う。
「そんな話はまだまだよ」
「ずっと先よ」
「高校生の時は遊ばないと」
「それが先よ」
「全くよ、だからこのブットネーラは気に入ったけれど」
 それでもと言うのだった。
「今日は皆で遊び倒しましょう」
「出店は一杯あるし」
「ワインも安いしね」
「パスタ食べてピザ食べて」
「皆で遊びましょう」
 こう言ってだ、マリア達は着飾った姿で祭りの中身も楽しみだした。トマトやガーリック、オリーブを利かせたパスタにチーズをこれでもかと乗せたピザに肉をワインと一緒に楽しみ。 
 祭りのパレードも見て楽しんだ、女の子達だけで賑やかに遊んでいたが。 
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