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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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逆転の発想

 
前書き
私事なのですが・・・大魔闘演舞終わった後の日蝕星霊編って・・・いる?
いや、ストーリーも何となく思い付いてはいるんですよ?シリルがアリエスと戦うという謎の展開をやってやりますけども。
ウェンディと一緒にアクエリアスと遊ぶ?ないです!!大魔闘演舞でもそうでしたが、極力シリルはウェンディの活躍の場はよほどのことがない限り奪いません!!(ブルーミストラル編は・・・ノーコメントで)
やっぱり頑張ってるウェンディの邪魔するのはなんか嫌なんですよね・・・はい。
でもそれだったら日常編やったりケモケモのストーリー詳しくやったりシェリアやレオンと絡むストーリーやったりして冥府の門(タルタロス)編入った方がいいかなぁ?って思うんですが・・・どうなんだろ・・・※ただ面倒なだけです 

 
「がっ・・・あぁ・・・」

レオンの強烈な膝蹴り。そのあまりの痛みに呼吸が荒くなり、涙が止まらなくなる。しかもレオンが腕を掴んでいるせいで飛ばされることもなく、痛みを引かせる時間も飛ばされることで多少のダメージを緩和させることすら許されない。

「ごめんごめん。でもこれは戦いだから」

悪く思わないでな、といい腕を掴んだまま、反対の手で腹部をパンチしてくる。

「ご・・・は・・・」

彼の一撃があまりにも強力すぎて、内臓が抉られるような・・・そんな痛みと吐き気が同時に込み上げてくる。
さすがに苦しすぎて、膝をついてしまう。それを見てなのかどうかはわからないけど、レオンは掴んでいた腕を離してくれる。俺は少しでも苦しさから解放されようと四つん這いに深呼吸をする。

「さすがにやり過ぎちゃったな。俺、手加減とか全然出来ないからさぁ。全力でやるしか俺にはないんだ」

上から見下ろしながらそう言うレオン。俺はそれに対し何か言葉を返そうにも、呼吸をしているのがやっとの状態なため、ただ下を向いて肩で息をしていることしか出来ない。

「本当に大丈夫?ギブアップしてくれるなら破滅の冬(フィンブル)も引っ込めるよ?じゃないと運営も何が何だかわかんないだろうし」
「だ・・・誰がギブアップなんか・・・」

痛むお腹を押さえながらフラフラと立ち上がる。俺は絶対に降参なんかしないぞ。
優勝するためには1人でも多くの人を倒さなきゃいけない。それに他の皆さんもそれぞれの敵と戦っている。今レオンに俺が降参してしまえば、彼は迷わず他のメンバーの援護に行くだろう。
そうなるといくらラクサスさんやグレイさんでも勝利するのは厳しくなる。
そして何より・・・ウェンディだって今の俺と同じくらい辛かったはずなのに、格上のシェリアに降参なんかしなかったからだ。
むしろ俺の方があの時のウェンディよりも状況はいい。シェリアはいくらでも傷の回復が出来るから、ただウェンディにダメージが蓄積していくだけの展開になりかねないところだった。
だけどレオンにはそんなことは出来ない。おまけにこいつはグラシアンさんとの戦いで満身創痍になっていた。それなのにウェンディが棄権しないで俺がするなんて・・・絶対にやっちゃいけない!!

「本当にシリルはすごいな・・・魔法だけじゃなく、精神力(メンタル)まで一級品なのか」

どこか羨ましそうな目付きで俺のことを見つめているレオン。でも、それに関してなら俺だって同じことが言えるぞ。

「俺もお前が羨ましいよ」
「?俺の?どこが?」

素頓狂な顔をして質問してくるレオン。俺は痛みで乱れていた呼吸を整えながらそれに答える。

「圧倒的なパワー。広範囲に影響を与えられる魔法。そして、それをいくら繰り出しても尽きることのない魔力。まるで魔導士の完成形を見ているようだよ」

細かな技量は無くても、自分の長所をただひたすらに伸ばしていったからこそできる領域。それは努力や絆よりも先に“才能”がなければ絶対に到達できない。
才能は持って生まれた瞬間におおよそ決まっている。俺は偶然、自分に与えられるはずだった魔水晶(ラクリマ)を手にいれたことで視力が超人的に良くなった。そう言う例外もあることはあるけど。

「完成形ね・・・俺は全然そんな気はしないけどね」

別段表情を崩す様子もなくそう返してくるレオン。彼は自分の能力の高さがどれ程なのか、いまいちわかってないんじゃないだろうか?その一番の原因は幼い頃の嫌な記憶にあるのだろうな。

「まぁ・・・今はその方がありがたいけど」

勝負ごとにおいて、俺は勝つためには3つの要素が必要だと思う。1つは力。他者をねじ伏せ、自分の思いのままに試合をコントロールできる能力。
2つ目は“運”だ。『勝利の女神が微笑む』ってよく言うけど、あれって要は神様の気まぐれってことだろ?勝負は時の運とも言うし、普通なら勝てる相手にもたった1つの不運で負けることはある。だから運もツキも大事だと思うんだ。
3つ目は・・・“想い”だ。例えどれだけ強かろうとも、運が味方してくれようとも、『勝ちたい』『勝てる』そういう気持ちがなければ体は付いてこれないと思う。
1つ目に関してはレオンが優勢だろう。技量なら俺にも分があるかもしれないけど、パワーに差がありすぎて正直厳しいところがある。
2つ目は・・・今はよくわからない。レオンに味方している時もあれば、俺に味方してくれてる時もある。どっちに傾いてるかなんて、全く予想はできない。
だけど、3つ目に関しては間違いなく俺の方が上だ。レオンは自分に自信がないから、勝とうという欲が少ないんだ。仲間のために負けられない俺と力でねじ伏せにいきたいレオン。気持ちにおいては誰がどういうとも俺が圧勝に決まってる。

それに、今まで俺たちは格上の相手と戦うなんてしょっちゅうだったじゃないか。エンジェルもエリゴールも、エドラスの俺もドロマ・アニムも、カミューニさんもコブラもハデスも・・・みんなあっちの方が絶対に強かった。だけどそれを俺たちは覆してきた。仲間のためにって想いで。
今回の相手だって同じだ。今までよりも遥かに格上なだけで、何も変わりなんかない。気持ちでさえ負けなければ、何とかできるはずだ!!

「水竜の・・・」

痛む体にムチを打ち、敵に拳を叩き込もうと魔力を込める。

「鉄拳!!」

自分が今できる最速の動きでレオンに右ストレートを押し込もうとする。しかし、その渾身の一撃はあっさりレオンに交わされてしまい、背後を取られてしまう。

「氷神の・・・・・」

背後から敵がブレスを放つために空気を吸っているのを感じる。もう後ろを振り向いて彼が放とうとしている方向を確認する余裕はない。一か八かレオンのブレスから逃れようと試みるがそれよりも早く、

「怒号!!」

レオンのブレスが俺の背中を直撃した。
























第三者side

「「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」」

2人の青年がボロボロになり、肩で激しく息をしている。両者共に氷の魔導士である彼らは、この吹雪の中でも互いの能力を出し切った戦いをしていたため、かなりの疲労が溜まっているようだった。

「全く・・・しぶとさだけは一級品だな、グレイ」
「そのセリフ・・・そっくりそのまま返してやるよ」

普段は絶対にかけないであろう相手を褒める声。それを聞いた2人は笑みを浮かべる。

「にしても・・・さすがにやべぇな・・・」

上半身裸で、腕にアームカバーをつけている黒髪の青年は傷だらけの自分の体に視線を落としそう呟いた。
相手も今でこそボロボロになってはいるが、彼はすでに別の相手とも戦っていたがために全身ズタズタである。それでもこうして立っているのは、こいつにだけは負けたくないという強い気持ちのおかげなのかもしれない。

「フゥー」

大きく息をつき、精神を安定させるグレイ。そこから彼は兄弟子であり、敵であるリオンを真っ直ぐに見据え、両手を合わせる。

「アイスメイク・・・」

彼の魔法である氷の造形魔法・・・それはこの吹雪の中で通常よりも威力を増しており、相手に与えるダメージは凄まじいものへとなっていた。だが、それはリオンにとっても同じことなのである。

「アイスメイク・・・」

グレイと同じように両手を合わせて冷気を纏わせる。2人の造形魔導士が同時に技を繰り出そうとしたその瞬間、

『わあああああああ!!』

何かの叫び声が聞こえてきた。

「なんだ?」
「この声は・・・」

やる気を削がれた格好になったグレイとリオン。2人は同じタイミングで声が聞こえてきた方向へと視線を移す。
叫び声と共に何かを突き破りながら進んでいる音が聞こえてきて、嫌な予感を拭いきれないグレイ。彼のその予感は見事に的中する。

「わあああ!!」
「シリル!?」

自分たちの周りを囲んでいた家の壁から、水色の髪をした少年がこちらに向かって飛んでくる。しかもかなりの速度で飛んできていたため、少年は一瞬のうちにグレイの目の前までやって来ており、

ガンッ

グレイに避ける暇さえ与えず、衝突してしまった。

「いったぁ~!!」
「なんで俺まで~!!」

ぶつかったグレイは飛んできたシリルの勢いに押されて、彼と一緒に飛ばされていく。

「グレイ!!待て!!」

それを見たリオンは敵・・・というよりも恋敵であるグレイが飛んでいった姿を見て、まだ決着はついていないと追いかけ始める。

「がっ!!」

グレイに衝突したことで勢いが弱まったのか、シリルはしばらくしてようやく止まることが出来た。だが、グレイはぶつけられたせいで、リオンと戦っていた場所よりもかなり遠いところへと飛ばされていったようだった。


















「うぅ・・・」
「これ・・・いつまで続くの・・・」

身を震わせ、少しでも暖を取ろう互いに強く抱き締め合っているのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のジュビアと蛇姫の鱗(ラミアスケイル)のシェリア。
2人の少女は現在レオンが放っている魔法『破滅の冬(フィンブル)』で気温が下がってしまったせいで凍えてしまっており、動くに動けなくなっているのである。
いつまでも止む気配のない吹雪。ジュビアは厚着にニット帽まで被っているのにこの震えよう。ノースリーブにミニスカのシェリアは彼女の何倍も寒いはずである。

「どわあああああ!!」

そんな2人の耳に、聞き覚えのある声が聞こえてくる。彼女たちは目を軽く開けて声の主を探す。すると、かすかにではあるが、その人物を捉えることが出来た。

「あれって・・・」
「グレイ様?」

叫びながら飛んできているのはジュビアの想い人、グレイ・フルバスターだった。
グレイは何かによって飛ばされてしまったようで、かなりの速度で抱き合っているジュビアとシェリアに飛んできている。

「え!?ちょっと!!」

シェリアは嫌な予感をしたようで、顔を真っ青にしている。
グレイは自分がジュビアたちにぶつかろうとしているのにようやく気付いた。だが、彼にはそれを止める術がない。

「あ~ん♪グレイ様~!!」
「ひゃっ!!」

大好きな男性が自分目指してやって来ているのだと勘違いしたのか、ジュビアは目をハートにして彼を抱き締めようと両腕を広げる。その際彼女とさっきまで抱き合っていたシェリアは軽く投げ捨てられた形になり、尻餅をついていたが。
だが、グレイはシリルと衝突したせいでかなり早めに飛んできていたせいで、

ゴチンッ

頭と頭が激突して倒れ込んでいた。

「いった~」

雪がついてしまったお尻を叩きつつ、立ち上がるシェリア。彼女は飛んできたグレイと自分を投げたジュビアに一言言いたくて彼らのことを探していたのだった。

「もう!!一体なんな・・・の・・・」

2人を見つけたシェリア。彼女は吹雪の中でかすかに見えたグレイとジュビアを見て固まってしまう。
水髪の女性が黒髪の男性に押し倒されている形になっており、2人の唇がはっきりと重なっているのだ。おまけに男の右手が女性のふくよかな胸を握っている格好になっているというおまけ付きで。

「あ・・・愛・・・/////」

自分のことではないのに、耳まで真っ赤にしたシェリアは口元に手を当て、その様子に見入っている。グレイは何が起こったのか把握するのに時間がかかっていたようで、しばらく固まっており、ジュビアはアクシデントとはいえ念願が叶ったことに、どこか嬉しそうな表情で目を瞑っていた。

「わ・・・悪ぃ!!」

ようやく意識が返ってきたグレイ。彼はすぐに彼女の上から体を退けて距離を取る。想い人の唇が離れてしまったジュビアは、唇を寂しそうに押さえながら上体を起こす。

「ジュビアは・・・ついにグレイ様と・・・/////」

大喜びするのかと思っていたら、意外にもジュビアは顔を赤くしてグレイと視線を合わせられないでいる。しかもグレイに先程、自分の女性の象徴を触られながら唇を合わせたことにより、頭の中にはその先の展開しか浮かんでこない。

「ま・・・待て!!今のは不可抗力だ!!これはノーカン―――」

完全に妄想の世界に入ろうとしているジュビアに大声で叫び、先の行動を無効化しようとするグレイ。だが、そんな彼のすぐ目の前を氷の鷲が音速を凌駕するほどの速度で通過していき、言葉を発することが出来なくなってしまう。

「グレイ・・・貴様・・・」

鷲を放ったのはもちろんこの男。シェリアの後方より現れたその男は、この視界の中にも関わらず、離れていた恋敵と想い人の口付けに鬼の形相になっていた。

「リオン!!」
「リオン様・・・」

シェリアとジュビアは声の主である銀髪の青年の方に視線を向ける。が、視界が悪いこともあり、彼がすごい表情になっているのは確認できていない模様。

「ジュビアとキスをするなんて!!なんて羨ま・・・羨ましいんだ!!」
「「こいつ言い切った!!」」

取り繕うとする気配すら感じさせず、はっきりと言い切ったリオンにシェリアとジュビアは突っ込み入れる。

「待てリオン!!今のはたまたまだ!!俺はそんなつもりはねぇ!!」
「言い訳など見苦しいぞ!!俺のジュビアの唇を奪った罪!!ここで償わせてやる!!」
「お前のじゃねぇ!!」

予想できていなかった展開を目の当たりにしたリオンは普段の冷静な佇まいから一転、完全におかしくなってしまっていた。

「アイスメイク・・・(ミズチ)!!」
「ぐわああああああ!!」

彼の繰り出した造形。それは近くにいたジュビアを綺麗に避け、グレイ1人に見事に命中する。

「グレイ様!!」
「ちょっとリオン!!あんな的確に狙えるならちゃんとジュビアにも攻撃しなよ!!」

攻撃を受けたグレイに駆け寄るジュビア。それを見たシェリアはプンスカしながらリオンにそう言う。

「それはお前に任せよう。ただし、傷をつけたら許さん」
「無理!!」

リオンの無理難題にシェリアはびっくりしながらそう言う。

「なんでリオン様はあんなに正確に攻撃できるの?」
「そりゃあ、氷の魔導士だからな」

ジュビアの疑問に冷静に説明するグレイ。するとグレイは両手を合わせて、リオンに氷の槍を飛ばしていく。

「アイスメイク・・・氷創槍兵(フリーズランサー)!!」
「ごはっ!!」

後方に数歩下がるリオン。シェリアはグレイもリオン同様にあっさりと相手に攻撃をしたことに戸惑いを隠せない。

「ジュビア!!」
「は・・・はい!!」

グレイは自分の後ろにいる女性に声をかけると、リオンに視線を向けたまま抱き寄せる。

「俺から離れるなよ!!」
「は・・・はい!!/////」

グレイは視界が悪く、自分とリオンしかまともに見えるものがいないからそう言ったのだが、ジュビアにとってそれは愛の告白に等しいものだった。

「絶対離れません♪ダーリン♪」
「お前何言ってんだぁ!!」
「いかん!!早くジュビアの目を覚まさねば!!」
「目を覚ますのはリオンの方だよ・・・」

困惑を極めていく4人の関係。勘違いが激しく入り乱れる4人のタッグバトルが開始された。


















シリルside

「どうなってるんだ?なんでさっきまで当たった攻撃が・・・」

攻撃だけじゃない。防御においてもそうだ。さっきまでは簡単に回避することができ、試合を有利に進めていたのに、この吹雪が吹き荒れてからレオンの思うがままに試合が進んでしまっている。どうなってるんだよこれ・・・

「お?やっと見つけた」

俺が飛ばされてきた方向からヒョコッと現れたのは金色の髪をした少年。少年は自分が吹き飛ばしてしまった俺を見つけてゆっくりと歩み寄ってくる。

「な・・・なんで・・・」
「ん?何が?」

首をかしげるレオン。俺は彼の方を向いて思ったことをそのままぶつける。

「なんでお前に魔法が当たらないんだよ!!」

俺の魔法が全く当たらない上にレオンの交わせていたはずの魔法がぶつかってしまう。一時はレオンの速度が上がっているのかとも思ったけどそんな感じはしない。目を使って見ている感じではレオンの動きは決して早くなっていない。じゃあなんでこんな展開になっているんだよ、と思い、本人に聞いてみた。答えを教えてくれるかはわからないけど。

「?なんでって・・・そんなの簡単じゃん」

むしろなぜわからないといった感じの表情のレオン。それがわからないからこっちは対処法がなくて困ってるんだよ!!
俺のそんな考えを知ってか知らずか、レオンは俺を指差しながら答えを言う。

「シリルの速度が落ちてるんだよ」
「・・・は?」

一瞬頭がついていかなくなる。俺の速度が落ちてる?

「そ・・・そんなことあるわけないじゃん!!」

こういってはなんだが、俺はまだ全然疲労している感じはない。ベストの状態に限りなく近いといって良いだろう。それなのに、速度が落ちているとは考えられない。魔力も第二魔法源(セカンドオリジン)のおかげでかなりあるはずだし、そんな騙しを食らうはずない。
すると、レオンは肩をすくめてため息をつく。

「わかってないなぁ。シリルの速度は落ちてるよ。いや、というよりも、この吹雪の中にいる大半の人間の速度は落ちてる」
「?どういうこと?」

この中にいる人間の?この吹雪自体が相手の速度を落とす魔法なのかとも思い聞いてみたが、レオンはそれを否定する。

「この吹雪は視界を遮るだけじゃない。寒さで相手の筋肉を硬直させているんだ」
「寒さで?」
「そう。人間は皆寒ければかじかみ、動きが鈍る。ただ相手も同じように速度が落ちてるからみんな気付いてないだけ。俺やリオンくんのような氷の魔導士と戦っていれば、すぐにそれに気付くはずなんだけどね」

魔法の特性じゃない。人間の特性をついた作戦ということか。言われてみると、寒ければ普段よりも動きが悪くなるのはすぐにわかることだ。レオンが普通の速度で迫ってきているから、自分自身に起きていた異変に気付かなかったのか・・・

「相手が早くて当たらないなら、相手に自分のレベルまで落ちてきてもらえばいい。それが一番簡単なことだからね」

確かにその通りだ。今まで戦ってきた人や見てきた人たちは、みんな相手が強ければ自分がそのレベルにいこうとし、魔力を上げる何かをしていた。だけど、彼のように相手に自分のレベルまで落ちてきてもらえば、単純な話自分が相手のレベルにいくのと同じような状況を作り出せる。
相手と対等に戦うために、自分の能力ではなく相手の能力を変化させるか・・・逆転の発想だな・・・

「でも・・・それも簡単なことじゃないと思うな・・・」

相手に落ちてきてもらうならば自分にかかる負担も減少するだろう。だけど、今のレオンはかなり無駄な魔力を使っていると思う。こんな広範囲に魔法をやるなら、自分の魔力を高める魔法を身に付けた方が魔力の減りなども考慮すると最善の策だと思う。あとで教えてやるかな。

「だったら俺は・・・自分を信じる!!」

レオンがそう言う方法を取るのなら、俺は今までやって来た自分を高める道を選ぶ。むしろ、それしか俺にはやれることがないのだから。

「モード・水天竜!!」

全身に風を・・・ウェンディの魔法と同じものを纏っていく。それを見たレオンは「お?」といい、何か驚いたような顔をしていた。

「それって伏魔殿(パンデモニウム)で見せたやつか」

3日目の競技パートでSクラスのモンスターと戦うために解放した状態。あの時はあっさり方がついたけど、今回は長期戦になるのを覚悟した方が良さそうだな。

「そっちが相手を落とすなら、それに負けないようにこっちも能力を上げてやる!!」

下げられた分は自分の魔力で埋めてやる。それくらいしなければ、この劣勢を建て直すことは出来ない。

「勝負だ!!レオン!!」

















 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか?
レオンの『破滅の冬(フィンブル)』の特性、相手をかじかませて動きを悪くする・・・ドラゴンフォースで能力を高めるシリルたちから見ればなかなか珍しい方法だと思います。
そしてまさかのジュビアとグレイのキス。グレジュビ好きだからやりたかったんです・・・ごめんなさい。
しかし、もしかしたらこれがリオン攻略の鍵になるかもしれませんよ(笑) 
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