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戦国異伝

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第二百三十九話 伊賀攻めその十一

「今日か明日にじゃな」
「ああ、来られるよ」 
 風も確かな声だった、まさに確信しているものでそれは言葉だけでなく顔にもはっきりと出ていた。そうしたことを話してだった。
 信長は弓の鍛錬を終えてだった、そのうえで。
 風呂に入ってから夕食を食べた。それが終わった時にだった。
 不意にだ、小姓の一人が彼のところに来て言って来た。
「上様」
「来たか」
「おわかりですか」
「うむ、果心居士がじゃな」
「そう名乗っています」
 実際にとだ、小姓も答えた。
「その様に」
「よし、では会おう」
「お会いになられますか」
「当然じゃ」
 信長は確かな笑みで小姓に答えた。
「その為に飛騨者達に働いてもらったからな」
「だからですか」
「ではじゃ」
 さらに言う信長だった。
「これより会おう」
「さすれば」
「飛騨者達も呼べ」 
 こうも言った信長だった。
「あの者達もな」
「師弟の再会ですか」
「それもよいであろう」
 こう考えたからだというのだ。
「だからな」
「さすれば」
 こうしてだった、信長は果心居士と会うことを決めそしてだった。
 その場に飛騨者達も呼ぶことにした、そのことを決めてから主の間に向かった。だがここで信長は間に向かう時にすぐ後ろにいる蘭丸に言った。
「まさかな」
「ここまで早く、ですか」
「来るとは思っていなかった」
 その果心居士がというのだ。
「明日だと思っておった」
「来ることはですか」
「思っておった」
「果たして本当にいるのかとも言われていましたが」
「いや、飛騨者達の師であるからな」 
 それ故にというのだ。
「だからな」
「まことにいることはですか」
「まず間違いないとは思っておった、確信はなかったがな」 
「それでお言葉に疑うものもですか」
「あったのじゃ」
 このことはだ、信長も否定しなかった。
「しかしな」
「それでもですか」
「今日来るとはな」
「それは、ですか」
「思っておらんかった、しかしな」
「来られたからには」
「会う」
 そうするというのだ。
「では行くぞ」
「はい、間に」
 蘭丸も応えた、そしてだった。
 信長は乱丸を従えたうえで果心居士と会うのだった、天下を定める戦いに勝つ為に。


第二百三十九話   完


                         2015・8・12 
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