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がっこうぐらし!The world in confusion

作者:ウィング
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chapter33

「悠里…音姉…みんなどうして…此処に」

信じられない口調で私達に向けてゆうくんはいった。

その言葉は私だって同じだ。

この8日間ゆうくんが死んだとばかり思っていたんだ、それが今目の前にいる。

帰ってきたらひとつやふたつ文句をいってやろうと思ってたんだけどうまく言葉を口にできない。

「雄也先輩!」

ゆうくんの隣にいる女の子がゆうくんに向けて叫ぶとはっとして正気になったゆうくんが私達に顔を向ける。

「悠里、胡桃、みんなを連れてここから逃げろ!」

「…え?」

とっさのゆうくんの言葉に私は耳を疑った。

逃げろってどういうこと?そういえば此処にきたときも時間がないって…

「圭は悠里たちの護衛に付いてくれ、こうなれば人数が多すぎてさっきの作戦は使えない、俺は囮になって敵の気を引き付ける…悠里たちのことを頼む」

囮って…置いていけっていうの?

また私達の前からいなくなるの?漸くまた会えたのに…!

「おい!雄也!何を」

胡桃が問い詰めようとしたとき広間の方から獣の鳴き声が聞こえてきた。

「っ!もう出てきたか!」

その鳴き声を聞いた瞬間ゆうくんに焦りの色を見せて広間の方に走り去っていく。

「ま、待って!」

私も直ぐにゆうくんのあとを追いかけていく。

そして通路を出て広間の手すりがある場所から下を見下ろしている。

「ゆうくん!っ!?」

私もゆうくんのすぐ隣にたち、何故置いていかなければならないのか聞こうとしたとき私の視界に下の光景が見えて絶句した。

下は先程のなにもいない広間ではなく、4足歩行の狼に似た怪物が大勢彷徨いていた。

「此処の地下施設に隔離されていた危険生物だ、管理局員のバカが解放した性でこの様だ」

すぐ横で私にこの光景になった事情を説明する。

「隔壁を下ろしたんだがここまで破られるのが早いとはな…くそ!時間がないってのに!」

どうやら此処に戻ってくる前にも対策はしていたみたいだけど時間稼ぎもできていないみたいだ。

「おい!りーさん!雄也!何を…!?」

すると後ろから胡桃たち…あの部屋にいたみんながやって来て下の光景を見て絶句した。

「本当なら美紀を連れて俺と圭で中央突破っていう作戦だったんだが悠里達がいるのは予想外だった、この人数をカバーしきれない」

当初の作戦が私達がいることによって破綻したことを苦い顔をしてゆうくんが口にする。

私達が帰っていれば…こんなことには…

「直ぐに荷物をまとめて脱出しろ…アークあと何分だ?」

[おおよそ、40分といったところです]

「もうそんだけか…あと30分で脱出しろ出ないと地下施設にセットしてきた自爆装置が作動してここから周囲1㎞は被害にあうぞ!」

「自爆装置!?」

ゆうくんが状況を説明してくれて音姉はもうすぐここが自爆に巻き込まれることに驚く。

「俺は敵を引き付ける、そうすれば悠里達は安全に脱出できる」

ゆうくんは自分がやる役割で私達のリスクを下げようと自ら危険に飛び込もうとしている。

そんな…そんなの…!

ゆうくんは下に降りようとしてるのかエスカレーターのある場所に向かおうとしていた。

私は感情に身を任せゆうくんに近づいて背中からゆうくんに抱きついた。

「っ!?悠里?」

「……いや…」

抱きついたことに驚きを隠せないでいるゆうくんに私は今思ってある感情を全部ぶつけた。

「もう…置いていかれるのも…置いていくのも…もう嫌よ…ゆうくん」

ゆうくんが離れて私の心は何処か空いてしまっていた。

ここで手放したら本当に手が届かない場所に行きそうで怖い。

「悠里…てもこのまま…じゃっ!?」

私を説得しようとしたときゆうくんは後ろからきた胡桃に頬殴られた。

「胡桃!?いきなりなにし…」

「これは学園生活部全員怒りだ」

少し怒り気味のゆうくんを胡桃は途中で言葉を遮ってそう告げた。

「漸く見つけたと思ったらまた消える?ふざけんなよ!お前は私達のこと仲間じゃないっていうのかよ!みんな!お前がいなくなってから、みんなどんなに悲しんだかわかるか!?あの放送で…死んだと思ってりーさんは管理局に復讐しようとしてたんだぞ!」

私達の悲しみを胡桃はゆうくんに声を荒げながら口にしていく。

「悠里が!?」

「学園生活部…いや、私達みんな誰一人でも欠けたら意味ないんだよ!誰一人も死なずに生きぬく!雄也がまた居なくなるんだったら私は全力で止めてみんなのもとに無理矢理引きずり戻す!元管理局だろうが殺戮者だろうが構うもんか!今のお前は学園生活部の部員だからな!」

迫力のある胡桃に終始圧巻し言葉も出せなくなったゆうくんはなにも言い出せなくなった。

胡桃に続いて音姫さんと由紀ちゃんもゆうくんに近づく。

「雄也くん」

「…音姉」

「私ね、今すっごく怒ってるんだよ」

「……」

「勝手に居なくなって…私達がどれだけ心配したか…雄也くんはもっと私達を頼ってよ!それともそんなに私達は頼りない?」

「そんなことない!」

音姫さんのいうことをすぐさまゆうくんは否定した。

「俺がいなくてもやっていけると思ったぐらい…頼りになると思った」

「……本当なら説教するところなんだけど…いまはそれどころでもないからこれは学校に帰ってから…だから必ず帰るよ」

「ゆうくん」

音姫さんの話が終わったと同時に由紀ちゃんが話しかけた。

「ゆうくんがいないと学園生活部が本当の学園生活部じゃないんだよ、胡桃ちゃんはゆうくんの分まで無茶するしりーさんや音姉ときどきゆうくんの分のご飯を作ったりする、めぐねえはゆうくんのことちゃんと見てなかったって責任感じてるし、わたしだって…本心で笑えなかったもん」

「由紀」

「だから、ゆうくんが帰ってきたら本当に学園生活部でいられるんだよ?」

「……まさか…由紀にまで説教される日がくるなんて」

「ゆうくん!それひどいよ!」

ゆうくんは少し苦笑いしていると由紀ちゃんは怒った表情でいう。

「あ、それ私も思った」

「胡桃ちゃんも酷い!」

正直にいうと私もなんだけど

横にいる音姫さんも同じみたい。

「…全く、また悲しませようとしてたな…俺は…」

そういいながら頭をかく、どうやら考え直してくれたようだ。

「雄也先輩」

そういって女の子が大型の弦楽器を収納するケースを担いでこっちにやって来た。

「圭、すまんがさっきの話はなしだ…何とか全員で生きて脱出する」

「そういうと思ってました…ってことは全力で中央突破っでいいんですね?」

「まあ、そうなるな」

中央突破…つまり、かなりの危険を考慮することになる用心しないと

「それならこれを使うときですね」

そういってケースを下ろして中を開け取り出すと、取り出したのは巨大なキャノンでもうひとつのものを耳につける。

「試作魔導砲!?それ持ってきてたのか!?」

「もしかしたらまた使うかなって思って…勿論弾薬もたくさんありますよ」

そういって鞄から弾薬だろうか小型のケースに大量につまっていた。

「カートリッジもこんなに……しょうがねえな」

そういって顔を私達に向けて意を決してこう告げた。

「共同戦線だ…敵を殲滅して脱出…もちろん全員生き残る…これでいいな?」

『うん/はい/おう』

side三人称

共同戦線をすることにした雄也達は一度美紀がいた部屋の戻り互いの自己紹介を終えて、雄也が作戦を説明する。

「さっきの生物、ブラッドウルフは主に集団的に行動する習性をもってる、だからまずはブラッドウルフの集団の親を潰す、これ以上地下からお仲間を出されても困るからな、最前線で俺と胡桃…後、桜崎さんと優花の四人で叩く」

雄也は胡桃たちの名前を呼んで胡桃たちを確認すると三人とも頷く。

「圭と悠里は2階から援護を頼む…バックアップ頼んだ」

「わかったわ、任せて」

試作魔導砲にカートリッジを詰め込む圭は頷き、悠里は任せてくれと返事を返す。

「音姉たちは悠里たちの近くにいたくれ、音姉たちは丸腰だから下手に離れてると襲われたときにカバーしきれないからな」

「うん、わかった、雄也くんも気を付けてね」

「ああ、わかってるよ、最後にみんなこの通信機を耳につけてくれこれでみんなとの連絡を取り合う」

雄也に言われ全員通信機を耳につける。

「あの、雄也先輩…まさかあいつとも戦うってことには」

通信機をつけた後圭が不安がって雄也に聞いてくる。

「あいつって?雄也なんのことだ?」

胡桃も心配になって雄也に聞いてきた。

「気にするな、あの大きさじゃあ出口は通れないから問題ない、だから俺達の敵はブラッドウルフだけださせと、行くぞ」

作戦が決まり雄也達は部屋を出て2階のエスカレーター前に陣取り下のブラッドウルフを見下ろす。

「さてと、逆赤ずきんだ」

赤ずきんは本来狼が赤ずきんを襲うというシナリオだがその逆版、赤ずきんが狼を狩る、その意味合いがあって雄也はそういった。

「ふ~……開幕の狼煙を上げろ!!」

雄也の号令と同時に先手必勝と圭が砲弾を放ち、放たれた魔力炸裂弾は一階の中央に着弾しそこから周囲に散弾し爆発して良い先手を取ることに成功する。

「行くぞ」

先手をとったのを確認すると雄也はその短い言葉をいった後雄也含めて4人は飛び出して、着地と同時に近くのブラッドウルフを切り裂く。

雄也と誠は場数が違うからか次々とブラッドウルフを捌き倒していく。

その一方で胡桃と優花は危なげなところもあるが何とか対処していた。

バックアップの圭と悠里もフォローもあって完全に戦線は雄也たちの方が有利な状況であった。

「っ!?」

2階にいる悠里が通路の奥からブラッドウルフの一際大きい個体が出てきたのを目視し通信機でその場から近い人物に通信する。

「胡桃!近くの通路から親が現れたわ!直ぐに倒して!」

「っ!あれか!」

通信を聞き通路に振り向き親を確認して胡桃は真っ直ぐと突っ込んでいく。

「たあぁぁぁぁっ!」

胡桃のガングニールの射程範囲に入ったのをみてガングニールを振るいダメージを与えようとしたがブラッドウルフの親と言うべきか胡桃のはなった攻撃を避けられる。

攻撃を放った胡桃は隙を生んでしまいそこをブラッドウルフは噛みつこうと襲い掛かる。

「っ!!」

胡桃とっさにガングニールで防ぐが力で胡桃が押されている。

「胡桃!!圭!悠里!胡桃を援護できないか!?」

「無理よ!胡桃も当たるわ!」

「…くそ!待ってろ!今助けに!」

雄也は胡桃の危機に駆けつけようと襲い掛かるブラッドウルフを一撃で倒した後、胡桃のもとに向かう。

(こんなところで負けるわけにはいかない!)

雄也が胡桃のもとに駆けつけようとしているなか胡桃は意を決してガングニールを握っていた右を離すとブラッドウルフを、押さえていた体は胡桃に着実に近くがガングニールを、うまく使いブラッドウルフを左に反らして直撃を避けた。

[ナイスだ!嬢ちゃん!魔力全快だ!]

ガングニールの矛先が魔力刃で強化されそれをブラッドウルフに振り回されブラッドウルフを倒すことに成功する。

「なっ!」

ブラッドウルフの親を撃破したことに驚きを隠せずにいる雄也、胡桃は彼が思ってるいる以上に成長していたことに驚きを隠せない。

(腕も技量も少し前だと思ってたけどここまで強くなっていたとはな)

胡桃が強くなっていることを雄也は改めている背後からブラッドウルフが襲おうと迫ってきていたが噛みつこうとしたとき雄也はわかっている動きでブラッドウルフをアークで一撃で倒した。

「なら俺も心配せずに行くか!」

そういって胡桃のもとから離れていき襲い掛かるブラッドウルフを次々と倒していく。

「たあぁぁっ!」

少し場所を離れた場所で優花はオスカーでブラッドウルフの喉元を突き刺し一撃離脱で距離をとる。

「はぁ…はぁ…」

だがこの中で最年少でしかもここまで大勢の戦闘は初めてであり既に息を切らし始めていた。

「こうなれば!」

纏めて一掃しようとオスカーの柄を引き伸ばしガトリングモードに切り替えて、トリガーを押してガトリングから放たれる魔力弾がブラッドウルフを一匹、二匹と撃ち倒していく。

だが撃ち倒しているとガトリングの弾が切れてしまう。

「弾切れ!?こうなれば!」

直ぐに優花はオスカーの柄を押してランスモードに直してから今度は思いっきり引っ張り捕食モードに切り替わりオスカーから飛び出たそれはブラッドウルフを喰らい上に放り上げるとそれは悠里が弓矢で仕留める。

捕食モードのそれはオスカーのもとに戻りガトリングモードなると弾はブラッドウルフの魔力で補充されまたガトリングの射撃が始まった。

「…相手を喰らって魔力を捕食してるのか」

その光景を目にした雄也はふと昔にユーノに聞いたことのある話を思い出す。

「本来リンカーコアはどのような生物でも持っておりそれに覚醒するのは極稀である…か」

恐らくあの捕食は覚醒していないリンカーコアの魔力も食らうことができるのであろうそう思えば相手がいれば弾は無限ということになる。

そう雄也が思っていると優花がブラッドウルフの親と接敵していた。

まず近づきながら円運動でガトリングで相手を怯ませある程度近づいた瞬間ランスに切り換えてブラッドウルフを突き刺して撃破した。

「モードをうまく使い分けてやがる……予想以上の出来だな」

雄也は胡桃とそして優花の強さを目の当たりにし戦闘中であろうと少し頬にやけさせた。

「よし!各自残りの戦力を殲滅するぞ!」

広間にはブラッドウルフの親がいなくなりチャンスと踏んで全力で殲滅することを指示しブラッドウルフたちを次々と狩っていく。

「こいつで!ラストォ!」
遂に残り一体となり雄也がアークで切り上げて上空に吹き飛ばす。

「っ!雄也!まだ生きてる!」

切り飛ばされたブラッドウルフは体制を立て直し上空から雄也を襲おうとしていたが…

「わかってるよ…圭」

「了解です」

そして轟音と共に圭の銃器から放たれた魔力弾がブラッドウルフを貫き最後の一体も撃破を確認した。

「ふぅ…これで終わりだな…それじゃあ圭達は下に降りてきてくれ」

雄也は通信機で指示して2階にいる圭たちが2階から降りてきているのをみてアークに残りどれだけ時間があるのかを聞いてみる。

「アーク爆破まであとどれくらいだ?」

[残り時間19分52秒です]

「それだけあれば脱出に十分だな」

残り時間を聞いて安心する雄也に悠里たち全員が近づいてくる。

「さてと、帰りましょうか」

「そうだな」

そうして雄也達は漸くリバーシティ・トロン向け出す…

「ねえ、みんな…」

ことができると思っていたが由紀が足を止めてみんなに訪ねた。

「どうしたんだ?由紀?」

「なんか音しない?下から」

「音?」

由紀がそういってるのでみんな耳を研ぎ澄まして聴くがそういった音は何も聞こえてなかった。

「なんも聞こえないけど…」

「……ちょっと待て…なんか地面が揺れている」

何も聞こえてこないことで気のせいかと思った矢先次は誠が地面が揺れていることに気がつきそれは全員がそれに気がついた。

「…本当ですね…地震…ではないのですか?」

「…美紀…違う…何か下からぶつけてる音が聞こえてくる…」

圭も他のみんなも揺れともに何かの音も次第に大きくなっていることに気づく。

「まさか…雄也先輩!」

「まさかあいつか!」

圭と雄也はこの揺れと音の正体があいつではないのかと嫌な予感が過り、直ぐ様に全員に向けて叫ぶ。

「直ぐに広間中央から離れるぞ!」

そういって雄也は近くにいた優花と音姉を抱えて中央から離脱し、他も胡桃は悠里を誠は由紀を圭は美紀を連れてそれぞれ中央から離れた直後地面が砕ける音と共に巨大な鋼鉄の拳が地面から突き出てきた。

「な、なんだ!?」

直ぐに全員が一ヶ所のところに集まりその拳に視線を向けるとその拳は動き地面に掌をつけて次第にその巨大な鋼鉄の姿が地上へと這い出てくる。

「まさか…ゆうくんが言ってたあいつって…」

「そのあいつだ、でかいから出てこれないと思ってたがまさか天井突き破って出てくるとは思ってなかった」

予想外の展開に焦りの色を隠せない雄也はその巨体に戦闘体制で構える。

その巨体の体長は6メートルを越え全身は鋼鉄の鎧で身を守り右手にはこれまた巨大な大剣を所持している。

「くそ!来るぞ!」

苦い顔をしながら雄也はみんなにそういって全員武器を構え、鋼鉄の巨人、鉄巨人との戦闘が開始された。
 
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