戦国異伝
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第二百三十九話 伊賀攻めその二
「ではこれより攻めるが」
「はい、敵の姿が見えませぬな」
「全く」
彼等の目の前には森がある、その森の中にはだ。
何も姿は見えない、しかしだった。
「見えぬがおる」
「魔界衆の者達は」
「必ずですな」
「そうじゃ、おってな」
そしてというのだ。
「我等を待ち構えておる」
「では、ですな」
「ここは、ですな」
「この森の中にですな」
「あえて入り」
「そのうえで戦うぞ、魔界衆の者達はすぐにわかる」
闇の色の衣や具足を着ているからだ。このことが何といっても大きい。明智は恥を注ぐ為とその機会を与えてくれた信長への忠義の為だった。
命を賭けて攻めるつもりだった、だが。
ここでだ、飛騨者達が明智のところに来た。その中から煉獄が馬上にいる明智に声をかけた。
「案内役、いいか?」
「御主達がか」
「わかるよな、目の前の森にはな」
「うむ、相当な敵達がおる」
明智もそれはわかっていて応える。
「魔界衆のな」
「わかってるな、けれどな」
「ここで不意に森に足を踏み込むとか」
「獣の巣に丸腰で飛び込む様なものだからな」
それ故にというのだ。
「死にに行く様なものだ、だからな」
「御主達がか」
「道案内させてもらうぜ」
「具体的には戦い方もか」
「ああ、言わせてもらっていいか」
「頼む」
明智は煉獄に一言で答えた。
「敵は多い、そして隠れておるのならな」
「ましてや相手はこうした場所で戦うのが本道」
「ならばな」
「森の中に相当潜んでいてね」
萌も明智に言う。
「一歩でも踏み入れたら」
「その時にか」
「獣みたいに木の陰、上から襲い掛かって来るよ」
「わかった、ではだ」
ここで明智が考えついた戦の仕方はというと。
「鉄砲隊、前へ」
「鉄砲を使うか」
「鉄砲で森の中を撃つ」
そうするとだ、明智は拳の問いに答えた。
「木の上の方もな」
「木にかなり当たるけれどいいんだな」
からくりは明智にそうなることをあえて言った。
「それでも」
「数は減らせる、そして森の中にいても安心は出来ぬということも奴等に教えることにもなる」
「そうか、じゃあな」
「これより森の中に鉄砲を放ち」
そして、というのだ。
「十人か二十人ごとに別れて森の中に進みな」
「戦っていくんだな」
「そうするとしよう」
森の中での戦い方は普段通りだった、そしてだった。
明智はまずは森の中に鉄砲を放たたせた、すると。
その攻撃を受けてだ、魔界衆の者達は驚いて言った。
「なっ、撃って来ただと!?」
「森の中にか」
「まさかここまでするとは」
「織田家の者達はここでも鉄砲を使うか」
「そうしてくるのか」
明智の読み通りだった、彼等は織田の軍勢が鉄砲は森の中では使うと思っていなかった。しかしだった。
その使って来たことにだ、彼等は驚いて言ったのだ。
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