異世界に呼ばれたら、魔法が使えるようになりました。
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謎の声は?
壁が消えた場所からは、中の部屋が見える。
この壁自体が、魔法で作られており、僕達には色があるように見えていたものなのかもしれない。
マジックミラーのようなものだったりするのだろうか?
魔法で作られているのだろうけれど、何処かSFのように感じる。
そう思いながら僕は一歩その部屋に入り込んだ。
他の人達は気味が悪いらしく、動けずにいたからというのもあったけれど、
「おーい、早くしてくれ。説明したいから」
と気が抜けるような声で言っているのだ。
なので僕はとりあえず話を聞こうと思って入ってきたのだ。
この部屋の中には、多くの歯車が壁を埋めている。
それらがカチカチと音を立てて動いている。
そういえば僕達の世界でも昔、歯車を使ったコンピュータのようにも見える。
この世界の人達は僕達の世界から来た人達だ。
もしかしたなら、同じようなものを思いついていたいするのではないか?
ふとそんなことが僕の頭を駆け巡る。そこでその声が、
「他の子達は入ってこないのかな? 一応は全員に話したほうが良さそうだと思ったのだが……そもそも“花の姫”もいるようだしな」
「レイア達は、貴方の声が音のように聞こえているようです」
「……む、もしや言葉が通じていないということか。予想外だ」
悩むように声が言っていたりする。
なので僕はその声の主に、
「何かを説明していただけるということでしょうか」
「うむ、伝えておいた方がいい内容があるのだ」
「では僕が、あなたの言葉をレイア達に説明すればいいのでは?」
「……もしや君が異世界人か? だから会話ができると? なるほど。そして君は魔導書を持っているね? そういった波長を感じる」
そう言い出したその謎の声を聞きながら、何で聞こえないんだろうと思って僕は思い当たる。
「話し言葉が時代によって違うと聞いたことがありますが、もしかして昔の方ですか?」
「うむ、正確には意識をコピーしたものであるがね」
「分かりました、ではレイア達を呼びます」
とりあえず僕はレイア達に来るように呼んだ。
エイダが一番怯えているのはいいとして。
「それでは自己紹介をしよう、私の名前はニートナ。遺跡関係に詳しい魔法使いだった」
僕は、発している言葉を訳しながら即座に自分の持っている魔道書を見た。
これは“ニートナ備忘録”という。
「もしかして、この魔道書を作った方ですか?」
「そうだ。その魔道書を持っているからここが開いたとも言える。というかようやくこの魔導書を開けるような人間が呼びだされたか」
「あれ、異世界人ならば誰でも魔力が強いのでは?」
「異世界人でも個人差がある。そして力の強い人間が必要だったのだ」
「魔力が強い人間……どうして必要だったのですか?」
それに一度この人物は黙った。
何となく僕と僕以外の誰かを観察されている気がする。
そう思っているとそこで、
「この遺跡は他の遺跡とも連動している。それは大本の沈んだとある遺跡と繋がっている。遺跡を動かすのはすなわち魔力だ。そいてその遺跡があるからこそこの世界はこれほどまでに豊かなのだ」
「そうなのですか」
「そう、つまりは魔力のみが必要で、それ以外は関係ないのだ。そもそもあの遺跡を動かすのに必要なのは王の血ということで強制起動させてきたが巨大な力を持つものが魔力を注げばすむことなのだ」
僕にはよくわからなかったが訳して伝えるとレイア達はぎょっとしたようだった。
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