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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第18話 クリスタルの洞窟

 
前書き
クリスタルの洞窟 

 
ノトスの森、南極のコンピュータ施設、輸送機工場には行ったが、ネオ・アルカディアからの妨害に遭ったことでエルピスを止めることは出来なかった。

そして残る場所はクリスタルの洞窟のみ。

「私達で撃墜した。輸送機の残骸があるクリスタルの洞窟ね…エルピスは、何かを探しに行ったみたいなんだけど…理由が分からないわね。ここは、ベースから結構近いから、レジスタンスの皆にも、エルピスを探しに行ってもらってるの。彼らだけじゃ、少し心配だわ。ゼロも行ってあげてくれないかしら?」

「了解、オペレーター。転送しろ」

「ミッション発令…各員転送準備にかかれ。」

「転送準備完了…転送!!」

転送の光にゼロが包み込まれ、クリスタルの洞窟に転送された。

「気をつけてね」

「無事に帰ってきてね…」

ダメージを受けていたルインはメンテナンスルームに向かい、シエルはゼロの帰りを待つ。

クリスタルの洞窟の入り口前に転送されたゼロだが、近くにエルピスを探しているレジスタンス兵がいるはずなのだが、それらしき者達など誰もいない。

『ここが仲間とのランデブーポイントのはずなのに。おかしいわ…誰もいないなんて…ゼロ…嫌な予感がするの…』

「…取り敢えず先に進んでみる。」

ゼロもシエル同様に不吉な予感を感じていたが、まずは先に進まねば話にならないため、先に進もうと一歩足を踏み入れた瞬間であった。

「っ!!」

坂道の頂上付近で光弾が放たれた。

ゼロは咄嗟に光弾をジャンプすることでかわし、頂上を見遣るとパンテオンがバスターをこちらに向けていた。

「ネオ・アルカディアも来ていたか…これは急がなければな…」

ゼロはダッシュし、Zセイバーを構える。

「旋牙突!!」

ダッシュの勢いを利用した強烈な突きを受けたパンテオンは崩れ落ち、そして次はセイバーに炎を纏わせる。

「天昇斬!!」

ジャンプして上空にいる運搬用メカニロイドを運んでいたメカニロイドごと斬り上げる。

爆発を聞きつけたパンテオン達がバスターを放ってくるが、ゼロはシールドブーメランを展開することで跳ね返す。

跳ね返された光弾はパンテオン達に直撃し、体勢を崩す。

「はあっ!!」

シールドブーメランからチェーンロッドに切り替えて勢い良く振るうとパンテオン達を薙ぎ倒す。

増援が現れる前に一気に駆け抜け、洞窟の中に入ると奥の方に穴がある。

一気に飛び降りれば、いざという時に対処出来ないため、ゼロはロッドの鎖を伸ばして穂先を天井に突き刺し、更に鎖を伸ばしながらゆっくりと下に降りていく。

途中でパンテオンが潜んでいたり、トゲが敷き詰められていたために、飛び降りなくて正解だったようだ。

地面に足を着けると、ロッドを元に戻して先に進む。

そしてトゲが敷き詰められた場所に出たのだが、周囲を見渡しても足場がないことにゼロは顔を顰めた。

ルインならHXアーマーで飛び越えるか、LXアーマーの氷で足場を作って突破出来たかもしれないが、生憎自分にはそんな芸当は出来ない。

その時、シエルから通信が届く。

『聞こえるゼロ?クリスタルの洞窟内はルミナイトの一種である特殊鉱石で覆われているの。透明なこの鉱石は特定波長の電磁波によって結晶構造を変化させ、発光する仕組みになっているの。その波長域の電磁波を発しているメカニロイドが近くにいるはずなんだけど』

「メカニロイド…あの、赤く発光しているあれか?」

ゼロから少し離れた場所に、一体のメカニロイドが浮かんでいた。

『恐らくそれだわ。ゼロ、それに攻撃を当てて、衝撃を与えれば電磁波を出すはずよ』

「了解」

メカニロイドは運良くバスターショットの射程内にいたために、当てることは出来た。

メカニロイドにショットが直撃し、電磁波が発生して今まで見えなかった赤い結晶が見えた。

『時間の経過で見えなくなるから、見えなくなったらまた攻撃して電磁波を出させて』

シエルの指示に従いながら、ゼロはバスターでショットを放ち、順調に先に進んでいく。

そして地面に足を着けると、奥の方に穴が開いていた。

エネルギー反応がいくつかあるため、恐らくはメカニロイドとパンテオンが潜んでいるのだろうと判断してゼロは壁に捕まり、ゆっくりと下に降りていく。

しばらく降りていくと、先程と同じ光景が広がっていた。

トゲが敷き詰められた地面と近くに浮かんでいるメカニロイド。

先程と同じようにショットを放ち、メカニロイドに当てて足場の結晶を見えるようにする。

途中でパンテオンが襲いかかってきたが、即座にセイバーで両断して返り討ちにする。

何度か足場が見えなくなったらショットを当て、足場を見えるようにして先に進む。

その繰り返しで先に進んだが、行き止まりとなっていたが、上を見上げると光が射し込んでいる。

ゼロは壁を駆け登り、途中で潜んでいたパンテオンをセイバーで両断しながら外に出た。

外に出た瞬間、眩しさに少しだけ目を細めたが、目の前にはゼロ達が撃墜した爆撃機の残骸があり、そこに合流するはずのレジスタンス兵の姿があったのだが、様子がおかしい。

『…ゼロ!彼らは、操られているみたい!!出来るだけ…攻撃しないであげて』

「洗脳…ベビーエルフとやらの力か…」

ルインの言う通り、ベビーエルフは破壊しなくてはならない。

ここまで害のある存在だと分かった以上は…一瞬、ベビーエルフに名前を付けようと悩んでいたアルエットの姿が脳裏を過ぎるが、すぐにミッションに集中する。

レジスタンス兵には攻撃を加えないように先に進んでいくが、どうしても危険な場合は気絶させる程度に留め、爆撃機の残骸から降りると…。

「エルピス…」

何と、エルピスを発見した。

エルピスは地面に屈んで何かを探していたが、すぐに笑みを浮かべた。

「フフフ…これだ、これだ…これでまた一歩、ダークエルフに近付いたぞ…フフフ……」

エルピスは邪悪な笑みを浮かべながら、転送の光に包まれ、輸送機を停めた場所に移動した。

「…………」

ゼロはエルピスが屈んでいた場所を見つめていた。

しかし、上空から高エネルギー反応を感知して見上げると、ハルピュイアが舞い降りた。

「お前達の司令官は…ネオ・アルカディアの敵味方認識装置を回収していたようだが…奴は一体、何を考えている?たった一人で、ネオ・アルカディアの管理施設のあちらこちらに現れるが…全く意味が分からん…まあ、いい…。意味など分かる必要もない…お前達レジスタンスなど、そういうものだ…さあ、行くぞ!!」

愛用の双剣・ソニックブレードを抜き放つハルピュイアは飛翔し、こちらに向かって巨大なソニックブームを繰り出してくる。

前回の戦いで見た技なので対処出来る。

ゼロはダッシュで回避するとアイスチップを使用し、チャージショットをハルピュイアに放つが、容易く回避されてしまう。

「ハアッ!!」

三連撃を繰り出し、一振りするごとにゼロに向かってソニックブームが放たれる。

ゼロは回避しながらダッシュで距離を詰め、ハルピュイアにチャージセイバーを叩き込む。

「ぐっ!ミラージュダッシュ!!」

残像が見える程のスピードでゼロに突進する。

ハルピュイアのあまりのスピードに流石のゼロも反応出来ない。

「ライジングブレード!!」

突進後の横薙ぎから垂直の跳躍斬りの連携技。

咄嗟にゼロはセイバーでブレードを受け止めたが、あまりの威力に吹き飛ばされた。

「プラズマビット!行け!!」

ハルピュイアは即座に追撃で追尾能力を持ったビットを数発発射し、それに対してゼロはロッドを振るってプラズマビットを全機破壊する。

「喰らえ!!」

ロッドからシールドブーメランに切り替えて、ハルピュイアに向けて投擲した。

氷属性が付加されているので、まともに受ければ大ダメージだ。

ハルピュイアはシールドブーメランの軌道を読んで回避したが、ゼロもハルピュイアの動きを先読みしてセイバーを構えていた。

「天昇斬!!」

無属性のジャンプ斬りが、ハルピュイアの胴体に傷を付け、地面に落下していくハルピュイアにゼロがダッシュ突きを繰り出す。

「旋牙突!!」

体勢を崩しているハルピュイアは避ける暇もなく、直撃を受ける。

「ぐああああっ!!」

まともに受けて勢い良く吹き飛ぶが、ハルピュイアは何とか体勢を立て直し、飛翔と同時にエネルギーを解放した。

「スーパーソニックブーム!!」

空中で高速移動しながら真下に巨大なソニックブームを放つ。

「くっ…!!」

巨大なソニックブームをゼロはダッシュを駆使しながら必死に回避するがハルピュイアの動きが速すぎるために徐々にゼロに当たり始めた。

「はああああああああっ!!」

絶え間なくソニックブームを連発したことで発生した砂煙でゼロの姿は見えないが、この程度で死ぬような相手ではない。

「サンダーストライク!!」

すぐさまブレードを交差させると無数の雷撃を叩き落とし、何度も雷撃を叩き落としてハルピュイアは構えを解いた。

「やったか…?」

「まだだ!」

「なっ!?」

煙を突き破りながら伸びていくロッドの鎖がハルピュイアを拘束した。

ハルピュイアが鎖の伸びている方を見遣ると、多少は傷ついているが、それでも戦闘続行は可能な状態のゼロの姿があった。

「はああああ…!!」

両腕に力を込めて引っ張り、ハルピュイアを遠心力を利用して勢い良く地面に叩き付けた。

「がはっ!?」

背中から勢い良く叩き付けられたハルピュイアは苦悶の表情を浮かべた。

勢い良く叩き付けられたことで背部の飛行ユニットに異常が発生したのが分かる。

「これ以上の戦闘続行は不可能か………」

自身の状態を把握すると、深く息を吐いてから笑みを浮かべた。

「フフ…相変わらず…やるな…それでいい…それでいいんだ…。俺は…お前と戦っている時だけ…何もかも忘れることが…出来るんだ。しばらくは、これでいい」

それだけ言うと、ハルピュイアは転送の光に包まれ、この場を去った。

「…………ミッション終了、転送してくれ」

『了解、転送します』

ゼロも転送の光に包まれ、レジスタンスベースに帰還するのであった。

「ミッション終了です。」

「転送完了まで…2…1…転送!!」

転送の光に包まれたゼロが司令室のトランスサーバーに現れ、シエルとルインがゼロを出迎える。

「エルピスが探していた。敵味方認識装置という物は…ネオ・アルカディアのレーダーシステムが、敵と味方を判別するために使う物…ネオ・アルカディアに気付かれずに彼らの基地に忍び込むのには必要な物だけど…一体、何をするつもりかしら…」

「とにかく、エルピスを捕まえることも、ベビーエルフを破壊することも出来なかった…もうエルピスを追う手段がない。しばらくは様子を見るしかないね……」

「そう、ね……二人共、お疲れ様。今はゆっくり休んでね」

エルピスを連れ戻せなかったゼロ達。

今は、事態の変化を待つしかないという歯痒い時間を過ごすことになる。 
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