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その入り口には紫色の
その遺跡の入口らしきものを僕は探していく。
埋もれていた場所であるらしく、入口がよく分からない。
木々に覆われているせいかその下には光があまり届かないらしく少しじめっとしていて草があまり生えていないので、入口は探しやすいかと思ったけれどそうとは限らないらしい。
「この灰色の石が多分そうなのだけれど、緑色の蔓が邪魔だね。刃物か何かないかな?」
「ここにナイフが」
レイアが小さなナイフを取り出してくる。
それを借りて幾つか蔓を切ってみると、その内の蔓と葉っぱに隠されていた部分に何かが書かれている。
この世界の文字と、矢印だ。と、レイアが見て、
「これは古い言葉ですね。数百年前の言葉です」
といっているのを聞いて僕はあれ、文字の翻訳って時代が関係ないんだと僕は気づく。
とても便利な能力だけれど、何となく変な感じがする。
そこでリリアやエイダが覗きこんで来て、
「そこまで古くないけれど昔の言葉ね」
「この程度なら読めるはね。そこの異世界人はどうかしら」
エイダがふってくるのでとりあえず、
「“入口はこちら”ですか?」
「……」
「……」
無言でエイダとリリアに見られた。
僕は何か間違えてしまったのだろうか、と思っているとエイダが、
「ずるい、こういった古語を覚えたりするのも凄く大変なのにそれがないなんて」
「え、えっと、はい」
「しかも書き言葉と、話言葉が違っていた時代もあるから、また違ってくるし。くうっ異世界人はずるい!」
エイダが悔しそうに言うのを聞きながらそんなものかと思う。
というか魔力も強いし言語もすぐに理解できるしで、異世界人手危険な存在なんじゃないだろうかと僕は思う。なので、
「レイア」
「なんでしょうか」
「異世界人は結構危険な存在なのでは?」
「はい、ですので魔力的な意味でも我々王族以外はあまり行えない様にしています」
「そうなんだ……あれ、ここ、壁が途切れて隙間になって……紫色?」
そこで途切れた部分があるのに気づき、その周辺の蔓を切っていく。
切るたびに、緑色のみずみずしい液体がぽたぽた垂れるのはかなり気持ちが悪かったがそれは置いておくとして……その石の隙間は入口か何かの様だった。
そしてその一角に紫色の石が嵌めこまれている。
紫色の石は気になったのでレイアに、
「これは何色の石に見えるかな?」
「透明です」
即答のレイアに僕は、多分僕が持っているそれと同じものだと僕は気づいた。
だからそっとそれに触れると、何かが僕の中から消えていくのを感じる。
正確には吸われていく様な気がする。
同時に何かがカチカチと音を立てて回るような音が聞こえる。
歯車がかみ合う様なそんな音。
やがて目の前のその隙間が舌にずれていきどんどん大きくなっていく。
そして中に向かう通路の様な物が現れて、天井部分が光り輝いている。
その輝きは、中を鮮やかに照らしている。
なので暗がりで転ぶ事はなさそうだ。
それを見ながら僕はこの世界の遺跡はこんな感じかと思いつつ、
「ここに入っていけばいいのかな」
「はい、恐らくは。でも……」
レイアが口ごもってから次に、
「こんな特殊な遺跡がまだあるなんて記載されておりませんでしたので、何があるかは分かりません」
「危険なのかな?」
危険ならここに入るのは止めようと僕は思ったのだけれどそこで、
「おーい、入るなら早くしてくれ」
そんな声がしたのだった。
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