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遺跡に向かいました
やってきたレイア達に僕は、木々の間に見えるその遺跡に向かって指をさす。
「あそこに石を積んだ建物があるようなんだ」
それを見ていたレイアが小さく頷いて、
「確かにあれも遺跡の一部のようです。こちらから入っていくというのも手なのですが……」
そこで言葉を切って、思案するようにレイアは沈黙する。
僕は何かを間違えてしまったのだろうかと僕は心の中で焦っていると、そこでリリアが、
「一応、先の文明の遺跡だし、魔力が残っていればある程度は維持がされているのでは?」
「……その残った魔力が連動してあの場所に移されている、そんな状況なのに維持に回すチカラがあるのでしょうか」
「……でも最近の変化が原因だとしたら、つい最近までは維持用の昨日が働いていたと思うわよ」
「なるほど、確かにそうかもしれません。それにここの遺跡はそれほど調べられていないのでこういった入口があるのかもしれません」
レイアがリリアにそうかえしている。
どうやらこのまま未知の遺跡に突入になりそうだと思っているとそこでエイダが、
「ちょ、ちょっとまってよ。本当に人の手がはいっていない遺跡に行く気?」
「? 何か問題が有るのかな?」
よく分からずに僕は聞くとエイダが、
「確かに普通の遺跡は先の文明だし、そこに“花の姫”もいるから攻撃されることはないと思うけれど、それでも未知の遺跡なのよ!」
「危険そうであれば少し様子を見て引き返してもいいんじゃないかな」
「そ、それはそうだけれど……」
エイダが妙に乗り気ではない。
そしてどうやら、レイアがいれば遺跡自体はなんとかなるらしい。
遺跡に魔法的な防御機能などが有るのだろうか?
それとも古い遺跡なので、天井が突然崩れてきたり道が塞がったりしているのだろうか?
ただそれでは維持などはつい最近まで行われていたらしいという話ではなかったか?
だとすると、このエイダは何を恐れているのだろうと僕が思っていると、エイダが顔を赤くしてもじもじと恥ずかしそうに、
「あ、あまり入ったりしない未知の遺跡にはその……“出る”って言うじゃない?」
「? 何が?」
「だ、だから、その……お化けが」
ポツリとつぶやいているエイダのその言葉に僕は、レイアに、
「この世界にお化けはいるのかな?」
「いません。ただ怪談話では見かけたといった話がありますが、大抵何かの見間違いです」
レイアがきっぱりとそう言い切った。
そこでリリアがエイダの襟首を掴み、
「エイダは怖がりね~。やっぱり私がいないといけないみたい!」
「ちょ、リリア、なにして……や、やめっ、ぐゃああああ」
すごい声がしつつ、エイダを遺跡の方面にリリアに連れられて向かっていく。
それに一瞬呆然とした僕達だったけれど、
「私達も行きましょう」
レイアがそう言って僕の手を取り駆け出す。
レイアの小さな手は、思いの外僕には熱く感じられたのだった。
そこでは、カチッカチッと小さく音が聞こえた。
目的の“何か”を見定めるように小さく、カチカチと歯車のようなものが動いて、
「……ぎりぎり、間に合う、か?」
風に掻き消えるような音が、小さく発せられたのだった。
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