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ロックマンゼロ~救世主達~

作者:setuna
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第11話 正義の一撃作戦

 
前書き
正義の一撃作戦始動 

 
ネオ・アルカディアの居住区へ買い物をして多少のハプニングはあったものの、休息を取ったゼロとルインはトレーニングルームにて模擬戦をしていた。

目的はゼロがラーニングシステムで会得した必殺技の練習だ。

「トリプルショット!!」

バスターショットのチャージが終わるのと同時に氷属性のチャージショットが放たれると、PXアーマーに換装したルインがバリアを展開した。

チャージショットがバリアに触れた途端、光弾が三つに分裂した。

「……ふう…これがポーラー・カムベアスから会得した必殺技?」

「ああ、しかし弾速がイマイチだ。これでは通常のチャージショットの方が使い勝手がいい。精々パンテオンくらいにしか使えないな」

「………」

辛辣な評価だが、ルインも同意見なのか何も言わない。

「そうだね。セイバー系の必殺技は使えそうだけど、バスター系は今のところ貫通力に優れたレーザーショットしか使えなさそう」

「おお~。毎日毎日よくやるのう」

技について会話をしていると、トレーニングルームに老人型レプリロイドが入ってきた。

「ええと、あなたは……ごめんなさい、誰だっけ?」

「わしの名前はドワじゃ。セルヴォから話は聞いていたが、二人共、昔のレプリロイドとは思えないほど素晴らしいデザインだ!君達をバラバラにして中を見てみたいよ」

「え゙?」

「……………」

ドワの問題発言に対してルインの表情は引き攣り、ゼロの表情もどこか冷たい。

「ははは、冗談だよ、冗談。そんな怖い顔をしないでおくれ」

「そんな冗談は聞きたくないよ……ゼロ、シエルの所に行こう。」

「ああ……」

疲れたような表情を浮かべてルインはゼロと共にトレーニングルームを後にしてシエルの部屋に向かう。

トレーニングルームからシエルの部屋に行くには司令室を通らなければならないので、ゼロとルインは司令室に入ったのだが……。

「……攻撃準備。完了致しました」

一人のレジスタンス兵が、エルピスにそう報告する。

『いつでも行けます!!』

モニターに映る金髪の青年・イソスがエルピスの指示を待つ。

確か彼はエルピスの部下であり、部隊のリーダーだったはずだ。

「さて…いよいよネオ・アルカディアに大ダメージを…いや、もしかしたらとどめを刺すかもしれない、この作戦…正義の一撃作戦を開始します…。これもひとえに、ゼロさんとルインさんを始め…皆さんのご協力のおかげです。では、皆さん…。全戦力を持ち、今から敵に総攻撃を…」

「待って!!」

エルピスが指示を言い切る前に、シエルが慌てた様子で司令室に入ってくる。

「な、何ですか…?シエルさん?」

「シエル…」

目を見開くルインだが、シエルの性格からしてネオ・アルカディアへの総攻撃に対して思うことがあるのは間違いないだろうし、これは充分予想出来たことだ。

「どうしても…やらなければいけないの?総攻撃なんかしたら…多くの人が、傷付いてしまうわ…」

後少しで新エネルギーの開発が終わりそうだと言うのに、ネオ・アルカディアへの総攻撃をされたらネオ・アルカディアと和解出来る可能性が完全に消えてしまう。

「我々の未来のためには多少の犠牲は仕方ないのです…悲しいことですが…」

「シエルの研究がもうすぐ完成しそうなんだ…新しいエネルギーが完成すれば、ネオ・アルカディアも我々を弾圧する理由がなくなるはず…もう少し…待ってくれないか」

「それは、少し…甘いかもしれませんね。新しいエネルギーが完成し、それを差し出したとしても、ネオ・アルカディアは我々を許さないでしょう」

段々とエルピスの表情が苛立ってきている。

長い時間を費やしてきた作戦を邪魔されていることもあるのだろうし、この期に及んでまだ対話による解決をしようと考えていることに対しての怒りもあるのだろう。

「で、でも…!ルイン、お願い。あなたもエルピス達を止めて!!」

自分だけではエルピスを説得出来ないと判断したシエルはルインに助けを求めた。

「……正直、総攻撃以外に関してはエルピス司令官の方が結構正しいと思うよ」

「え…?」

少しの沈黙の後にまさかのエルピスを肯定するような言い方にシエルは目を見開いた。

「ネオ・アルカディアに総攻撃することに関してはあまり賛成は出来ないけど、一度イレギュラー認定されたレプリロイドをネオ・アルカディア…特に人間に受け入れられるとは思えないんだ」

「そ、そんな…どうして!?」

「…人間ってのはね。普段は道徳観念に基づいた建前を面に出して生きてはいるけれど、危機が訪れれば醜い部分を躊躇いもなく露呈する弱い生き物なの。ケイン博士や君のような一部の変わり者を除いてね…新エネルギーを差し出したとしても人間はイレギュラー認定されたレジスタンスを恐れるだろうし、人間第一主義の政策を掲げるネオ・アルカディアにレジスタンスを受け入れることは出来ない。それ以前に人間達は、レプリロイドが無意味に弾圧されてもおかしいと感じていない……エルピス司令官の言う通り、新エネルギーを差し出したとしても、ネオ・アルカディアはレジスタンスを受け入れないよ。」

「そ…んな…」

友人のルインにネオ・アルカディアとの和解を真っ向から否定されたシエルはうなだれた。

「でも、和解出来る可能性は0じゃない。少なくても、ネオ・アルカディアにも今のやり方に疑問を抱いている人間もいるはず、例えば、レプリロイド工学員とかね。もしかしたら単なる自己満足かもしれないけれど、かつては私もエックスとゼロと一緒に人間を守るためにシグマ達イレギュラーと戦った、“守る側”としてのプライドもあるからね。出来ることならネオ・アルカディアへの総攻撃は止めて欲しいとこだけど………」

「ルイン…」

「ごめんね、言い過ぎちゃった」

結果的にシエルのことを否定するようなことを言ってしまったことを詫びると、シエルも首を横に振った。

「ううん、大丈夫よ……」

「しかし、シエルさん。和解出来る可能性が低い以上、エックスがいない今がチャンスなんです。我々が明るい未来を確実に手に入れるにはもうこれしかないんです」

「だけど…」

「うるさい!!」

言い募ろうとするシエルに思わずエルピスは怒鳴ってしまうが、次の瞬間には気まずそうな顔になる。

「……失礼しました…シエルさん。でも…少しは、私の言うことも聞いて下さい。私も…シエルさんのこと…みんなのこと…ちゃんと、考えているつもりなんだ。それなのに…」

エルピスが今まで強硬にネオ・アルカディアへの総攻撃を推し進めたのも、ひとえにシエルに認めてもらいたい気持ち、そしてゼロへの対抗心から。

自分の想いに気付いてくれないシエルにやきもきしている、エルピスの本音が漏れた。

「全部隊に告ぐ…攻撃……攻撃…開始!!」

「全部隊に告ぐ。直ちに攻撃を開始せよ」

エルピスが指示を出すと、オペレーターのジョーヌが全部隊に伝達し、イソスも敬礼しながら了承する。

『了解』

「私も現場で指揮を取ります。転送して下さい。」

「転送準備開始します。」

「大丈夫です…全て…上手く行きます…。もし上手く行けば…シエルさん…私は…私は…」

「転送します」

言い終わる前に転送準備が終わり、転送の光に包まれたエルピスとレジスタンス兵がネオ・アルカディアに向かい、シエルは司令室を走り去ってしまった。

「ゼロ!ルイン!司令官を追いかけてくれんか…彼らが心配だ…」

「ゼロさん…ルインさん…私からもお願いです。行って頂けますか?」

「私からもお願いです…行って下さい。」

オペレーターの二人にも懇願され、元々放っておけなかったゼロとルインは即座に了承する。

「分かった」

「うん、エルピス司令官の力はこれからも必要になるし、見捨てるわけにはいかないからね」

「ありがとうございます」

「転送準備開始します」

「転送開始……転送!」

ゼロとルインは転送の光に包まれ、エルピス達が向かったネオ・アルカディアに向かう。

「お気をつけて…」

全員が無事に帰ってくることを祈りながら、ジョーヌ達はそれぞれの作業を再開した。 
 

 
後書き
正義の一撃作戦って…特殊爆弾をぶちかまそうとするネオ・アルカディアの方だよなぁ…

ゼロがいなかったらレジスタンスは大ダメージどころかとどめ刺されてた。 
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