戦国異伝
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第二百三十七話 魔界衆その十二
それで大谷にだ、こう言った。
「では戻るか」
「うむ、安土にな」
大谷もこう返した。
「行こう」
「それではな」
「我等も仕事がある」
安土においてもというのだ。
「ではな」
「安土に戻ってな」
「そしてじゃ」
「戦の用意もじゃ」
「それも進めよう」
「是非な」
こう話すのだった、このことも。
そしてだ、安土でもすぐにだった。
仕事にかかった、その仕事もだった。
「随分多いのう」
「全くじゃ」
戦の用意のそれがというのだ。
「何かと大変じゃ」
「それがな」
「何かとな」
「戦はただ戦の場でするものではない」
こうも言うのだった。
「こうして兵糧や武具の手配にな」
「数を揃えることもな」
「大事じゃな」
「それこそな」
二人で話しながら色々と書いていく、そしてそうしたことをしていってだ。他のそうしたことが得意な者達と仕事をしていった。そこでだった。
石田は瞑目する様にだ、こうも言った。
「こうした時に与六殿がおられれば」
「あの御仁か」
「うむ、頼りになるが」
「そうじゃな。あの方は非常にじゃ」
特にとだ、大谷も言うのだった。
「こうしたことにも強い」
「だからな」
「ここにいてくれればと思うか」
「そう思う、しかしな」
思っていてもだ、それでもだった。
ここでだ、こうも言った石田だった。
「言っても仕方ない」
「そうじゃ、与六殿は常に上様のお傍じゃ」
「そこがあの御仁の居場所じゃからな」
幸村、蘭丸と共にだ。
「だからな」
「それじゃな」
「あの御仁はおられぬ」
「そういうことになる」
「なら仕方ない、それならばじゃ」
「我等でやるしかない」
今の仕事をというのだ。
「そうしようぞ」
「ではな」
こうしたことを話してだった、そのうえで。
書く仕事も進んでいた、このことは信長と共に都に向かう途中で蘭丸も言った。
「さて、書く仕事は」
「そのことは、じゃな」
「はい、少し気になります」
こう信長にも言うのだった。
「どの様な状況か」
「いつも通りであろうな」
「そちらも忙しいですな」
「そうじゃ、しかしな」
それでもとだ、信長は蘭丸に話した。
「あの者達ならば大丈夫じゃ」
「佐吉殿達で」
「うむ、若し佐吉達だけで足りぬのならだ」
その時はというのだ。
「御主も与六も置いておった」
「左様でしたか」
「しかし爺もおるしじゃ」
昔から織田家のそうした仕事を切り盛りしていた彼がというのだ。
「他の者達もおる、新五郎も戻って来たのじゃ」
「そういえば新五郎殿は」
「そうじゃ、そうした仕事も得意じゃ」
林もというのだ。
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