群青さえ
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だから・・・
深い群青を帯びたブランケットを肩に掛け
彼女は小さく震えていた。
彼女の手には、セピア色をした写真が一枚、
つつみこまれていた。
私は写真を見てみた。
写真に写っている二人のこどもは誰だろう?
左にいるのは女の子で、
右は男の子だった。
双方幸せそうに笑っていた。
この子供たちが誰かなんて分からないが、
写真の女の子は、彼女によく似ていた。
ふと彼女の方に目を向けると
彼女はこちらを
その美しい濃褐色の濡れた双眸で、
見つめていた。
「泣かないで、笑いなさい」
私は彼女にそう告げたが
彼女の耳に届いているだろうか・・・
いや、届いた
だって私が言ったあと
彼女は、黙って涙を拭い
そして
「幸せになるよ
***あなたも、幸せでいてね?」
消えそうな声だったが
彼女は確かにそう言った。
儚く消えそうな笑顔だった。
でも彼女が笑ってくれたから
私は嬉しかった。
彼女は肩に掛けた群青のブランケットを
綺麗に畳みベッドの上に置いた。
その上に写真を置き、部屋を出て行った。
「そう、それでいい。」
彼女に最後に伝えられてよかった。
彼女よ
歩き出せ。一歩一歩。
必ず、先はあるから
君は弱いけど、誰かきみをが助けてくれるよ。
大丈夫。
私を思い出にして、先に進め。
そしていつの日かまた
私に色んなことを教えておくれ
そして幸せを、幸せを見つけなさい。
待っているよ。
ここで
ずっと。
後書き
二話目も分かりにくかったかもしれませんが、
読んでくださって、ありがとうございました。
また更新していきます。
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