戦国異伝
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第二百三十七話 魔界衆その八
「だからこのことは落ち着くのじゃ」
「数はこちらの方が上」
「左様ですな」
「そのことはですな」
「安心していいですな」
「そして確かに妖しい術を使うが」
それでもというのだ。
「あの者達は戦についてはな」
「我等よりもですか」
「疎い」
「そうだと」
「御主達は天下の将帥達は」
信長は自身の下にいる彼等に言い切ってみせた。
「そしてわしもじゃ」
「その我等が戦をするとなると」
「如何にあの者達が妖しい力を持っていようとも」
「それでも」
「そうじゃ、負ける筈がない」
こう言い切るのだった。
「だから安心せよ」
「戦の時も」
「我等が勝ちますか」
「必ず」
「戦は戦の術で決まる、政も同じじゃ」
そのどちらもというのだ。
「邪術で行い決めるものではない」
「邪術で勝った戦、成った政はありませぬな」
信長のその言葉にだ、蒲生が応えた。
「これまで一つも」
「どの国でもな」
「はい、その術が如何に強かろうとも」
「邪術は邪術じゃ」
「戦に勝つものでも政を為すものでもない」
「世と人を惑わすものでしかない」
「そうでしかないものだかこそ」
「どうということはない、闇の中にいるのなら」
魔界衆、他ならぬ彼等がだ。
「わしは日輪となりこの奴等を消してみせよう」
「では我等も」
「及ばずながら」
「その殿と共に」
「魔界衆を倒し」
「天下に泰平をもたらします」
「ここで勝てば最早天下の憂いは中にはなくなる」
日本の中にはだ、信長の声はここでも確かなものだった。
「泰平は長くなる、外のことはわからぬがな」
「外、といいますと」
「他国ですか」
「そうじゃ、他の国のことははっきりせぬ」
今の時点ではというのだ。
「しかしな」
「それでもですな」
「敵は中にはですな」
「いなくなるのですな」
「そうなる」
まさにという口調での言葉だった。
「だからこそじゃ、中を消そうぞ」
「天下を長く泰平にする為に」
「是非共」
「これよりな」
「それでなのですが」
ここでだ、信長に利休が言ってきた。大名ではないがこの場に共にいるのだ。
「堺で気になることがあります」
「どうしたのじゃ」
「堺に来ている南蛮の者の中にもよからぬ者がいますが」
「ならず者か」
「いえ、この国にです」
「よからぬ考えをか」
「持っている様な者がちらほらいましたが」
その者達がというのだ。
ページ上へ戻る