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戦国異伝

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第二百三十七話 魔界衆その二

「それが後に鬼や土蜘蛛になったのじゃ」
「山におる者達じゃな」
「左様、とはいっても山の民達とは違う」
「また、じゃな」
「あの者達には我等に悪意はない」
「あくまで山におるだけか」
「山は山、平は平と考えておる」
 その様にというのだ。
「そうした者達だからな」
「まつろわぬ者達とはじゃな」
「また違うのじゃ」
 山の民達はというのだ。
「あの者達はな」
「そこはわかっておらねばな」
「駄目じゃ」
 こう柴田に言うのだった。
「御主もわかっておるな」
「無論じゃ、しかしな」
 ここでだ、柴田はあらためてだった。
 周りを見回してだ、こう林に言った。
「壮観じゃのう」
「天下の諸大名が集まってじゃな」
「そうじゃ」
 まさにそれが為にというのだ。
「実に壮観じゃ」
「確かにな、本願寺からも来ておってな」
「うむ」
 それでとだ、また言った柴田だった。
「凄いことじゃ」
「そうじゃな、しかしな」
「これだけ上様が集められるということは」
「そういうことじゃ、わかるな」
「天下の大戦の前じゃ」
「そういうことになるな」
「それと」 
 滝川も言って来た。
「十兵衛のことは」
「そうじゃ、あ奴じゃ」
 柴田も滝川の言葉に応えて言う。
「あ奴はどうなったのじゃ」
「あ奴は一旦丹波で蟄居となってじゃ」
 平手がここで言った。
「この度な」
「上様にですな」
「家臣二人と共に呼ばれた」
 斎藤、秀満と共にというのだ。
「その筈じゃが」
「では」
「いや、しかしじゃ」
「それでもでござるか」
「あ奴の姿が見えぬ」
 平手もいぶかしんで言うのだった。
「どういうことかな」
「恥ずかしくて出て来ぬのか」
 佐久間がいぶかしんでこう言った。
「操られていたとはいえ上様に弓引いた」
「そのことを恥じてか」
「我等の中でも忠義の篤い者、それ故にな」
「有り得るな」
 柴田は佐久間のその言葉を聞いて頷いた。
「あ奴はな」
「御主なら腹を切るな」
「上様がお止めしてもな」
 そうするとだ、柴田は佐久間に答えた。
「恥ずかしくてじゃ」
「とてもじゃな」
「そうせずにはいられぬ」
 それで、というのだ。
「そうするわ」
「やはりそうか」
「というと」
「危うい」
 明智達三人がというのだ。 
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