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衛宮士郎の新たなる道

作者:昼猫
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第2話 何でもないような尊き日々

 
前書き
 話についてはぽつぽつと思い付いているのですが、まだまだ全体像につきましてはありませんので、基本適当です。 

 
 夕方。
 川神学園の学生たちは今日の授業をすべて終わらせた後に、各人それぞれに放課後の予定に動いた。
 部活に入らず遊ぶ者、将来に向けてさらに勉強するために塾に行く者と色々だが士郎は――――。

 此処は川神学園にある弓道部が使う弓道場だ。
 部活勧誘時期はまだなので2年と3年だけだが、流石は武家が集まる川神。1人1人が洗練されており、まず的を外すものは1人もおらず、数人程は3割の確率で中てると言う猛者達だ。
 部長にしても5割の確率で中てているので、これだけでもこの弓道部のレベルの高さは理解できたが、それ以外のある2人だけは他の追随を許さぬほどの射をしていた。
 1人は、風間ファミリーの一員である直江大和の妻(自称)の椎名京だ。
 椎名流の次期後継者で、技もそれなりの数があり、何より彼女の一番の武器がその集中力にある。
 射程範囲と弓のみと言う条件が合えば正しく百発百中。
 少なくとも現時点では外したことはない。
 そしてもう1人が弓道部の副部長である衛宮士郎だ。
 弓術に置いて士郎には多彩な技など持ち合わせていないが、最早呪い級と言われる精密射撃度と、圧倒的と言われるほどの射程距離を持っている。
 世界でも最高の狙撃手が道具を取り揃えても3キロを超えない所、士郎は10キロや20キロを遥かに超えていた。
 武における接近戦の才能は何所までも凡人だが、射撃に関して言えば現人類最高なのではないかと現世(うつつよ)の閻魔こと藤村雷画は見ている。
 今では、世界に祭り上げられた英霊達とも競い合い対抗できるほどと言えるだろう。勿論限界はあるだろうが、士郎の射は超人――――英雄達に引けを取らないものだった。

 士郎はほぼ幽霊部員状態の京と違い、周りの頼みと期待から部門に関係なく弓道における多くの大会をこれまで総なめにしてきた。高校の大会については3連覇がかかっている。
 そんな男の周りの女子部員たちは私語こそ抑えているが、何時もの様にときめいていた。
 士郎の容姿は特別に整っているワケでは無いが、そこそこイケメンと言うのが客観的な評価だ。
 何時もは愛想もあまりないが、基本的に優しく頼り甲斐があり、何よりほかの同年代の男達とは比べ物にならない位に大人だ。なので物腰は柔らかいが、時折――――そして今の射を見せる真剣な表情のギャップで女子生徒からは大変人気だ。
 さらにはほぼ小中高と成績も常にトップ。家事においても大貴族にも即日に仕え始める事が可能なのではないかと言うほどのレベルで、その中でも料理における調理技術は世界トップクラスの料理人である。これらのステータスを具えた上で上記の通り、人格は大人で性格は良人間。
 これで女子の受けが悪いワケが無い。悪ければ嘘だ。
 しかし、士郎には致命的な欠陥がある。
 それは異性からの好意に非常に疎い――――つまり、超鈍感だった。
 この世界に来てから異性に好きと明確に言われた事が無いので、今もお自分がモテていると言う現実に全くと言っていいほど気付いていなかった。
 そして影では、士郎に好意を寄せる女子たちの間での暗闘の末に、抜け駆け禁止を暗黙の了解としたのだった。
 そうとは知らない士郎は、京と並んで真剣に取り組んでいる。
 京の方と言えば士郎が横に居る事にある程度の安心感がある。
 何故京が士郎がいる事で安心できる理由として、彼女も士郎に影で救われたからだ。
 京のいじめを救ったのは風間ファミリーだったが、別の小学生であった士郎とだけはまともに話していたのだ。
 士郎も助けようとしたところで先に大和たちに助けられたので、もう大丈夫だろうと思った所に京を苛めていた子供の親の1人が、報復にと川神から追い出して二度とこの地に還って来なくさせようと陰で動いてる所を士郎が映像証拠として記録して藤村組立会いの下、釘をさすことに成功したのだ。
 その事もあって、同じように報復しようと考えていたモンスターペアレント達も二の舞になるまいと、自重させることにも成功したのだ。
 この事を京が知ったのは、一度川神を離れてから川神学園に通う為に京1人だけ戻って来た時だ。
 京自身は自分をいじめた奴は忘れていたが、藤村組に釘を刺された親子ともどもは自分を見るなり怯えていたのでこれは何かあると聞いた処、戦々恐々と話を聞く事で事情を知ったのだ。
 後日士郎や藤村組にお礼を言いに行ったが、本人らは感謝は受け入れるが大した事はしていないと笑って諭したことで京は風間ファミリー以外で心から信頼における人達と認識したのだ。
 まぁ、何所まで行こうと京が異性として見ているのは大和だけだが。
 因みに、士郎に言われて京は最低週2で弓道部に来ている。
 道場を使わせてもらっている以上、最低限の回数と礼を損なうなと言う士郎の言葉に従った結果だ。
 それ相応の説得をようしたが・・・。
 結果的には、弓道部の部員たちとは普通位には会話する様になった。
 大和たちに助けられるまで、もし誰も自分の話し相手が居なければ自殺しようとも思った京からすれば士郎は今の自分の救世主の2人の内の1人である。
 だからこそ京にとってはあくまでも大和の次にだが、安心させてくれる存在なのだ。

 そうして互いに静かに射を終えた。
 的に向けて2人とも3本打ったが、何時もの様にすべて中心に中てていた。
 その事に女子部員たちはやっと声に出して色めきだつ。
 対して男子部員たちは京は兎も角同じ男である士郎には、余りに凄すぎるからか妬みを通り越して畏敬の念を抱いていた。

 「衛宮君は勿論だけど、椎名さんも流石ね?」

 そこに現弓道部部長の矢場弓子が近づいて来た。
 因みに彼女は部活と私生活以外では、舐められないためのキャラ作りとして声音と性格、そして語尾に候と付けている。そこまでする必要があるかまでは判らないが。

 「有り難うございます。けど、士郎さんの呪い級には及びませんよ?」
 「呪い級に食い付いて行けるだけでもすごいじゃない!」
 「呪い級呪い級って、言いたい放題だな・・・」

 京と弓子の遠慮のない物言いに、流石の士郎も眉間にしわを寄せる。

 「実際にそうでしょう?」
 「違うんですか?」
 「・・・・・・・・・・・・・・・」

 しかしそんな士郎の嫌味にもまるで気にした様子も無しにしれっと返す2人に、士郎は天を仰ぐのだった。


 -Interlude-


 「良かったじゃないか?その娘が少しづつでも他人慣れしてきた証拠だろ?」

 現時刻は夜の夕食時。
 士郎の前側に座するスカサハは、夕食を突っつきながら話をする。

 「そう~よ!京ちゃんはけっこう人間不信だったんだから、その成長を寧ろ喜んであげなさいよ!」

 そしてもう1人は、藤村雷画の実の孫であり冬木にある高校、穂群原学園の英語教師で士郎の姉気分でもある冬木の虎こと藤村大河である。
 高校時代は剣道において向かうところ敵なしで、元武道四天王の一角でもあった事から冬木の虎と呼ばれるようになった。
 因みにタイガー或いは馬鹿虎と言われると怒る。
 大河は、スカサハ以上の速さで士郎の作った夕食を食べ進めていく。
 そんな彼女たちに士郎は、気圧されながらも反論する。

 「俺だって京の成長を喜んでいないワケじゃない!けど呪い級などと連呼されて、いい気分じゃないんだぞ?」
 「ならお前は、自分の射を人に理解も納得も出来るように詳しく解説できるのだな?」
 「・・・・・・・・・・・・」

 士郎はスカサハの言葉に押し黙った。
 士郎の射に対する才能は、神童と言っても過言では無い。
 神童と呼ばれる人種はその手の才能を感覚で行うので、それを分かる様に説明できない者が多い。
 勿論、士郎も射に関して言えば典型中の典型である。

 「狙う必要はない。既に中ててるんだ」

 こんなこと言われても普通の人間に共感してもらえる筈も無いのだから。
 結局言い返せないまま士郎は食事を進めるしかなくなった。


 -Interlude-


 ほぼ同時刻。
 此処は川神院の総代である川上鉄心の自室。
 そこには部屋の主である鉄心と、藤村雷画が将棋盤を挟んで向かい合っていた。
 2人は古くからの友人で、酒と士郎特製のつまみを突っつきながら将棋を指している。

 「――――相変わらず衛宮の作るつまみは美味いのぉ」
 「そうじゃろ、そうじゃろ!士郎の腕は世界一じゃろう?」

 鉄心の挨拶代わりの褒め言葉に気付きもせずに、実に嬉しそうに雷画は頷いた。

 「衛宮に執心過ぎるんじゃないかのぉ?」
 「それはアレか?儂が魔術師に誑かされているとでも言いたいのか?」
 「っ・・・・・・・・・・・・」

 雷画の言葉に鉄心は詰まった。
 確かに今日この場で士郎=魔術師を聞こうとも思っていたが、まさか雷画の方から切り出すとは思わなかったからだ。
 実の孫や自分の補佐ですら気づけない位の鉄心の僅かな動揺を見逃さなかった雷画は、軽く息を吐いた。

 「確かに士郎は気に入っとるが、盲目になるほど落ちぶれてはおらんぞ?少なくとも。自分の学校の女生徒達を若さの秘訣にしておるどこぞの腐れ爺よりはマシじゃわい」
 「何じゃと!?お前と言う奴は!人のフェチズムを否定出来る程、何時から偉くなったんじゃ!」
 「偉いどうのこうの以前に犯罪じゃろ?セクハラで訴えられても可笑しくないぞい?儂が生きている内に性的暴行を女生徒に行った疑いで逮捕などと、辞めてくれい。笑い話にもならんからの」
 「なるかい!」

 方や冷静に方や煩くと将棋盤を挿んで言い合う2人。
 一気に言い切ったのか、鉄心は軽く息を切らす

 「因みに言っておくが、士郎が魔術師だと触れまわす様になったら全面抗争に入るからの」
 「むぉ!?」

 漸く落ち着けると思ったら、雷画の言葉に電撃を撃たれたかの様に慌てて立ち上がったのだった。 
 

 
後書き
 説明多くてすいません。 
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