魔法少女リリカルなのは~無限の可能性~
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第1章:平穏にさよなら
第23話「“破滅”の終わり」
前書き
前回の話を書いてて思ったんですが、優輝たちの動きって傍から見ればあまりにも行き当たりばったりすぎますね。作戦を細かく考えてなかったり、あっさり戦力が分断されたり....。
...全部作者の力量不足ですけどね!(おい
=優輝side=
「シッ!」
「っ、くっ...!」
首元を狙った攻撃を、間一髪上体を逸らす事で躱す。
コイツ、以前にクルーアルが言っていた暗殺型の奴か...!
「(僕らが仲間を殺さない事を承知で倒して油断した所を狙ってきたか...!)」
かやのひめさんの場所へ行こうとして、僕はコイツに襲われた。
...早く、かやのひめさんの場所へ行かなきゃならないのに...!
「はっ!」
「甘い!」
「っ!?ぐっ...!」
剣を振うも、短距離転移で躱され、再度首元を狙われる。
「あの状況から勝つとは思わなかったが...なるほど。確かに厄介だ...。」
「今まで隠れて居場所を掴めなかったお前も厄介だけど...な!」
人質を取るかのような体勢でナイフを突きつけられるが、攻撃が当てられないように腕を掴み、投げの要領で拘束から抜け出す。
「ククッ...!」
「.......。」
投げられた男はそのまま再び転移する。僕は黙ってそれを見送った。
このままだと、また不意打ちを食らうだろう。...だけど、無駄だ。
「っ、なにっ...!?」
「...お前さ、暗殺ばかりしてて、一人で戦う事少なかっただろ。」
再度不意打ちをしようとして、バインドに掛かる。
「判断を誤ったな。他の奴と連携して確実に一人ずつ潰して行けばこんな事にはならなかったのに。」
「くそっ...!なんでだ!なぜ、こんなにもあっさりと...!」
「いつもなら、他の仲間が隙を作ってそこで暗殺して終了...だけど、今回は味方なしで単独だ。僕自身、こんなに無警戒にバインドに引っかかるとは思わなかったよ。」
優秀な暗殺係と聞いたから、もっと警戒してたけど、優秀なのは短距離転移ぐらいじゃないか。厄介な奴らとは思ってたけど、ここまで弱いのもいたんだな。
「じゃ、気絶してて。僕は急いでるんだ。」
「がっ....!?」
魔力を押し込むように掌底を放ち、気絶させる。
こいつもクロノに任せておこう。
「(...緋雪を援護するのは、狙ってる奴らに牽制するだけで十分だろ。)」
僕の周りに剣を創造しておき、いつでも放てるようにしておく。
「(交戦地帯はここから約300m。数は...五人か。)」
大体僕と同じ状態だな。なら、突っ切る形で援護するか。
「『緋雪!僕は嫌な予感がするからかやのひめさんの所へ行く!ついでに援護をするからその隙に一気にやっちまえ!緋雪ならできる!』」
『お兄ちゃん!?あの状況から切り抜けたんだ...。...うん、わかった!任せて!』
空中に魔力を固め、それを足場にする。そして、身体強化を掛け、一気に...駆ける!!
「座標は?」
〈特定済みです。〉
「だろうね!フォイア!!」
緋雪が交戦している中を駆け抜けるように通り過ぎる。
その際に、浮遊させておいた剣をそれぞれの敵に一つずつ発射する。
...たったこれだけで一瞬とは言え、連携が途絶える。
つまり....。
「隙あり!!」
後は、緋雪の独壇場だ。
目の前の近接型の防御を無理矢理抜き、そのまま倒す。
一人さえ倒せば後は大丈夫だろう。
「『後は任せたよ!』」
『りょーかい!』
僕は後を緋雪に任せ、かやのひめさんの所へ向かった。
―――間に合ってくれよ....!
=かやのひめside=
「おらぁっ!」
「っぁあっ!?」
再度、吹き飛ばされ、地面を転がる。だけど、すぐさま私は立ち上がる。
「ちっ、しぶてぇな...!」
「っ....!」
矢を放つ。だけど、それは空に飛ばれる事で回避される。
...さっきからこんな調子だ。矢は空を飛ばれて回避され、斧は回避しきれずに当たってしまう。...斬られるという事は回避できてるけど...。
今のままじゃ、いずれ立ち上がれなくなるわね...。...ただでさえ、気合で立っているというのに...!
「っ....“弓技・旋風の矢”!」
「はっ!届かねぇよ!」
さらに空高くまで飛び、回避される。
「(あまりにも相性が悪い...!このままじゃ、このままじゃ...!)」
薔薇姫の仇を取れない...!
「(そんなの、無駄死によ...!)」
負けたくない。その一心でクルーアルを睨む。
「おぉ、怖い怖い。...ほらよぉ!」
「っ...!ぐっ...!」
魔力弾が放たれる。数発は回避できたけど、一発だけ足に被弾してしまった。
「(これじゃあ、走れない...!)」
もう、攻撃を避ける事さえ難しくなった。どうすれば...!
「もう動く事すらできねぇようだなぁ...?なら、バインドなんていらねぇ、これでケリを付けてやろうか!」
クルーアルはそう言って目の前に魔法陣を出現させる。
「(これは...魔力が、集束している...?っ!まずい...!)」
魔法に詳しくなくても直感で理解できた。これは、大技が来る...!
「(どうする!?回避は不可能!防御も心許ない!...迎撃しか、手はない...!)」
でも、どうやって...?今ある手札は、いくつかの術式が込めれる御札と.....っ!
「.....今こそ、使う時ね....。」
ふと、ある“モノ”を思い出した私は、今までずっと背負っているだけで中身を使ってなかった矢筒に触れる。そして、そこから一つのモノを取り出す。
「....薔薇姫。力を貸して頂戴...!」
そう、取り出したモノとは、薔薇姫が使っていたレイピアの...折れた刃先。
クロノに無理言って貰っておいたもの。
「迎撃は元より不可能。だけど、貫いて攻撃する事はできる。...なら!」
ありったけの霊力をレイピアの刃先に込めて、番える。
「私を命を賭してでも守ろうとした薔薇姫の想い...。この刃先からでも感じ取れるわ...。私も、貴女の仇を取りたい....だから!」
私の足元に五行の陣が出現する。霊力も溢れてくる。
「今私の出せる最大最速最強の技を以って、斃す!!」
レイピアの刃先が焔に包まれる。
...クルーアルの集束魔法も、だいぶ集束している。時間はもうない。
「ははははははは!!そんなチンケな矢で、俺の集束砲撃を防げるとでも思ってんのかぁ!!」
「.........。」
高笑いしているのを無視し、霊力を込め続ける。
「おら!あの嬢ちゃんと再会してきな!“ジャスティス・ブレイカー”!!」
「....“弓奥義・朱雀落”!!」
集束砲撃に遅れて繰り出すように、私は矢を放つ。
放たれた矢は、焔に包まれ飛んで行き....。
「な...!?...がはっ.....!?」
集束砲撃を貫き、クルーアルの腹を貫通した。
「...私を...式姫を侮ったわね...!私の...勝ちよ...!!」
集束砲撃を放っている間は、当然その場から動けない。だから、集束砲撃を貫く事によって回避不可能の状況を生み出し、見事に斃してみせたのだ。
「(....これで、いいのよね...。)」
そう思考する私の視界には、迫ってくる集束砲撃。
....そう。集束砲撃は、貫いただけで相殺した訳ではない。優輝が言っていた術式の基点を破壊して魔法を霧散させるという事もしていないので、集束砲撃は残ったままだ。
「(薔薇姫....今、そっちに行くわ...。)」
集束砲撃が目の前にまで迫り、私は目を瞑った....。
「―――かやのひめさん!!」
しかし、来るべき衝撃は来ず、抱きかかえられた感触と声がするだけだった。
=優輝side=
「まずい!!」
かやのひめさんが見える所まで来た時には、既に集束砲撃とかやのひめさんの技が放たれようとしていた。
「リヒト!ロード、カートリッジ!!」
〈はいっ!!〉
一気に三つロードし、全てを身体強化に回す。
もちろん、体への負担が半端なく、血管が切れそうな感覚に陥るが、構わず駆ける。
「(間に合え....!)」
クルーアルは既にかやのひめさんの矢で撃ち落とされた。...腹が貫かれたから放置してたら死ぬかもしれないけど、今は関係ない!
「(間に合わない....!?)」
どんなに急いでも、間に合わないと、そう確信してしまった。
「(どうすれば...!)」
間に合わないと分かっても、諦めきれない。そう思い、何か手がないか考える。
「(....っ、そうだ!)」
懐から、あるモノを取り出す。
「(かやのひめさんの言った通りなら....!)」
取り出したのは、かやのひめさんから渡された型紙。
これを使えば、呼び出せたはず...!
「来たれ契約せし式姫、かやのひめよ!!」
頭に浮かんだ、簡単な言霊。霊力を使い、それを行った瞬間...。
「かやのひめさん!!」
目の前に、かやのひめさんが出現する。咄嗟に抱え、落ちないように支える。
...危なかった。多分、後ほんの少しでも遅れていたら、間に合わなかった...。
「優輝....?」
「よかった...間に合った....!」
なんとかかやのひめさんを助けだす事に成功した。
「どうして、ここに...?」
「...嫌な予感がしたから、まっすぐこっちに来たんだよ。そしたら、案の定...。」
何とか立ち上がり、かやのひめさんの言葉に返事する。
...体の節々がとんでもなく痛いけど、我慢だ...!
「...リヒト、とりあえず治癒魔法を。」
〈あまり効果に期待しないでくださいね。〉
魔法陣が展開され、僕らの傷が少しずつ癒えて行く。
「.....あのまま、幽世に還ってもよかったのに...。」
「かやのひめさん....?」
様子が少しおかしいかやのひめさんに、少し戸惑う。
「報いだの償いだの...都合の良い事ばっかりいって、結局はただの復讐よ...。そんなの、やり遂げても空しいだけ...。途中でそう気付いたの。」
「かやのひめさん....。」
声の雰囲気が暗い。相当、思い詰めているんだろう。
「...だったら、いっそ、復讐を果たしたら私も幽世に還ってしまえば...!」
「っ、かやのひめさん!」
“死んでもいい”。そんな解釈もできるその言葉に、語気を強くそう言って僕に向きなおさせる。
「そう言う事、言わないでほしい!結局は復讐だろうと、そんな自身がどうなってもいいような事は、言わないでほしい!」
「っ....貴女に...貴女に私の気持ちの何が分かるって言うの!?」
泣き喚くように僕に叫ぶかやのひめさんに、少したじろぐ。
「....分かる訳、ないよ。僕は心が読める訳でも、かやのひめさんのように復讐に走った事もない。...だけど、薔薇姫さんは君を助けようと命まで賭した!なのに、そんなにあっさり死のうだなんて...!」
「っ.....。」
少しぐらい、分かる。かやのひめさんの悲しさは。薔薇姫さんの行った事は、傍から見れば恰好のいい自己犠牲だけど、実際は悲しさや苦痛をかやのひめさんに押し付ける結果になっているという事だという事も、分かってる。
所詮、僕が綺麗事止まりの事しか吐けないのも、分かってる...だけど!
「どんなに空しくても、どんなに悲しくても、薔薇姫さんがいなくなった事がどんなに苦痛でも、同じようにいなくなるなんて事、してほしく...ないんだよ....!」
「優輝.....。」
僕のこの言葉も気持ちの押し付けだって分かってる。...だけど、それでも、目の前で死なれる事はしてほしくなかった。
「....ごめん。かやのひめさんが、親を失った時の緋雪の雰囲気と重なって、こんな事押し付けがましい事言っちゃった...。」
「....いいわよ。もう、死のうだなんて、思ってないから...。」
「かやのひめさん....。」
苦笑いするかやのひめさんに僕は安堵する。
「....って、いつまで抱いてるのよ!は、恥ずかしいじゃない!」
「あ、ごめんごめん...。...って、暴れないで!落ちる!かやのひめさんが落ちるから!」
今僕らは上空にいて、かやのひめさんは僕が抱えていないと落ちてしまう。だから、とりあえずゆっくり降下していくことにした。
「.....その、ありがとう....。」
「えっ...?」
地面に降り立つ際に、いきなりそう呟かれる。
「助けてくれて....ありがと....。」
「かやのひめさん....。」
顔を俯かせ、僕の服の裾を掴みながら恥ずかしそうに言うかやのひめさん。
周りにはいくつも花が出現してる事から、結構嬉しかったのだろう。
「...どういたしまして。」
「っ~~~!」
ポポポポンと次々と花が出現する。...あれ?嬉しさ天元突破でもしてるのか?
〈っ、マスター!〉
「っ....!」
―――キィイン!
リヒトの叫ぶような警告にハッと気づき、咄嗟に防御魔法を張る。
「きゃぁっ!?」
「ぐぅう....っ!まだ立ち上がるのか....しぶといなっ...!」
飛んできた砲撃魔法を歯を食いしばって耐える。
奥には、腹から血を流しながらも砲撃魔法を放つクルーアルの姿があった。
「てめぇら....!許さねぇ...!」
「(どう考えても平然としてるのはおかしい!いつ倒れてもおかしくない...!)」
よくよく見ると、顔が憎悪に染まっていた。...憎悪だけで立ってるのかよ...。
「リヒト、あの状態で非殺傷とはいえ、昏倒させるほどの魔法は大丈夫か?」
〈...正直、ショック死の可能性が大きいです。〉
「そうか...。」
カートリッジを一発ロードし、砲撃魔法を耐えきる。
「だけど、昏倒させておかなきゃなぁっ!」
グリモワールを手に取り、一つの術式を発動させる。
「聖なる光を以って、悪を根絶せよ!“ユーベル・カタストロフィ”!」
〈Übel catastrophe〉
クルーアルを中心に、大きな魔法陣が展開され、魔法陣から縦状に白い光が放出される。
「がぁああああああああ!!??」
体を焼かれるように叫び声を上げ、光が治まると今度こそクルーアルは倒れた。
「....“カタストロフ”の名を持つ者が、同じ名の魔法にやられるなんて、皮肉だね。」
「...やったの....?」
「今度こそ.....多分ね。」
念のため、バインドを掛けておく。後、死なせないために治癒魔法も。
『優輝!かやのひめ!終わったのか!?』
「クロノ?...ああ、今、終わった。」
空中に画面が現れ、クロノがそう言ってくる。画面が出たのは、かやのひめさんにも見聞きできるようにだろう。
『なら、そっちに部隊を向かわせるから、他の援護に向かってくれ。』
「まだ、苦戦してるんですか?」
『いや、優勢にはなってる。念のためだ。』
「わかりました。」
とりあえず、向かうか。
「かやのひめさん、行ける?」
「...大丈夫よ。」
僕はともかく、かやのひめさんはまだボロボロだ。リヒトが範囲系の治癒魔法(移動可)を発動し続けてるとはいえ、無茶はよくないけど...。
「...分かった。」
「....それと、もう“さん”付けはしなくていいわ。」
「えっ?」
「.....優輝には、もう呼び捨てにしてもらいたいから....。」
顔を赤らめながら、そう言うかやのひめさん。
「...分かったよ。かやのひめ。」
「っ....~~!」
顔をさらに赤くし、俯くかやのひめ。...花も発生してるんだけど...。
「とりあえず、援護に向かうよ。だから...ちょっとごめん!」
「えっ?きゃっ!?」
かやのひめの肩と膝裏を持つ。つまりはお姫様抱っこだな。
「えっ、ちょ、あ、あのっ!」
「ごめん、我慢して!」
空に飛びあがり、緋雪たちの方へ向かう。
「は、恥ずかしいわよ!せ、せめておんぶにしてよ!」
「わ、わっ、暴れないで...!分かったから!」
魔力で足場を作り、一度かやのひめを降ろす。
「....む.....。」
「...今度はどうしたの?」
「い、いえ、なんでも....。」
そう言って僕の背中に乗っかったかやのひめ。
「よし、行くよ!」
「(こ、これも結構恥ずかしい....!)」
かやのひめさんはまた何か考えているようだけど、とにかく緋雪たちの所へ向かった。
=緋雪side=
「はぁああっ!」
「がぁあああっ!?」
また一人、レーヴァテインで倒す。
お兄ちゃんのおかげで一人倒して以来、少しずつ優勢になってきた。
「(でも、まだ攻めきれないなぁ...。)」
やっぱり奴らの連携が上手いため、一気に倒す事ができずにいる。
油断すれば、あっさり負けそうになるし...。
「おらぁっ!」
「っ!」
残っていた接近型の男が、攻撃を仕掛けてくる。それを私は凌ごうとして...。
「がっ....!?」
「えっ....?」
先に何かに撃ち落とされる。
『緋雪、聞こえるか?』
「『お兄ちゃん!?どうしたの?』」
『今、かやのひめと一緒にいて二人で狙撃してる。援護は任せてくれ!』
「『そうなの!?...分かった!』」
お兄ちゃんからの援護なら安心して任せられる。
「(....あれ?今、お兄ちゃん、かやのひめさんの事、呼び捨てで....。)」
....後でちゃんと聞かせてもらおう。うん、そうしよう。
「な、どこから....!?」
「私の事も忘れないでね!」
「ぐほっ!?」
狙撃に驚いた一人に腹パンを決める。魔力で強化しておいたから大ダメージだよ!
「はい、おまけ!」
「がはっ!?」
腹パンをしてないもう片方の手で射撃魔法を放つ。これでノックアウトだ。
「『司さん!』」
司さんの方にいる敵目掛けて射撃魔法のスカーレットアローを放つ。
『ありがとう!』
「隙ありぃっ!」
「残念、想定済みだよ!」
砲撃魔法が飛んできたので、一時的に防御魔法で防ぎ、その間にレーヴァテインを再度発動し、ぶった切る。
「堕ちなよ!“ツェアシュテールング”!!」
砲撃魔法をした奴の目の前を爆発させる。爆風だけでも相当な威力だからね。
「っ...!」
〈バインドです。〉
「そうだ...ねっ!」
バインドで拘束されるも、力ずくで破壊する。...いや、シャルがバインドブレイクをしやすいようにしてくれてるけどね。
「あはははははっ♪」
「ひぃっ!?」
なんかお兄ちゃんの援護があるからか、テンションが高まって笑いながらバインドをしてきた奴に接近する。
...結果、怖がられました。ショックだなぁ...。
「そーれっ!」
バインド使いはこれで堕とした。後は....。
『緋雪、他の奴は倒しておいたから、他の人の所に....あ、別にいいや。』
「『あ、お兄ちゃんがやったんだ。』」
それにしても、別にいいってどういうことだろう?
『他の所も全部片付いた。つまり、決着がついた訳だ。』
「『これで終わったの?』」
....なんか、あっけないというか、終わったって実感が薄いなぁ...。
『余裕があるなら、適当に捕縛して連れてこいってクロノから言伝だ。』
「『りょーかーい。』」
当然、私は余裕がまだあるので適当にバインドで連れて行く。
「シャルー、転移魔法って使える?」
〈当然です。座標はアースラの転移ポートでいいですね?〉
「うん。お願い。」
魔法陣が展開され、私はその場から転移した。
=優輝side=
「....終わったな。」
「そうね。」
援護射撃で次々と倒せたので、最後は一気に戦いが終息した。
「さて、僕らも戻ろ...っ!?」
「ど、どうしたの?」
さすがに捕縛して連れて行く余裕はないので、すぐに転移魔法を使おうとしたが、力が抜けて使うのを失敗する。
「....魔力切れみたい....。」
「....えっ?」
〈マスターは今まで無駄なく魔力を使用していましたが、さすがに足りなかったようですね。〉
締まらないなぁ...。
「大気中の魔力を吸収。リヒト、回復までどれくらいかかる?」
〈転移魔法だけでしたら一分程で。〉
早くて助かった。この世界の魔力濃度が低かったらもう少しかかってただろうな。
「ごめんかやのひめ。少し、戻るのに時間がかかる。」
「...別にいいわ。それに....(しばらく一緒にいれるし...)。」
「それに....?」
「な、なんでもないわよ!」
そっぽを向いてしまうかやのひめ。...なんだったんだろう?
一分後、無事に僕らはアースラへと戻った。
長いようで短い戦いもこれで終わりだ。一件落着...なのだろう。
後書き
ユーベル・カタストロフィ…ユーベルとは悪のドイツ語。つまり、悪の破滅を表した魔法である。ちなみに、明確に魔法の種類に分類される事はなく、砲撃魔法や射撃魔法にも変化させられる。今回のは広域殲滅魔法。
(恋愛的な意味で)堕ちたな(確信)。
はい。かやのひめもヒロインの一人です。(ツンデレの時点で察し。)
ようやく一つの戦いが終わりました...。後は後始末と第一章のエピローグ的な話(つまり蛇足的な話)と、閑話をいくつか挟みます。
その後は一章時点での一部キャラ紹介を経てようやく第二章に入ります。
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