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主は誰か

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第四章

「何と」
「使いの者のことを知らねば失礼になろう」
「だからですか」
「調べさせてもらった」
 こう言うのだった、その口調も物腰もうつけのものではなかった。
「そして今は幕府におられるか」
「左様ですか」
「そうか、して禄は」
 ここで信長は禄のことも言った、その禄もだ。
 明智が実際に貰っているだけだ、明智は信長がそこまで知っていることにも驚いた。その彼にさらに言った。
「そこまでご存知とは」
「だから調べさせてもらった、しあkし」
「しかしとは」
「その禄では何かと辛かろう」
 信長は笑って明智に話した。
「よかったら幕府にいたままでも当家から禄を受けるか」
「織田家からですか」
「そうされてはどうじゃ」
「宜しいのでしょうか」
「よい、貴殿の様な者がそれだけの禄ではならん」 
 だからだというのだ。
「それでじゃ」
「織田家からですか」
「遠慮いらぬ」
 こう話してだ、そしてだった。
 信長から言われた禄を聞いて驚いて言った。
「ううむ」
「不足か」
「いえ、過ぎるまでです」
 そこまで多いというのだ。
「それだけとは」
「構わぬ、わしは優れた者には出す」
「それだけの禄も」
「出す、だから遠慮することはない」
「そうですか」
「その禄でな」 
 信長は笑みを浮かべてさらに話した。
「ご母堂に何か贅沢でもな」
「母上のことまでご存知とは」
「そうせよ、ではな」
 こうしてだった、明智は信長からも禄を受けることになりだった。
 その話もして都に戻ることになった。だがその戻る道中で。
 彼は従者にだ、こうしたことを話した。 
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