転生とらぶる
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Fate/stay night
1193話
言峰との決闘を終わらせ、こうして大聖杯の前に立ったのだが……こうして近くにいるだけでも、俺の中にある念動力が危険を知らせてくる。
いや、念動力だけじゃない。こうして見ているだけでも危険な何かを感じさせる。
「アクセル、どうするの? 大聖杯をどうにかするのなら、さっさとやった方がいいと思うんだけど。特に綺礼が妙な事をしない間に」
言峰が妙な真似をしないように注意しながら、凛が尋ねてくる。
そちらの方へと視線を向けると、他の者達も地面に倒れている言峰に対して注意を向けているのが分かった。
「ああ、そうだな。なら、言峰が動けない今のうちに……」
そう告げた、次の瞬間。
「なっ!」
誰の声かは分からないが、不意にそんな声が聞こえてくる。
何が起きたのかというのは、殆ど本能的に理解した。
俺以外の全員に監視されていた筈の言峰が、いつの間にか意識を取り戻して倒れていた場所から飛び上がったのだと。
まだ何かを企んでいるのは分かっていたが、サーヴァント2人に半サーヴァント1人が監視している現状で虚を突いて動くというのは、さすがに予想以上だった。
腐っても代行者といったところか。
そのまま自分を見張っていた者達をその場に残し、向かってきたのは外……ではなく、俺の方。
だが幾ら一瞬の隙を突いたとしても、セイバーやライダーといった者達をそう簡単に出し抜くというのは甘すぎた。
魔力放出の力によって一瞬で言峰に追いついたセイバーが、エクスカリバーを振るう。
風王結界のおかげで正確な刀身の長さを把握は出来ず……肉を斬り、骨を断つ音が周囲に響く。
空を飛ぶのは、言峰の左腕。
肩から先が空中を回転しながら飛んでいく。
だが、左腕を失っても言峰の動きは止まらない。
いや、寧ろ左腕を切断して一瞬だけでも動きの止まったセイバーの動きをこそ好機と、そのまま地を駆ける。
いきなり左腕を失ったというのに、それでもバランスを崩さずに走る事が出来る辺りは普通に凄い。
ジャララララ、という音と共に放たれたのは、ライダーの武器である巨大釘。
鎖によってライダーの手元に繋がっているその武器は、言峰の身体に突き刺されば動きを止めるという意味でも大きな効果を持つ。
ライダーの武器に関しては既にランサー経由で情報を得ていたのか、走りながらも左腕を失ったバランスを意図的に崩しながら回避し……
鬼眼。
少し離れた場所にいた俺が、鬼眼を発動する。
瞬間、言峰の皮膚が何ヶ所か緑の斑点に覆われる。
どんな効果なのかは分からないが、それでも動きが鈍ったのは事実。そこに撃ち込まれたのは、凛のガンド。
それも、ただのガンドではなく、ガンドマシンガンと呼んでもいいような速射だ。
ガガガガガガガッ! という掃射音と共に、言峰の身体にその殆どが命中する。
威力だけなら、1発がコンクリートの壁を破壊するだけの代物だ。
そんなガンドをこうも連射して食らっては……と思ったのだが、言峰はそのガンドの威力すら推進力として大聖杯へと向かって足を進める。
「させるか」
ゲイ・ボルクによる一撃。
命中すれば言峰の身体を貫き、地面か壁に縫い付けるだろう程の勢いで放たれたその一撃。
だがその一撃は、言峰が唯一残っていた右腕をこちらにくれてやるとでも言いたげに差し出したことにより右手の掌にゲイ・ボルクの穂先が潜り込み、そのまま手首の肉と骨を斬り裂きながら突き進み、肘の部分で外へと抜ける。
2枚に下ろされた右腕の肘から先は、血と共に半分が地面へと落ちた。
両腕を犠牲にし、それでも尚言峰は諦める事なく地を蹴り……
「スライム!」
俺の言葉と共に空間倉庫から出て来たスライムの触手が鋭く一閃する。
だが、その一言は一瞬遅かった。
次の瞬間には地を蹴った言峰の右太股を切断しつつも、言峰の身体は大聖杯の中へと飲み込まれるようにして消えていく。
残ったのは、地面に落ちている言峰の四肢。
左腕は肩から切断され、右腕は2枚におろされた肘から先端部分、そして右足の太股から先端部分。
見るからに無残な結果となっているのだが、それでも今の光景を見ていた者達は嫌な予感を覚えていた。
「……ねぇ、アクセル。今の光景を見てどう思う? 綺礼の奴、真っ直ぐに大聖杯に向かって行ったわよね? そうなると、絶対に何かを考えていたんだと思うんだけど」
凛の言葉に頷きを返す。
実際、今のこの状況では言峰が何を企んでいたのかというのは考えようがない。
いや、単純に最初から大聖杯に突っ込んでいきたかったのかもしれないが、それをやるのなら今まで幾らでも機会はあった筈だ。
何だかんだで、今日までこの中には自由に入れたのだから。
勿論入り口付近には見張りとして使い魔の類を置いていたらしいから、それをやればこっちにそれを知られただろう。
だが、それでもこうして俺達の前で手足を失いながらも入るという事はしなくても良かった筈だ。
考えられるとすれば……俺達がいる状態で、大聖杯の中に入る必要があった?
何故?
そこまで考えた時、ゾクリと背中を冷たいものが走る。
同時に念動力が危険を知らせ、頭で考えるよりも前に後方へと跳躍して凛達のすぐ側へと着地していた。
「アクセル?」
「退けっ! ここから一旦出るぞ!」
訝しげな凛の言葉に、そう叫び返す。
同時に、右手を前方へと向け、叫ぶ。
『火精召喚……槍の火蜥蜴99柱!』
その言葉と共に、俺の背後に槍を持った火蜥蜴の精霊が召喚される。
身体が白炎で構成されているその火精は、俺の意思のままに大聖杯へと向かって突っ込んで行く。
「ちょっ、アクセル!?」
ゲイ・ボルクを空間倉庫の中に収納し、いきなりの俺の行動に驚きの声を上げる凛と、その側にいる綾子の腰を抱きながらその場から走り出す。
少し遅れ、残りの者達も俺の後に続いて走ってくる。
桜はライダーが、イリヤはリズが抱きかかえ、極端に足の遅い者は存在しない。
それを確認しながら、一瞬だけ視線を更に後方へと……大聖杯の方へと向ける。
そこでは、大聖杯から黒い獣が姿を現して火蜥蜴を迎え撃とうとしているところだった。
「ちょっ、アクセル、何だよあの黒いの!」
後方を確認したのだろう。綾子が俺と同じ物を見て引き攣ったような声を上げる。
同時に、他の者達もその声に背後を見たのだろう。黒い獣と火精が戦いを始める寸前の光景を目にする。
くそっ、何でここで気が付かなかった? そう、汚染された大聖杯と言峰。この2つが合わされば、hollowで出来た黒い獣が出て来たとしてもおかしくはない。
勿論こんな無茶を言峰の意思で制御出来る筈もなく、より確実に俺達を殺したいとすれば、自分の意思があるうちに俺達を殺す事が出来るだろう近くに置いておく必要があった。
言峰も黒い獣を生み出すというのは予想出来た筈もないのだから、恐らく一か八かといった賭けの要素が強かった筈だ。
そこまでして俺達が憎かったのか、それとも10年共にいた金ぴかを殺されたのが許せなかったのか……はたまた、特に何も考えず、そうした方が面白い……自らが愉悦を感じる事が出来るからか。
微妙に一番最後の選択がそれっぽい気がするけど、それを選択すれば結局自分は死ぬ事になる以上、俺達がどうなるかなんてのを確認出来るかどうかは微妙だろう。
実際、大聖杯に飛び込み、その中にある汚染された魔力にその身を委ねて、そう長く意識を保っていられるとも思えない。
とにかく、今やるべき事は一刻も早く大聖杯を消滅させる事。
「アクセル! あんたの出した蜥蜴、数で押されてるわよ!?」
後ろの様子を確認していた凛の声に、再び一瞬だけ視線を背後へと向ける。
そこでは、火精が縦横無尽に暴れていた。
……ただし、数の差はどうしようもない。
あくまでも生み出した火精は99匹であって、黒い獣を相手にした場合、1対3くらいなら余裕、1対5なら苦戦しつつも何とか優勢、1対7で互角、1対9で不利。それ以上となれば数に押し負け一気に飲み込まれる。
そんな中、こうして背後を見る限りでは、1対20くらいの戦力差になっている。
基本的に質で量を凌駕するのが俺の戦いであり、同時にシャドウミラーの戦いではあるのだが、さすがに火精にまでそれを求めるのは無理があった。
こうして見ている限りでも、次々に黒い獣に火精が飲み込まれているのが分かる。
黒い獣……見たところ、俺の炎獣と似たようなものか?
当然似ているとしても、それはあくまでも外見だけのことだろう。
その構成方法やら魔力の関係やらは全く違う存在の筈だ。
……そもそも、俺の炎獣というのは混沌精霊としての力、つまりネギま世界の力だ。
それを考えれば、違っていて当然だろう。
「来たわよ!」
叫ぶ凛。
背後を見ると、既に火精は全てが黒い獣に飲み込まれて消滅していた。
やっぱり多勢に無勢ではどうしようもなかったらしい。
「アークエネミー……いえ、アクセルでしたね。貴方はあの黒い獣が何なのかを知っているのですか?」
「知っているというか、予想出来るだけだけどな。言峰が大聖杯に突っ込んで出て来た獣なんだから、間違いなく言峰の仕業だろ。そして大聖杯から出て来た以上……」
「あれが聖杯の中身である、と?」
「恐らく。いや、間違いなく」
セイバーが俺の説明に、不愉快そうな表情で眉を顰める。
当然だろう。今はもう諦めたとしても、セイバーはこの場にいる中で最も聖杯を望んでいたのだから。
つまり、下手をしたらあの聖杯を自分の物にしていたかもしれない訳だ。
「ともあれ、今はあの黒い獣を排除して大聖杯をどうにかする必要がある。それぞれ、戦闘準備を頼む」
正直、ここから山その物をフレイヤなりラグナロクなりで消滅させてしまえば大聖杯はどうとでもなる。
だが、そんな真似をすれば当然柳洞寺やそこに存在している墓地の類もまるごと消滅してしまう訳で、聖杯戦争終了後の事を考えると、出来ればそんな手段は取りたくないのは事実だ。
魔術協会や聖堂教会にしても、まさか山が丸ごと1つなくなったというのを隠すのは難しいだろうし、それでどんな無茶に出るか分かったものじゃない。
また、今は避難させている柳洞寺の者達にしても、寺には色々と重要な物とかが存在している筈だ。
一応土地の権利書とかが入っている最低限の物は金庫に入って空間倉庫の中にあるから安全だとしても、それ以外が安全だとは限らない。
だからこそ、諸々の事を考えると出来ればこの山そのものを消滅させるのではなく、この中にある大聖杯のみを破壊したい。
勿論あの黒い獣が街中に溢れるというのは絶対に阻止すべき事である以上、いざとなれば山を消滅させるのもしょうがないとは思うんだが。
そんな風に考えている間に、いよいよ黒い獣がこっちに向かって飛び出してきた。
「迎撃!」
俺の言葉に従い、それぞれが外へと飛び出してきた黒い獣へと攻撃を開始する。
俺も又、再び空間倉庫から取り出したゲイ・ボルクを振るっては黒い獣へと一撃を放つ。
炎獣1匹で10匹近い数とやり合う事が出来たのが証明しているように、1匹1匹はかなり弱い。
俺がゲイ・ボルクを横薙ぎに振るうだけで、数匹の黒い獣が瞬く間に消滅していくのだから、それは明らかだろう。
だが、やはり問題は数だ。
どんな願いを叶える事も出来る――願いは歪められるが――だけの魔力を貯め込んだ大聖杯だけに、その魔力量は半ば無尽蔵に近い。
そう考えると、このまま黒い獣を倒していたとしても埒が明かないのも事実。
視線を周辺に向けると、凛がガンドで、綾子が物干し竿で、セイバーがエクスカリバーで、ライダーが巨大釘で、イリヤが髪の毛を使った使い魔のような物で、リズがハルバードでそれぞれ黒い獣を攻撃している。
衛宮は桜やセラと共に1歩下がってこっちの様子を見ていた。戦闘力のない、あるいは低い2人を守っているのだろう。
傍から見れば、こっちが一方敵に攻撃をしているように見える。
それは事実だが、同時に無制限に近い程黒い獣を作り出せる大聖杯に対して打つ手を考えないと、いずれ俺と凛、綾子以外はどうしようもなくなる。
いや、俺達3人だって魔力生成のおかげで魔力の心配はしなくてもいいが、体力は無限じゃない。
それでも俺はサーヴァントで、綾子は半サーヴァントだが、凛は人間だ。
俺達3人の中では、真っ先に体力を消耗してしまうのは確実だ。
それは、凛だけはなく人間でこの攻撃に参加しているイリヤやリズも同様だろう。
しかもイリヤの場合は典型的な後衛タイプで、身体の大きさも考えるとそこまで体力があるようには思えないのだから。
つまり……何らかの根本的な解決方法を考えないが限り、いずれジリ貧になるって事か。
ゲイ・ボルクを振るって黒い獣数匹を纏めて両断しながら、そんな事を考えるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:405
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1188
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