FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~
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真相
前書き
今週のFAIRYTAILの簡易ネタバレを読んでみてディマリア対ソフィアがやってみたくなった。
たぶんソフィアがディマリアをベタベタ触ってケンカ的な感じになる気もしますが・・・
第三者side
「やはりレオンの正体を見破ってくる奴がいたか」
魔水晶ビジョンに映る金髪の少年と紫の髪の青年の姿を見ながらそう呟いたのは、少年のいとこである氷の造形魔導士。彼はビジョンに映るいとこを見上げながら「フッ」と含み笑いを浮かべる。
「ここまでは俺の予定通りだ。問題はここからだ」
銀髪を逆立てた髪型をした切れ長の青年は、少年が映る魔水晶ビジョンが見える位置にある階段へと腰掛ける。周りに敵がいたら即座に攻撃を受けるかもしれないのに、その男は足まで組んでビジョンに釘付けだ。
「お前が過去を乗り越えられるかどうか・・・あとはお前次第だ、レオン」
苦しい表情を浮かべている弟のような存在である少年に対し、そう呟いた。
シリルside
「幻竜破壊!!」
「ぐはっ!!」
グラシアンさんの強烈な蹴りがレオンの脇腹を捉える。レオンはそれを受けながらもなんとか堪えると、両手を合わせ、造形魔法の姿勢に入る。
「アイスメイク・・・・・」
「イルズィオーン」
レオンが魔力を溜めている隙に、グラシアンさんはまたしてもルーファスさんに変身する。
「大槌!!」
「記憶・・・そして忘却」
レオンが巨大な槌でルーファスさんを押し潰そうとしたが、彼の記憶の造形魔法の1つの特徴である忘却によってその槌は水になることすら許されずに消え去ってしまう。
「アイスメイク・・・・・」
「記憶造形・・・」
レオンは今度こそ魔法をぶつけようとすぐに造形魔法の姿勢に入る。ルーファスさんもそれを見るとこみかみに指を当てて造形魔法の体勢を取る。
「燃ユル大地ノ業!!」
「くあっ!!」
レオンの方が先に魔法の体勢に入ったのに、彼よりも早く魔法を発動させるルーファスさん。これがレオンの一番の弱み、造形の速度が遅いゆえに相手が油断や隙を見えてくれないかぎりなかなか攻撃をぶつけることができないのである。
「記憶造形・・・凍エル黒雷ノ剣!!」
グレイさんの氷の記憶とオルガさんの雷の記憶を融合させて作ったと言っていた魔法。2つの属性を彼の能力により融合させ、先の攻撃で膝をついていたレオンを容赦なく襲う。
「ぐああああああ!!」
ルーファスさんの魔法をまともに受けてしまい、地面に背中から落ちるレオン。さっきからずっとこの調子だ。レオンの魔法は発動までに時間がかかる分、グラシアンさんの変幻自在の物真似に簡単に対応されてしまっている。おまけに彼の最初の心理攻撃によってレオンはいつにもまして造形の形が崩れている。あれじゃあ仮にぶつけることが出来ても、それほどダメージを受けることはないだろう。ただレオンはMPFでかなり高い数値を記録していたから、問題ないと言われればそうなんだろうけど・・・
「どうした?“氷の神”と呼ばれた男も、その魔法が使えなければただの魔導士と一緒・・・いや、それ以下か」
なおもグラシアンさんはレオンを挑発し続ける。しかしレオンはそれに対してはまったく動じることなく、背中についた土を払いながら立ち上がる。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
呼吸が荒くなっているレオン。相当魔力を消耗しているのかと思ったら、俺が感じる彼の魔力は初めの時とほとんど変わっていない。呼吸が乱れている理由は恐らく体力の方だと思われる。
彼は何らかの理由でこの大魔闘演舞最終日を寝不足の状態で出場している様子。なんで寝不足なのかはよくわからないが、睡眠は体力を回復するのに必要なもの。それをやれていなかったとなると、今日の競技初めの時からほとんど体力が残っていなかったと推測される。
さらには無駄に広いこのバトルフィールド。敵と遭遇するためにはこの大きな街の中を歩くなり走るなり移動していなければならない。普通の状態でも疲労が溜まってしまうのに、開始前から寝不足で体調が万全でないレオンには不利すぎる気がする。
「息が上がっているな、レオン・バスティア」
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
額の汗を拭いながら目の前の敵を睨むレオン。グラシアンさんはその様子を見て勝利をほぼ手中に納めたと考えているのか、笑顔が絶えない。
「才能溢れる“氷の神”もイップスには敵わないようだな」
イップス・・・一般的にスポーツとかで用いられる言葉らしいけど、失敗体験や恐怖体験からその行動を起こそうとすると無意識に体が強ばり、その動作ができなくなってしまうことらしい。
レオンはラウルの親を何かの理由で殺めてしまったために難しい依頼を成功させ続けてきた滅神魔法が使えなくなってしまった。それはまさしくイップスということで間違いないだろう。
「―――・・・か」
レオンは痛む脇腹を押さえながら、グラシアンさんの言葉を聞いて何かを思い出しているようだ。
「何か勘違いしてるみたいなんだよなぁ・・・」
「は?」
レオンの言葉にグラシアンさんが意味がわからないといった顔をする。俺とソフィアも同じように、彼が何を言いたいのかわからずにいる。
「イップスに陥ってないとでも言いたいのか?」
「いや・・・それは否定できないよ。俺は滅神魔法を使おうとすると無意識に体にブレーキがかかってしまう」
じゃあ一体何が違うのか?俺たちがわからずにいると、レオンはグラシアンさんを見据えて語り出す。
「俺は・・・才能なんか一切ないんだよ・・・」
レオンside
俺は生まれてすぐに両親を亡くした。俺の親は2人とも魔導士だったらしいのだが、俺を仲間に預けて仕事にいった最中に事故でこの世を旅立ったらしい。
俺はその後近くにあった孤児院に預けられた。そこには俺と似たような境遇の子供がたくさんいた。だからみんなすぐに仲良くなってくれたし、俺自身もすごい毎日が楽しかった。
だけどそこでは数日に1度、孤児院にいる子供の親族や子宝に恵まれなかった夫婦が新しい家族として子供を連れていくということがあった。仲の良かった友人や気さくで人気のある奴などはすぐに目に止まり、その孤児院から離れていく。
俺は0歳の時からそこにいたが7歳になるまで誰にも引き取られるということはなかった。理由は極度の人見知り・・・今でこそ直ったが、昔は知らない人が来ただけですぐに誰か近くにいる人の陰に隠れるということをしていた。
そんなある日、俺にも迎えがやってきたのだった。
「レオ~ン!!おばちゃんが呼んでるよ~!!」
「?うん!!わかった!!」
友達にそう言われ俺は孤児院を経営しているおばあちゃんの元へと飛んでいった。そこには見たことのない銀髪の男の人が近くにあるギルド蛇姫の鱗の魔導士で聖十大魔導の1人、ジュラ・ネェキスさんがいた。
「おばあちゃん!!」
「待ってたよ、レオン」
俺はおばあちゃんに抱き付くと彼女は銀髪の男の人を見上げて何かを話し始める。
「ほら、この子がレオンだよ、リオンさん」
リオンと呼ばれた男の人は俺に目線を合わせようとしゃがむ。俺はおばあちゃんの後ろに隠れようとすると、彼女にリオンくんと向き合うように前に押し出されてしまう。
「レオン・バスティア・・・だね?」
「うん・・・」
「俺はリオン・バスティア。君のいとこだ」
「いとこ?」
その時の俺はいとこという言葉の意味がわからず、首を傾げてしまう。リオンくんはそれを見てうなずいたあとに言葉を紡ぐ。
「そうだ。君の家族だよ」
「家族・・・」
後で聞いた話だとリオンくんのお母さんの妹が俺のお母さんだったらしい。もっとも、2人とも今は亡くなってしまったからリオンくんも俺のことを探すのに時間がかかったらしいけど。
「もし君が良ければ俺と一緒に暮らさないか?」
それを聞いた時、俺は嬉しかった。孤児院のみんなは大切な人たちだったけど、ほとんどの人が新しい家族の元に行ってしまっていたからだ。だから俺も家族というものが欲しかったから、リオンくんへの答えはもちろんyesと答えた。そこから、辛い日々が始まるとも知らずに・・・
リオンくんと一緒に暮らすようになって一週間ほど経った。リオンくんはその時ギルドに入ってまだ1ヶ月も経っていなかったらしいのだが、その高い魔力と能力を評価されジュラさんと並ぶ二大エースとして数々の依頼をこなしていた。
「レオン、これでも飲むかい?」
そう言って俺にオレンジジュースを差し出してくれたのは蛇姫の鱗のマスター、オーバ・ババサーマ。
「ありがとう!!オババ様」
リオンくんは彼女のことをオババと呼んでるが、俺はオババ様と呼んでいる。理由は隣に座っているこの少女に影響を受けたからだ。
「シェリアも飲むかい?」
「うん!!オババ様」
シェリアと呼ばれた赤紫色の髪をした少女。リオンくんとガルナ島で何か行動を共にしていたシェリーさんのいとこらしい。年齢は俺の1つ上で当時は8歳。このギルドには歳の近い子がほとんどいなかったこともあり、俺とシェリアはすぐに仲良しになれた。
リオンくんとシェリーさんは一緒にクエストに出掛けることが多かったので、その時は基本的に俺とシェリアはギルドに預けられることになっていたため、よく一緒に遊んでいた。
ある日も同じようにギルドにいた時、シェリアはテーブルの上でせっせと何かを書いていた。
「シェリア?何してるの?」
「宿題だよ、レオン」
シュクダイ?俺は聞いたこともない単語に頭を悩ませ、近くにいたユウカさんに質問してみた。
「シュクダイって何?」
「学校で出される課題のことだよ」
またわからない言葉が出てきた。ガッコウってなんだ?
「ガッコウって何?」
「あぁ・・・物事を勉強するところだよ」
「シェリアは魔法学校にいってるんだよ!!」
「キレんなよ」
横から出てきたトビーさんがキレぎみにそう言い、ユウカさんに突っ込まれた頬を赤くさせて頭をポリポリ掻いている。
俺はなんとなくわかったので、シェリアの元に戻って話しかける。
「学校って楽しいの?」
「うん!!すごい楽しいよ!!」
シェリアはその魔法学校でかなり優秀な生徒らしく、今は2学年飛び級というものをしているらしい。するとシェリアは突然何かを思い付いたように立ち上がり、俺の肩を掴む。
「そうだ!!レオンも魔法学校に来ればいいじゃん!!」
「え・・・」
あまりに唐突だったために一瞬どういうことか分からなかったが、徐々に冷静さを取り戻し考えてみる。魔法学校というところには俺やシェリアと同じくらいの年齢の人がたくさんいるらしい。俺のイメージ的には孤児院で魔法を学ぶようなものなんだろうと思った。
孤児院では毎日いろんな人と遊んでいた。あの楽しい日々を・・・しかもリオンくんやジュラさんと同じような魔導士になるための勉強をしながらやれるなんて・・・
「うん!!俺、学校行きたい!!」
リオンくんはすごい魔導士だし、俺もそれに近い血が流れているならもしかしたら同じようになれるかも・・・それにシェリアと同じクラスになることも頑張ればあるかもしれないと思い、俺は魔法学校に行くことを決意した。
仕事から帰ってきたリオンくんはもちろん許可してくれたし、入学式はそれから1か月後の9月。十分に間に合う期間だった。こうして俺はシェリアと同じ魔法学校に行くことになった。その時は楽しみでしょうがなかったが、今はあんなところに行かなければと、ずっと後悔している。
「じゃあ次、レオンくん」
「はい!!」
それから1か月後、無事に入学式を終えた俺はクラスごとに別れて自己紹介をしていた。
「レオン・バスティアです!!よろしくお願いします!!」
俺が自己紹介するとクラスメイトたちがざわつく。その理由はもちろん、俺の名前を聞いたからだった。
「バスティアって・・・もしかしてラミアの?」
「リオンさんの兄弟?」
「いとこらしいよ」
リオンくんは魔法週刊誌『ソーサラ』にギルド加入後すぐに取り上げられ、フィオーレ中に名を響かせた優秀な魔導士だ。だから魔導士に憧れてこの学校にきた人たちはみんな知っていた。
「あいつもすごい魔法使えるのかな?」
「いいなぁ」
クラスはおろか、学年中に『蛇姫の鱗のリオンのいとこがいる』ということで俺のことは知らない人はいないぐらい知れ渡った。きっとみんな、俺のことをすごい魔導士になる奴だと思っていたに違いない。俺もまた、その1人だったから。しかし、現実はそう甘くなかった。
「じゃあこの魔法・・・レオンくん、やってみて」
「いっ!!」
魔法学校というのは座学と実技に別れている。魔法の歴史やら種類やら扱いやらを学ぶ座学と実際に魔法を扱ってみる実技。俺は座学はそこそこできた。シェリアは飛び級するくらいだからおそらく満点連発だったのだろうけど、俺は平均点からその少し上を行くぐらいの至って平凡な生徒。だがそれだけならまだ良かった。一番の問題は・・・
「ほら、前に出てきて」
「はい・・・」
先生に呼ばれて前に出ていく。俺が前に立つと、数人の生徒がコソコソと何かを話している。その表情はまるで人をバカにしているような表情だった。
(いや・・・まるでじゃないか)
こいつらは俺のことを見下している。でも俺はそれに対してイライラするようなことは一切ない。だってしょうがないことなんだから。
今日の実技の魔法は何でも花を咲かせる魔法らしい。正直そんなもの何の意味があるのか分からないが、俺たちはまだ入学したばかりだからこのぐらいの魔法がちょうどいいのだろう。
「フラワーマジック・・・チューリップ!!」
俺は先生に言われた通りに魔法を出してみる。しかし出てきたのはチューリップではない。いや、厳密にいえばチューリップなのだろうけど、どういうわけか枯れてしまっている。
「あらあら、失敗しちゃったみたいね」
どうやらこれは失敗に分類されるらしい。これが俺の問題点。俺は実技が他の生徒の半分も出来なかったのだ。
みんなが普通にやれることを俺はほとんど出来ない。もちろん全くできないというわけではない。たまに・・・人並みにできるものもあったりするがそれは本当にごく一部。
みんな俺が失敗するのを見て大笑いしている。先生がそれを静かにさせてくれるが、そんなものは少しの意味をなさないことにいい加減に気づいてほしい。
授業が終わり、休み時間に入るとみんなが俺の周りに集まってくる。
「お前本当にリオンのいとこなのかよ」
「全然魔法できないじゃん!!」
いつもこうだ。俺が失敗するとみんなそれをネタにしてこう笑ってくる。
すごい魔導士のいとこということで注目を集めてしまっていた俺。そんな奴が出来損ないだとなれば、みんな寄って集ってお笑いのネタにするに決まっている。
いつしか俺はいじめの対象になっていた。物は隠されるし無視はされるし、すごく辛かった。そんな俺の唯一の心の癒しは登下校の時のわずかな時間だった。
「レオ~ン!!」
下校の時にいつも通り学校の門の前で待っていると、後ろから女の子の声が聞こえてくる。その声を聞くと俺はいつもホッとする。
「シェリア」
振り返るとそこには俺がこの学校に来るきっかけとなった少女、シェリアがいた。
「待った?」
「ううん。今来たところ」
「よかったぁ!!」
登下校時は俺はシェリアと一緒に帰ることになっていた。クラスメイトたちとは一緒に帰れるわけないし、シェリアも飛び級ということでクラスメイトたちは全員年上。一緒に居にくいというのがあって俺と一緒に下校してくれているのかもしれない。
でもそれが俺的にはよかった。シェリアは俺が学校でただ1人仲良く話せる友人だ。この一緒に歩いていられる時間は幸せだったし、楽しかった。
「ねぇ、レオン」
「うん?」
「このあと時間ある?」
シェリアはこの後何ヵ月かすると再び飛び級が控えている。そのため家に帰ると次の学年に向けての勉強をしなければならない。そんな彼女が珍しく俺にこんな質問をしてきた。
「うん。大丈夫だよ」
「やった!!じゃああたしの家に後で来てくれる?」
「わかった」
俺たちはいつも一緒にいるところまで来るとそれぞれの家へと帰っていく。俺は家に鞄を置いてくるとすぐにシェリアの家へと向かう。
シェリアはその時シェリーさんと一緒に暮らしていた。でもその日はシェリーさんはリオンさんとお仕事に行っていた。何でも闇ギルドの三大勢力の内の1つを他のギルドの人たちと一緒に討伐するクエストらしく、各ギルドエース級の魔導士を選出するということでリオンさんとジュラさん、そしてリオンさんと仲の良いシェリーさんを選んだらしい、
「おじゃましま~す」
シェリアの家に到着するとチャイムを鳴らすことなく扉を開けて中へと入っていく。大体俺たちはいつもこんな感じ。シェリアがうちに来る時も勝手に上がってくるし、俺も勝手に上がっていく。休みの日とか目が覚めるとシェリアが隣で寝てたりするから結構ビビったりするのも最近では慣れてきた。
シェリアの部屋の扉を開けるとそこではシェリアが何やら見たこともないような服を広げていた。
「お!!来た来た!!」
シェリアは俺が部屋に来たのを見ると中に招き入れる。そして俺をタンスの前に立たせると広げられていた服を持ち上げて俺と重ねるように見ている。
その服はシェリアのような女の子が着るようなミニスカの服である。かなり嫌な予感がする。
「シェリア?何してるの?」
俺は冷や汗を浮かべながらそう問うとシェリアはニッコリと微笑みこう言う。
「レオンに着てもらおうと思って」
その瞬間俺は急いで部屋から逃げ出そうとしたが、シェリアに捕まってしまい服を無理矢理脱がされ着替えされられてしまった。
「わぁ!!やっぱりレオン超似合う!!」
「そ・・・そうですか・・・」
はっきり言おう、全然嬉しくない。シェリアはどこからか俺と同じ金髪のロングヘアのウィッグまで持ち出してきて被せてくる。おかげで頭がすごく重い・・・
「じゃあいこっか!!」
「へ?」
いきなり俺の腕を掴んで部屋から飛び出すシェリア。
「ど・・・どこ行くの?」
「遊びに行くの!!」
シェリアは最初からこの予定だったらしい。俺に女装をさせて外に連れ出そうと考えていたようだった。
俺は恥ずかしかったけど、別にこんな格好見られたところで今さら失うものは何もないし、シェリアが満足するならそれでいいと思って付き合ってあげることにした、
街に出るとシェリアは誰かを見つけたらしく手を振っている。
「お~い!!」
そちらに目を向けるとそこにはシェリアと同じくらいの女の子が4人いた。何でもシェリアが入学した時のクラスメイトらしい。
「みんなお待たせ!!」
「遅いよシェリア」
「ごめんごめん」
両手を合わせて謝罪するシェリア。そのうちの1人が俺の存在に気づく。
「あれ?この子誰?」
シェリアは「フフッ」と笑うと俺を抱き締めてくる。
「みんな知ってるでしょ?リオンのいとこのレオン!!」
「「「「えぇ!?」」」」
みんな俺がリオンくんのいとこだと聞くと驚く。そりゃそうだ、だってリオンくんのいとこのレオンは男なんだから。彼女たちは何をいうのかと思っていると、意外な答えが返ってくる。
「「「「かわいいぃぃ!!」」」」
「でしょでしょ!!」
突然テンションが上がる彼女たちに1人取り残されていると、5人はとんでもない提案をして来る。
「ねぇ、これで明日学校に行ってみたら!?」
「え!?」
それは勘弁してくれと思った。ただでさえいじめの対象になっているのにこんな格好で行ったらどうなるのかわかったもんじゃない。その主を伝えるとシェリアたちは・・・
「そうなったら私たちが守ってあげるから」
と言ってくれた。どうせいじめられていることに変わりはないのだし、だったらシェリアたちの玩具になったところで問題はないかな、と思った。守ってくれるというのはたぶんウソではないと思っていたけど、さすがにそこまでしてもらおうとは思わなかった。
もしこれでいじめがひどくなるならその時は学校を辞めよう。リオンくんには申し訳ないけど、俺には魔法の才能がなかったからといえば片が付くと思っていた。
次の日俺はダメ元で学校にシェリアにされた女装状態で行ってみた。登校中の周りの視線がかなり気になったけど、シェリアも一緒だったしどうでもいいやと思っていた。
「おはよう・・・」
学校の教室のドアを開けると数人の生徒が「誰?」と話をしているのが聞こえた。俺は自然な流れで自分の席に座ると、みんな俺のことに気づいたらしくざわつく。
そして1人の少女が俺のところにやって来る。
「レオンくんなの?」
「う・・・うん・・・」
目線を合わせないようにうなずく。みんなどんな反応をするのかビクビクしていると、周りにクラスの女の子たちが集まって来た。
「レオンくん超可愛いじゃん!!」
「それ自分でやったの!?」
「その服どこで買ったの!?」
予想外の質問攻めに合い動揺してしまう。とりあえず聞き取れた質問には正直に答えると女の子たちはキャーキャー盛り上がっていく。
実はシェリアは俺のクラスの女子連中が俺のことを女装させようとしている話を秘かに聞いていたらしい。それで「だったらあたしが女装させればレオン人気者になるんじゃない!?」と思ったらしく女物の服やウィッグを準備して俺に着せてきたらしい。
普通だったらよりいじめが続発しそうな気がするのに、シェリアの機転で俺はクラスに徐々に馴染んでいった。男子の友達も少しずつ増えていき、いつしか俺のことをリオンくんのいとことして見る人間はいなくなっていた。
後書き
いかがだったでしょうか。
レオンが小さい頃に女の子の格好をしてたのはシェリアのせいだったんですね。
というかレオンの過去の設定が細かすぎてまさかの2話目突入!!
もうすでに最終日が3話ほど予定よりかかっている状況となっております。
次でレオンの過去が片が付くと・・・いいなぁ(遠い目)
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