水の国の王は転生者
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プロローグ
前書き
初めましての方は、初めまして。にじふぁんで見ていてくれた方は、お久しぶりです。
色々ありまして、こちらの暁さんのサイトで連載させていいただきます。
これから、どうぞご贔屓に、よろしくお願いします。
「ん・・・・・・ここは・・・・・・どこだ?」
ふと目を覚ますと真っ白な地面と灰色の空の奇妙な空間に立っていた。
「お、目を覚ましたぞ」
「覚ましたんだな」
「ケケケ・・・・・・・ようこそ、迷える子羊よ」
声がする方向を見ると、マッチョとデブをチビの三人の男が立っていた。
「ウム、お前がここに呼び出されたのはほかでもない」
「き・・・君は人間界で死んじゃったけど、輪廻の輪から外れちゃって転生できなくなっちゃったんだな」
「普通、人間に限らず死後、輪廻転生によりさまざまな生物に転生するようになっているのだよ」
いきなり現れた三人組はそれぞれ好き勝手にしゃべりだした。
「ちょっ・・・ちょっとちょっと! いきなり何なんだよ! もうちょっと分かるように説明してくれよ!!」
「なんだ、せっかちな奴め、ようするにお前はとうの昔に死んで、ほかの生物に転生しようも輪廻の輪から外れて転生できなくなったと、そう言っとるのだ!」
「え? オレ・・・・・・死んじゃったの?」
「最初からそう言ってるんだな、オツムが弱いんだな」
ほっとけ!
内心で愚痴をこぼす。
「ククク・・・・・・このまま転生できずに消滅するしかない君に我々がよい転生先を紹介しようと思ってね」
「転生できずに消滅!?」
「そうなんだな、ただし我々の出す条件を飲めば・・・・・・の話なんだな」
「左様、『神たる我々を楽しませる事!』・・・これが条件よ!」
「神だって? あんたたちが?」
『神』と、いう言葉に納得してしまう自分がいる。
なんというか・・・・・・こいつ等の思考回路が人間を超越してしまっていると思ってしまったからだ。
「楽しませるって具体的にはどうするの? 芸でもしろっていうのか?」
「我々、神にとっての最高の娯楽とは哀れな子羊たちの波乱万丈の人生、ワインを片手に見るそれは最高の娯楽! 最高の演劇なのだよ!」
地獄に落ちろ・・・・・・内心毒気づく。
「なんだ? その箱」
不良神三人組がそれぞれ一つずつの安っぽい箱を持っている。
「この箱にはお主が転生されるフィクションの世界」
「そして我々の持つ二つの箱は生まれもって得られる各種スキルを一つずつ」
「なんだな」
「んん!? フィクション? フィクションの世界ってなんだ!?」
「そのままの意味なんだな、マンガや小説の世界ってことなんだな」
「現実世界はお主の転生を受け入れる事はできない、現実世界ではない『架空の世界』ならばお主を転生させることが出来る・・・・・・と、まあそういうことだ」
「その架空の世界であんたたちを楽しませろ・・・・・・そういうことかい?」
「ククク・・・・・・そういうことだ、くじ引きとはいえ得られる各種スキルも凡人が人生をかけて鍛錬しても届くことが出来ない超能力と呼ぶにふさわしいものばかりだ」
「・・・・・・超能力」
「要領よく立ち回れば英雄にもなれるんだな、可愛い娘もいっぱいはべらせる事も出来るんだな」
「・・・・・・英雄」
不良神三人組に煽られ乗せられていると自分の冷静な部分が警告を発するも『スーパーパワーで英雄』という甘い言葉にオレは徐々にその気になってきた。
それに現実世界のオレは死んでしまっている、引くことは出来ない、ならば・・・・・・進むしかない!
「やるよ、もう進むしかないんだろ? だったらせいぜいあんたたちを楽しませてやるよ!」
不良神三人組がいかにも『計画どうり』といった笑みを浮かべるが、三人組をギロリと睨み返す。
「ガハハハハハ!・・・神を前によい根性をしとるわ!」
「契約成立なんだな、早速くじを引くんだな」
「では最初に私のくじから引くといい、能力のくじだ」
最初はチビ神がもつ箱に手を突っ込んだ。
ダララララララララララララ!
どこからともなく安っぽいドラムロールが鳴り響く。
「よっと・・・・・・『魔力無限』って書いてあるんだけど」
野球のボールぐらいの球を掲げる
「おめでとう、その能力は読んで字のごとく『魔力が無限』・・・・・・魔法を一日中使いっぱなしにしても魔力切れを起こさない・・・・・・と、いう意味だ、おめでとう!じつにおめでとう!! ケケケケケッ」
「魔力ってどういうの?RPGでいうMPで考えればいいのか?」
「そう考えてよい」
うん・・・・・・・いいね、無限に魔法を使い続けるなんて最強では? などと考えていると、いくつか疑問点が浮かんできた。
「ところでさ、転生した先で魔法とかそういう力が・・・・・・無い世界だったらどうするんだ?」
「その場合はご愁傷様なんだな、がんばって魔法の存在する世界を引き当てるんだな」
「ええっ!?」
「付け加えると魔法の使えない種族でもだめだ」
そんなのアリかよ! 思わず抗議しようとチビ神に詰め寄ろうするとデブ神がぬぬっと割り込んできた。
「早く次を引くんだな、早くしないとキミ・・・・・・消滅しちゃうんだな」
「なっ!?」
慌てて自分の身体を確かめるとたしかに。
「透けてる!?」
「ケケケ、早くクジを引かないと何もかもオシマイだぞぉ・・・・・・ケケケケケケ!」
憎たらしく笑うチビ神。
「くっ、くそっ!」
急かされるようにチビ神の持つ箱に手を突っ込んで最初に手に触れた球を掴み引き抜いた。
「むぅ・・・・・・・『目から破壊光線』とな」
「なんだよそれっ!!」
「まぁ、これで魔法無い世界でも上手くやっていけるんだな」
「ぐぬぬぬぬ・・・・・・・」
「さぁ! 最後は転生する世界、悔いの無いようにな!」
最後にマッチョ神が箱をさし出した。
オレは消滅の恐怖から逃げるように最後の箱に手を突っ込む。
「く、くそったれ! 何でもいいからまともな世界を引いてくれぇーーーーーー!」
オレは引いた球に書いてある転生先を確認しようとした。
すると、そこに書いてあった転生先は・・・・・・
『ゼロの使い魔』
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