女の子の秘密
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7部分:第七章
第七章
「それだよな」
「だよな。これで二つ目か」
「ああ、けれどな」
しかしなのだった。
「それでもまだな。力士並に食うのはな」
「ああ、それであのスタイルはないよな」
「だよな」
またこうした話になるのだった。どうしてもそこから離れない面々であった。
「この二つだけであそこまでなれるかね」
「無理だな」
すぐに結論が出た。
「絶対にな。それはないな」
「ないよな、やっぱりな」
「確かに身体を動かしてそうしたお茶を飲めば効果はあるさ」
これは事実だった。
「それでもな。あれだけ食うと流石にな」
「太るよなあ、それでもな」
「そうだよ。まだ何かあるだろ」
こう予測を立てる面々だった。
「で、それが何かだけれどな」
「何だろうな、一体な」
とにかくまだ何かあると見ていた。そうして暫く早輝を見ていたがふとあることに気付いたのだった。何と彼女は昼以外には食べないのだ。
「あれ、間食しねえな」
「ああ」
「食うのは昼だけだぜ」
このことに気付いたのだ。皆休み時間や放課後に色々と食べる。男組にしろ放課後はしょっちゅう吉野家に言ったり中華料理店に行ったりしている。とにかく何時でも食べているのである。しかし彼女は違い外での様々な偉業も昼のことだ。それか夕食でのことだ。間違っても放課後ではないのだ。
「昼にどかっとだよな」
「だよな」
そうなのだった。早輝は昼しか食べない。それに気付いた。ここで新たな秘密を見つけたのだった。
それでついだった。男組の一人が早輝に問うてきた。あくまで何気なくを装ってだ。とりあえずそれを装って彼女に対して問うたのである。
教室でお昼を食べ終えた彼女に近付いて。尋ねたのだった。
「ねえ川西さんって」
「何?」
「おやつとか食べないの?朝とかお昼に」
こう彼女に尋ねたのだった。とにかく何気ないふりをしてだ。
「食べるのお昼だけだよね」
「実はそうしてるの」
早輝は彼に香を向けて答えたのだった。
「朝とお昼と夜にね。三回だけ食べるようにしてるの」
「あっ、そうだったんだ」
「そうよ。一日三回ね」
一日三食というわけである。
「その時だけ食べるようにしてるの」
「三回なんだ」
「それも八時以降は食べないの」
こうも言うのだった。
「それまでに食べてるの」
「ふうん、そうなんだ」
「だって。太るから」
何と彼女の口からこの言葉が出たのだった。
「だから。それはしないの」
「太るからなんだ」
「そうよ。太ったら身体の動きが悪くなるし」
バレーボール部員らしい言葉だった。
「それにあれでしょ。嫌じゃない」
「嫌なんだ」
「太ってるとね。やっぱりね」
やはりこの辺りは今時の女の子だった。彼に対して恥ずかしそうに述べていた。
「そうしてるの。太らないようにって」
「成程ね」
「これでも苦労してるのよ」
今度はこうしたことも言うのだった。
「太らないようにって。この体型維持するのに」
「苦労してるんだ」
「そうなのよ。誰だってそうよ」
今度は誰でもだと言う早輝だった。
「女の子は。苦労してるのよ」
「体型を維持するのにね」
「私だってそうだし」
自分もだという。
「だから。三食しっかりと食べるけれど」
「それでも間食と夜遅くはなしってことか」
「あとお酒も飲まないし」
これは高校生ならば本来は常識であった。どうもその常識を知らない人間が非常に多いのであるが。実際このクラスの男組も煙草はやらないがそのかわりに酒好きな面々ばかりである。
「気をつけてるのよ」
「そうだったんだ、わかったよ」
早輝の言葉に頷いて答えた。
「そういう訳があったんだ」
「そういうこと。それじゃあね」
「うん」
「今から食べるから」
早速またあの巨大な弁当箱を出してきたのだった。しかも今度は三段である。
「御免ね。また後でね」
「うん、またね」
こうして何気なくを装った情報収集は終わった。彼はこの話をすぐに仲間達にした。彼等は学校の屋上で自分達の弁当を食べながらこの話を聞いてかなり驚いた。
「それでだったのかよ」
「しかも太らないようにって気をつけてたのかよ」
「みたいだね」
情報を本人から聞き出した彼が皆に述べていた。皆車座になって座ってそのうえで食べている。
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