IS~夢を追い求める者~
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第2章:異分子の排除
閑話2「IS学園~Another~」
前書き
今回は前回出番がなかったユーリちゃん視点です。四組sideで始まります。
オリキャラも出るよ!(ほんの少しだけ)
=ユーリside=
桜さんが言った通りに、私達はIS学園に入学しました。ですが....。
「..........。」
「ユーリ、大丈夫?」
「な、なんとか....。」
見れらてます。すっごく見られてます....!
「この待機状態、何とかならないんですか...?」
「グランツさん曰く、それ以上の縮小は難しいだって。」
そう、私が注目されている理由は、今私の頭の上に垂れパンダのように乗っているめ~ちゅが原因です。...実は、このめ~ちゅ、“エグザミア”の待機形態なんですよね...。
「...はぁ...我慢するしかないんですね...。」
「これを機にユーリも人見知りを克服したら?」
「克服する前に挫けそうなんですが...!」
皆さん、あまり見ないでくださいー!
「はい、HRを始めるよ。」
すると、担任と副担任の先生が入ってきて皆を席に着けさせる。...って、あの人達は...。
「それじゃあ、まずは自己紹介をしましょうか。私は担任のアミティエ・フローリアンです。まだ教師になって間もないけど、まぁ、それは皆も同じようなものだから、一緒に頑張って行きましょうね。」
「私は副担任のキリエ・フローリアンよ~。名前から分かる通り、お姉ちゃんの妹よ~。」
「...って、アミタとキリエ!?」
赤い三つ編みの女性とピンクの長い髪の女性。...やっぱり私の知っている人でした。...というか、グランツさんの娘さんです。
マドカさんも驚いたのか、つい立ち上がって突っ込んでしまいます。
「篠咲さん、教師には先生とつけるように!」
「うっ...はい。」
アミタさんに注意され、マドカさんは座り直します。
「は~い、私達と篠咲さんの関係も気になるだろうけど、それは自己紹介の時に喋ってもらうから早速していきましょうね~。」
「名簿の順でお願いしますねー。」
アミタさん...これからはアミタ先生と呼びましょうか。
アミタ先生の指示により、名簿の順で自己紹介をしていきます。
しばらくして、マドカさんの番になりました。
「篠咲マドカです。アミタ...先生達と知り合いなのは、同じワールド・レボリューションに所属してて、よく会ったりするからです。一組に男性操縦者の秋兄がいますけど、手を出したら...殺っちゃうよ☆」
前半は普通でしたけど、後半で皆さんがシーンとなります。...あの、可愛げに言ってもその笑顔は恐ろしい系の笑顔なので意味ないですよ...?
「はい、見ての通りブラコンですが、それ以外は普通なので安心してね~?」
「ちょ、キリエ!?貴女が紹介しちゃ意味ないでしょ!」
キリエ先生が補足の紹介を入れ、アミタ先生がその事に突っ込みます。
とにかく、マドカさんはこれで終わりのようで、次の人に行きます。
...またしばらくして、ようやく私の番になります。
「....ユーリ・エーベルヴァインです...。えっと...マドカさんと同じワールド・レボリューションに所属しています。...えっと、その...頭に乗ってるのは“エグザミア”と言う私の専用機の待機形態で、チヴィットと言う会社で開発しているAI搭載のロボットでもあります。...あの、一年間よろしくお願いしますっ!」
緊張と恥ずかしさで言い切った瞬間に座ってしまいます。
「可愛らしいなぁ...。」
「抱きしめたくなるね!」
「私...何かに目覚めそう....。」
「誰かこの人止めて!?」
周りが私を見ながらヒソヒソと話しています。...余計に恥ずかしいです...!
あ、何か変な事言った人は無視です。ああいうのは気にしたらダメだと桜さんに教わりました。
「我が社の商品宣伝もしてくれてありがとねー。」
「ちなみに~、ああ見えてちゃんと同い年だからねー?」
小さくて悪かったですね...!というか、緊張のあまり自己紹介の内容も思い浮かばずに宣伝をしてました...!
「はい、では次の人ー。」
次からの人の自己紹介は、やってしまった恥ずかしさでよく聞いていませんでした...。
「はぁ~....。」
「お疲れだね、ユーリ。」
机に突っ伏す私に、マドカさんが話しかけてきます。
「人見知りだからか、余計に疲れました...。」
「まぁ、桜さんはそれも克服するようにって考慮してたんだと思うよ。」
「そうですか....。」
ふと、廊下を見てみれば、一組方面に生徒が集まってました。
「...男性操縦者....だからですかね。」
「多分ねー。まぁ、ユーリも十分注目されてるけど。」
「うぅ~....。」
確かに私に注目している人も結構います。私に、というよりはめ~ちゅにですけど...。
「グランツ博士は何を思ってこの待機形態に...。」
「ジェイルさんも一緒だったからねぇ...私もわからないよ。」
...はぁ、もう、注目されるのは諦めましょう。
「ところでマドカさん。」
「ん?なにー?」
話を切り替え、今度は私からマドカさんに話しかけます。
「...怪しい人と、重要そうな人、このクラスに何人でしたか?」
「....んー...怪しいのは四、五人。重要そうなのは一人...かな。」
ちなみに、怪しい人と言うのは女尊男卑思想の過激な人の事で、重要そうな人は有名だったり手を出さない方がいい人だったりする人の事です。
「ま、怪しい方は放置しててもいつの間にか桜さんが潰してるだろうから...重要そうな方、かな。」
「...そうですね。」
マドカさんが顔を向けた先は、今は誰も座っていない席。
先程、HRが終わったらすぐにどこかへ行ってしまったようです。
「名前は更識簪。...まぁ、あの更識家の子って事ね。」
「対暗部用暗部“更識家”...まぁ、裏では有名な家系ですね。」
ちなみに情報源は桜さんや束さんです。一体、どこまで知ってるんですか...。
「“楯無”の名を持っていないという事は当主ではなさそうだね。」
「確か、妹さんの方ですね。姉の方が二年にいます。」
「あー、そうだったね。生徒会長だし、優秀なんだろうな。」
マドカさんの言葉に少し胸が痛みます。...なにせ、私も優秀な姉と比べられてきましたから。どこか、簪さんと私の境遇が似ている気がするんですよね...。
「...っと、ごめんごめん。」
「いえ...大丈夫ですから。」
マドカさんも失言に気付いたのか、謝ってきます。
「...それよりも、他の情報は...。」
「えっとね...あ、専用機の開発が凍結されたらしいよ。」
「専用機の開発がですか?」
マドカさんの情報端末を覗かせてもらうと、開発しているのは倉持技研という所で、凍結された理由は男性操縦者の専用機“白式”の開発が優先されたから...と。
「...ひどいですね。」
「....実は、束さんもコレに関わっていたりするんだよね。」
「えっ...?」
どうやら、“流れ”というものに必要な事をしたらしいです。...その“流れ”というモノが分からないんですけど...。
「おまけに、アフターケアは私とユーリに任せるってさ。...なんで私達が彼女と同じクラスになる事を見越したような指示を....。」
「...案外、そうするように仕向けていたりしてそうです。」
「否定できない....!」
実はこのクラス分け、束さんと桜さんが操作していたりしませんよね?
「...って、そんな事してる間に二時間目だ。」
「そうですね。」
件の簪さんはチャイムが鳴るギリギリで帰ってきていました。
...そんなギリギリで大丈夫なんでしょうか...。
「あれ?ユーリどこ行くの?」
「ちょっとお手洗いにです。」
二時間目は特になにもなく終わり、再び休み時間です。
ちなみに、簪さんはまたすぐにどこかへ行ってしまいました。
「あ、私もついて行くよ。」
マドカさんもついてくるようです。まぁ、特に何かある訳ではありませんから気にしませんが。
「....あら?」
「ぁ.....。」
お手洗いから帰る時、見覚えのある女性と目が合います。
「あらあら....なんで貴女がここにいるのかしら?」
「ゆ、ユリア姉様....。」
私に似たようなウェーブのかかった金髪に、私をそのままスレンダーに成長させたような容姿の女性は、まごうことなき私の姉でした。
「....誰?」
「.....何度か話した、私の姉です。」
「ふ~ん...。」
一緒にいるマドカさんの質問に答えます。
「...もう一度聞くわ。なぜ、貴女のような“出来損ない”がここにいるのかしら?てっきりとっくに死んだと思ってたのだけれど?」
「...助けて助けて頂いたんですよ。今、私が所属している会社に。」
正直、会いたくなかった。でも、やっぱりこの学園にいました。家でも、IS関連の事を教えられていたので、ここに入学する事は分かっていましたし...。
「ふーん...。で?この学園にのこのこと入学してきたと...。」
「はい...。」
「...調子乗ってるんじゃないわよ?」
私を睨みながら姉様はそう言います。
「出来損ないの癖に、拾って貰った程度で図々しいのよ。第一、なんでまだエーベルヴァインの名を語ってるの?貴女はもうエーベルヴァインの者ではないのよ?」
「っ....母様の名は、捨てたくありません...!」
これは、桜さんにも言った事です。唯一優しくしてもらった母様の事だけは忘れたくないから、家名はずっとエーベルヴァインでいたいと....!
「あら、何を言ってるのやら。貴女は既に家の者ではない。ならば、お母様の子ですらないという事よ。だから、お母様は既に貴女の親ではないわ。」
「っ......!」
常に見下すように私を見てくる姉様の姿に、強い憤りを感じます。
「....はぁ、行こう、ユーリ。」
「マドカ...さん?」
「こんな奴、相手にするだけ無駄だよ。」
マドカさんは私の手を引いて姉様を無視して行こうとします。
「....所詮、家族の本当の長所にも気づけない程度の存在なんだから。」
「...なんですって?」
「事実だよ。第一、才能とかよりも私は性格とか人柄を取るね。....あぁ、それとさ。」
そう言ってマドカさんはセリフを区切り、すれ違いざまに...
「―――アンタのような奴が、ユーリに勝てるわけないでしょ。」
「.........。」
そう言って私を連れて教室に戻っていきます。
姉様は、ずっと私達を睨んでいました。
「ほら、ユーリ、いつまでさっきのを引きずってるの?」
「あ...すいません...。」
さすがに呆れたような目でマドカさんは私を見ます。
「家族を捨てるような奴なんかをいつまでも気にしちゃいけないよ。...第一、今じゃユーリの方が全てにおいて優れてるんだから。」
「そうなんでしょうか...?」
「...あの束さんや桜さんに鍛えられて、強くならないとでも?」
苦笑いしながらそういうマドカさん。...確かにそうですね。
「....それにしても、どうして姉様はこの一年生の階に?」
「秋兄や桜さんとか男性操縦者がいるからでしょ。どんな人か偵察しにって感じに。」
なるほど...。...姉様は女尊男卑思想ですから、偵察というのは的を射てますね。
「...っと、さっさと戻らないと。」
「もうこんな時間ですか。」
チャイムが鳴りそうな時間だったので、私達は急いで教室に戻りました。
「はい、それじゃあクラス代表を決めますよー!」
三時間目、アミタ先生が授業を始める時にそう言いました。
「クラス代表って言うのは、名前の通りね。ちょーっと行事での雑用とかが任せられたり、クラス別でISの対戦で代表として出たりするわ。」
「では、立候補もしくは推薦する人は挙手をお願いします。」
キリエ先生、アミタ先生と言い切った直後、まばらに手が上がります。
「はい!エーベルヴァインさんが良いと思います!」
「はい!私も!」
「え、ええっ!?」
何故か挙手したほとんどの人が私を推薦しました。ど、どうして....?
「あ、あの...!」
「ちなみに~、推薦された人に拒否権はないわよ~?」
「うぅ.....。」
辞退しようとしたら、キリエ先生に無理だと言われました...。
「あの...せめて私を選んだ理由を....。」
それだけでも聞かせてほしいと、私はそう言います。
「専用機持ちって言うのもあるけど....なによりも。」
「「「「「可愛らしいから!」」」」」
クラスのほとんどが一斉にそう言います。...って、マドカさんや先生方まで!?
「そ、それだけ...ですか?」
「何言ってるのエーベルヴァインさん!」
「可愛いは正義だよ!」
「というか、こんな可愛らしい子がうちのクラスにいるのを自慢したい。」
クラスメイトのあまりの気迫に少し引いてしまいます...。...って、最後の人、ぶっちゃけましたね...。
「...ユーリ、他の人が推薦されていない時点で、決まったことだよ。諦めて、クラス代表になるようにね?」
「うううううぅ....!!」
気が進まないですけど...諦めるしか、ないんですね...。
「じゃあ、クラス代表はエーベルヴァインさんに決定...と、言いたいところだけど、納得いかない人が何人かいるみたいですね。」
見れば、何人かが私を睨んでいました。おそらく、会社に敵意を持っている方か、単純に納得がいかない方達なんでしょう。
「納得がいかない理由って、実力があるとは思えないのと、代表候補性とか肩書きを持ってないからって感じかな?...後は、ポッと出の会社の奴に代表をやられたくないとか。」
マドカさんが睨んできた方達を睨み返します。どうやら、図星だったみたいで、睨んでいた方達は目を逸らしました。
「....まぁ、そこまで言うなら、私がユーリの相手になって実力を示してあげるよ。」
「ま、マドカさんとですか!?」
マドカさんがいきなり模擬戦をする事を言い出したので、思わず突っ込んでしまいます。
「え?だって、これが一番手っ取り早いよ?」
「....私、マドカさんよりも弱いんですけど...。」
「実力を示すには充分だって。」
なら、マドカさんがやればいいじゃないですか....!
...推薦されてないので無理なんですけどね...。
「よし、それじゃあ近い内に...一週間後かな?その時に、篠咲さんとエーベルヴァインさんで模擬戦をしてもらいます。その結果でふさわしいか決める。...それでいいですね?」
誰も反論をしません。異論はないのでしょう。
「では、少し時間が余ったので、授業を少しだけしましょうか。」
アミタ先生の言葉に、半分くらいの生徒が不満の声を上げます。
「ええ~。」
「皆さんが言うのは分かりますが...キリエ!貴女が面倒臭がってどうするんですか!」
「だって、このまま終わる雰囲気じゃない。」
「副担任なのにそれをいいますか....。」
副担任としてあるまじき言葉ですよキリエ先生...。
「...はぁ。....まぁ、授業ができる教材を今は持ってきてないので、結局は授業はしないんですけどね。」
「...自分だって後先考えてないじゃない。」
「うぐっ....。」
コントのように会話をする先生方。クラスの方達もあの二人なら親しみやすくていいと思ってるのでしょう。少し笑ってる方もいます。
「と、とにかく、時間が余ったので、適当にクラスメイト同士で交流してください。」
「はい、それじゃあ、自由時間~。」
先生の言葉を合図に、半分くらいのクラスメイトは立ち上がり、いろんな人に話しかけて行きます。...私は、とりあえず先生方の方へ行きましょうか。
「ねぇねぇ!エーベルヴァインさんは好きな食べ物とかある?」
「その子、触らせてほしいんだけど....。」
「わぁ~、近くで見るとさらに可愛らしい!」
「え?あ、あの....!」
席を立とうとした瞬間、複数の人達は私に寄ってきました。
ど、どうすればいいんでしょう...。私、人見知りですからコミュニケーションが...。
「あー、ユーリは人見知りだから、そんなに詰め寄ったら困っちゃうよ。大抵の事は私が答えるね。」
すると、マドカさんがほとんどの人を請け負ってくれました。
「ありがとうございます...。」
「..早く慣れなよー。」
「は、はい..。」
大抵の質問はマドカさんが答え、プライベートやマドカさんが答えていいのか分かりづらい質問は私が答えて行きました。
「...はぁ~....疲れました....。」
「学校ってこんなに疲れるものなの...?」
今日ある全ての授業が終わった時には、私とマドカさんは結構な疲労感に襲われていました。
...私達は中学校なる場所には通ってませんでしたからね...。
「どちらかというと、クラスメイトの方達の質問の応答の方が多かったような...。」
「あー...それで疲労感が大きいのかぁ...。」
こういうのって、転校生にある宿命じゃないんですか....?どうして普通に入学した私がこんな目に...。
「....め~ちゅもだいぶ疲れてますね...。」
「弄ばれてたからねぇ。...メンテしてきたら?」
「そうですね。」
私の頭の上でだれるようにしているめ~ちゅを抱え、整備室へと向かいます。
ちなみに、場所は校内の地図が入学前のパンフレットに載っていたので分かっています。
「....ここですね。」
整備室に入り、隅の方に行きます。...あまり見られたくないですし...。
「えっと...め~ちゅの今の状態は....。」
解析するためにコードを繋ぎ、キーボードを叩いて行きます。
「疲労による一部の回路が接触不良を起こす可能性あり....ですね。どれだけ弄り倒されたのでしょうか...。」
接触不良になりにくいようにしているはずですが...。
「シュテル、細かい部分を教えてください。直しますから。」
〈分かりました。〉
直すべき場所をシュテルに教えてもらいながら、メンテナンスをこなしていきます。
シュテル以外にもレヴィやディアーチェでもいいんですが...やっぱりこういうのはシュテルが最も向いているので...。
「ここが...こうで....えっと、これは...こうですね。」
〈最近はメンテナンスをしていなかったので、整備する箇所が多いですね。...あ、ユーリ、これもです。〉
「そうですねー...。まぁ、手軽に済ませれるものだけでよかったです。」
私は解析が得意なだけでメンテナンスはそこまで得意ではありませんからね....。軽い故障はともかく、重要な部分とかは無理です。
〈.....これで大丈夫です。〉
「ありがとうございました。」
〈いえ、こちらこそ。〉
エグザミアの横に出ていた画面が消えます。普段はシュテル達は画面を介して私達と会話をしますからね。チヴィットに接続して直接話す事もできますけどね。
「め~ちゅもお疲れ様でした。」
メンテナンス中は眠っていため~ちゅが目を覚まし、また私の頭に乗ります。
―――カタン
「っ、誰ですか...?」
機材による物音がしたので、そちらへと振り返ります。
そこには、水色の髪をして眼鏡をかけた、大人しそうな少女がいました。
「...貴女は確か...クラスメイトの更識簪さん?」
「あ、えっと....。」
なぜかおどおどしている簪さん。どうしたのでしょう?
「ご、ごめんなさい、勝手に覗いちゃってて....。」
「覗いてたって...メンテナンスしてた所をですか?」
「う、うん...。」
...と、言う事はシュテルと会話してたのも見られてますね。
別に、隠す必要はないんですけどね。
「さっきのは...。」
「私の専用機“エグザミア”に搭載されている自己学習型AIの一人です。他にも二人いて、さっきのはシュテルと言います。」
「AI.....。」
自己学習型のAIが搭載されているISなんて他にないですからね。珍しがるのも当然です。
「...少し、会話してみますか?」
「えっ?」
「シュテル。」
〈はい。〉
再び画面が宙に投影され、そこにシュテルが映ります。
〈....1年4組の更識簪さんですね。私はシュテルと申します。〉
「凄い....本当にAI?」
〈はい。自己学習機能を付けた事で、より人間らしくなっておりますが、AIです。〉
簪さんの大人しそうな雰囲気からシュテルが一番相性がいいと思いましたけど、その通りでしたね。...レヴィも水色が好きなので仲良くなりそうですけど。
「そういえば、一週間後に模擬戦をするって言ってたけど...。」
「あれですか...。正直、マドカさんに勝てる気はしないんですけど...まぁ、頑張るつもりです。」
〈まったく勝ち目がない訳ではありませんしね。〉
シュテル達の分析を上手く使いこなせば、勝てる事もありますしね。
「...ところで簪さんはどうして整備室に?」
「私は...専用機を完成させるため...。」
「...未完成なんですか?」
技術者でもないのに、完成させるのは相当難しいはずですが...。
「.....良ければ、手伝いましょうか?」
「えっ?...できるの?」
「これでも解析は得意ですから。どこをどうすればいいのかぐらいは分かりますよ。」
桜さんにもアフターケアを任されていますからね。
「....でも、いいよ。」
「え?そうですか?」
「私一人で完成させなきゃ、意味ないから....。」
意味....?なぜ一人じゃないと....?
「(....あ、そういえば、姉の更識楯無さんは、一人で完成させたとか言われてましたね...。)」
劣等感から来る意地って所でしょうか?(桜さんが)調べた限りじゃ、本当に一人で完成させた訳じゃないのに...。
「だから、手伝わなくても、いいよ。」
「っ.....。」
そう言った簪さんの眼が、なんだかかつての私のように見えました。
...私は....どうすれば.....。
「.......。」
「...じゃあ、私は作業に戻るから...。」
そう言って簪さんは自分が作業していた場所へと戻ってしまいました。
「(....私は....。)」
簪さん以外に用がなくなってしまったため、私は整備室を後にしました。
「あ、いたいた。おーい!ユーリー!」
「マドカさん...。」
割り当てられた部屋の番号を私は知らないので、一度教室に戻るとマドカさんがいました。
「...あれ?どうしたの?」
「いえ、ちょっと...。」
「....何か、あったみたいだね。無理には聞かないよ。」
...そう言われたら、頼ってしまおうと話したくなってしまうじゃないですか...。
「その言い方は、ずるいですよ...。」
「えっ?」
「...まぁ、話した方が気が楽ですしね。」
少しばかり、話しておきましょうか。
後書き
リリなのGODではユーリは名前を呼び捨てにしていましたが、この小説ではinnocent仕様で環境も違うのでほとんどを敬称付けで呼ぶようになっています。(ただしシュテル達は例外)
教師になったばかりの二人に担任と副担任を任せてる事を気にしたら負けです。(ゆ、優秀だから大丈夫だよきっと...。)
中途半端(?)で終わってますが次回で合流するのでその時に話が繋がります。
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