失悲繰の街~The lost emotion~
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失悲繰の街に迷い込む前の話2
もう聞き出すことは無理かと思っていたら
「颯一郎さん。颯一郎さん。静希がこんなにも聞きたがっているのですよ」
部屋を開けてきたのは祖母だった。名前は斉宮由美子 いまは退職しているが元ダンサーで引退したあとは都内のダンス教室で数々の有名ダンサーを育ててきた
おじいちゃんもおばあちゃんには弱いだろう。そう思ったら本当に弱かった
「由美子…分かった。静希…絶対に行こうとなんて思うんじゃないぞ」
「絶対行かない行かない!」
俺は嬉しかった。ついに噂の街について詳しく聞くことができるだから。本にも載っていない秘密情報…それを今教えてくれる
「お前の言っている失悲繰の街は、知っていると思うが感情を失った街だ。その街は100年前ぐらいからあるらしいのだが、最初は賑やかな街だった。」
賑やかだった…?なのになぜこうなってしまったんだ。
「感情を失った街となってしまったのは46年前じゃ。その時はニュースで大きく報道されていたんだが数日でその街についてのニュースは見なくなってのぅ…それについて詳しいことはすまんが分からない。分かることはある男がきてから変わってしまったということだ。その男は住人たちを次々と殺し、殺さなかった者たちを洗脳していった。その洗脳は凄まじく、現代の科学でも実現不可能なのじゃ。」
今でも不可能…?そいつは一体何なんだよ
「おそらくその洗脳が原因で感情を失ってしまったのかも知れない。洗脳されたものが結婚し、子供を産むとその子供も感情を失った状態で生まれてきたそうじゃ。」
「じゃあ全てはその男がやったことなの?毎日起きてる失踪事件とかは」
「いや…その男ではない…その男のせいで街にはよくないものが住み着いてしまったらしくてのぅ。人間ではない何かがやっていることだと思う」
「オカルト関連か…どうせ嘘でしょ」
「嘘ではない!ワシにも説明できないものぐらいあるのだ。まぁ信じられないのも無理ないだろう。最後になるが、その街がどこにあるかだ。」
「教えてくれるんだね」
「オカルトとかそういう部類に興味がないところを見ると行くことはなさそうだからな」
「あはは。まぁ行っても面白いことないだろうしね。」
場所さえわかればすぐ行ってやる。もう決めていたのだが、口に出すと教えてもらえないので黙っておくことにした
「この街は憎しみ…悲しみ…そういうものが強い者たちの前に現れる。前に現れても行かなければいいのだが大体の人は行ってしまう。なにか惹きつけられるものがあるみたいだな」
待てよ‥それはおかしいぞ
「おかしいよ。おじいちゃんは行ったことがあるんだろ!」
「そのときはわしの親を殺した犯人が捕まらなくてとても犯人に対する殺意があったのだ。そんな時前に入口が現れた…」
「前は賑やかだったんだろ。全く話してる君がわからないよ」
「確かに前は千葉県にあったらしい。あの男が現れてから全てがおかしくなった」
「もうどうでもいいや。じゃあ強い気持ちがあれば行けるのね」
言ってしまった…まずい
「行ってはならぬぞ。行ったら頭がおかしくなることだらけじゃ帰る気にもならなくなるぞ」
バレたなら仕方ない
「俺は大丈夫。絶対帰って来れる。てか全てはその男に聞けば良いんだよね」
「あぁ。でもその男はとても危険じゃ。であったらすぐにおかしくされるだる。だから絶対に行かせない」
これはまた怒るぞ。すぐに分かった
「わかったわかった。もうこの話はおしまい。ありがとう」
俺は部屋を出ていった。おじいちゃんの声がする
「絶対に行かないでくれ…」
その異世界から帰って土産話でもしてあげるかと思いながら家の外を出て、昔あった嫌なことを思い出した
小さい頃におじいちゃんからもらった大切なおもちゃを壊されてことを
その瞬間もの凄い殺意が今になって出てきた。
「おもちゃ一つでこんなになるとはね。」
でもいつになっても入口は出てこなくて、その日は終わった―――――――
後書き
ありがとうございました
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