ソードアート・オンライン ~白の剣士~
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戦国龍
前書き
2016年最初の投稿です!
ヨツンヘイムへと下って行く階段。そこは下の方すら見えないほどの長さだった。
今そこをまさにシオン達は下の出口が未だ見えない階段を絶賛下降中だった。
「いったい何段あるのよ、これ?」
下りながらリズベットがそう呟くとアスナがそれに答えた。
「んー、アインクラッドの迷宮区タワーまるまる一個分くらいあったかな〜」
その言葉に数人がうへぇと言いそうな顔になると、キリトがこの階段について力説し始めた。
「あのなぁ、普通のルートで行って最速でも二時間のところをここを行けば五分だぞ?」
「俺たちが飛ばせば大したこと無い距離ではあるが、あの体験は二度としたくない・・・」
「あの体験って?」
リズベットがシオンに尋ねるとシオンとエリー、そして何故かシュタイナーまでもが青ざめた表情をした。その表情は明らかに何かを恐怖していた。
「ど、どうしたの?三人して?」
「な、何でもないさ。うん、何でもない・・・」
「そうだな、忘れよう。あんなこと・・・」
「ハ、ハハ、ハハハ・・・」
シュタイナーとシオンは平静を装いながらも顔からは尋常じゃない程の汗が出ており、エリーに至っては死んだ目で薄ら笑いしている始末。その光景にその場にいたものは皆思った。
一体何が起こったのだ、と───
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
その後、シノンの尻尾をキリトが握るなどの一悶着があったものの、無事に下りきったシオン達は目の前に広がる光景は辺り一面銀世界に満ちていた。その景色にシオンは思わず口笛を鳴らしてしまう。
「こいつはすげーな・・・」
アスナが全員に凍結耐性の支援魔法をかけると、リーファは指笛を鳴らした。すると数秒後、くおぉぉぉーんという啼き声が聞こえてきたかと思えば崖の底から白い大きな影が上昇してくるのが見えた。
「トンキーさーん!」
『あれが、トンキー・・・』
『クラゲ・・・いや、象?』
『邪神のわりには随分とユルいフォルムだな』
エリーシャ、シュタイナー、シオンはそれぞれ心の中の声を押しとどめトンキーに乗り込むキリトたちを眺めていた。
「そういえば、お前たちはどうするんだ?アテがあるとは言ってが」
「ああ。シュー、頼む」
「りょーかい」
シュタイナーはそう言ってウインドウから銀色の小さな笛を出すと、それを吹いた。
か細い笛の音が数秒鳴り響いたあと、そこに突然現れたのは一頭のドラゴンだった。
「ギャアアアッ!!」
「なッ!?」
「こいつァ!?」
「ド、ドラゴン!?」
目の前に現れたのは巨大なドラゴンに皆が驚愕する中、シオンはドラゴンの頭を撫でた。
「コイツは戦国龍《雷電》っていってな、シューのテイムモンスターなんだ」
「せ、戦国龍ってもしかしてアレですか!?テイムモンスターの中でも最上級とまで言われた伝説の存在の!?」
シリカがやや興奮気味に言う中、シュタイナーは平然と答える。
「そうだけど?」
「そうだけどって、そんなアッサリ・・・」
淡々と答えるシュタイナーに対してシオンとエリーシャ以外は唖然としていた。
「まぁ、『魂を賭けろ』って言われたからね。簡単には死ねなくなったよ」
「それってどういう・・・?」
「そのまんまの意味だよ。雷電と契約することによって僕はコイツに全てを預けたんだ」
その言葉の意味に何人かは首を傾げた。その説明に付け加えるかのようにシオンが口を開いた。
「等価交換ってやつだよ」
「等価交換?」
「相手が力を与える代わりに自分もそれ相応の対価を支払う。勿論それは今回の契約も例外じゃない。伝説級のテイムモンスターと契約するにはいくつか条件があってな、個体差はあるが全てに共通するのは“龍に勝つこと”、そして・・・“己の魂を捧げること”」
「ハイリスクハイリターンの契約ってわけか・・・」
キリトの言葉にシュタイナーは静かに頷いた。
「その通り。僕に課せられたリスク、それは能力使用後の戦闘続行不可。そしてもし死んだ場合のデスペナルティは・・・自分の全てを失う」
「それって、つまり・・・」
「スキル、武器といったとにかく己の全てを失い、ステータスが0になる」
「な!?おいおいマジかよ!?」
「シュタイナーさんは、それでいいんですか?」
「いいって、何が?」
「そんなリスクを背負ってまで契約する意味って・・・」
リーファの問いに対してシュタイナーはこう答えた。
「・・・・・ない」
「は?」
「いやだから、ないよ。意味なんて」
予想の斜め上の解答にシオン以外の思考が一時停止した。そんな中、シオンは口を押さえて笑っていた。
「ブッ!ハハハハハッ!!」
「シ、シオン?」
シオンはとうとう耐えきれなくなり吹き出し、更に爆笑。その光景に思考が停止していたメンバーが我に帰る。
その中々奇妙な光景にエリーシャは困惑していた。
「ハハハ・・・いや悪い。どーにも可笑しくてよ」
「可笑しいって、何が?」
シオンは笑い過ぎより出た涙を拭いながら言った。
「コイツがそんなことを気にするわけねーってことだよ」
「そんなことって、ステータス全損よ?」
「だからだよ」
未だに理解できていないメンバーをよそにシオンは続ける。
「コイツは仲間の為なら鬼だろうが死神だろうが自分の魂捧げるイかれた野郎なんだよ!」
そう言った後も小さく笑い続けるシオンに対して苦笑しながらシュタイナーは言い返した。
「それ君が言う?」
「どっちも変わらないでしょ?」
シノンは腕を組み、やれやれと言わんばかりのため息を吐いた。
「要するに、どっちもイかれた野郎ってことでしょ?」
「あはは、全くもってその通りね」
シノンの指摘にリズベットをはじめ、他のメンバーも同意するように首を縦に振った。
シュタイナーとシオンはその姿に顔を見合わせて苦笑を浮かべた。
「さて、無駄話はここまでにして・・・」
シオン、エリーシャ、シュタイナーは雷電に飛び乗り手綱を握った。
「行こうか、エクスキャリバー獲得クエスト!」
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ヨツンヘイムの上空をしばらく飛行していると、突然シオン達の後方は光だし、そこから3メートルはあろう女性が出てきた。
その女性はウルズと名乗り、泉の女王らしい。
そのウルズ曰く、クエストの内容は霧の巨人族な居城《スリュムヘイム》に突撃、このヨツンヘイムが氷による不毛の大地となった要因。世界樹の根っこを断ち切った、エクスキャリバーを要の台座から引き抜いてこいというものである。
そんな内容が全く入っていないようだったある人物はこう言った。
「要するにこういうことだろ?中にいる輩を全員ぶっ飛ばしてエクスキャリバー抜いてこいってことだろ?」
「まぁ、ざっくり言うとそうだな」
「しちめんどくせえ話術の掛け合いなんざNPCの敵には無意味だ。みんなさん、やる事はもうお分かりですね?」
皆に背を向けた状態でシオンはそう言った。その背中を見てシュタイナーとエリーシャはやれやれと手を挙げた。何故なら彼の表情を誰もが背中越しに容易に伺えてしまったのだから–––––
『『『『あの顔は・・・』』』』
人間、何も気にせず自分の好きなことをやれるときの表情は大方決まっている–––––
『『『『マジの顔だ・・・』』』』
満面の笑みがそこにはあった。
Remaining until the update.....94%.....
後書き
あけましておめでとうございます!
Welcome to 2016!!
2016年も白の剣士をよろしくお願いします!!
皆さんの2016年に幸あれ!!
コメント、評価お待ちしております!!
ではでは〜三( ゜∀゜)ノシ
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