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DQ5~友と絆と男と女  (リュカ伝その1)

作者:あちゃ
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16.人生には驚きの再会がある。これって重要なフラグだよね。

<ラインハットの関所>

今、ハッキリ言ってやる気0状態です。
アルカパ行ったら、ビアンカは引っ越していた。
代わりにラインハットのダメダメ情報を仕入れた。
んで、ヘンリーは「俺、ラインハットに帰らなきゃ!」って、言い出した。
止める理由も無いので見送るつもりだったが、流れ的に『リュカも一緒に』ってな流れで今ここにいる。
知るかよ、ラインハットの行く末なんて!

しか~し!ラインハットへの関所で通せんぼ!
「太后さまの命令で許可証の無いよそ者は通す訳にいかない!」
何これ?
ラインハット行けねぇーじゃん。
こいつぶっ飛ばして強行突破しちゃおうかな…って、そんな事したらお尋ね者だね。
そんな馬鹿な事俺はしない。

(ポカリ!)
「あいた!いたたたた…」
えぇぇぇぇぇ!!
やっちゃった!
やっちゃったよ、この子!
衛兵なぐっちゃた!
お尋ね者って事!?
俺、違う!
俺、殴ってない!
殴ったのこの人!
俺、この人知らない!
知らん子です!

「な、何をす「随分と偉そうだなトム!」
それ以上に偉そうだなお前…
「?何故私の名を?」
「まだ、蛙が苦手なのか。蛙を背中に入れた時が、一番けっさくだったな!」
「ま、まさか…ヘンリー様?ヘンリー王子様ですか?」
ヤな思い出だな…
「そうだよ、俺だよ!長い間留守にして悪かったな…」
「お懐かしゅうございます!思えばあの頃が一番良かったです。今のラインハットは…」
「よせ!兵士のお前が国の事を悪く言うのは、マズイだろ…」
そうか?
「…」
「通してくれるよな」
「は、はい!どうぞ…どうぞ!」

「さすがはヘンリー。腐っても王子様だね」
「腐ってもってのは、余計だ!」
「ヘンリーの事、信じてました」
あぁー、よかった~…お尋ね者にならなくて。



<ラインハット>

10年前にここに訪れた時も夕暮れ前だった。
しかし、あの時とはあからさまに違う。
この国は荒みきっている。
商店は殆どが閉まっており、町を出歩く人の姿も殆ど無い。
ともかく、開いている宿屋を探し町を歩く。

城にほど近い所にある宿屋が開いているのを発見。
「あ、あの…」
宿屋へ行こうとすると、横から浮浪児と思われる姉弟から声をかけられた。
「す、少しでいいので、お金を恵んで頂けませんか…」
薄汚れて酷い臭いを放つ浮浪児の姉が、幼い弟と手を繋ぎ物乞いをしている。
「もう、3日も何も食べてません…私はともかく、弟には…」
まだ、10歳ぐらいの少女が弟を気遣い何とか恵んで貰おうと必死だ…
「3日って、奴隷時代でも3日何も食えないなんてなかったぞ…」
ヘンリーの一言のせいか、また別の理由かは分からない。
俺は姉弟を両脇に抱えると、宿屋に入り有無を言わさず部屋を取った。
宿屋のオヤジは二人を見てイヤな顔をしていたが金を払えばこっちは客だ!

部屋に付くなり、
二人を風呂に入らせルームサービスで食事を頼む…
ヘンリーとスラリンが頑張って戦闘をこなしてくれるお陰で、金は結構な額ある!
しみったれた頼み方じゃなく、豪快に食事を注文した!
最初は二人とも戸惑っていたが、極度の空腹と目の前のご馳走に我を忘れ、テーブルまで食べてしまいそうな勢いで平らげてくれた。
うん。気持ちいい!

そして俺は二人が食事を終えるのを見計らって生い立ちを尋ねてみる…もしかしたら話したくはないかもしれないけど、何か力になれる事があれば…
ガラにもなく、そんな思いで尋ねてみたのだ。
すると、最初は躊躇いがちだったが、この国の現状も合わせ話してくれた。

二人の父親は城の兵士をしていた。
しかし、幾多の理不尽かつ非人道的な命令に嫌気がさし不平を漏らした。
その事が太后の耳に入り、逆賊の烙印を押され即刻処刑された!
そして、家宅捜査の名の下に略奪が行われ、それに抵抗した母親も兵士達に嬲り殺された。
この子達の目の前で犯されながら…

少女は泣きながら語る…
俺には慰める言葉が見つからない…
俺があの時、ゲマの事を見くびってなければ…
俺があの時、人質になどならなければ…
そんな思いが俺を苦しめる。

ふと、小綺麗になった少女を見て思った。
もう5.6年もすれば美女になる事が間違いない少女。
長い艶やかな黒髪を古く薄汚れたリボンで結っている。
見覚えのある、懐かしいリボンで…こんな偶然もあるものなのか…

「君の名は、マリソルかな?」
少女は驚いた様に頷く。
「何故、私の事を?」
「10年前、泣きじゃくる君にリボンをプレゼントしたんだよ」
まだお母さんのオッパイを飲んでいる様な赤ん坊だったし、憶えてないよね。
「あなたが、リュカさん!?」
「僕の事聞いてるの?」
「はい、私に幸せのリボンをくれた男の子だって母が…」
幸せか…
「ヘンリー」
「あぁ!」
「何処か、忍び込む場所はある?」
「ある!俺に任せろ!」
俺は久しぶりに本気になっていた。



<ラインハット城地下通路>

あー最悪ぅ!
怒りにまかせ即刻行動に出たけど、ゆっくり疲れをとってからにすれば良かった。
ついつい、可愛い女の子の前で恰好を付けちゃうんだよねぇ…
せめて気分を紛らわす為に、大きな声で『ダンシング・オール・ナイト』を歌う…

城の地下という事もあり、通常のモンスターはいないのだが…人がいる。
いや、生きた人ならいいのだが、元生きていた人達が大勢いる。
「ぎゃー、襲ってきたー!」
「お前がでけぇー声で歌ってるからだろ!」
「ゾンビ!!ゾンビがいるー!」
「いや、アレは『腐った死体』だ」
「言い方代えりゃいいってもんじゃないだろ!」
ヘンリーはメラを唱えてゾンビ達に攻撃をしている。

しかし、ヘンリーのメラじゃ埒があかない。
使えねーなコイツ!
すぐそこまで迫ってこられ、パニックった俺はバギマを唱える。
ゾンビ達は細切れになり消え去った。跡にはゴールドが落ちている。
「あれ?アレってモンスターなの?」
「だから、腐った死体だって言ったろ!」
モンスターだったら怖くねぇーや!
と、思ったけど大群で押し迫られるとマジ怖い。


慎重(歌わず)に少し進むと、そこには他にもゾンビ達と戦闘を行っている者がいる。
通常より2回り程大きいスライムに乗る騎士風の一風変わったお方がゾンビ達を相手に、一人(?)で大立ち回りを繰り広げている。
「あれは、スライムナイトじゃないか!」
スライムに乗った騎士だから『スライムナイト』…安直ぅ~
「ヘンリーの知り合い?」
「ちげぇーよ!モンスターの一種だよ!と言っても、モンスターなのは下のスライムの部分だけだけど」
「で?何でいんの?」
「俺が知るかよ!」
お前の実家だろ!

ゾンビ達を消滅し終わったスライムナイトは、こちらに気付くと怒りを露わに問いかけてきた。
「貴様ら何者だ!この国の…太后の関係者か!」
「ん!まぁ…、義理の息子だ」
ヘンリーの答えを聞き終わるや、もの凄いスピードで打ち込んできた!
俺とヘンリーは咄嗟に飛び退く。

しかしヘンリーはスライムナイトのスピードに対応しきれなかった!
トロいなぁ…避けろよ、あんぐらい!
腹部から大量の血を流し壁際に退避する。
致命傷は避けた様だが、俺がベホイミをかけてやらないと危険だろう。
今は壁際でスラリンに薬草で応急手当をされている。

スライムナイトはというと、俺に回復させまいと猛攻撃を仕掛けてきた!
「ちょ…なんで…僕…達を…そんなに…憎ん…で…いるの?」
何とか疾風の様な剣撃をかわしつつ訪ねた。
「知らぬとは言わせぬ!レヴェリア村を滅ぼしておいて!」
「知らないよ!そんな事!」
思わず言ってしまった一言だったが、逆鱗に触れるには十分だった!
「貴様ー!そんな事だと!大切な村が滅ぼされたのに、そんな事だと!」
「違う!誤解だ!そんな事と言うのは、その様な事実があった事の事だ。君の村の事を侮辱した訳ではない!だから、だから落ち着こう!話し合いで解決しよう!?な!?」
「黙れ!!」
ヘンリーを見ると、更に物陰へ避難しこちらを覗いている。助ける気0かよ!
「死ねぇー!」
稲妻の様な剣速で襲う来る攻撃をかわし、落ち着かせる方法を考える。
故郷を滅ぼされる気持ちは解る。
出来れば殺さずに済ませたいなぁ…しかし、兜から覗く瞳は怒りが満ち溢れている。
あれ?この目…もしかして…


<ラインハット城地下通路>
スライムナイト(ピエール)SIDE

こんな事があるのだろうか!?
私はナイトとして数々の修行を積んできた。
最早、人間如きに私の剣速を見切る事など出来ないと自負している。
しかし、目の前の男には掠りもしない。
しかも余裕を持ってかわしている。
では、何故攻撃をしてこないのか?
私はこの男に殺意を持って攻撃をしている、この男の仲間に大怪我を負わせている。なのに何故?
「貴様!何故攻撃をしてこない!私を侮辱したいのか!」
「え!?いいの?攻撃して?僕の攻撃は、最悪だよぉ~!」
「でかい口叩くな!」
私は言い終わるより先に渾身の一撃を放つ。
しかし、今そこにいた男は瞬時に消えた!
そして背後に気配を感じた瞬間…
すぽっ!
「え!?」
私の兜が奪われた。
くっ!この男、私の防御力から奪うつもりか!
慌てて間合いを取り剣を構え直す。そして、この男の発言に愕然とする!

スライムナイト(ピエール)SIDE END



 
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