転生とらぶる
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Fate/stay night
1173話
「うわああああああぁぁぁっ!」
影のゲートから、衛宮が悲鳴を上げながら姿を現す。
まぁ、この世界の人間にしてみれば、影のゲートを使った転移魔法ってのは色々と規格外な存在だしな。
キャスターが転移魔術を使ってたけど、あれは影に沈むとかじゃなくてパッと消えるといった感じだったし。
それを考えれば、衛宮が悲鳴を上げるのもしょうがない。
大聖杯のある空洞から外に出て、柳洞寺の階段を下りたところで、衛宮の家に戻ろうという時に俺が提示した移動手段が影のゲートだった。
実際、普通に歩いて移動するのとは比べものにならないくらい早く衛宮の家に到着したんだから、文句はないと思う。
そんな衛宮の後に続くように、イリヤやセイバーも影のゲートから姿を現す。
ああ、そう言えば今更だが、この影のゲートって見た者によっては汚染された聖杯から零れ落ちた泥のように見えなくもない……か?
もしかしたら、衛宮が悲鳴を上げたのはそれが理由の1つだったのかもしれない。
ともあれ、こうして衛宮の家に到着した俺達は早速玄関へと入っていく。
「先輩? 随分と早かったですね。大聖杯の件はもういいんですか?」
俺達が戻ってきた事に気が付いたのだろう。玄関に入った瞬間に桜が家の奥から姿を現す。
そんな桜の側にはライダーの姿もあり、どこか訝しげに俺達の方を見ている……ような気がする。
眼帯をしているから、しっかりとした事は分からないが。
「あ、ああ。うん。アークが転移魔術を使えたおかげでね。……まぁ、あんなのだったとは思わなかったけど」
「あんなの、ですか?」
首を傾げる桜。
黒桜になっていれば、俺の操影術と似たようなことは出来たかもしれないが、不幸中の幸いと言うべきか、この桜はそうなる前にアンリマユとの契約をルールブレイカーで破壊する事が出来た。
だから俺が知ってる黒桜にはならないだろう。……まぁ、衛宮が無意識に女を引っ掛けたりすれば、別の意味で黒桜が降臨する可能性はなくもないが。
小首を傾げる桜の横で、ライダーが口を開く。
「それでは、大聖杯の確認は出来たのですね? どうでしたか? やはり異常を起こしていたのでしょうか?」
「ええ。アークエネミーの言う通りだったわ。しかもイリヤや私でも修復するのは不可能ってくらいにね」
「では……」
「大聖杯に関してはアークエネミーがどうにかするわ。ただし、修復するんじゃなくて消滅させる方向でだけどね。……魔術協会が何か言ってくるかもしれないけど、この地にあんな穢れた聖杯を置いておくのはセカンドオーナーとして許せるものじゃないし」
凛の言葉に、大聖杯がどれだけ異常な状態なのかを理解したのだろう。ライダーが特に何も文句を言わずに頷きを返す。
「大聖杯の破壊はいつ行うのですか?」
「大聖杯の破壊をする前に、やるべき事がある。そっちを何とかしてからだな」
「やるべき事……ですか?」
俺の言葉に不思議そうに小首を傾げるライダー。
その仕草はマスターである桜とそっくりであり、つくづく相性のいいコンビだなと納得してしまう。
「その辺については後で説明するわ。今夜は私達も衛宮君の家に泊まる事になったし」
「え!?」
凛の口から出た言葉に驚きの声を上げたのは桜。
だが、そんな桜に対して凛はニンマリとした笑みを向ける。
「安心しなさい。別に衛宮君を取ろうとかは思ってないから。それに、私にもそういう人はいるしね」
言葉の最後で薄らと頬を赤くする。
「そっ、そんな……」
「ありゃ、やっぱり戻ってきてたんだ。早いね、遠坂。アークも」
桜の言葉を遮るようにして姿を現したのは、綾子。
ただし、その服装は動きやすいものに変わっていた。
その後ろには、イリヤのメイドであるリズの姿もある。
手に持っているのは、ハルバードか。
「ちょっとね。それよりも綾子は何をしてたの?」
「ああ、道場で彼女とちょっと運動をね」
綾子の視線の先にいるのは、当然リズ。
確かイリヤの護衛を務めているメイドだったと思う。
その実力は、護衛だというのを考えればすぐに理解出来ると思うが、かなり強い。
まぁ、ホムンクルスなんだから普通の人間よりも優れているのは当然なんだろうが。
ただ、その代わりに寿命の問題とかがあるんだろうけど。
「うん。綾子、強い」
リズが無表情にだが、褒める。
……物干し竿とかもないのに、よくあのハルバードとやり合えたな。
そんな風に考えていると、凛が綾子に向かって今日衛宮の家に泊まるという事を告げていた。
「じゃあ、アークエネミー。早速ですが……」
「あ、ちょっと待ってセイバー。アークエネミーは訓練をする前にやるべき事がちょっとあるのよ。それが終わってからにしてくれる?」
「やるべき事?」
「そう。今日衛宮君の家に泊まるんだから、着替えとかを持ってこないといけないでしょ。で、今の状況で迂闊に外を出歩く訳にもいかないから……ね?」
その言葉で、凛が何を要求しているのかはすぐに分かった。
つまり、影のゲートを使って凛の家に一旦戻れという事なのだろう。
「ってことだ。少し待っててくれ」
「しょうがないですね、分かりました。では用事が終わったら道場に来て下さい」
そう告げると、セイバーは道場へと向かって去って行く。
「……ありゃま。何がどうなってこうなったんだ?」
何が起きたのか理解出来ないといった様子で呟く綾子だったが、それは俺も正直同じ気持ちだ。
まさか、大聖杯の一件でああも変わるとは思わなかった。
いや、それだけ汚染された大聖杯がショックだったって事なんだろう。
もしもセイバーの望みである、王の選別のやり直しを願っていたらどうなったか。
それを思えば、つい数時間前までは俺に対して敵意に近い感情を向けていたのが、一気に感謝の感情へと変わったのも分からないではない。
「ふーん……ま、確かに自分の命を賭してでも叶えたい願いが汚されるのを助けて貰ったら、ああいう風になるかもね。それより、着替えとかを取りに行くんだろ?」
綾子の言葉に凛が頷き、俺は影のゲートを展開するのだった。
「……なるほど、確かにそれはランサーの槍ですね」
道場の中、現在ここには俺とセイバー、それと綾子の3人だけがいる。
凛は衛宮に対して少しでも魔術を教えるという事でイリヤと共に修行中であり、桜は家事をライダーと共に行っている。
イリヤのメイド2人は……どうなってるんだろうな? まぁ、メイドだし、イリヤの側にいるんだろう。
「この槍は、ランサーから?」
「ああ、俺とランサーが模擬戦のよう感じでやり取りをしている時に、その隙を突くかのようにしてランサーが殺されてな。……その時に貰った」
「そう、ですか。あのアイルランドの光の御子が使った槍……この槍の名前は知ってますね?」
「ゲイ・ボルクだろ?」
「そうです。これ程の槍を使いこなすとなると、相当の修練が必要ですよ?」
覚悟はあるのか、と視線を向けてくるセイバー。
まぁ、その気持ちは騎士王という立場からすれば分からないわけではない。
「ああ、勿論だ。だが、俺から頼んでおいて何だが……セイバーというクラスで槍を使えるのか?」
セイバーがアーサー王だというのは、原作知識で知っている。
だが、俺のアーサー王に対する知識なんてのは、それこそFateを始めとするサブカルチャーで得たものが大半だ。
そして、その知識によるとアーサー王と言えばエクスカリバーとなっている。
当然騎士王という名前から連想出来るように、槍もある程度は使えるんだろうが……いや、そもそも槍を使った事がない俺に比べれば十分か。
そんな思いで視線を向けたのだが、予想外な事にセイバーは口元に笑みすら浮かべて頷く。
「確かに私はセイバーのクラスで召喚されました。ですが、生前槍を使っていなかった訳ではありませんし、そういう意味ではランサーとして召喚されてもおかしくない程度の技量を持っていた……と自負はしています」
「……何?」
セイバーのその言葉は、完全に俺の意表を突いた。
アーサー王って槍も使ってたのか? その辺の知識は全くなかったな。
けどまぁ、あの生真面なセイバーがこんな事で嘘を言う訳がないだろうし、そういう意味ではこれは予想外の幸運だろう。
「では、時間もないですからまずはこれでやってみましょうか」
そう告げ、セイバーが道場の奥から持ってきたのは長い棒の先端に布を被せて怪我をしないようになっている模擬戦用の槍? 刀に対する竹刀みたいな感じの代物だ。
「ああ、たんぽ槍だな。それなら確かに槍の練習をするには丁度いい」
少し離れた場所で様子を見ていた綾子が呟く声に、視線を向ける。
「練習用の槍としては一般的なものだな。……ただ、なんでまぁ衛宮の家にこんなのがあるのかは分からないけど。竹刀があるのは、藤村先生の関係だから納得出来るんだけどね」
タイガー、剣道の腕は相当強いらしいからな。
原作知識だけじゃなく、少しの間学校生活を送っただけでもその辺の情報は聞けた。
「では、まず基本的な構えから……と言いたいところですが、正直英霊が人間と同じ槍術を習っても殆ど意味がありません。特にアークエネミーの場合は高いステータスを持っているので、構えをどうこうと習うよりも実戦で慣れた方がいいでしょう」
「……いいのか、それで」
それこそ構え方からやるのかと思っていたが、セイバーとしては実際に使って覚えろという感じらしい。
「勿論時間があるのであれば、しっかりとした槍の構えからを教えたいところです。ですが、槍を使うにしても明日の夜……つまり、実質は今日と明日の2日間しかない訳です。そんな状況で型から教えるのでは間に合いません。それよりは、槍で私と戦って自分に合った槍の使い方を覚える方がいいでしょう。……だからといって、完全に我流ばかりではいずれ頭打ちとなるのは確実です。この戦いを終えたら、きちんと槍の使い方を……」
そこまで呟き、言葉を止めるセイバー。
聖杯戦争が終われば、普通は座に戻る事になるんだから、将来というのは意味がないと思ったのだろう。
セイバーは例外だが、それでもこの世界に残れるかどうかは……微妙なところだ。
俺の場合は……うん、どうなるんだろうな。
聖杯戦争が終わったらゲートを空間倉庫から取り出せるようになっていれば、普通にホワイトスターに帰れるんだが。
理由はとにかく、即席でも槍の訓練をするのは俺にとっても助かる。
それに、何だかんだとランサーとの戦闘経験もあるんだから、それを模倣する形で習得していけばいい。
……そういう風に考えると、衛宮の投影って羨ましいよな。
確か投影した武器の使用者の経験を自分の中にダウンロードするような、憑依経験とかいう形で使う事が出来る筈だ。
まぁ、この歴史では衛宮は投影を使えず、未だに強化がメインの魔術師なのだが。
「では、いきますよ」
セイバーが静かに告げ、俺はその言葉に頷く。
綾子は念の為にと少し離れた場所で、その手に握った物干し竿を使いこなすべく素振りをしている。
こうして見ると、綾子に物干し竿って結構似合ってるよな。
元々がキリリとした美人だし。
男じゃなくて、下級生の女にお姉様とか呼ばれて人気の出るタイプだ。
夜はあんなに可愛いのにな。
「どうしたのですか? 来ないのなら、こっちから行きますよ!」
セイバーが叫ぶと、一気に床を蹴って槍を俺へと向かって突き出してくる。
その突きは、なるほどセイバーであっても生前には槍も使っていたというだけあって鋭い。
俺の顔面を狙って放たれた鋭い突きを、槍を振るって弾く。
大きく弾かれたセイバーの槍の隙を突き、セイバーへと向かって今度はこっちが槍を突き出す。
後ろへと跳び、その突きを回避するセイバー。
そうして一旦体勢を整えると、再びこちらへと向かって槍を突き出してくる。
ただし、槍というのは突く以外にも、薙ぐ、叩くといった攻撃方法も可能な代物だ。
それはセイバーも承知しているらしく、突きを繰り出して俺が回避したのを見るや、そのままの状態から横薙ぎの一撃へと切り替える。
その一撃をしゃがんで回避し……うおっ! 俺がしゃがんだのを見て、横薙ぎの一撃を強引に下に叩きつける感じで攻撃を切り替えた。
槍の柄を使ってその一撃を防ぎ、セイバーの槍を絡め取ろうと動かす。
だがランサーならともかく、俺は身体能力は桁外れに高いが、槍の扱い自体は初心者に過ぎない。
そんな俺の攻撃を、槍の扱いにも慣れているセイバーがそう簡単に食らう筈もなく、寧ろ一瞬の隙を突いて俺の持っている槍の方が絡め取られそうになる。
「ちぃっ!」
それを半ば強引に腕力を使って止め……俺の持っている槍がメキッという音がしたところでセイバーの動きが止まる。
「駄目です、アークエネミー。確かに貴方の身体能力は高いのでしょう。それに、ゲイ・ボルクという宝具を考えれば、貴方の腕力にも対応出来る。ですが、それでは槍を使いこなすということにはなりません。それを覚えておいて下さい」
そう告げると、セイバーは再び槍を手にして俺と距離を取って構える。
最初に告げた通り、実戦……いや、この場合は模擬戦か? ともあれ、こうやって戦いながら槍の扱いを教えていくのだろう。
長柄の武器って事なら、一応ニーズヘッグでアダマンハルパーを使っている経験があるんだが、それと比べても生身で槍を使うというのはちょっと勝手が違うよな。
それでも、全く何の経験がないよりはいいだろうと判断し、セイバーと距離を取った状態から、一気に槍を構えて前へと進み出るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1187
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