転生とらぶる
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Fate/stay night
1172話
「これが……大聖杯……」
目の前にある存在を見て、声を発したのは凛。
握られている俺の手には、かなりの力が入っている。
このままでは俺の手が握りつぶされるのではないかと思う程の、力の入れ具合。
その態度こそが、大聖杯の異常――アンリマユによる汚染――を如実に現していた。
「そんな……本当にこんな事になってるなんて……」
続いて口を開いたのはイリヤ。
今回の聖杯戦争で起きた数々の異変を俺の口から聞いて、予想はしていたけど信じたくなかったという事か。
本格的な調査はまだしていないが、こうして目の前にあるものを見ただけで、これがろくでもない代物だというのは理解出来る。
アンリマユ。これもアインツベルンの家の者が前々回の聖杯戦争でやった事だと思えば、ある意味で自業自得と言えるんだろう。
キャスターがいれば、この汚染された聖杯もどうにか出来たんだろうが……いや、うん。あの時の俺は記憶を失っていたしな。
「そんな……これでは、私の願いは……」
「この感じ……どこかで……」
セイバーと衛宮も、それぞれに無念を抱いて呟く。
特にセイバーはそれが酷い。
王の選定をやり直すというのが願いだった筈だが、この聖杯でそんな真似をしようものなら、どうなるのかは簡単に想像出来る。少なくても、まともに願いを叶える何てことは不可能だと言ってもいいだろう。
衛宮の方は……前回の聖杯戦争の時に起きた火事の事でも思い出したのか?
まぁ、これが溢れてあの火事を巻き起こしたんだから、それを経験した衛宮が昔の事を思いだしても不思議じゃない、か。
「……さて。まさかこの大聖杯を見て、正常に聖杯戦争が機能しているなんて考える奴はいないよな?」
その場にいた全員が俺の言葉で我に返ったのだろう。半ば機械的に俺の方へと視線を向けてくる。
「そう、ね。少なくても私はこんな聖杯、あげると言われても欲しいとは思わないわ」
「……私も同じです」
凛の意見に同意するセイバー。
そうなれば、やるべき事は1つだ。
「凛、それにイリヤ。この聖杯をどうにか出来るか?」
「無理よ。少なくても、今の私じゃ到底無理」
「そうね。凛と同じ意見なのはちょっと嫌だけど、私にもどうにも出来ない」
この場にいる魔術師が……それも、このFate世界で見ても上位に位置するだろう魔術師が揃って否定した以上、ちょっとやそっとでこれをどうこう出来る訳じゃないってのは、セイバーにも衛宮にも理解出来ただろう。
『ねぇ、アクセル。あんたの混沌精霊って、魔術EXが混ざってるんでしょ? それでどうにか出来ない?』
凛からの念話だったが、それはちょっと無理だ。
『残念ながら無理だな。俺の魔術EXってのは、あくまでも俺が使える魔術に関しての事だから、この世界の魔術に関しては殆ど知らないと言ってもいい。キャスターの真似事は不可能だよ』
それに、ぶっちゃけ魔術EXになってるのって、多分精神コマンドのおかげだろうし。
でなければ、俺が使える魔法……魔術は炎と影、グリの召喚くらいだ。
とてもではないが、この程度でEXになるとは思えない。
『……じゃあ、どうしようもないの?』
『少なくても俺に出来る方法は何かって聞かれれば、この大聖杯を正常に戻すんじゃなくて、消滅させるって事だけだな』
その言葉に、溜息を吐く凛。
聖杯は貰えるなら貰っておくというスタンスだった筈だが、それでもやっぱり目の前にあると欲しいのだろう。
いや、それよりも単純に自分がセカンドオーナーの土地にこんな危険物を置いておきたくないってのが正しいのか?
「アークエネミー、貴方この大聖杯をどうにか出来るって言ってたけど、本当にどうにか出来るの? こんなに間近で見ていても物凄い魔力を感じるのに」
見るからに不承不承といった感じで尋ねてくるイリヤの問いに、頷きを返す。
「何とか出来るのは間違いない。……ただ、そうなると、セイバーの願いも叶わなくなるが、それはいいのか?」
確認する意味でセイバーの方に視線を向けると、そこにあったのは厳しく引き締められたセイバーの顔だった。
「構いません。……聖杯の正体が本当にこんなものだったとは……切嗣が令呪を使ってまで私に破壊させたのは……」
セイバーのその言葉は、前回の聖杯戦争の最後を示していたのだろう。
「ライダーも特に願いという願いはなかったと思うし……そうなると、これで大聖杯の破壊をするのは決定でいいんだな」
「そうね。本当なら綺礼にこの事を伝えた方がいいんだろうけど……」
凛はそう言いながらも、すぐに自らの言葉を否定するかのように首を横に振る。
「監督役のくせにランサーを奪って聖杯戦争に参加していたばかりか、他にも別のサーヴァントを従えているような危険人物に、こんな事を教えられる訳がないわね。私達がこの大聖杯を破壊しようとしているなんて知ったら、何をしでかすか分かったもんじゃないわ」
「だろうな。しかもこの大聖杯を壊す前じゃなくて、壊した後でも何をするか分かったもんじゃない。となると、この大聖杯を壊す前にするべき事は2つ」
その場にいる、凛、イリヤ、セイバー、衛宮の4人に向けて説明していく。
「まず、大聖杯を俺が破壊するとなると確実にこの空洞は破壊されると思ってもいい。それどころか、この山そのものが崩れる可能性もある。つまり、破壊する前には柳洞寺にいる者全員を避難させる必要がある」
しかも、ほぼ間違いなく柳洞寺そのものも破壊されるだろうから、金目のものとかもどうにかする必要がある。
具体的には、預金通帳とか、各種権利書とか、そういうのを持ち出させる必要がある訳だ。
ぶっちゃけ、この辺は魔術を使ってどうにかするしかない。
本尊とかなら、俺が空間倉庫で持ち出してもいいけど……
「どうするかは、凛やイリヤ、桜、衛宮のマスター組で話して決めてくれ」
「ちょっとアークエネミー。もしかして全部私達に押しつける気じゃないでしょうね? 手伝える事は手伝って貰うわよ?」
「あー、そうだな。まぁ、手伝える事ならな」
さすがに柳洞寺で暮らしている者の荷物全部を空間倉庫に入れろというのは無理だ。
しかも、そんな真似をしたら寺が崩れたのに荷物だけは全部無事だったって事になって、妙な注目を集めかねない。
「次に、さっきも凛が話題にしたが言峰だ。具体的には言峰もだが、その使役されているサーヴァントだな。本来はいる筈のない8人目のサーヴァント……まぁ、アサシンが2人いた以上、それ程不思議はないのかもしれないが」
「つまり、大聖杯を何とかしようとすればその言峰やサーヴァントが手を出してくるって事だな」
衛宮の言葉に頷く。
言峰にしろ、金ぴかにしろ、この大聖杯の中身がどんなものかというのは知っている。
その上で、言峰は人が苦しむ姿を見たい、金ぴかは人間の数が多すぎるので間引きたいという狙いを持っている。
そんな奴等が、その願いの大本である大聖杯を破壊しようとするのを黙って見過ごすか?
どう考えても、答えは否だろう。
そうである以上、いざ大聖杯を破壊する時に邪魔に入られるよりは、早い内に片付けておいた方がいい。
何しろ、金ぴかは純粋に普通のサーヴァントとして考えれば反則的な強さを持つし、言峰の方も元は代行者という腕利きの人物であり、更には前回の聖杯戦争で汚染された聖杯の魔力を浴びて半ば不死に近い存在になっている。
どう考えても、そんな奴等を相手にしてこの場所で戦えるかと言われれば……寧ろ、大聖杯を壊すよりも前にこの空洞が破壊される事になるだろう。
それとついでだが、教会の地下にいる大火災の被害者の生き残りの救助もしておいた方がいいだろう。
こっちは特に何か理由がある訳じゃなく、単純な偽善に近いが。
いや、金ぴかの魔力を制限するという意味では有効か。
まぁ、衛宮辺りなら喜んで助けてくれる筈だと思う。
「その2つがやるべき事、ね。……じゃあ、どうするの? 教会に仕掛けるのは今日これからすぐに?」
好戦的としか言えない凛の言葉に、首を横に振る。
「いや、お互いに色々と準備があるだろ。その辺を考えれば、今日の夜ってのがベストだと思うが……」
だが、その言葉に首を振ったのは、イリヤだった。
「凛達の方はいいけど、セイバーは少しでも魔力を回復した方がいいわ。それに、ライダーと桜はどうするの? 今日臓硯から解放されたんだから、体力的にも精神的にも、とてもじゃないけど戦える状況じゃないわ」
話は分からないでもない。
俺が金ぴかを相手にしていると、当然言峰は他の奴が相手をしなければならない訳だ。
グリを召喚すればいけそうな気がするが、あの言峰だけにどんな手段を使ってくるかが分からない。
黒鍵とか言ったか? ああいうのを使われるとちょっと厳しいのも事実。
で、セイバーは召喚が不完全で衛宮が魔術師としてはヘッポコもいいところなので魔力的に余裕がなく、更には令呪もない状態。
衛宮本人は、投影が使えない以上は強化がメインでぶっちゃけ役には立たない。
……投影を教えるにしても、原作だとアーチャーがいてこそだから、迂闊に俺が投影を教えても魔力回路のショートとかで藪蛇になりかねないしな。
イリヤは、寧ろ桜と同様に小聖杯として狙われる可能性があるし、出来れば戦場に出したくはない。
だとすれば、残る戦力はライダー。
グリ、凛、セイバー、ライダーの3人と1匹――ただしセイバーは魔力不足――が相手となれば、言峰もどうにか出来るとは思えない。
で、桜とライダーの関係を考えれば……
「やっぱり今日くらいは休ませた方がいい、か。臓硯を排除した影響でライダーがどんな風になるか分からないし」
物理的に排除をした訳じゃなく、鵬法璽を使って行動出来ないようにしただけなのだから特に何か影響があるとも思えないが……その辺の楽観視は危険だろう。
「ですが、向こうでもこっちの動きを読んでいるという可能性はありませんか?」
セイバーの言う事も分かる。
言峰の使い魔に関しては、凛やイリヤに任せれば十分に対処出来るが、金ぴかの宝具を使ってこっちの動きを探っていたりした場合、察知出来ない可能性が高い。
……まぁ、俺の念動力やセイバーの直感を誤魔化すのは難しそうだが。
「その可能性はある。となると、言峰やそのサーヴァントが今夜にでも襲ってくる可能性は高いか。……どうする、凛? このまま俺達が家に戻れば、もしかしたら今夜にでも衛宮の家が襲撃されるかもしれないが」
「……そう、ね。ねぇ、衛宮君。今夜は私達が貴方の家に泊まってもいい? 勿論貴方達だけで綺礼やサーヴァントを何とか出来るのなら、こっちも無理にとは言わないけど」
遠坂の言葉に、考え込む衛宮。
人数だけで考えれば、衛宮、セイバー、桜、ライダー、イリヤ、セラ、リズとかなり揃っているから、強気になってもおかしくはない。
ただ、魔力が足りなかったり、ヘッポコだったり、戦闘に向いていない魔術だったりと、実際に戦力として使えるかとなると……微妙な面子が多いのも事実だ。
特に、金ぴかと敵対するとなると、万全の状態のセイバーであっても色々と厳しいだろう。
もし自分達で何とかすると言われたら、その辺を一度しっかり教えておいた方がいい。
そんな俺の思いとは裏腹に、衛宮はあっさりと頷く。
「そうだな、そうしてくれると俺としても助かる」
へぇ、意外だった。
俺との間にある確執を考えると、自分達だけでどうにかしようとするからとか、断られるのかと思ったんだけどな。
この辺の切り替えは中々に見事なものだと思う。
「じゃあ、話が決まったところでそろそろ戻るか。衛宮の家を空けておくってのは色々と危険だしな」
「ちょっと待って下さい」
大聖杯の空洞から出ようとしたところで、不意にセイバーが声を掛けてくる。
また何か面倒事か? そう思ってセイバーの方へと視線を向けたのだが、そこにあったのは俺に向かって頭を下げていたセイバーの姿だった。
「……え?」
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
セイバーは元々俺に対して衛宮と同様に隔意を持っていた筈だ。
それが何故頭を下げる?
俺の隣にいる凛も同様だったのか、驚きの表情を浮かべながらセイバーの方へと視線を向けていた。
そんな俺達に向けて、セイバーは下げていた頭を上げて口を開く。
「もしアークエネミーがこの大聖杯の件に気が付かなければ、私は大きな過ちを起こすところでした。もしこの大聖杯で願いを叶えようとしても、まともに願いが叶えられるという事はなかったでしょう。それを前もって止めて貰ったのですから、お礼を言わせて下さい。そしてこの件のお礼として、私が何か出来るのであれば可能な限りその要望を聞き入れたいと思います」
そのセイバーの言葉に少し考え、ふとセイバーに対して丁度いい頼みを思いつく。
「そうだな。じゃあ、ちょっと俺の槍の練習に付き合ってくれないか?」
そう、俺の脳裏に浮かんだのは、ランサーの遺品とも呼べる槍……ゲイ・ボルクだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:390
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1407
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1187
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