八百万
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八百万1章
前書き
八百万~プロローグ魔法と科学が両立した世界、この世界にはモンスターがはこびっており、冒険者やギルドの存在が欠かせない、そのとある1国の少年がこの物語の始まりである。…
スティングは旅行用バックを抱えて列車に乗り込んだ。スティングが乗り込んだ列車は木材をベースにした蒸気機関車である。スティングは窓際の1席に腰を下ろし一息ついた、スティングは冒険者志望の少年で背中には1振りの黒い剣を携えており、どこか戦士の雰囲気を漂わせる。
スティングは窓の外を見ながら、水筒にくちをつけた。ふと、回りを見渡すと、他にも自分と同じ冒険者のような格好をした者や旅行へ行くのか子連れの親子もいる。そしてスティングはもう一度窓の外を眺め始めた、尿意を感じてトイレに入った時、外から大声が聞こえた。
「おい!全員動くんじゃねえ」(盗賊だ)そう思ったスティングは奇襲をかけるため、窓から列車の屋根へと飛びのり上から窓を覗きこむと銃を持った男が女の子を人質にとっていた、もう1人斧を持った男もいる。
スティングは迷わず窓ガラスを蹴破って男を蹴りつけた。
男は衝撃で倒れ、人質が逃げ出した
「ママっ!」「ルーシー!」
女の子と母は抱き合い下がっていった。
「この野郎!」
スティングは倒れていた男に追撃のパンチを繰り出した。そして男から銃を奪いとり、即座に分解し叫んだ。
「もう1人を頼む!」
他の冒険者達が武器で応戦する。
スティングは男と取っ組み合いになった。相手のほうが力は強かったが、うまく相手の手首を取り締め上げた。
「っ!」
男は強く抵抗するがほどけない、ふともう1人のほうを見ると早くも倒され縛られていた、既に、何人かは次の車両に移ったようだ、手早くロープで拘束し弓を持った男とヒーラーの女性と共に移動した。
2つ目の車両では既に戦闘は始まっていて、1人、盗賊が倒されていた。
「加勢する!」
剣を抜きつつ槍を持った男に加勢しもう1人を切り伏せた。3人目の盗賊の頭に矢が突き刺さり、うめき声を挙げて倒れた。
(このままじゃ後味が悪いな)
モンスターを殺すのとは違う、今まで人を殺したことは無いしこれからも人を殺したくはなかった。切り伏せた盗賊の傷を魔力で治し、頭に矢が刺さった男に駆け寄った。ヒーラーも続く。
「私が傷口を止めるから、矢を抜くのをお願い」
「わかった」
「いくよ」
「せーっの」
ヒーラーと息を合わせて矢を抜いた、少し血が出たが何とか傷口を止めることができたようだ。思えばまだ彼ら冒険者の名前さえ聞いていなった、しかしまだ後がある、親玉を止めていないのだ。後ろでは紳士できな冒険者が乗客をなだめていた、乗客は彼に任せ、急いでつぎの車両へと向かった。
先頭車両には2人の盗賊と1人大剣を携えた男がいた。大剣を持った男が口を開いた。
「後ろは仲間に任せていたはずだが,,,」
「後ろの奴らは俺たちが片づけた、もうハイジャックは無理だあきらめて投降しろ!」
盗賊の男が割って入る。
「ダメだ!まだ兄貴が解放されていない、何のためにこの列車を乗っ取ったと思うんだ!こうして用心棒まで雇ったんだ、今更引けるかよ!」
吹っ切れたように切りかかってきた。
大盾の男が援護に入り、対峙したのは用心棒だった。
「どるぁ!」
大振りの振り下ろしを難なく躱した。そこに大盾使いの体当たりが用心棒に入る、しかし当たりが悪かったのかよろけるだけで決定打とはいかず用心棒はにやりと笑った、突進しつつ背中の剣を抜きざまに振り下ろす、剣と剣が交差して派手に火花が散った。キリキリと嫌な音を立てる、数秒間拮抗していると、横からもう一度体当たりが飛んできた、
(まだだ!ギリギリまでひきつけるんだ)
自分にも当たるすんでの所で身を引いた。しかしそれは用心棒も読んでいたようで腕を突き出すようにして身を引き避けられてしまった。
(まずい!)
振り下ろされた大きな刃が近づいてくる、だが慌ててしまい足がもつれた。
「っ!」
ギイン!
目の前で閃光が迸る。
「なっ?」
寸での所で大盾使いが間に入り守ってくれていた。
「はあぁ!」
盾で剣を押し返す、そのよろめいたがら空きの懐に全力の一撃を叩き込んだ
「おらああああぁぁぁ!」
「ふぐぅ」
鮮血を滴らせつつ用心棒は倒れこむ。そして倒れたまま両手をひらひらと振り
「あー、参った俺の負けだ」
と、ポーションを取り出しつつケロッとしたまま起き上がった
「いやー強いね~これ以上やってたらあぶなかったぜw」
用心棒はポーションを一気にあおり剣を鞘に納め立ち上がった。
「あんた、戦わなくて良いのか?」
面食らいつつもおそるおそる尋ねると
「いーんだよ命あっての傭兵稼業だろ?、もう金はもらってるしこれで給料分だ」
ポーションを余分に2つ取り出し、大盾使いと俺に投げてよこした。瓶の蓋を開けつつ横目で見ると、他の戦いは終わっていて盗賊はロープで縛られていた。
盗賊たちをひとまとめにして車両の隅に放置していた、Ⅰ息つき列車が駅に着くのを待った。
みんな自分の傷を治すなど、思い思いのことをして賑やかにしていた、俺は剣を拭きつつぼんやりと考えていた。
(盗賊たちは何が目的だったんだ?兄貴を解放すると言っていたが誰だ?)
そうこう考えているうちに、列車が駅に到着した。
駅のホームで地方憲兵が待っていた。
「犯人逮捕、ご協力ありがとうございます!」
そうして憲兵は盗賊たちを連れて行った。
乗客たちは俺たち冒険者にお礼を言いながら降りて行った。
駅を出てすぐ、後ろから用心棒に声をかけられた。
「おう、お疲れさん、お互い気を付けていこうや」
「あんたは捕まえられないのか?」
「俺は盗賊じゃないし、ばれなきゃいーの」
そんなことでいいのか、となかば呆れつつ人ごみの中に消えていく背中を見送った。そして俺も活気あふれる街へと足を進めた。
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