ガンダムビルドファイターズ ~try hope~ 外伝
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絆の希望
「なっ!?貴様はっ!? 」
後ろを振り返ると、そこには髭を生やしている醤油顔の男が立っていた。
「久し振りだなエイジ…………何年振りだろうな」
「誰だ!?俺は貴様など知らぬぞ!? 」
「ふぅ………最後に会ったのがお前が可笑しくなる前だからな。忘れられても仕方ない」
ポケットから一枚の写真を取り出し、それをエイジに向けて放り出す。そこには、二人の少年が写っていた。
「ベタとはいえ、残念ながらそれ一枚しかなかったものでな。それを見てもまだ思い出せないか? 」
「貴様………ランかっ!? 」
ポケットから煙草を取り出し、口に加えて火をつけ大きく息を吐く。
「ようやく思い出してくれたか」
「何故貴様が……」
「エイジ………なんでその時に私の所に来てくれなかったんだ?あれから私はお前の所に行っても姿はなく、クラスの人間に聞いても誰かとどこかに行ったとしか言われず、そのような事があるなんて一言も聞いていない。まあおそらくクラス内で脅されでもして口外してなかったんだろうがな」
「だが、貴様に言ったところで何が出来ると……「馬鹿野郎っ!! 」……!? 」
煙草を投げ捨て、それを靴で踏み潰して鎮火させる。
「友人が困ってたり、助けて欲しそうにしてたら普通助けるだろうが。周りの目なんて関係無い。私がどんな目に会おうが関係無い。なぜなら、お前は私にとって大事な友人なのだからな」
「──────っ! 」
「まさかいきなり顔も見せなくなるとは思わなかったが、それが友人に対する態度か?全く失礼な奴だ。性格もネジ曲がりおって」
「くっ………」
「…………エイジ。もう終わりにしよう。私にはお前を捕らえる義務がある」
「……………ああ」
エイジはそう言うと、振り返ってバトル装置を停止させた。
『BATTLE ENDED』
ーーー--
「………終わった…? 」
バトルシステムからプラフスキー粒子が拡散されていき、システムの上にはエルグライアガンダム、アルカナムプリスティン、ランスロットガンダム。そして、フレユールガンダムだけだった。
「………ははっ」
「ヒロヤー! 」
「サオトメ君」
隣を見るとユウとヨシナが右手を上げてこちらを見ていた。
それに応えるように、俺も右手を上げてユウとヨシナとハイタッチした。
「お疲れヒロヤ」
「よく頑張ったよヒロヤ君」
「ユウもお疲れ…」
「リンドウもよく頑張ったなぁおいっ! 」
「皆さん本当にお疲れ様でした」
「ほらよ。ひとまず汗でも拭いてゆっくり休め」
イチノセが俺の顔目掛けてタオルを投げ込んできたので、ぶつかる直前にタオルを掴み取った。イチノセに言われた通り長時間のバトルだったため三人共汗だくになっており(ユウは少し汗をかいている程度だけど)、俺は更に疲労で倒れそうになった。
「おっとっと。危ないな~ヒロヤ君は」
「うっせ」
倒れそうになったところをトウイとシノに支えてもらい、ひとまず壁の方まで移動してその場に座り込んだ。
「ふぅ………」
「お疲れヒロヤ」
両隣にシノとトウイも座り込み、そのまま他の皆のはしゃぎ様を見ていた。
「にしても疲れたな。指も痛くなってるし、明日筋肉痛は確定だな」
「アハハハハ。にしても本当に凄かったね。正直MAが出てきた時はチャージが間に合わないんじゃないかって思ったよ」
「てかトウイ。発動まで最低十分以上はかかるとは言っていたのに、結局発動したのが三十分ぐらいだったじゃない」
「まあまあ、結果オーライってやつだよ。けど、これじゃあ選手権には使えないな~」
「全くだ。機体への負荷をガン無視した状態だったぞ? 」
「そのためのクリアーパーツだよ。ありとあらゆる空洞や穴、内部フレームはほとんどクリアーパーツで隙間を無くしてるんだよ。それによって機体にかかる負荷や熱や光、余分に排出された粒子を吸収し、それを一気に解き放つのがエルグライアガンダムの特殊システム。その特殊システムを発動後は……「いや、もういい。もう説明しなくていいから少し黙っててくれ」……えー? 」
トウイがエルグライアガンダムについて語り始める前に制止し、大きくため息を吐く。疲労のせいか少し眠くなり、意識がうつろき始めた。
ヤバ………。ここで寝たらまた迷惑かけるし、疲れもあるとはいえ寝るわけには……………。
「………………」
「ありゃ?寝ちゃったのかな? 」
「………そうみたいね。けどここで寝たら体を痛めるし、起こさないように移動させましょう」
「と言っても、動かしたら起きると思うし……………そうだ。シノさん、ちょっとそこで待っててね」
「えっ?ちょっ!?どこにいくの!? 」
ーーー--
…………あれ?俺いつの間に寝ていたんだ?確かエイジを倒し、通信先でランさんとエイジが和解して、その後疲れて壁際で休んでたんだよな?
あ、確かその時に寝たんだな。にしても、頭になんか柔らかい感触があって心地いいし、もう少し寝てもいいのかもな………。
「あっ?ようやく起きたのねヒロヤ」
「……………って膝枕っ!? 」
勢いよく上体を起こし、シノの方へと顔を向ける。
「なんで膝枕してんだよ!?いや寝た俺が悪いのかもしれないが、それでも膝枕ってのはさすがにあれだろ!? 」
「私もそう言ったんだけど、何かその場のノリと勢いと人目を避けるためにこうなったというか………」
シノ曰く、トウイはどっかに行った後何故か座布団一枚を持って戻り、俺の隣に敷くと座布団の上に正座で座らされ、そのまま俺の頭を下ろそうとしたらしい。
人目につく上に弟のリンヤもいるのでその場でやるのを拒否すると、じゃあ別室で休ませてきてと言われ別室に連れられ、座布団を敷いて枕代わりにしようとしたが既に座布団は無くなっており、結果膝枕になったのである。
「そうか。じゃあ俺はどうやって運ばれたんだ? 」
「タンカーよ」
俺は病人か怪我人かなにかか。
「たくっ……」
頭を掻きながら立ち上がり、シノに手を差し伸ばす。
「ほら、さっさと皆の所に戻るぞ。そして、いつもの日常に」
「…………ええ」
シノは俺の手を取り、静かに返事をしてきた。
ーーー--
それから俺達は、ランさんと助手さんからエイジがこんな事をするキッカケになった問題を聞かされた。
エイジは小学生時代、帰国する一週間前からクラスの一部からイジメを受けていたらしい。ある日ガンプラを持ってこいと脅され、大人しく持っていくとその場で奪われ、ガンプラバトルをされたそうだ。
幸いその時のエイジはビルダーだけではなく、ファイターとしての腕も高く、バトルには勝利したそうだ。しかし、その後負けて苛立ったのか、エイジが持ってきたガンプラを全て踏み潰そうとしたらしい。
エイジは珍しくそれを阻止しようとするも複数人に取り押さえられ、ただ壊されていく自分のガンプラを見ることしか出来なかったようだ。全てを壊されたエイジは複数人の拘束から抜け出し、壊した張本人に殴りかかろうとしたが、体格差もあり返り討ちにあい、更に全員に痛め付けられたそうだ。
その翌日からイジメはより激しくなり、クラスメイトも見て見ぬふりをしていたそうだ。
ランさんが訪れる際は必ずエイジはクラスに居ず、毎日休み時間人気がない場所に連れ出されてたらしい。
その後は、ランさんが車内で話してくれた通りだ。エイジはそのまま帰国し、そして高校を卒業した辺りから日本に戻り、エイジは二代目メイジン・カワグチの所に忍び込んでフレユールガンダムを盗み出したらしい。
それから数年は様々な準備をし、そして今年になってから行動を開始したそうだ。
「……………アイツは自分の二の舞にさせないようにしてたのか。各地に乱入し、ガンプラを破壊する。そうすればガンプラバトルをする人間も少なくなり、自然とガンプラは傷つかないと。そう信じて独りで戦っていたのか」
「そう言うことらしい」
ブレイカー事件から数日後、俺はランさんから何故か病院の屋上に呼び出され、皆の前に説明した事の、その更なる詳細を聞かせて貰った。
「エイジは根はいい奴なんだ。それが間違った方向へと進んでいると知りながらも、それしか方法が思い付かなかったんだ。独りでなんとかしようとするのは驕りにすぎない。独りでは必ずしも限界がある。だからこそ、仲間が必要なのだ。それは君が一番理解しているだろう? 」
「ははっ、おかげさまで。それよりも、かなりいいタイミングで出てきましたけど、いつからあの場にいたんですか? 」
「ちょうど君が答えを出す前だ」
あれ聞かれてたのかよ………正直恥ずいんだけど。まあ他の皆にも聞かれてるし、いっそ開き直った方がいいのか?
「サオトメ君。君には……いや、君達には本当に感謝している。私の大切な友人を助けてもらい、本当に感謝する」
「…………気にしないでください。俺は、俺達はただアイツを止めたかっただけなんですから。バトルに乱入されて、皆のガンプラが傷つけられる。その行いを止めたかったんですよ」
「……それは何故だ? 」
「決まってるじゃないですか。俺達はエイジと同じく、ただのガンプラバカなんですよ」
「………ふっ……そうか」
ランさんは一瞬驚いた表情をしたが、すぐに納得し、背中を向けて扉へと進んだ。
「では、また会おう。もう一度言わせて貰うが本当に感謝する。選手権頑張ってくれたまえ、セイジュウロウの息子よ」
「………ありがとうございます。ってあれ?どうして親父の名前を!? 」
「ふっ……ただの友人だよ」
ランさんはそれだけ言うと屋上を後にし、俺はその場に佇んでいる。
「………親父の奴、どんだけ顔が広いんだよ……」
苦笑しながらコーヒーを飲み干し、俺も屋上を後にしたのだった。
ーーー--
「さあっ!選手権まで後一週間!今日もはりきって行こう! 」
「うるさい」
「少し静かにしなさい」
「二人共ちょっと酷くない!? 」
あれから約一ヶ月後。選手権まで一週間前になった。今はいつも通り部室で集まり、何をするかについて話し合っていた。
「ムウさん。今日は何のメニューをやるんですか? 」
「そうだな………とりあえず二対一でバトルをするか。もちろん相手は俺だ。思いっきりかかってこいっ!」
「えっ?スルーっ? 」
「じゃあ俺とシノから行かせてもらいます」
「そして放置っ!?」
トウイがなんか叫んでいるが無視し、俺とシノ、ムウさんはバトル装置についた。
「ええいっ!だったら僕も乱入させてもらうよっ!!」
『GUNPLA BATTLE combat mode』
『Startup』
『Model Damage level Setto C』
『Please Set Your GPベース』
『Beginning plavsky particle 』
『Dispersal』
『Field 1 スペース』
『Please Set Your GUNPLA』
『BATTLE START』
「ムウ・ラ・フラガ!アカツキガンダムフラガっ!出るっ!! 」
「ハルカゼトウイ!フリーダムガンダムセレナ!行きますっ!! 」
「トオサカ シノ!V2ガンダムホロスコープアイ!出ますっ!! 」
「サオトメ ヒロヤ!ガンダムトライエクシア!出るっ!! 」
四機のガンプラが宇宙空間に発進された。
今日もまた、俺達はガンプラバトルをする。ガンプラという、最初はただのプラスチックの塊でしかないと思っていた物で、俺は沢山の人と出会い、戦い、仲間になっていった。
大切な事を学んだ。時には苦しい事もあった。辛かった事もあった。けど、それでもいつも隣に仲間がいてくれたおかげで乗り越えられた。
「いきなり変な事を考えてるね~。これは明日雨でも降るのかな? 」
「今いい感じで進んでたのにぶち壊すな。そして心を読むな」
「アハハハハ」
「ヒロヤ。トウイがこんなのはいつもの事よ」
「あ、そうだな」
「うっわ!酷い言われよう……」
「お前ら!喋ってる暇なんかないぞ! 」
アカツキガンダムフラガがドラグーンを射出し、ビームライフルとオオワシの73F式改高エネルギービーム砲で攻撃してきた。俺達はその攻撃をかわしきり、アカツキガンダムフラガへと接近していった。
こうして、三人の戦いは続いていく。大人になった後もやるかは分からない。ただ、今この瞬間を楽しむだけだ。
長編 vinculum ελπις ・・・・完
後書き
書き終えた……。本来この話はまだ出す予定じゃなかったんですけど、ちょっと色々あって出すことを決めました。せめて今回の判断が正しかったのかは分かりませんが、無駄じゃない事を祈りたいと思いますか
これからも、どうかよろしくお願いいたします
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