ロックマンX~5つの希望~
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
Another33 デプスドラグーン
前書き
デプスドラグーン戦
ゼロ達が転送システムに乗り込んでから30分が過ぎた。
流石に遅いと立ち上がった時、ルナを除いたマッシモ達が戻ってきた。
エックス「どうだった?」
マッシモ「俺が向かった先にはシルバー・ホーンドがいた。まあ、倒してやったがな!!」
胸を張りながら言うマッシモに、エックスは微笑を浮かべながらマリノ達を見遣る。
マリノとシナモンはエックスの視線に気付き、自分達が対峙した相手を告げる。
マリノ「私達はDr.サイケと戦ったよ。オリジナルに比べりゃあ格段に弱かったよ」
シナモン「しっかり倒してきました!!」
アクセル「僕はジェントラーと戦ったよ。まあ、大したことなかったね」
ゼロ「俺はシャドウのデッドコピーだった。」
エックス「シャドウのデッドコピーまで?いや、シャドウはリディプスの部下だったし、DNAデータを保管していてもおかしくはないか…」
ルイン「私はエンシェンタスを倒してきたよ。後はルナだけだね」
アイリス「大丈夫かしら?少なくともリベリオン幹部クラスなんでしょう?」
アクセル「大丈夫だよアイリス。デッドコピーなんかにルナが負ける訳ないじゃん」
シナモン「そうですよ、ルナさんは凄く強いんですから」
不安そうに呟いたアイリスにアクセルとシナモンがそう言うと、アリアも頷いた。
アリア「そうそう、ルナちゃんがそう簡単に負けるわけ…おっと、噂をすればだね」
ルナ「俺が最後か…」
アクセル「お疲れー、どうだった?」
ルナ「………ボロックのデッドコピーがいた」
アクセルの問いに少し間を置いて、ルナが言うと全員が目を見開いた。
エックス「ボロックのデッドコピーが?」
ルナ「ああ、姿形も能力も全て同じだった。間違いねえ」
アクセル「ボロックって、DNAコアも抜き取られてた…そしてそのボロックのデッドコピーがここにあるということは…」
ルナ「多分…ミサイルの弾頭に使われていた超フォースメタルもリディプスの手にあると考えた方がいいな」
エックス「超フォースメタルが2つもリディプスの手にあるのか……」
たった1つの超フォースメタルでもイプシロンのような凄まじい戦闘力を誇ったのだ。
それが2つもリディプスの手にあるということにエックス達は戦慄を覚えた。
アリア「……あ、みんな。扉のロックが解除されたよ」
アイリス「やっぱりデッドコピーのDNAコアと扉のロックがリンクしていたのね」
ロックが解除された扉を見つめながらアイリスが言うと、ゼロが顔を顰めた。
ゼロ「ふざけたトレーニングだ。リディプスめ…」
扉を潜り、エレベーターで上の階に行くと、大管制室に通じる通路に出る。
そして奥にある扉を開くと、低空を浮遊する巨大な魚型のメカニロイドの背部に、タツノオトシゴを模したと思われる騎士型のボディが上半身として付加、一体となっており、連邦政府軍極東司令部に所属するデプスドラグーンがいた。
デプスドラグーン「ほう!!これはこれは…裏切り者が揃っておるではないか。超フォースメタルとやらを奪おうとして失敗し、リディプス大佐に排除されたはずのお主らが、ここへ何しにきた?」
マッシモ「あの人は…っ」
デプスドラグーンを見て、マッシモが目を見開いたが、エックスは前に出る。
エックス「そこをどいてくれ…俺達はリディプスに用があるんだ。関係ないお前と無駄な戦いはしたくない…」
出来れば同じイレギュラーハンターとは戦いたくないと思っているエックスが懇願するように言うが、デプスドラグーンは鼻を鳴らす。
デプスドラグーン「ふん、お主にその気はなくても、このわしにはあるのじゃよ!!伝説のS級ハンターの実力に非常に興味があってのう。いい機会じゃ、その実力…見せてみい!!」
エックス「やるしかないのか…!!?」
電流を纏い両手に槍と盾を構えるデプスドラグーンにマッシモが前に出る。
マッシモ「待って下さい、デプスドラグーン!!」
デプスドラグーン「む?お主はマッシモ…ではないな?その声…まさかマッシモの弟子か?」
マッシモ「はい、お久しぶりです。デプスドラグーン」
デプスドラグーン「ほう…」
戦友であるマッシモの弟子の姿を見て、デプスドラグーンは目を見開いた。
ギガンティスを去る前で最後に見たマッシモの弟子は戦いとは無縁そうな臆病者だったが、今のマッシモの堂々とした態度に驚いた。
シナモン「マッシモさん、お知り合いですか?」
マッシモ「ああ、かつてギガンティス建造時に深海ケーブルを設置するために派遣された海底用レプリロイドなんだ。そしてマッシモ師匠の唯一無二の友。」
デプスドラグーン「そうじゃな、ギガンティスで過ごした記憶が昨日のように駆け巡るわい…お主…そのアーマーと言い、その堂々とした態度。相当腕と胆力が上がったようじゃな?」
デプスドラグーンが笑みを浮かべながら、戦友の弟子を見つめる。
今回、リディプスがギガンティスに下した決定はデプスドラグーンからすれば残念で、出来ればギガンティスの最後を自身の目で見届けたかったが、それは叶わなかったが、これは戦友の弟子が来るのは予想外だった。
マッシモ「ありがとうございます」
デプスドラグーン「…マッシモの弟子よ…我が友、マッシモはどうしておる?」
弟子が生きているのなら、師匠の方も生きているのでは?という希望を持ってマッシモに問いかける。
マッシモ「マッシモ師匠は…リベリオンと戦い、最後の最後まで己の信念を貫き、リベリオンへの協力を拒み続け、殺されました…。」
デプスドラグーン「そうか…では、今やお主がマッシモ…二代目マッシモと言うわけか」
戦友の死に、デプスドラグーンの動力炉の辺りに痛みが走ったが、それを表情には出さない。
マッシモ「デプスドラグーン。俺達はイレギュラーではありません。リディプス大佐が、エックス達に濡れ衣を着せ、エックス達とギガンティスのレプリロイドを裏切ったのです」
デプスドラグーン「何じゃと?」
マッシモの言葉にデプスドラグーンが目を見開く。
アリア「可笑しいと思わない?例えイレギュラー化しても、人類、レプリロイドの英雄であるエックス君達が政府の命令も無しに処分されたことに。」
デプスドラグーン「むう…」
アリアに言われてデプスドラグーンは思わず唸る。
確かにアリアの言う通り、エックス、ゼロ、ルイン、ルナ、アクセルは極僅かなS級ハンターであり、人類、レプリロイドの英雄でもある。
そんな彼らが例えイレギュラー化したとしても、すぐに処分するだろうか?
それにアリアは数多くの世界問題の解決に貢献した科学者であり、何より人間だ。
基本的にレプリロイドは人間を傷つけることは許されないのだ。
デプスドラグーン「確かに、お主らの言うことにも一理あるかもしれんのう。最近のリディプス大佐はどこか可笑しかった。リベリオンのことで焦っているのかと思っておったが…」
マッシモ「なら…!!」
喜色を浮かべるマッシモにデプスドラグーンの槍が向けられる。
デプスドラグーン「じゃが、わしにもリディプス大佐には世話になった恩がある。マッシモよ、ここを通りたくば、わしを倒してからにせい!!我が友にしてお主の師に代わり、お主の実力を見定めてくれるわ!!」
デプスドラグーンが全ての力を解き放った。
ジャンゴーどころか、スカーフェイスに匹敵する程の雷を纏う。
マッシモ「分かりました。鋼鉄のマッシモ…二代目マッシモとして受けて立ちましょう!!」
対するマッシモもランサーを構える。
デプスドラグーンが槍を天に翳した瞬間、マッシモはホバーを最大まで吹かし、雷撃をかわした。
デプスドラグーン「ほう!!?」
マッシモ「どおりゃあああああ!!!!」
初撃をかわされたことに驚いたデプスドラグーンにマッシモのランサーが一閃した。
デプスドラグーン「甘いぞ!会心撃!!!!」
しかしデプスドラグーンは笑みを浮かべるとメカニロイドのホバーを吹かして体当たりを喰らわせる。
マッシモ「ぐっ!!うおおおおおっ!!!!」
多少後退するが、マッシモも負けじと抵抗する。
デプスドラグーン「ほっ!!会心撃を受け止めおったか!!じゃが…テラサンダー!!」
マッシモ「ぐあああああっ!!!!」
シナモン「マッシモさん!!」
マッシモ「ぐ、くうう…うおおおおおっ!!!!」
デプスドラグーンが繰り出した雷撃がマッシモに降り注ぐが、絶叫しながらも、マッシモはランサーを振るい、デプスドラグーンに傷を付ける。
デプスドラグーン「ぬうっ!!…効いたわい…まさかあの臆病だった小僧が此処まで成長するとはのう…じゃが、流石にこれは避け切れまい!!デスグラビティ!!!!」
メカニロイドの口から巨大な重力弾が放たれる。
重力弾の引力に引かれるマッシモだが、咄嗟にプロテクトランサーを取り出し、それを盾にする事で防ぐ。
デプスドラグーン「ほう、防いだか!!しかしこれは耐えられまい!!!!」
デプスドラグーンの全身から先程とは比較にならない程の雷が放たれる。
マッシモ「っ!!!!」
デプスドラグーン「受けよ!!雷帝陣!!!!」
マッシモに降り注ぐ制裁の雷。
咄嗟にプロテクトランサーを盾にするが、雷はプロテクトランサーの強固なプロテクターすら粉砕した。
そしてマッシモに直撃した。
ルイン「マッシモ!!」
マリノ「まさか、やられちまったのかい!?」
ゼロ「……いやっ!!」
一瞬だが、ゼロは見た。
マッシモのアーマーが変化したことに。
マッシモ「パワー全開!!行くぞおおおおおおっ!!!!」
ハイパーモード・ダイモニオンを発動したマッシモは全てのエネルギーを翼に収束させた。
デプスドラグーン「雷帝陣を耐えたと言うのか!!?」
マッシモ「ベルセルクチャージ!!発射!!!!」
驚愕しているデプスドラグーンに向けて放たれた高出力レーザーが炸裂。
出力を抑えたのか、デプスドラグーンを行動停止に留めた。
デプスドラグーン「ふ、ふふふ…やられたのう。見事じゃ…これから先のファイナルアプローチは、更に警戒が厳しくなる…しかし、お主らならきっと乗り越えられるじゃろう…わしのDNAデータを使えば扉のロックを解除出来る…」
それだけ言うと、デプスドラグーンは傷ついた身体を引き摺って去っていく。
アクセル「あ、ありがとう…」
アクセルはデプスドラグーンのDNAデータを解析し、基礎性能の強化と、デプスドラグーンへの変身が可能となった。
アリア「全く無茶し過ぎだよ。マッシモ君、治療するからスリープモードに移行して」
マッシモ「す、すみません。」
シナモンとアリアがマッシモの治療を開始した。
ここから先、リディプスの近くということで警戒が更に厳しくなるだろう。
ここらで体力を万全にした方がいいと判断したエックス達は少しばかりの休息を取ることにした。
ページ上へ戻る