おぢばにおかえり
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十七話 梅雨ですその十二
「それでね」
「はい」
「話変わるけれどちっちと私って実家は同じ兵庫じゃない」
「そうですよね」
兵庫県といっても随分広いんで住んでいる場所はかなり離れています。けれど同じ県に住んでいるのは確かです。それで親近感も感じています。
「兵庫でも会えたらいいわね」
「兵庫でもですか」
「ええ。まだ卒業したらどうなるかわからないけれど」
「あれっ、大学に行かれるんじゃ」
この場合は天理大学です。すぐ隣にあります。
「違うんですか?」
「一応そのつもりだけれど」
けれどここで首を傾げられます。
「合格しないとわからないわよね」
「それはそうですけれど」
「それでもよ」
話を続けてこられました。
「二人で神戸とか行けたらいいわよね」
「その時は案内させて下さい」
神戸ならもう住んでる場所です。ですからよく知っているつもりです。特に長田のことでしたら。それこそ美味しい明石焼きのお店まで知っている。
「私、地元ですし」
「楽しみにしてるわ。それじゃあ」
「はい」
ここで私達は黒門を潜りました。もう目の前に神殿が見えています。
「参拝してから寮に帰りましょう」
「わかりました」
「雨だから下から入ってね」
「そうですね」
神殿の礼拝堂とかに入るのは色々な場所から入られることができます。普通に外から入ることもできればその下の場所から入ることもできます。雨の時なんかは登校の時は下から入って礼拝堂で出席を取ります。
「それじゃあ」
「この雨暫く続きそうね」
先輩はふと仰いました。
「暫くですか」
「ええ。だからその間は」
神殿を見ながら。話されます。
「傘が離せないわね。残念だけれど」
「そうですね」
「それでも」
先輩のお話は続きます。
「雨が降らないと。やっぱり駄目だしね」
「はい。恵みですよね」
「そういうことね。感謝しないとね」
先輩は色々言われても最後は雨に感謝されて私を神殿に連れて行ってくれました。雨は流石に神殿まで降ることはありません。私達は横に並んで参拝させてもらってからそれから寮に帰りました。
第十七話 完
2008・3・8
ページ上へ戻る