雷の第一世代
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火竜と紫雷と猿と牛
前書き
フレア・インコローゲ
【年齢】
16
【性別】
女
【容姿】
鮮血のように真っ赤な髪に灰色のキラキラとした目。スタイル、身長、共にルーシィ程。
【魔法】
武御炎《タケミカレ》
真っ赤な炎を操る。(ナツが食べると激辛。)この魔法を使用する際、身体能力が強化される。更に、フレアの愛用する槍の威力を強化する。
【備考】
元評議院の少年少女部隊に所属していた。どんなものごとが起きても動じず、常に笑顔。また、歩く魔法辞書と呼ばれる程魔法には詳しい。
本が好きで、ルーシィやレビィと仲が良い。
トニー・インティング
【年齢】
20
【性別】
男
【容姿】
茶髪に陽気そうな黒いツリ目。顔立ちはグレイ程は整っていないものの、一応イケメンの枠には入る。
【魔法】
武御地《タケミカジ》
砂や泥、大地を操る。魔法を使用際、身体能力を強化する。更にマサカリ(鉞)の威力を強化する。
【備考】
元評議院の少年少女部隊に所属していた。実力はギルダーツと同じくらいで、ギルドでも1、2を争う。ミラの恋人で、ミラが危ないと思ったらすぐさま駆けつける。
こんな感じですかね?
他に何かあればどんどん質問してください。
「でね!あたし今度ミラさんの家に遊びに行く事になったの~♪」
「下着とか盗んじゃダメだよ」
「盗むかー!」
ここはハコベ山へと向かう馬車の中。
「てかさー、何でルーシィがいるの?」
「何よ。なんか文句でもあるの?」
「わたしは別に」
ルーシィはハッピーを横目で見る。
「そりゃあもういろいろと・・・あい」
「ハッピー!そーゆーのって言っちゃ駄目なんだよ!」
「キアラ・・・」
「わたしがせっかく言わなかったのに!」
「心の中で言ってたの!?」
キアラに感謝の言葉を言おうとしたがあまりの爆弾発言に思わず突っ込んでしまった。
「だってせっかくだから何か妖精の尻尾の役に立つ事したいなぁ~なんて」
(株を上げたいんだ!絶対そうだ!)
(ウーン・・・健気なのか株を上げたいのか・・・)
ルーシィのキラキラとした目を見てハッピーは確信し、キアラはどちらか迷っていた。
それにしてもナツが先程から喋っていない。
・・・いや、喋れないのだ。
乗り物酔いのせいで。
「それにしても、アンタ本当に乗り物ダメなのね。何か・・・色々可哀想・・・」
「は?」
ルーシィはナツに可哀想、という目線を送った。
「マカオさん探すの終わったら、住む所見つけないとなぁ」
「オイラとナツん家住んでもいいよ」
「本気で言ってたらヒゲ抜くわよ猫ちゃん」
「じゃあ、わたし達の家は?」
「達?」
「今は2人暮らしなの」
「今はって?」
「3人いるんだけど今はクエスト中だから」
ルーシィはキアラの言葉になるほど、と頷いた。
するとガタン!といきなり馬車が停止した。
「止まった!」
「着いたの?」
ナツは馬車が止まったとたんに立ち上がり、元気になった。
すると前から凍えた様な声が聞こえて来た。
「す・・・すんません・・・これ以上は馬車じゃ進めませんわ」
その言葉がわからずルーシィが馬車から外を除く。
ルーシィの目には猛吹雪で荒れる山だった。
「何コレ!?いくら山の方とはいえ今は夏季でしょ!?こんな吹雪おかしいわ!さ、寒っ!」
それはそうだろう。ノースリーブにミニスカート。
寒くない訳がない。
「そんな薄着してっからだよ」
「そうそう。もうちょっと厚着してくれば良かったのに。」
「知らないし、アンタ達も似たようなモンじゃない!」
ナツはノースリーブにどこにでもあるズボン、キアラは長袖をしてはいる物の厚さはない。
それにズボンも市販のふつうのものだ。
「そんじゃオラは街に戻りますよ」
「ちょっとォ!帰りはどうすんのよ!キィーッ!」
背を向けて去って行く馬車に向かってルーシィは怒鳴る。
「あいつ・・・本当にうるさいな」
「あい」
「ま、いいんじゃない?」
ルーシィのことを見て呟くナツとハッピーとキアラ。
すると気が済んだのかルーシィがこちらにやって来た。
「その毛布貸して・・・」
「ぬお」
そしてナツの荷物であった毛布を奪い取り、手に銀の鍵を持った。
「ひひ・・・ひ・・・開け・・・ととと・・・時計座の扉、ホロロギウム!」
「おおっ!」
「時計だぁ!」
「星霊だぁ!」
ゲートを通り、手足が長く、胴体が置時計でできた星霊が出てきた。
「『あたしここにいる』と申しております」
「何しに来たの?」
ルーシィのあまりの発言にキアラが突っ込んだ。
「『何しに来たと言えば、マカオさんはこんな場所に何の仕事をしに来たのよ!?』と申しております」
「知らねぇでついてきたのか?」
「凶悪モンスター『バルカン』の討伐だよ」
それを聞いたルーシィは怯えた。
「『あたし帰りたい』と申しております」
「はいどうぞと申しております」
「あい」
「帰るなら気をつけてねと申しております」
ナツ、ハッピーにキアラまでもが見捨てた。
「マカオー!いるかー!」
「バルカンにやられちまったのかー!」
「ロメオが待ってるよー!」
「マカオー!」
3人の呼び掛けにマカオは未だに応えない。
と、そこに黒い影が現れ、3人に攻撃を仕掛けたが、ナツとキアラは横に飛んで避けた。
「バルカンだー!」
「ウホッ」
ナツとキアラが戦闘体勢を取るが、バルカンはルーシィの方へと向かっていく。
「え?」
「人間の女だ。しかも2人」
「え?2人?・・・ってわたしも!?」
ルーシィの目の前までやって来たバルカンはルーシィをホロロギウムごと肩に抱え、キアラもヒョイっと脇に抱えた。
「おお、喋れんのか」
「『てか助けなさいよォオオオオ!』・・・と申しております」
「何でわたしまでぇええええ!?」
ナツは拳と拳を合わせ、呑気に気合いをいれ、ルーシィとキアラの叫びが空しくそこに残った。
「『なんでこんな事に・・・なってる訳~!?』と申されましても・・・」
「わたしも分かんない」
その少し後、ルーシィとキアラはバルカンに氷で覆われた洞窟に連れてこられていた。
「ウッホウホホ、ウホホホ~」
「ここってあの猿の住処かしら。てか、ナツはどうしちゃったのよ~・・・」
「て言うか何かこのバルカンご機嫌じゃない?」
「女♪」
バルカンがルーシィに近づいた。
その瞬間。
ボフン、と音を立ててホロロギウムが消えた。
どうやら星霊界へ帰ったようだ。
「ちょ・・・ちょっとォ!ホロロギウム、消えないでよ!」
「時間です。ごきげんよう」
「延長よ!延長!ねぇっ!」
ルーシィが訴えるも、ホロロギウムからの返答はない。
「ルーシィ、ちょっと下がってて」
キアラの言葉にルーシィは首を傾げる。
そしてキアラを見ると帯電していた。
「わたしがこの猿に尋問するから」
そう言ってくるりとルーシィの方を向いて笑った。
ルーシィはそんなキアラに少し恐怖を抱いた。
「おい、エロザル!マカオはどこだ!」
「俺知らん」
「よし、わかった」
ゴン!
バルカンの頭にキアラの雷を纏った鉄拳が落ちた。
「ど・こ・だ?」
「しらn」
「うおおおっ!やっと追いついたー!」
バルカンが答えようとしたその時、ナツが登場した。
「おい、サル!マカオはどこだ!」
「ウホ?」
「言葉解るんだろ?マカオだよ!人間の男だ」
「男?」
「そーだ!どこに隠した!」
「うわー、隠してるって決めつけてるー」
キアラが突っ込んだ。
「ウホホ」
「おおっ!通じた!」
「どこ!?」
バルカンが此方だ、とでも言う様に手招きをすると、ナツとキアラはなんの疑いも持たずについていく。
そして穴の下をバルカンが指差すとつられる様にナツが覗く。
するとバルカンがいきなりナツの背中を押した。
「あ?・・・ああああああぁぁぁぁぁっ!」
「ナツー!」
ナツは一瞬何が起こったのかわからなかったが、すぐに状況がわかり、重力に抗って谷底へと落ちていった。
キアラも一瞬唖然としたが、すぐさま状況がわかり、叫んだ。
「やだっ!ちょっと・・・死んでないわよね、ああ見えて凄い魔導士だもんね・・・!きっと大丈・・・」
「男いらん、男いらん、、女~、女~!ウッホホホー!」
「女女!ってこのエロザル!ナツが無事じゃなかったらどーしてくれるのよっ!」
「ルーシィ落ち着いて、ナツなら大丈夫」
「落ち着くなんて出来ない!開け・・・金牛宮の扉・・・タウロス!」
キアラが宥めようとしたがルーシィは聞かずに金の鍵を手に取った。
「MOーーーっ!」
「牛!?」
「あたしが契約している星霊の中で1番パワーのあるタウロスが相手よ!エロザル!」
筋肉がついた星霊の牛、タウロスが出てきた。
が、
「ルーシィさん!相変わらずいい乳してますなぁ。MO、素敵です」
「そうだ・・・コイツもエロかった・・・」
「何こいつ・・・エロいんですけど」
女子には不評だった。
「ウホッ、オデの女とるなっ!」
「オレの女?」
「それはMO、聞き捨てなりませんなぁ」
「そうよタウロス!あいつをやっちゃって!」
やっとタウロスの気合いが入った、と思った、が
「『オレの女』ではなく『オレの乳』と言ってもらいたい」
「もらいたくないわよっ!」
何とも的外れな言葉にルーシィが突っ込む、
「タウロス!」
「MO準備OK!」
「ウホォ!」
タウロスが斧を振り落とそうとした、その時
「よ~く~も落としてくれたなァ・・・」
「ナツ!よかった!」
ナツが穴から出てきた。
そしてタウロスが居ることに気がついた。
「なんか怪物増えてるじゃねーか!」
「ウホ」
「きゃあああああああっ!」
「ナツー!それ味方ー!」
タウロスに蹴りを食らわせた。
するとタウロスはガクッと倒れた。
「MO・・・ダメっぽいですな・・・」
「弱!?」
「弱ーっ!人がせっかく心配してあげたっていうのに何すんのよー!てゆーかどうやって助かったの!?」
あまりの弱さにキアラも突っ込んでしまった。
タウロスに1つとナツに2つ、つまり一気に3つも突っ込んだ。
「ハッピーのお蔭さ。ありがとな」
「どーいたしまして」
「そっか・・・ハッピー、羽があったわね。そーいえば」
「あい。能力系魔法の1つ、翼です」
「だから大丈夫って言ったでしょ?」
「そういう意味だったのね・・・」
ルーシィはキアラの言葉に納得した。
「にしてもナツ、アンタ乗り物ダメなのにハッピー平気なのね」
「何言ってんだオマエ」
「ハッピーは乗り物じゃなくて『仲間』だよ?」
「「ひくわー」」
「そ、そうね。ごめんなさい」
ルーシィは後ろめたい気持ちになった。
「いいか?妖精の尻尾のメンバーは全員仲間だ」
ルーシィの方を向いてナツはそういった。
「じっちゃんもミラも」
「カナもロキも」
「来たわよ!」
「うぜェ奴だがグレイやエルフマンも」
「解ったわよ!解ったから!後ろ!ナツ!キアラ!」
2人の背後には既にバルカンが迫っていた。
「ハッピーもキアラも」
「ナツもルーシィも皆仲間なんだ」
その言葉にルーシィは目を大きく見開いた。
「だから・・・」
「わたし達は・・・」
「「マカオを連れて帰るんだ!」」
2人は同時に足を上げ、バルカンの顔面に蹴りを入れた。
「早くマカオの居場所言わねぇと黒焦げになるぞ」
「ナツの炎とわたしの雷でね」
その挑発にバルカンは怒り、天井にある氷柱を投げつけた。
「ウホホッ!」
「火にはそんなモン効かーん!」
「遅い」
「ウホ」
ナツは当たる前に溶かし、キアラは体を雷にして避けた。
そしてバルカンは先程タウロスが持っていた斧を持った。
「それは痛そうだ」
「キェエエエエエエエッ!」
「だから遅いんだって」
キアラは斧を軽々とかわす。
「うぉっ!危・・・なっ」
「ナツ!」
するとバルカンはキアラに当たらないと思ったのか標的をナツに変えた。
するとナツは白刃取りで斧を両手で受け止めた。
そして熱で斧を溶かし、口の中に入れてプッとバルカンの顔に当てた。
「火竜の・・・」
「鉄拳!」
ナツが鉄拳を入れるとバルカンは氷でできた壁に挟まってしまった。
「挟まったよ!」
「あーあ・・・この猿にマカオさんの居場所聞くんじゃなかったの?」
「あ!そうだった」
「完全にのびちゃってるね」
キアラがバルカンがのびていることを確認するといきなり光りだした。
「な、何だ何だ!?」
いきなりのことに全員が慌てた。
バルカンの光りが治まるとそこには・・・
「サルがマカオになった-!」
壁に挟まったマカオがいた。
「それは違うと思う」
「え!?」
キアラはまじまじとマカオを見ると言った。
「バルカンに接収されてたんだ」
「接収!?」
「体を乗っ取る魔法だよ」
キアラとルーシィがそんな話をしているとマカオが挟まっている氷の壁にヒビが入った。
「あーーーーーー!」
ナツは落ちそうになったマカオを慌ててつかみ、またもや落ちそうになったナツをキアラがつかみ、ハッピーが落ちそうになったキアラを翼を出してつかんだ。
落ちる!そう思ったその時
「3人は無理だよっ!羽も消えそう!」
「くっそぉおおおっ!」
「んっ!」
それでも落ちそうになったハッピーの尻尾をルーシィがつかんだ。
「ルーシィ!」
「重い・・・」
今度こそ落ちる!と思ったその時
「MO大丈夫ですぞ」
「タウロス!」
タウロスがいいタイミングで目を覚ました。
そしてルーシィの腰をガシッとつかみ、全員を引き上げた。
「牛ー!いい奴だったのかぁ~!」
ナツはタウロスが味方とわかり嬉しくなり、助けてくれたことに感謝した。
「酷い傷だわ」
マカオの体には激しい戦闘の跡が残っていた。
「マカオ!しっかりしろよ!」
「バルカンは人間を接収する事で生きつなぐ魔物だったんだ・・・」
「脇腹の傷が深すぎる・・・持ってきた応急セットじゃどうにもならないわ」
「・・・ナツ、マカオの傷を焼いて」
「な、何で?」
「いいから!」
キアラの言葉に納得はいかなかったがとにかく焼いてみる。
「グワッ」
「我慢して!」
「そっか・・・これで止血を・・・」
ルーシィの呟きにナツも納得する。
「はぁはぁ・・・クソッ・・・情けねぇ・・・」
マカオの目が開いた。
「19匹は・・・倒し・・・たん・・・だ」
「え?」
「20匹目に・・・接収・・・され・・・」
「解ったからもう喋んなっ!」
(うそ・・・!?あの猿、1匹じゃなかったの・・・!?そんな仕事を1人で・・・)
ルーシィはそんな依頼をたった1人で受けたことに驚愕した。
「ムカつくぜ・・・ちくしょオ・・・これ・・・じゃ・・・ロメオに・・・会わす・・・顔が・・・ね・・・クソッ」
「黙れっての!殴るぞ!」
「まだ止血しかしてないんだから!」
(凄いなぁ、やっぱり・・・敵わないなぁ・・・)
ルーシィは改めて妖精の尻尾の凄さを実感した。
その日の夕方。
ある家の石段に少年、ロメオが座り俯いていた。
ロメオの脳裏にはある記憶が映っていた。
ー魔導士って昼間っから酒飲んでんだぜ
ーそうそう酒臭くて仕事してねーんだよな
ーそんぐらいなら俺の親父にだってできるぜ
ー父ちゃん!すごい仕事行って来てくれよ!
ーわかったわかった
自分の父に何かが起きているかも知れないのに。
自分ががあんなことを言わなければ。
ロメオの気持ちは後悔と自分に対する怒りで一杯だった。
ふと、顔を上げて見る。
「・・・!」
そこにはナツに肩を貸してもらって立つ父がいた。
「父ちゃん、ゴメン・・・俺・・・」
「心配かけたな。スマネェ」
「いいんだ・・・俺は魔導士の息子だから・・・」
「今度クソガキ共に絡まれたら言ってやれ」
少し間をあけ、ニヤッと笑う。
「テメェのオヤジは怪物19匹倒せんのか!?ってよ」
再会を喜ぶ親子を見て立ち去ろうとする4人にロメオが気付き、大きく手を振った。
「ナツ兄ー!キアラ姉ー!ハッピー!ありがとぉー!」
「おー」
「あい」
「うん」
「それと・・・ルーシィ姉もありがとぉっ!」
ルーシィはその言葉に嬉しくなり、大きく手を振り返した。
7月4日。
晴れ→吹雪→晴れ。
妖精の尻尾はめちゃくちゃでぶっとんだギルドだけど
楽しくて、あたたかくて、優しくて・・・
あたしはまだまだ新人の魔導士だけどこのギルドが大好きになれそうです。
後書き
大空「何かいろいろとハプニングが起きてしまった・・・」
キアラ「日頃の行いが悪いからでしょ」
大空「ぐっ。言い返せない・・・」
キアラ「てな訳で次回は『潜入せよ!エバルー屋敷』だよ」
大空「まったねー」
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