転生とらぶる
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
Fate/stay night
1153話
桜というライダーのマスターの心臓に寄生している、間桐臓硯とかいう人物。……いや、既に蟲である以上は人じゃないのか。
ともあれ、その蟲を取り除くためにアインツベルンのホムンクルスの技術に一縷の望みを抱いてきたらしいけど、イリヤにホムンクルスの技術を使ってもそれは無理だと言われたのだが、ふと自分の能力を思い出して出来るかもしれないと判断する。
凛も何故かその桜とかいう相手を気にしてるので、取りあえず出来るかもしれないと告げたんだが……その瞬間、その場にいた全員が俺の方へと視線を向けてきた。
それこそ、バーサーカーを殺されたせいで俺を憎んでいるだろうイリヤですらもだ。
……まぁ、イリヤの場合はジト目というか、俺の言葉が信じられないというニュアンスの方が強いんだが。
「本当か、アークエネミー! どうすればいい!? どうやれば桜を助けられるんだ! 頼む、教えてくれ!」
テーブルに身を乗り出し、頭を下げて叫ぶ衛宮。
基本的に俺と性格が合わないし、お互いにお互いを憎む……とまではいかないが、それでも嫌い合っているのは事実だ。
特に衛宮の場合は親友であるワカメを俺に殺されている訳で……その割りには、恨みを全く感じさせる事がないままに尋ねてくるな。
ワカメの件は置いておくのか、それとも単純に今は死んだワカメよりも生きている女なのか。どちらにしろ、自分の目的の為なら嫌っている俺に対して頭を下げる事が出来るってのは、認めてもいい。
……まぁ、その性格というか甘っちょろい主張は絶対に相容れないものなのは確かだが。
「……アークエネミー、本当に桜を助けられるの?」
いつもの強気な凛とは違う、どこか弱気な表情。
そんな表情を向けられては、答えないわけにはいかないだろう。
「恐らくというだけで、確実とは言えないけどな」
『凛、もしその方法を披露するとなると、スライムを使う必要が出てくる。そこまでしても助けたい。本当にそう思うのか?』
『ええ、お願い。それにバーサーカーとの戦いでスライムはもう見せてるんだから、今更秘密にしてもしょうがないでしょ』
念話で尋ねるも、即座にそう言葉が返ってくる。
一応、今回のような使い方はしていない以上、向こうにしても初見で、戦闘ではかなり意表を突けるだろう方法なんだが。
まぁ、凛がそこまで言うのなら、そうしよう。
「スライム」
俺が呟くと、突然俺の横の空間に穴が開き、そこから銀色の液体金属の触手が姿を現す。
「っ!? 何のつもりです、アークエネミーッ!?」
スライムを見た瞬間、咄嗟にセイバーが叫び、手に見えない剣を握る。
ライダーも、いつでも行動に移せるように座っていた椅子から腰を僅かに上げており、イリヤの背後に控えていた2人のメイドもイリヤを庇うようにして前に出ている。
片方のメイドはどこから取り出したのか、ハルバードを手に構えてすらいた。
そんな、一気に緊張状態になった奴等を目にしながらも、俺は全く慌てた様子もなく口を開く。
「落ち着け。別にお前達を攻撃しようって訳じゃない。このスライムを使ってその蟲をどうにか出来るかもしれないと言ってるんだ」
まぁ、セイバー達はグリフィンドラゴンを相手にしながらでもバーサーカーが何度となく死んだ光景は見ていたんだろうから、スライムを警戒してもしょうがないか。
「衛宮、その紅茶のカップはもう空か? それをテーブルの、俺から少し離れた場所に置け」
「カップを? ああ、分かった。空だし問題ない。……これでいいのか?」
俺から離れたテーブルの上に、紅茶の入っていたカップを置く衛宮。
そうして、俺の横でユラユラと動いているスライムに視線が集まっているのを見ながら、俺はスライムを動かす。
ただし、このままではない。糸よりも更に、更に、更に、更に細く。
それこそ、0.00001mm程度の細さへと姿を変え、次の瞬間。
斬っ、と。
その細さ故に音もなく振るわれたスライムの一撃は、俺から離れた場所にあった紅茶のカップを見事に真横に切断する。
紅茶のカップを砕いたり、割ったりするのではなく、鋭利な斬れ味を残しての切断。
僅かに角度を付けられて切断された紅茶のカップは、そのまま徐々にずれていき……やがてテーブルの上に転がり落ちる。
軽い金属音を立てながらテーブルの上に落ち、そのまま割れるカップ。
その場にいる者達が呆然とその様子を見ている中、俺は口を開く。
「見ての通り……と言っても、見えている奴の方が少ないか。セイバーにライダー辺りなら、何が起きたのか理解出来たんじゃないのか?」
普通の人間であれば何が起きたのかは全く理解出来なかっただろうが、サーヴァントという存在であれば見えても不思議じゃない。
いや、この程度の攻撃を見抜く事が出来ないのであれば、それはサーヴァントというには少し弱すぎるだろう。
「そのスライムから伸びている触手が、非常に細くなって放たれた、ですか」
「ええ、私もセイバーと同じ意見です」
そんな俺の予想通り、やはりサーヴァントにとって今の攻撃は見抜く事が出来たらしい。
もっとも、偵察とかならともかく、これは実は戦闘ではそう簡単には使えない。
ぶっちゃけ、糸が細すぎて威力的にサーヴァントの防御力を突破出来ないのだ。
それでも、人の心臓に寄生している蟲を倒すのは簡単だ。
問題となるのは……
「確かにこれなら人の体内に入る事も問題なく出来るでしょう。ですが、相手は心臓に寄生している蟲ですよ? この紅茶のカップのように、目で見える位置にいる訳ではありません」
「セイバーの言いたい事も分かるが、このスライムの特性はこれだけじゃない」
そう告げ、座っていた椅子から立ち上がって、セイバー達に背を向けて立つ。
……俺が立ち上がった際にセイバー、ライダー、リズとかいうメイドが警戒した様子を見せていたが、そこまで信用ないか?
まぁ、何だかんだで今回の聖杯戦争で脱落したサーヴァント3人は全て俺の手で倒されてるんだし、信用しろって方が無理か。
そんな思いを抱きつつ、口を開く。
「誰でもいいから、俺の方を指さしてくれ。ああ、ついでに凛も見えないようにな」
「は? はぁ、まぁ、構いませんが」
戸惑ったように口を開くセイバーだったが、テーブルの上に残っているスライムの温度感知を使い、俺を指さした人物の名前を告げる。
「ライダーと、リズとかいうメイドだな」
『っ!?』
数人が思わず息を呑む音が聞こえてきた。
「まぁ、こんな具合だ。俺のスライムは温度や音で察知する事が出来る。これがあれば、心臓に寄生している蟲を正確に把握する事は難しくない。ただ、問題があるとすれば……」
「問題があるとすれば?」
真剣な表情で問い掛けてくる衛宮に、俺は再び席に座りながら言葉を続ける。
「俺が出来るのは、あくまでも物理的な排除のみだって事だ。例えば、魔術的な何かが仕掛けられていた場合はスライムではどうしようもない」
奥の手として吸収もあるけど、蟲が消えたのをトリガーとして働くトラップ的な置き土産の類がないとも限らない。
臓硯って奴の性格は知らないが、話を聞いた限りだと相当下種らしいし。
または、心臓と蟲が完全に一体化していた場合、もしかしたら蟲だけではなく心臓そのものをも吸収してしまう可能性もある。
「……じゃあ、結局駄目じゃないか」
「慌てるな。そこでアインツベルンだ。その桜って奴の身体を作る事自体は難しくないんだろ? 難しいのは、桜って奴の意識をそっちのホムンクルスに移したりする事で」
「……ええ」
不承不承告げてくるイリヤ。
俺に対して思うところがある以上に、アインツベルンの技術をあまり広めたくないってのもあるんだろう。
「なら話はそう難しくはない。手段は2つ。まず1つ目は、俺がスライムでその桜とかいう奴の体内に触手を伸ばして、臓硯を始末する。もし失敗……というか、さっきも言ったように魔術的な置き土産がある場合は、ホムンクルスの心臓を移植する。ああ、最初からいざという時の事を考えるのなら、切開してからスライムで臓硯を処分するといのもいいかもしれないな。2つめは、最初から臓硯をどうにかするって事を考えないで、そのままホムンクルスの心臓を移植する。……どうだ?」
「無理よ」
真っ先に否定の言葉を口にしたのは、ある意味予想通りではあったがイリヤだった。
「何でだ?」
「ホムンクルスっていうのは、別にクローンとかそういうのじゃないの。その心臓を移植出来るかどうかというのは拒否反応を考えると難しいでしょうし、そもそもホムンクルスというのは元々寿命が短いわ。そんな寿命の短い心臓を移植しても、多分長い間生きるのは無理よ」
「そんな……」
イリヤの言葉に絶望の表情を浮かべる衛宮。
まぁ、アインツベルンの魔術に一縷の望みを抱いてここまで来たらしいから、それを思えばしょうがないんだろうけど。
凛の方はと視線を向けると、こちらも悲痛な表情を浮かべていた。
「となると、可能性は1つだけだな。当初の案の、俺がスライムを使って臓硯とやらを始末する。ただし、さっきも言ったように臓硯ってのが何か魔術的な置き土産を用意してある場合はどうしようもない。……それでもいいようなら、凛の言葉もあるし手伝ってもいいが? 勿論相応の報酬は貰うが」
「っ!? ……少し、考えさせて欲しい」
俺の言葉に一瞬何かを言い掛けた衛宮だったが、それを押さえてそう告げてくる。
実際、俺が手伝う以上は報酬を要求してもおかしな事ではないんだが。
いやまぁ、凛と何か関係があるのを知ってる以上、あまりがめつく報酬をどうとかは考えてないけど。
いっそのことセイバーかライダーに聖杯戦争から脱落して貰うってのはありか?
ただ、向こうがそれを呑むかどうかは微妙……いや、まず無理だろうけど、臓硯をどうにかする前に報酬の先払いを要求すれば……どうにかなる、か?
その辺はこれからの要求次第だろうな。
ぶっちゃけ、令呪辺りがまだ残っていればその令呪でも良かったんだが……衛宮の令呪は全部使いきってるしな。
桜とかいう奴の方に令呪が残っている可能性は否定出来ないけど……さて、どうだか。
「そうだな、ゆっくりと慎重に考えた方がいい。俺がどんな報酬を要求するかってのは、これまでの俺を見ていれば大体分かるだろ?」
チラリ、とセイバーとライダーの方を見ながら呟く。
それだけで、俺がどのような報酬を要求するのかが分かったのだろう。衛宮が苦悩の表情を浮かべていた。
「……取りあえず今回の話は終わった訳だが、これからどうする?」
元々俺達がアインツベルンの城にやって来たのは、衛宮達の話……桜とかいう人物の事を凛が酷く気にしていたからだ。
確かに綾子の後輩ともなれば、凛と顔見知りでもおかしくないんだが……
そんな俺の疑問はそのままに、凛が席から立つ。
「そうね、これ以上ここでどうにかしていても何もならないでしょうね。衛宮君達が桜をどうにかする為にアークエネミーの力を借りたいのなら、改めて連絡して頂戴。ただ、その場合はさっきアークエネミーも言ったけど、代償が必要な事を忘れないでね」
家を失った桜とかいう人物を自分の家に泊めている以上、衛宮がその女に好意を抱いているのは確実だろう。
俺や凛の関係を考えれば、もしかしてそういう関係になっているかもしれないというのは否定出来ない事実だ。
……凛と関係がある以上、迂闊な事は言えないが。
で、当然衛宮にとってはセイバーもまた同様に大事な女――恋愛感情云々を抜きにして――な訳で、そうなればどっちを助けるかというのは悩みどころだろう。
まさか、セイバーとライダーを俺に襲わせて力尽くで……なんて真似は出来ないだろうし。
少し前であれば、もしかしたらその可能性はあったかもしれない。だが、今の俺は混沌精霊というスキルを使用可能になっており、幻想種でもあるグリフィンドラゴンすらも召喚可能になっている。
もし強行して、俺を倒せればいい。
だが、もし失敗すれば……まず間違いなく桜とかいう女の命運は尽きる。
……まぁ、凛の性格を考えれば、結果的にはそんな事にはならないと思うが。
結局その後は衛宮にしてもそう簡単に決断出来る訳でもなく、話は流れてその場で解散となる。
衛宮達はまだイリヤと話す事があるらしく城に残ったが、俺と凛はその場を後にして城を出て行く。
『……』
お互いが特に何を話すでもなく、森を出る道を無言で歩く。
その際、森から出た場所でどこぞの青いサーヴァントの姿を見つけたが、ここに来る前に今日は出掛ける用事があるという話をしたので、様子を見に来ても特におかしなところはないだろう。
そう判断し、その件は後で凛に話すとして……タクシーを呼ぶのも時間の無駄だという事で、俺は凛を横抱きにしながら道を駆ける。
本人はかなり恥ずかしかったのか、頬を真っ赤にしていたが。
身体を重ねた仲だし、特に誰かに見られている訳でもなかったんだけどな。
転移魔術を使えば良かったのかもしれないけど、凛の照れた顔を見る事が出来たので良しとする。
後書き
アクセル・アルマー
LV:42
PP:385
格闘:301
射撃:321
技量:311
防御:311
回避:341
命中:361
SP:1402
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
???
撃墜数:1186
ページ上へ戻る