ポケットモンスター 急がば回れ
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9 イエロー対ナツメ
エスパーおやじ「何を言い出すんだイエロー君! こんな時に!」
バトルをすれば本性がわかるかもしれない、とイエローは思った。
ナツメ「ごめんなさいね。
今はこんな状況だからジム戦は受け付けてないのよ。
これが必要ならあげるわ」
ナツメはヤマブキジムリーダーを倒した証のゴールドバッジを差し出す。
イエロー「要りませんよ。バッジなら8つ全て持ってますから」
ブルー「じゃああたしにくださーい!」
イエロー「トレーナーとして恥ずかしくないのか君は」
ブルー「じょ、冗談に決まってるじゃない。
でも、もう持ってるならバトルなんてしなくていいんじゃない?」
イエロー「バトルするのはバッジのためじゃないよ」
ナツメ「そこまでバトルしたいならしょうがないわね。受けて立つわ。
ここでバトルしても大丈夫かしら?」
エスパーおやじ「構わんよ」
エスパーおやじの家は決して広いわけではない。
イエロー「僕はこのピカチュウだけで挑む」
ピカチュウ「ピカ!」
ナツメ「それならわたしもこの子だけでお相手するわ」
イエロー「僕はバッジ全部持ってるんですから手加減しなくていいんですよ」
ナツメ「大した自信ね」
エスパーおやじがレフェリーをかって出る。
エスパーおやじ「バトル開始!」
ナツメはスリーパーを繰り出した。
ナツメ「スリーパー、催眠術!」
イエロー「ピカチュウ、電光石火!」
ピカチュウは一瞬でスリーパーの懐に飛び込む。
体重は軽いが勢いのある一撃がきまる。
スリーパーはよろけながら後退する。
ナツメ「かかったわね!」
ピカチュウは眠ってしまった。
近寄れば近寄るほどエスパーポケモン特有の気を感じる。
超能力の影響しやすい領域に入ってしまったのかもしれない。
ナツメ「スリーパー、夢喰い!」
スリーパーはピカチュウの額に振り子を垂らす。
エスパーおやじ「ポケモンはどんな夢を見るんだろう」
ブルー「呑気なこと言ってんじゃないわよこのオヤジ」
イミテ「ポケモンの見る夢……」
スリーパーが叫びだす。
あちこちに自ら頭を打ちつける。
ピカチュウが目覚めると、文字通り裸足で逃げていった。
ナツメ「どうなってるの……」
ブルー「どうしちゃったのよ……」
イエロー「さあ……」
ピカチュウ「ピカ?」
イミテ「何か怖い夢でも見たのかな……?」
エスパーおやじ「スリーパー逃亡につき、ピカチュウの勝ち!」
ナツメ「こんな負け方をするなんて、とてもショック!
でも負けは負け……! 私の勝負の甘さを潔く認めるわ!
勝った証にゴールドバッジをあなたに差し上げましょう」
イエロー「もう持ってますよ」
ナツメ「そうだったわね」
ブルー「じゃああたしに……
じゃなくて、次はあたしとバトルして!」
イエロー「ブルーはまだポケモンバトルしたことないだろう。
初めて戦って勝てるほどナツメさんは甘くないよ」
ブルー「それもそうね」
エスパーおやじがイミテの肩にぽんと手を置く。
エスパーおやじ「どうやら悪い予感は徒労だったようだな」
イミテ「……違う」
ナツメ「さあ、近くの街まで送っていってあげるわ。
北のハナダ、南のクチバ、東のシオン、西のタマムシ、どこがいいかしら?」
イエロー「そうですね、ブルーはまだ図鑑をもらってないからハナダからお月見山を抜けてトキワに戻るか、クチバからディグダの穴を抜けて戻るか……」
ブルー「あたしタマムシに行きたい!
デパートで買い物とかしてみたいな!」
イエロー「ブルー、この旅は観光旅行じゃないんだよ」
ナツメ「いいじゃないの。
タマムシは見所のたくさんあるいい街よ」
ブルー「さすがナツメさん! 話がわかる!」
イエロー「まあいいか……。
それじゃあ、お世話になりました」
エスパーおやじに別れの挨拶をする。
エスパーおやじ「元気でな」
ブルー「じゃあねイミテ!
また会いに来るからね!」
イミテ「……待って!」
イミテはブルーにモンスターボールを手渡す。
イミテ「この子、連れていって」
ブルー「これは……ポケモン?」
イミテ「……あと、ごめんなさい。
あなたたちはもうヤマブキに来ないほうがいい……」
ブルー「えっ!?」
3人とピカチュウはテレポートで一瞬にしてヤマブキから脱出した。
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